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私の心の中のお話です。
ご了承ください。



真夜中の観覧車。-scene4-








・・・・・「お待たせ。待った?」

--- ううん。俺も今着いたところ。---


待ち合わせたのは、賑やかな通りにある時計塔の前。


・・・・・「キュヒョン、寒いよ。早く行こう。」

--- そうだな ---


厚いコートに身を包んだ僕とキュヒョンは、
いつもより早いスビートで歩き出す。


・・・・・「何にするか、決まってる?」

--- うーん、、、女の子って何が欲しいのかよく分かんなくて。---

・・・・・「イヴはもう明日だよ?」

--- だから困ってんだろ? ---



そう、明日は12月24日。
クリスマスイヴだ。

昨夜遅く、キュヒョンが情けない声で電話を掛けてきた。
彼女に贈るプレゼントをまだ準備できていなくて困ってるって・・・


・・・・・「大体、僕に聞くのが間違ってる。そう言うのは、彼女が居る奴か、もしくは女子に聞くもんじゃない?」

--- そう言わずにさ、、、付き合ってよ---

・・・・・「別にいいけど、、、」


僕と違って、結構女の子には積極的なキュヒョン。
なのに、クリスマスとか誕生日とか何かの記念日とか、、、
そう言う大切な時には、どうしてだか気が利かない。

そう言うものは、もっと前から準備しておくものなのに・・・


・・・・・「もう少し早めに準備しておかなくちゃ、、、」

--- そういうお前は、もう準備してんの?---

・・・・・「えっ?」


そう言われて、ハッとする。


--- ああ、そう言えばチャンミンは彼女居ないんだよな。失礼。---

・・・・・「ねぇ、そういういい方はないんじゃない?」

--- だってホントの事だろ? ---


キュヒョンが〝はぁっ、、、、〟と大きなため息をつく。


--- 誕生日だとか、クリスマスだとか、付き合って何日だとかさ、、、
そう言うの、結構大変で、疲れるんだぜ? ---


そんなことを言いながらも、
キュヒョンは通りの店に並ぶ、お店のウインドウをチラチラと気にしてる。


・・・・「はいはい。それで、、、?」

--- うん。アクセサリーとか、定番だけどどうかなって、、、---

・・・・・「いいんじゃない? 一番女の子が欲しがるものだと思うけど?」

--- よし、じゃあそうする。行こう。---


急に張り切るキュヒョンに腕を引かれ、
歩くスピードがまた上がる。


白い息を吐きながら、僕はキュヒョンの後を追った。




結局、キュヒョンはハートをモチーフにした可愛らしいネックレスを選んだ。
綺麗にラッピングされたそれを、嬉しそうに見ているキュヒョンが、なんだかとても羨ましくて・・・

さっき、キュヒョンに言われた言葉が、脳裏にチラチラと映る。


〝そういうお前は、もう準備してんの?〟



もう、、、何日顔を見てないだろう・・・
何日声を、聴いてないだろう・・・


数える事すら、出来なくなってた。

ヒョンからは連絡はない。
僕も、今更何を言えばいいのか分からなくて・・・

もしかしたら、このまま僕たちは終わるのかもしれない。
そんなことが、頭を過る。


--- チャンミン、今日はサンキュ。---

・・・・・「気にいってくれるといいね。」

--- ん。また電話するからさ。じゃあな。メリークリスマス! ---

・・・・・「メリークリスマス。またね。」


キュヒョンのクリスマスイヴが、素敵な1日になりますように。

嬉しそうに歩いてゆく彼の背中を見つめながら、
僕は心の中で、そう祈った。





次の日・・・

僕はいつもと何も変わらない1日を過ごした。
夕飯を済ませて、母さんが作ってくれたイチゴのケーキと、美味しいチキンを食べた。

部屋の窓から空を見上げると、夜の空からきらきら光る雪が、チラチラと舞い落ちる。

ふっと、机の上に視線が止まった。


〝合格祝い。気にいってくれれば嬉しいけど、、、〟


ユノヒョンが僕にくれた腕時計。
勿体なくて、机の上に飾ったままだった。

そっと取り出して、腕につけてみる。
とても大人っぽいデザインで、なんだか着けただけで、ちょっと大人になった気分だった。

そして、その隣には、赤と緑のリボンが付いた、小さな包み。


・・・・・「ヒョンに似合うと思ったんだけどな、、、」


冷たい風が、開いた窓から吹き込む。
ブルリと身震いして、急いで窓を閉めた。


その時、、、

携帯からメッセージを知らせる音が流れる。

・・・・・「ヒョン?」

もしかして、、、?
そういう気持ちが先に立って、急いでメッセージを開く。


・・・・・「ユノヒョン、、、」


メッセージの贈り主は、ユノヒョンだった。


そこには、、、


〝チャンミン、メリークリスマス!〟


短いメッセージと共に、1枚の写真・・・


サンタの帽子を被ったヒョンが、ベッドの上に半身を起こしたミファさんの肩を抱いて、
楽しそうに2人で笑ってる。

ミファさんは、とても幸せそうな顔で、
ヒョンからのプレゼントだろうか、、、
大きなリボンが掛ったクマのぬいぐるみを抱きしめている。


羨ましかった。
クリスマスイヴの夜・・・
好きな人の傍に居られること、、、それがとても羨ましかった。


机の上の、小さな包み。
手に取って、胸に抱く。


・・・・・「ヒョン、、、会いたいよ、、、」


ギュッと胸が痛む。
熱い物が、目の奥が滲みでそうになったその時だった。


今度は、電話の着信を知らせる音・・・


見ると・・・


・・・・・「、、、ヒョン、、、」


ディスプレイには、ヒョンの名前が浮かんでいた。
さっきの胸の痛みが、今度は大きな鼓動へと変わる。


僕は、小さく深呼吸してから、、、


・・・・・「もしもし、、、」


応答した。


--- チャンミン? ---


久し振りの声・・・
名前を呼ばれただけなのに、もう、、、泣きそう・・・


--- 表に居る。コートとマフラー、温かくして出てきてほしい。待ってるから、、、---


それだけ言うと、電話は切れた。


何も考える余裕はなかった。

僕は、ベッドの上に置きっぱなしにしていたコートと、マフラーを慌てて身に着け、
リュックの中に携帯を放り込む。

扉を開いて、駆け出そうとして、脚を止めた。
振り向いて、さっき抱きしめていた包みを手にし、そしてそのまま階段を駆け下りた。




--- ごめん。突然・・・・---

ヒョンの顏は、少し強張ってる。
僕は、声に出さず、ただ、首を振った。


--- 時間、、、いいかな? 付き合ってほしいところがあるんだ。---


そのままヒョンの車の助手席に乗り込む。
静かな車内。

車は、ゆっくりと走り出した。




長い長い時間に感じた。
途中、ヒョンは何も話さなくて・・・

小さな音でかかる洋楽のCD。
その音楽を聴きながら、僕は窓の外の流れる景色をずっと見ていた。

何処に行くのかも分からないまま、1時間ほど経った頃・・・



「着いたよ。行こう・・・」


車を降りて、ヒョンの後を歩く。
もう、時間は21時を回ってる。
けど、到着したその場所には、数人の人たちが、順番を待っていた。

その後方に僕達も並ぶ。

暫くすると、僕達の後ろにも数人の人が並びだす。
けれど、みんな恋人同士・・・
男同士でこの場に居ることが、少し恥ずかしかった。

どの位待っただろう・・・


ようやく、僕達の順番が来て・・・


--- ほら、チャンミン・・・---

乗り込んだのは、観覧車・・・



〝そのパークにある夜の観覧車に乗ったカップルは、永遠に結ばれるって、、、〟



狭い空間に、僕達二人だけ。
扉がカチャリと閉じて、僕達の乗った観覧車は、ゆっくりと動きだした。


--- ずっと待ってたんだ・・・---


ヒョンが静かに話を始める。


--- けど、チャンミンからの連絡はなくて。だから、もう僕はいらなくなったのかなって、、、---

・・・・・「ちっ、、、ちが、、、」

--- けど、思ったんだ。もし仮にそうだとしても、自分の気持ちがそれでいいのかって・・・---

・・・・・「・・・・・」

--- 答えは、Noだ。 ---

・・・・・「ヒョン・・・」

--- チャンミンを手放す気はない。好きだから、、、---

・・・・・「・・・・・」

--- これ、、、男の子のチャンミンにこんなのはどうかと思ったけど、でも、、、---

・・・・・「・・・・・」

--- どう思われたっていい。女々しい奴って思われたって、、、
けど、どうしても、、、チャンミンを自分に縛り付けておきたい。僕の物だって、、、---

・・・・・「ヒョン・・・」


差し出されたのは、小さな箱に入ったシンプルなペアの指輪・・・


--- 受け取ってほしい。ダメかな? ---


上昇してゆく僕達だけの空間。
下を見下ろすと、テーマパークの明るい光と、遠くに見える街のネオン。

キラキラと輝くその景色がとても綺麗だ。


・・・・・「この観覧車に乗ったら、永遠だって、、、キュヒョンが、、、」

--- うん。---

・・・・・「僕が、悪いのに・・・ヒョンを傷つけた。なのに、、、永遠なんて、、、」

--- ここで誓ってほしい。僕は、チャンミンが好きだよ。どんなチャンミンも、、、---

・・・・・「ヒョン、、、」

--- ん? ---

・・・・・「ごめんなさい。」


会えなくて、寂しかった。
声が聞けなくて、辛かった。

僕が悪いから・・・仕方ないと、、、
嫌われても、終わっても仕方ないとそう思ってたのに・・・

ヒョンは、何も言わない。
僕を責めない。

苦しいほど、優しくて温かい。


--- そう思うなら、、、ほら、、、---


僕の手を取り、そっと指に指輪をはめてゆく。
自分の指にも、同じように指輪をはめると、その手を僕の手に重ね合わせた。


--- 誓うよ、チャンミン。僕は、永遠に君を愛する。---

・・・・・「ぼ、、、僕も、、、ヒョンが好き・・・ずっと、、、」


僕のその言葉に、ヒョンが今日初めて笑った。



--- これを僕に? ---

・・・・・「つまらないものだけど、、、」


もう、渡すことはないと思ってたヒョンへのクリスマスプレゼント。


--- 開けていい? ---

・・・・・「うん。」


カサカサと包みを開けて、、、、


--- わぁ、帽子? ---

・・・・・「うん。暖かいかと思って・・・」


それは、キュヒョンと出掛けた時に見つけたニットの帽子。
キュヒョンと別れた後、1人で選んで買っておいた、ヒョンへのプレゼント。


--- どう?似合う---

・・・・・「うん。とっても似合ってる。」

--- 暖かいよ、チャンミン、ありがとう ---

・・・・・「ヒョン、ほら、見て? 一番上だよ」




僕たちの乗った観覧車は、一番高い場所・・・


--- 綺麗だね、チャンミン---

・・・・・「うん。」


まるで、僕とヒョンだけの世界のように、
静まり返ったその空間・・・


--- チャンミン、、、---

・・・・・「ん?」

--- メリークリスマス、、、---



ヒョンが立ちあがり、観覧車がグラリと小さく揺れる。


その刹那・・・


暖かくて柔らかいヒョンの唇が、
僕の唇に優しく重なった・・・・・








68 -scene5- へつづく

いつも応援ありがとうございます。
次回の更新から、 -scene5-  に入ります。


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