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私の心の中のお話です。
ご了承ください。




Shangri-La 1





---でさ、ユノ。あいつ、どうすんの? ---


びしょ濡れの子犬を、強引にシャワー室に押し込めて、
キッチンに戻り、冷蔵庫から缶ビールを取り出して一気に煽った。


「さあな」

--- お前さ、女ならまだしも男だぜ? 使い道あんの?---


俺の手からビールを奪い、ドンヘはゴクゴクと喉を鳴らしながら飲み干した。


「使い道って・・・」

--- だってさ、男・・・---


突然・・・
ドンヘが言葉を飲み込み、俺の背後を驚いた顔をして見つめている。


「どうし・・・」





・・・・・「あ、あの・・・」


遠慮がちに出された声に驚き振り向くと、
バスルームに準備していた俺のスエットを来た子犬が、手にタオルを持ったまま震えながら立ちすくんでいた。


--- お、おい、、ユノ・・・---


ドンヘの顔色が変わる。

ずぶ濡れの薄汚れた子犬・・・

けれど、そこに立っていたのは、
白く透明で肌理の細かさが遠くからでも分かるような美しい肌・・・

店の前で、手を差し出した時に見た、ガラス玉のように透明で美しい瞳は、
怯えて逃げるその先から解放された安堵からなのか、美しく深い憂いを湛えた藍の色を乗せている。

その瞳の様(さま)に、ドンヘが、、、いや、ドンヘだけじゃない。

この俺も・・・
視線を奪われた。




息をのみ、小さく呼吸する。


「少し、大きかったようだな、、、暫く我慢しろ」


華奢な身体に、俺の服はかなり大きく感じる。


--- こっちおいで? 何か飲む?---


美しい瞳は、定まらない。

緊張と不安・・・
泳ぐその視線を、俺の目に留める。

ゆっくりと子犬に近づくと、怯えからなのか、一歩後ずさった。


「怖くないと言っただろ? そのままじっとしてろ」


手を顎に添え、掬い取るように顔を上げさせると、ようやく視線が重なる。


「名前は?」

・・・・・「チャ、チャンミン・・・」

「上の名は?」


そう問うと、小さく頭を横に振った。


「分らないのか? 自分の名だろう?」


そう問いただしても、首を振るばかり・・・


「歳は? いくつだ?」


見た限りでは、、、17、18 くらいだろうか?


・・・・・「わ、分りません。知らない・・・」

「お前、自分の歳も分らないのか?」


手を離すと、小さく身体を震わせながら、、、


・・・・・「ご、ごめんなさい、、、ごめんなさい、、、」


頭に両の掌を添え、震えながらしゃがみ込んだ。


「お、おい・・・」

--- ユノ、怖がらせちゃダメだろ---


ドンヘが見かねて駆け寄ってくる。
同じように、しゃがみ込んで・・・


--- チャンミンって言うのか? いい名前だな。俺はドンヘって言うんだ。大丈夫か? ---

・・・・・「・・・・・」


顔を伏せ、蹲ったまま動かない。


--- チャンミン、、、---


震えるその身体が、なぜか胸を締め付ける。




「助けてくれと言ったのはお前だろう」

・・・・・「・・・・・」

「ここが気に入らないなら、今すぐ出て行け」

--- ユノ!! そう言う言い方やめろよ---

「ここは、俺のマンションだ。嫌な奴に居てもらわなくて結構だ」

--- ユノ!!! ---


そう言葉を吐き捨てて、しゃがみ込む子犬の隣りをすり抜けた。
廊下を足早に歩き、突き当りのベッドルームの扉を開いた時・・・


・・・・・「・・・・なさ、、、、」


振り向くと、子犬が駆け寄ってきて、震える手を伸ばす。
そして、俺のシャツをそっと掴む。


・・・・・「ご、ごめな、さ・、、、ごめん、なさい・・・」


大きな瞳から、瞬きをするたびに大粒の涙が零れ落ちる。
俺は、シャツを掴むその手をそっと外し、手を取った。


「ドンヘ、寝室の準備出来てるか?」

--- あ、ああ、、、出来てる---


リビングのドアから、様子を見ていたドンヘが、
慌てて返事をした。


「チャンミン、、、来い」


握った手を引き、俺の寝室の向かいの部屋のドア開けた。
来客用として使っているベッドルーム。

灯りをつけて、ベッドの脇に誘導する。


「今日はここで寝るといい」

・・・・・「あ、あの・・・」

「なんだ、気に入らないか?」


表情を変え、首を横に何度も振る。


・・・・・「い、いえ、、、」

「ここは怖くないし、誰も来ない。いるのは俺だけだ」

・・・・・「・・・・・」

「何かあったら、さっきの向かいの部屋に居る。とにかく、今日はもう休め」

・・・・・「・・・・・」


そう言うと、何も言わず目を伏せる。


「分ったか? ん?」

・・・・・「・・・はい」


ベッドに入るように促すと、俺の顔をじっと見ながら、
渋々と言った表情でベッドに横になった。

そっと布団をかけてやる。


「話しは明日だ。ゆっくり寝るといい」


そう告げて、ドアの方に振り返ると・・・


・・・・・「あ、あの・・・」

「なんだ」

・・・・・「お部屋、、、誰もいませんか? ベッドも・・・」

「そうだ、お前だけだ」

・・・・・「こ、こんなに大きいのに、ひ、1人だけ・・・」


この部屋には、セミダブルのベッドと、サイドテーブルしか置いてない。
ただの、客人用の部屋。


「どうした? 怖いのか?」


冗談交じりで、そう言葉にすると、
止まっていたはずの涙が、一瞬で溢れだす。

そして、小さく何度も頷いている。

こいつは一体、何にこんなにも怯えているのだろう。


「なら、お前が眠るまで俺がここに居てやる。それなら、いいか?」

・・・・・「は、はい・・・」


ベッドの端に腰を下ろすと、ぐるりと寝返りを打ち、
俺の身体に自分の身体を摺り寄せてくる。

暫くして、顔に貼りつく前髪を流してやると、
その美しい瞳はすでに閉じられていた。


小さな寝息を確認して、立ち上がろうとしたら・・・


「おい・・・」


その細い指が、俺のシャツをギュッと掴んでいた。






--- ユノ、、、どうだ? ---


扉が開き、ドンヘがベッドを覗き込む。


--- 可愛いな。ユノ、お前、襲うなよ?---

「バカ言うな。それよりドンヘ・・・」

--- ああ、分ってる。ちょっと調べてみるよ---



シャツを掴む指をそっと外し、布団をかけてやる。

その寝顔は、さっきの怯えた表情とは違い、
とても穏やかで、微笑んでいるようにも見えた。








3へつづく

読者の皆さま、おはようございます。

さぁ、ついに始まります。
今日から福岡2DYS!!

明日コンオーラスから1年経っていないんですけど、
でもなんだかとても長かったように感じます。
とにかく色んなことが楽しみすぎ♡

そんな私も、今日から2DAYS参戦します。
日頃、お話を〝書き溜める〟事をしない私なので、
参戦中、お休みさせていただこうかと思いましたが、
楽しみにしてくださっている読者さまも居てくださるので、
今日から3日間の午後からのお話は、過去作からお届けすることにします。

『映画みたいな恋をした。』を暫くお休みさせていただき、
懐かしい短編を手直ししてお届けしますので、よろしかったらお部屋を覗いてみてください。


それでは、福岡参戦される皆さま、楽しみましょう♪
お留守番の皆さまの分も、応援頑張ってきます♡



それでは、今日もいい日になりますように。
いつもご訪問ありがとうございます。




こころ。

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