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私の心の中のお話です。
ご了承ください。




〝もう少しだけ〟


その言葉通り、暫く僕を抱きしめていたヒョンは、
フーッと息を吐いたのを合図に、そっと僕の身体を解放した。

そして、僕と目を合わせて少し恥ずかしそうに笑って、、、


「ゴメン、、、」


照れ隠しなのか、僕の髪をクシャッと撫でた。


映画みたいな恋をした。1



「遅くまで悪かったな」

・・・・・「ううん」

「また連絡するよ」

・・・・・「うん、待ってる」

「じゃあ、、、おやすみ、チャンミン」

・・・・・「おやすみなさい、ヒョン」


途中まで送るという僕の申し出は、あっけなく却下され、
仕方なく玄関先でヒョンを見送った。


ヒョンの背中が見えなくなって、、
パタン、、、と扉の閉まる音が響く。

途端、膝の力がガクン、、、と抜けて、
僕はその場に座り込んだ。


・・・・・「はぁぁっ、びっくりした」


思わずそう口に出てしまった。


あれからもう1時間以上経っているというのに、
未だ、僕の心臓はドキドキが止まらない。

そっと、自分の胸に掌を当てる。


〝どれだけ可愛いんだよ〟


心臓が口から飛び出しそうだったけれど、
僕は、何事もなかったように普通にヒョンに接した。

けれど内心は、動揺を隠すのに必死だった。


・・・・・「ヒョン、、、」


どうしてあんなこと、、、

何かあったのかな?

本当は試験が思うように出来なかったとか、
もしかしたら、好きな人と上手くいってないとか、、、

ううん、きっと僕の考えすぎだよね。

ヒョンは元々スキンシップが激しい人だし、
試験も終わってホッとして、、、それだけだよね。

ヒョンにとって、僕を抱きしめるなんてことは、握手したり髪を撫でたり、、、
そんなことの延長にしか過ぎない。

だって僕は、ヒョンにとって弟のようなものだから。
それ以上でもなく、それ以下でもない。


・・・・・「はぁっ、寝よう、、、」


今日もいろいろあって疲れた。

座り込んだままの身体を起こし、立ち上がる。
ソファの前のテーブルに置いたままの飲みかけの缶ビールを手にしたその時、、、


・・・・・「あれ?」


静かな部屋に、微かに響く音。
耳を澄ましながら、音のする方に脚を向ける。

窓辺に立ち、ガラス戸を開けると、
その音の正体が分かった。


・・・・・「雨、、、」


あんなに月が綺麗だった夜の空は、
いつの間にか灰色の雲で覆われて、小さな雨粒が地面を濡らし始めている。


・・・・・「ヒョン、、、濡れちゃうな」


時計を見ると、ヒョンがこの部屋を出て10分が過ぎていた。
きっと、まだ駅には着いてない。

僕は、急いで窓ガラスを閉め、スマホをズボンの後ろポケットに突っ込む。

鍵を手に玄関で靴を履いて、
立て掛けてある傘を持って、慌てて部屋を出た。


表に出ると、ついさっき窓から覗いた時よりも、
雨粒が大きくなり、その数を増やしている。


・・・・・「よし」


この通りは街灯も少なくて、雨降りの夜はとても薄暗くて少し怖かったりする。
ヒョンの姿を見逃さないように、駅がある方向に向かって走った。


次第に、雨脚が強くなって、
傘を打つ雨音が大きくなってゆく。

数時間前、ヒョンが居た公園の隣りを通り過ぎて、
横断歩道を渡った時だった。


・・・・・「ヒョン?」


チカチカと不安定に点灯している街灯の下を通り過ぎる人の影。

離れた場所からでも、その人の髪がじっとりと濡れているのが分かった。



・・・・・「ヒョンっ!」


雨音にも負けないほどの大きな声で、
僕はヒョンを呼んだ。


自分が濡れることも忘れて、ヒョンに向かって走り寄る。
僕の声に気がついて、脚を止めてヒョンが振り向いた。


「チャンミン?」

・・・・・「ヒョンっ!」

「お前、どうしたんだ?」

・・・・・「だって、雨が、、、」

「雨って、、、お前も濡れてるじゃないか」


そう言われて初めて気がついた。
ヒョンを追いかけるのに必死で、手にしていた傘はほとんど役に立ってはいなかった。


・・・・・「あっ、、、」

「バカだな、ほら、貸して?」


ヒョンは僕が持っていた傘を手にして、
僕の頭の上に差しかけた。


「風邪引いたらどうする? 」

・・・・・「だってヒョンが、、、」

「ほら、俺は大丈夫だから、帰れ」


ここで僕は、もう1つの失敗に気がついた。


「帰ったら、温かいシャワー浴びて、すぐに寝るんだぞ」

・・・・・「あーっ、僕ってなんてドジなんだろう、、、」


傘が1本足りないじゃないか。


・・・・・「あ、そうだ、、、」


その時、僕の頭の中に、1つのアイデアが浮かんだんだ。


・・・・・「ヒョン、明日は?」

「ん?」

・・・・・「明日は、何か予定あるの?」

「ん、、、明日は夕方から映画館のバイトだけど、、、」

・・・・・「夕方から? それまでは時間空いてる?」

「ん、特に用事はないよ」

・・・・・「よし、なら行こう」


僕は差し出された傘を受取り、傘を持つ反対側の手で、ヒョンの腕を掴んだ。


「チャンミン?」

・・・・・「ヒョン、今日は泊って行ってよ」

「えっ?」

・・・・・「さ、風邪引いちゃう、早くっ」

「お、おい、、、」



ヒョンの返事なんて聞かない。

頬が緩む自分の顔をヒョンに見られないように隠しながら、
ヒョンの腕を掴んだまま、アパートに向かって速足で歩き出した。







26へつづく

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