※ 無断転載禁止 ! ※ 当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等の行為はご遠慮ください 私の心の中のお話です。
ご了承ください。
ガランとしたそのフロアに、凛とした姿で立つその人。
ゆっくりと脚を進め、僕と先輩の前で立ち止まる。
差し出された大きな手、、、
「初めまして、チョン・ユンホです」
あの、漆黒の瞳が、真っすぐに僕を見つめる。
・・・・・「は、初めまして、、、シム・チャンミンと申します」
戸惑いながらも、僕はその手に自分の手を重ねた。
「貴方が担当の?」
・・・・・「は、はい、、、僕はまだ、経験が浅くて、、、けれど、精一杯頑張ります」
「御社の社長さんから聞いてます。まだ経験は多くないけれど、とてもいいセンスを持ってると、、、」
・・・・・「い、いえ、、、」
「よろしくお願いします。早速なんですが、、、」
彼、、、チョン・ユンホさんは、僕のことを覚えてはいないのだろうか、、、
その後も、あの夜のことなど少しも感じせることなく、仕事の話を進める。
・・・・・「図面では、こちらを、、、」
「そうですね、、、そこはシムさんにお任せしようかな、、、」
広いフロアをぐるりと見渡しながら、
話を進めていたその時、、、
スマホの呼び出し音が耳に届く。
--- あ、、、チャンミン、ちょっと、、、---
・・・・・「あ、はい、、、大丈夫です」
先輩が、慌てて電話に応答しながら、
フロアを後にする。
その背中を見送って振り返ると、
チョンさんは、腕を組んで窓の向こうの空を仰いでいた。
そして、、、
「シム・チャンミンか、、、」
不意に背中を向けたまま、僕の名を呼ぶ。
そして、、、
「君はまだ、何処にも行けないまま?」
・・・・・「えっ?」
「臆病者だから、怖くて何処にも行けない、、、そう言ってたよね?」
〝臆病者なんです。だから、怖くて何処にも行けない〟 彼の言葉を理解するのに、そう時間は掛からなかった。
それは、あの夜に僕が彼に話したセリフ、、、
彼は、僕を、、、あの夜を覚えていた。
・・・・・「あ、あの、、、」
言葉が出てこない僕、、、
まさか、こんな再会をするなんて、、、
彼は振り返って、そんな僕を見て笑みを浮かべる。
「僕が連れ出してあげるよ、約束したからね」
--- すいません、、、---
彼の言葉と重なるようにして、
フロアに戻ってきた先輩の声が、静かなこの空間に響いた。
まるで、それまで止まっていた時間が、
再び動き出したように、ガラリとこの場の空気が変わる。
「お2人とも、お時間は? よかったら、下でお茶でもいかがですか?」
--- はい、ぜひ、、、---
ビルの下階にあるカフェで、3人でコーヒーを飲んだ。
--- LAですか? ---
「えぇ、、、あちらの弁護士資格も取っておきたくて、、、」
--- すごいなぁ、その若さで、、、---
「いえ、、、」
先輩は、歳の近い彼の経歴に興味があるのか、
始終質問を繰り返していた。
--- チョンさんほどのエリートだと、女性に不自由はないでしょう? ---
・・・・・「せ、先輩、、、」
先輩の失礼な質問にも、彼はイヤな顏もせずに微笑んで、、、
「いいんですよ、、、ご期待に添えなくて申し訳ないんですが、暫くは恋人もいません」
--- えっ? そうなんですか? もしかして、チョンさんの理想が高すぎるとか? ---
・・・・・「せ、先輩ってば、、、失礼ですって、、、」
コーヒーカップに手を伸ばして、コクリとひと口喉に通す。
カチャ、、、とソーサーに戻す音がすると同時に、
彼は、目の前に腰を下ろす僕と視線を重ねた。
「好きな人がいるんです。ずっと、長い間・・・・・」
彼のその言葉、、、
それは、再会を期待していた僕に対する警戒なのか、
それとも忠告なのか、、、
深い黒の瞳が、一瞬、ぐらりと揺れた気がした・・・・・
9へつづく
読者の皆さま、こんばんは。
とても冷えた寒い1日でした。
ひたすらコタツに入って1日を過ごしました(笑)
ヒーターの灯油があっという間になくなってしまう(;・∀・)
今週はまだ冷えるようですね。
暖かくなって欲しいけど、花粉を考えるとこのまま冬でもいい(笑)
明日は真ん中誕生日ですね。
ケーキ、、、
おっと、ダイエット中(笑)
それでは、本日はこのへんで。
おやすみなさい。
素敵な夢を♪
こころ。
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