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私の心の中のお話です。
ご了承ください。




淋しい熱帯魚。 the later story 1



--- ユンホさん、本来なら、こちらから伺わなければいけないのに---

「いえ、先生にお話が、、、それに、少しミレに会いたいと思って」

--- そうですか。ミレは今、お昼寝しているんですよ。その間、お茶でも如何ですか? ---



チャンミンには内緒で、俺は車を走らせ、
チャンミンの育った故郷でもある児童施設に向かった。

ここは、いつ訪れても、俺を温かく迎えてくれる。

小さな子供たちが笑顔で燥ぐ姿を見ていると、
幼いころのチャンミンの姿が、子供たちに交じって瞳に映る。


--- どうぞ、お座りになってください。---

「はい。失礼します。」


テーブルの上には、白い湯気が立つ、いい香りの紅茶が置かれる。

向かい合う施設長の表情もまた、いつも穏やかで曇りがない。


--- お父様は、お元気でいらっしゃいますか? 先日も、子供たちのためにと、たくさんの寄付を・・・---



そう、、、

驚いたことに、俺もチャンミンも知らぬ間に、
親父はこの施設にたびたび寄付をしていたようだ。

以前の親父からは、想像も出来なくて・・・
聞いた時は自分の耳を疑った。


「チャンミンが、父にとても良く尽くしてくれているからでしょう。
今ではすっかり、本当の息子よりもチャンミンが可愛いようです。」


そう言うと、先生はふふっと小さな笑みを浮かべて頷いた。


--- 幸せですね、チャンミンは・・・---

「・・・・・」

--- きっと、貴方に出会ったことが、あの子の人生にとって最大の幸せですね---

「それは、僕にとっても同じです。チャンミンとの出会いが、僕の人生を変えました。とても幸せです。」



もし、、、



〝あの・・・よかったら中で、雨が止むのを待ちませんか?〟



もし、あの時チャンミンと出会っていなければ・・・

家族と心を通じ合うこともなく、本当の愛を知ることもなく、
ただ、色のないモノクロの毎日を過ごしているだけだっただろう。


--- それで、お話というのは、、、ミレの?---

「はい。そうです。」

--- その様子だと、決心されたのですね。---

「はい。正直に言うと、とても悩みました。この先、きっといろんな困難があるかと・・・」

--- ・・・・・ ---

「けれど、私にはチャンミンがいます。それに、大切な家族も、、、一人じゃない。」

--- そうですね。チャンミンから聞いています。とても暖かくて心優しい方ばかりだと・・・ ---

「俺だけじゃなくて、家族みんなの愛で包んであげたいと思います。」



そう、チャンミンが、親父を、姉ちゃんを、シヨンを、
そして、俺を・・・

温かい心で、包んでくれたように・・・








--- ユンホさん、今日は遅くなりますか? ---

「どうだろう、、、出来るだけ早く戻るけど、どうした?」


今日は、クリスマスイヴ

昨夜から降り続いた雪は、街を白く染め、
あちこちに飾られているイルミネーションをより美しく引き立たせている。

道行く恋人たちは、腕を組み、手を繋ぎ、微笑みあいながら愛を囁いている。


--- 実は、お父様からお呼び出しが・・・---

「ああ、そうか、、、チャンミンにプレゼントでもあるんじゃないか?」

--- 明日の夜に、お屋敷で皆さんとお食事する予定なので、明日ではダメですか?ってお聞きしたんですが、
どうしても今日がいいとおっしゃるので・・・---


少し悲しそうに眉を寄せながら、俺のワイシャツの袖口をそっと掴む。
もじもじしながら身体を寄せるチャンミンが可愛くて、俺は、腕を伸ばしてチャンミンを胸に抱いた。


「ごめんな、チャンミン。親父は、お前が可愛くて仕方ないんだ。戻ったら2人でパーティーしよう。」

・・・・・「僕、お父様にお願いしてなるべく早くに戻ります。食事も今から準備するし、だから、、、だから、、、」

「ん?」


腕の中のチャンミンが、俺の背中に回した腕にぎゅっと力を込めた。


・・・・・「お願いです。どこにも行かないで・・・僕のところに帰ってきてください。」


困った奴・・・
今更、なにを不安がる?


「今日みたいな夜に、お前を置いてどこに行くんだ?」

・・・・・「でも、、、」

「チャンミン、顔見せて?」


ゆっくりと起き上がったその顔に、触れるだけのキス・・・


・・・・・「ユンホさん、、、」

「続きは夜な? 行ってくる。」


チャンミンから身体を離すと、ソファに掛けてある上着とカバンを手にして、玄関に向かった。

何も言わず、俺の後を着いてくるチャンミンを、靴を履いて振り返る。


・・・・・「行ってらっしゃい。」

「行ってきます。」


マンションの扉が、パタンと音を立てて閉じた。






「もしもし、姉ちゃん? 今から行くから、、、うん、、、悪いけど、、、」











--- 私にも、同じ年の娘がいます。この子も、私の娘だと思って大切にします。---


俺の隣に立つ姉ちゃんが、腕に抱いた小さな身体を愛おしそうに見つめながらそう告げた。


--- 沢山の愛に包まれて、元気に大きくなる姿が、見えるようです。---


先生は、瞳にうっすらと涙を浮かべてそう言った。


「先生、また、ご迷惑をおかけすることがあるかもしれませんが、、、どうかよろしくお願いします。」


深々と頭を下げた俺に・・・


--- ユンホさん、ここはチャンミンの故郷です。そして、、、、---


先生の瞳が、俺の隣に立つ姉ちゃんの腕の中の小さな体に向けられる。


--- この子の故郷でもあります。---

「はい・・・」

--- 貴方にも、そう思ってほしい。いつでも帰ってきてください。お待ちしています。---


俺に向けられたその笑顔が、心の隅にある小さな不安を消し去ってくれた。






その夜・・・



・・・・・「ユンホさん? 」


マンションの扉が開く。
チャンミンが俺の名を呼びながら暗い廊下を歩き、リビングを覗き込む。


灯りを落とした部屋。
大きなツリーが明るく輝き、その光景に驚くチャンミンの表情もはっきりと見て取れる。


「チャンミン、メリークリスマス」

・・・・・「ユンホさん」





「チャンミン、お前にプレゼントがあるんだ、、、」


お前は、喜んでくれるだろうか?
早く、お前の笑顔が見たい・・・・・










3へつづく

読者の皆さま、おはようございます。

このお話は、クリスマスの日に合わせて書いたので、
この時期の更新はちょっと早くてズレていますが、ご勘弁を(;・∀・)

明日の更新で〝淋しい熱帯魚。〟は、オールラストです。
最後まで、ぜひお付き合いくださいね。



それでは、今日も1日いい日になりますように♪
いつもご訪問ありがとうございます。




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