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私の心の中のお話です。
ご了承ください。




ひぐらしの鳴く、あの夏。2



僕達の日常は、変わりなく過ぎていく。

僕は、毎日工場で汗を流して小さな部品を作り続け、
ヒョンは、皆の期待に答えようと、必死で勉強している。


〝いつの日か、2人並んで歩いて生きていく〟


僕達2人の大きな夢。
いつか叶う日が来ることを夢見て、、、




・・・・・「ふぅ、、、」


1日の仕事を終え、アパートに戻る。

最近、アパートに戻ってまず最初にすることがある。

それは、、、





〝ほら、、、チャンミン、手、貸して?〟


僕が差し出した左手を取り、
薬指にゆっくりとはめられた指輪。

ヒョンの長くて綺麗な指にも、
同じ指輪が光ってた。





この指輪をヒョンに貰ってから、
仕事以外の時は、いつも指にはめている。

ヒョンには、どんな時も絶対に外すなって、そう言われたけど、
傷つくのが嫌で、仕事の時だけは外すことを許してもらった。


・・・・・「ヒョン、ただいま」


指輪をはめて、手を窓の向こうの夜の空にかざす。
僕はいつもヒョンに話しかけるように、指に光る指輪にそう呟く。

キラキラと輝くその指輪は、
まるでヒョンの美しい瞳を見ているようだから、、、



ふと、微かに聞こえる電話のコール音。


ヒョン?


僕の電話はヒョン専用だから、
コール音はヒョンからの電話だという事。

急いで上着の中に入れたままだった携帯電話を慌てて取り出し、
応答した。


・・・・・「もしもし? ヒョン?」

--- あ、あの、、、チャンミンさまでいらっしゃいますか? ---


えっ?


ヒョンだと思い込んでいた僕は、
ヒョンとは違うその声に、驚いて思わず電話を切ろうとしたけれど、
その声に何処か聞き覚えがあって、、、


・・・・・「はい、そうです。あの、、、」

--- わたくしです。ソンです。ユンホお坊ちゃまの、、、---

・・・・・「ソンさん?」


その声の主は、いつもヒョンの傍に居る、あのソンさんだった。


・・・・・「驚きました。ソンさん、、、どうして、、、」

--- チャンミンさん、今から少しお時間を頂けないでしょうか? ---


ヒョンの電話からソンさんの声が聞こえただけでも驚いたけど、、、

時計を確認すると、もう夜の10時になろうとしている。

こんな時間から、、、
もしかして、、、


・・・・・「ヒョンに何か?」

--- 実は、、、---





その1時間後、僕はソンさんが手配した車の助手席に乗っていた。

後部座席から、窓の向こう側の流れる景色を見つめている。

心臓がドキドキしてる。
静まりかえった車内は、小さなエンジン音しか聞こえなかった。



--- チャンミンさま、ご足労をお掛けしてしまって、、、---


到着したのは、高級マンションの地下駐車場。
そこで車を降りると、ソンさんが僕を待っていた。


・・・・・「いえ、、、大丈夫です。それよりヒョンは、、、」

--- はい、こちらです ---


駐車場からマンションに脚を踏み入れる。
エレベーターに乗ると、早いスピードで最上階に上昇していく。




--- こちらです、、、どうぞ、、、---


立派な玄関ドアが目の前で開かれる。

ここがヒョンの家?

2人で寄り添いながら過ごしたあの施設の小さな部屋の
何十倍もの広さ。

キョロキョロと落ち着かない僕。
ソンさんは、そんな僕を促すように前を歩くと、一番奥の扉の前で脚を止めた。


--- お坊ちゃま、ソンでごさいます。チャンミンさまをお連れしました ---

「ん、、、通して、、、」


耳を澄まさないと聞こえない小さな小さな声。

ソンさんは、その声を聞き取り、
扉のノブに触れた。


--- チャンミンさま、どうぞ、、、---

・・・・・「はい」


ふかふかの絨毯。
一面ガラス張りの窓の向こう側には、
ほんの少し前、アパートで仰いだ夜の空が、怖いくらいに近くに見える。

広い部屋の真ん中に、大きなベッドが1つ。


・・・・・「ヒョン? 僕だよ。大丈夫?」





〝お坊ちゃまが体調を崩されまして、、、チャンミンさまにお会いしたいと、、、〟



ソンさんからの電話で聞いたのはそれだけ。
風邪でも引いたのだろうか、、、


--- お坊ちゃま、何かお飲み物でも、、、---

「いや、ソンはもう帰れ」

--- ですが、、、---

「何か用があれば連絡する」

--- 分かりました。では、、、ソンは失礼いたします---



そう言いながらも、ソンさんは心配そうに遠目にヒョンを見つめていて、、、


・・・・・「ソンさん、、、僕が見ていますので御心配は、、、」


思わずそう言うと、ソンさんは少しホッとしたように微笑んで、


--- チャンミンさま、よろしくお願いいたします ---


僕に向かって、深々と頭を下げて扉を閉めた。


薄暗い寝室。
ペッドの端に、布団を被って横になっているヒョンに近付く。


・・・・・「ヒョン、、、熱がある? だいじょ、、、、あっ、、、」


ベッドの傍に近づいた僕の腕を、
布団の中から伸びてきたヒョンの手が強く掴む。

そして、そのまま強く引かれ、引き摺られた。



気がつくと、僕はベッドの上で、、、


・・・・・「ヒョン、、、」


そして、見上げた先には、、、


「チャンミン、会いたかった」


ヒョンが僕を見降ろしている。


・・・・・「体調崩したって、、、大丈夫?」

「ちょっと風邪引いただけ。もう大丈夫」

・・・・・「でも、ソンさんが、、、」

「お前に会いたかったから、仮病使った」

・・・・・「ヒョン、、、」



ヒョンの大きな掌が、僕の頬に触れる。


「会いたかったんだよ、会いたくて会いたくて、息が止まるかと思った」


切なげにそう言うと、ヒョンの唇が落ちてくる。
僕は、目を閉じ重なるその時を待つ。


すぐに感じたヒョンの唇の感触。
やわらかくて、少し冷たかった・・・・・








48へつづく

読者の皆さま、こんにちは。

一昨日、昨日と『ひぐらしの鳴く、あの夏。』をお休みさせていただきました。
もし、楽しみにして下さっている方がいらっしゃったら、ごめんなさい。

そして、昨夜完結しました『微熱。~永遠に冷めない熱病~』 に沢山コメント頂き、ありがとうございます。
何度目かの再読の読者さまからも、初めて読まれた読者さまからも、
沢山感想いただけてとても嬉しかったです。
大切に読ませていただきます(*^^*)


それでは、午後も素敵なひと時を♪
いつもご訪問ありがとうございます。




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