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私の心の中のお話です。
ご了承ください。



シムさん、ハンコお願いします1





探偵さんは、僕からなるべく距離を置くように、ソファの端に腰を下ろした。


〝話しましょう〟


そう言った僕も、何から話せばいいか戸惑ってしまう。
探偵さんも、俯いたままじっと黙ってる。


暫くの沈黙・・・

聞こえるのは、時折窓の外を通る車のエンジン音だけ・・・

その沈黙を破るように、口を開いたのは、、、


「すいません、、、」


探偵さんだった。


「分かってます。ご迷惑だってこと、、、」

・・・・・「えっ? 」


迷惑?


「けど、その、、、気になって、、、


ゆっくりと、言葉を選びながら話す探偵さんの横顔。
やっぱりとても綺麗で、伏せ気味の瞼に視線を奪われる。


・・・・・「前、お話した時もそう言ってましたね、気になるって・・・」

「はい・・・」

・・・・・「あの、ストーカーの男のことが気になってたって、、、そうじゃないんですか?」

「あの、そうじゃなくて、、、心配で、、、シムさん、とても危なっかしいので、、、」

・・・・・「えっ、、、僕が?」


探偵さんは、俯いていた顔を上げて、遠慮がちに僕に視線を合わせた。


「いつも、無防備で、、、あんなことがあったのに、不用心で・・・」

・・・・・「不用、、、心?」

「満員電車に乗ったりするし、、、」

・・・・・「ぼ、僕だって、電車くらい乗ります」


つい、大きめの声で反論してしまう。
けど、探偵さんは冷静で・・・


「ダメです。貴方は、乗っちゃいけません。」


そんな風に、訳の分らないことを真剣な顔で言う。
けど、その時確信したんだ。

やっぱり、、、
あの時、助けてくれたのは、、、


「大丈夫です。もう、大丈夫、、、」


探偵さんだったんだ。


「それに、財布を落としてしまったり、、、」


えっ?


「あと、家の鍵をさしたまま、出掛けてしまったり、、、」


ええっ???


「コンビニで買い物した後に本を立ち読みなんてするから、買ったものを置き忘れたりするし・・・」


な、なんで???
どうして??????

何時だったか、街を歩いていて声を掛けられた。


--- 落としましたよ---


あの時は、確か、、、どこかの制服を着たOLさんだった。
そして、ある時は、出先から戻って郵便物を取ろうとしてポストを開けると、


・・・・・「あれ? 」


マンションの鍵が、ポストの中の隅っこにそっと置かれてあった。
コンビニで、買った物を置き忘れたのはつい最近だ。


--- お客さん、お忘れですよ ---


店長さんが、息を切らして僕の後を追ってきてくれた。


「だから、心配で、、、」

・・・・・「探偵さん、、、」


恥かしさと同時に、思い当たることが沢山、頭の中を過っていった。
この人が、いつも見ててくれたの?


「けど、、、」


そう切り出した探偵さんは、ふっと瞳を伏せた。


「分かってます。僕のしていることは、あいつと変わりない」

・・・・・「あいつ?」

「貴方を付け狙ってたストーカーです。」

・・・・・「・・・・・」

「気持ち悪いですよね、本当に、、、ごめんなさい。」

・・・・・「そんな、、、」

「もう、今日限りにします。だから、僕のことは忘れて下さい。」

・・・・・「探偵さん、、、僕、、、」

「もう、貴方の周りをうろついたりしません。約束します。だから・・・」

・・・・・「・・・・・」

「だから、、、お願いですから、用心してください。気を付けて、、、ください。」


探偵さんは、そう言葉を置くと、また押し黙ってしまった。
とても、悲しそうな横顔・・・

さっき見た探偵さんの大きな背中は、丸くなってなんだかとても小さく見えた。


・・・・・「あの、、、探偵さ、、、」


何を言おうとしたのか、自分でもわからない。
けど、何かを伝えなきゃいけない気がして・・・

言葉を発したけれど、それは、探偵さんに遮られてしまった。


「もし、ご迷惑じゃなかったら、食事していきませんか?」

・・・・・「・・・・・」

「だいぶ、酔ってらしたので二日酔いに効くスープを作りました。」


そう言いながら、探偵さんはもう一度僕と視線を合わせる。

優しい微笑みをうかべて、、、
けれど、僕を見つめるその瞳は、なんだかとても寂しそうだった。






「じゃあ、僕はここで・・・」


食事の後、探偵さんは僕をマンションまで送り届けてくれた。
2人でタクシーを降り、探偵さんが僕の荷物を手渡してくれる。


・・・・・「ありがとうございます。あの、、、」

「はい、、、」

・・・・・「良かったら、お茶でも飲んでいきませんか?」

「まだ、お酒が残っているはずです。ゆっくり休んでください。」

・・・・・「でも、、、」

「ありがとうございます。お気持ちだけ頂きます。」


そう言って、探偵さんは、僕に小さく頭を下げた。
そして、タクシーが去って行った方向へ歩き出す。


・・・・・「あ、あの、、、」


まさか、ここから歩いて?
振り向いた探偵さんは、僕の気持ちを察したのか・・・


「職業柄、歩くのは慣れてます。それに、、、」

・・・・・「・・・・・」

「今、少し歩きたい気分なんです。じゃあ、、、」


このまま、別れちゃいけない。
そう、心が警告するのに、、、

僕は、それ以上、何も言えなかった。
見えなくなるまでずっと、探偵さんの背中を見つめ続けていた。


けど、彼が振り向くことは1度もなかった・・・・・








14へつづく

読者の皆さま、おはようございます。
昨夜遅く帰宅しました。
福井でお会いできた読者さま、ありがとうございました。

今日は録画してある行列見よう(笑)フフ



それでは、今日も1日いい日になりますように。
いつもご訪問ありがとうございます。






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