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私の心の中のお話です。
ご了承ください。



ひぐらしの鳴く、あの夏。2





病院でソンさんと会ってから1か月が過ぎた。

僕はまだ、ソンさんにも、そしてヒョンにも、
返事を出来ないでいた。


ソンさんは、思っていたよりも入院が長引き、
ヒョンには新しいお世話係さんが出来たようだけど、
どうもその人が気に入らないらしいヒョンは、、、


「マンションには入れてない。入っていいのは、ソンとチャンミンだけ」


毎夜のように、電話でそう話す。


・・・・・「ヒョン、ソンさんが元気になるまで少し我慢しなきゃ、、、」

「ソンはもう、戻ってこないよ」

・・・・・「ヒョン、、、」

「俺はまた独りだ」



〝坊ちゃまを託せるのは、貴方しかいないのです〟


ソンさんのあの言葉が、脳裏を掠める。
ヒョンを助けたい。

でも、僕に何が出来るだろうか、、、


・・・・・「ヒョン、、、」

「ん?」

・・・・・「僕に、、、」

「・・・・・」

・・・・・「僕に出来る事なんて、、、あるのかな?」

「チャンミン?」

・・・・・「考えたんだ。僕に何が出来るかって、、、。ヒョンの為に何が出来るのかって、、、」

「・・・・・」

・・・・・「でも、大学も出ていない学歴のない僕には、何も、、、」

「そんなことないっ!!」


電話の向こうから聞えた、一際大きな声。
驚いて、身体がビクッと震えた。


「そんなことない。言っただろ? お前が優秀なのは俺が一番知ってる」

・・・・・「ヒョン、、、」

「それに、何処の誰よりもお前が優れていることがある」

・・・・・「優れて、、、る?」

「俺を知ってる」

・・・・・「えっ?」

「チャンミンは、何処の誰よりも俺を知ってる。それが一番大切な事」


僕が一番ヒョンを知ってる。

勿論だよ、、、
僕はずっと、ヒョンだけを見て生きてきた。

ヒョンの背中を追いかけてきた。
誰よりもヒョンの事を知ってるのは僕だ。


「そうだろ? チャンミン、、、」

・・・・・「でも、、、」

「もちろん、仕事も大事。それは分かってる。けど、今の俺にはそれよりも、、、」

・・・・・「・・・・・」

「俺を理解してくれる人が欲しい。俺を心から受け入れてくれる人、、、」

・・・・・「・・・・・」

「嬉しい時は一緒に喜んでくれて、悲しい時は一緒に泣いてくれる、そんな人、、、」

・・・・・「・・・・・」

「チャンミンしかいないよ、、、俺には、、、」



〝チャンミンしかいない〟


消え入るような声で、力なくそう言うヒョン、、、
本当に僕でいいんだろうか、、、


・・・・・「ヒョン、、、」

「・・・・・」

・・・・・「社長に話してみるよ。どうなるのかは分からないけれど、、、」

「チャンミン、、、ホントに?」

・・・・・「僕に何かできるなら、、、」

「・・・・・」



こんな僕でも、ヒョンの役に立てるのなら、、、


・・・・・「ヒョンの力になりたいんだ」






それから2か月後、、、



「よく似合ってる」

・・・・・「でも、なんだか変な気分だよ」



ヒョンが準備してくれたスーツに袖を通す。


「今日からよろしくな、チャンミン、、、」

・・・・・「こちらこそ、、、」


差し出されたヒョンの手を取り、強く握りあう。




社長は、僕の話を快く受け入れてくれた。


〝我が息子が出世するんだ。こんな喜ばしい事はない〟


そう言いながら、その瞳には涙が滲んでいた。
施設育ちの僕を受け入れてくれ、本当の息子のように可愛がってくれた。



〝いつでも帰ってこい。上手いおかず作って待ってるからな〟



僕の大切な家族、、、
これからもずっと、ここは僕の故郷だ。






「さぁ、行こうか、、、」

・・・・・「はい、、、」




僕の新しい人生が始まる・・・







ひぐらしの鳴く、あの夏。 新章へつづく

読者の皆さま、こんにちは。

この記事が更新される頃、私は学校の体育館です(笑)
昨夜の友人からのLINEで、今日が娘の入試の説明会だった事を思い出しました(笑)

よかった、友よ、サンキュ(笑)



そして、お話ですが、
「ひぐらしの鳴く、あの夏。」 ここからお話の流れが変わりそうなので、
一旦ここで止めさせていただこうかと思います。

このお話、ちょっと長くなりそうなので(;・∀・)
続きは、おやすみ明けからということで、ご了承ください。

よろしくお願いいたします。




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ひぐらしの鳴く、あの夏。2




〝お前に傍に居てほしい。それだけで俺は頑張れる〟


僕に縋るように、そう言ったヒョンの顏が忘れられない。
ヒョンが僕を必要としてくれている。

それが、とても嬉しかった。


けれど、冷静になって考える。

僕に何が出来る?

学歴もない、知識もない、何もない、、、
そんな僕が、ヒョンの役に立てるわけがない。


・・・・・「やっぱり僕には無理だよ、ヒョン、、、」


ポツリと夜の空に向かってそう呟く。

その時、、、まるで僕の言葉をどこかで聞いていたかのように、
ヒョンからのコール音が耳に届いた。


・・・・・「もしもし? ヒョン?」

「チャンミン? 」


ヒョンの声が少し震えていた。


・・・・・「ヒョン、、、何かあったの?」

「チャンミン、ソンが、、、」

・・・・・「ソンさん? ソンさんがどうしたの?」

「今日の夕方、、、」


顔を見なくても分かる。
電話の向こうのヒョンは、とても動揺していた。


「ソンが、倒れて、、、」

・・・・・「えっ?」


聞けば、何処かが悪いというわけじゃなく、
ただ単に、疲労がたまっていたとのこと。


・・・・・「そう、、、良かったね。何か大きな病気とかじゃなくて、、、」

「うん、、、けど、、、」

・・・・・「・・・・・」

「ソンが、、、」



〝お坊ちゃま、ソンはそろそろ御暇したいと考えております〟


ソンさんは、ヒョンが養子に入った時から、
ずっとヒョンの傍に居てくれたと聞いてる。

どんな時も、いつもヒョンの味方で、
孤独だったヒョンの、たった1人の理解者だったとそう言ってた。


・・・・・「ヒョン、、、」

「分かってるんだ。ソンももういい歳だし、それに、俺が忙しくなるほど、ソンに負担になっている事」

・・・・・「・・・・・」

「でも、、、ソンがいないと俺、、、」


ソンさんの笑顔を思い出す。
いつも、ヒョンの傍で優しい眼差しをヒョンに向けていた。

それはまるで、大切な我が子を見守る父親のように、、、
だからヒョンも、ソンさんを信頼して心を許していたのかもしれない。


・・・・・「ヒョン、心配ないよ、きっと何とかなるから、、、」


そんな曖昧な言葉しか言えない自分が情けなかったけれど、
僕に話したことで、ヒョンは少し落ち着きを取り戻したようで、、、


「ゴメンな、チャンミン、、、疲れてるのに、、、」

・・・・・「ううん、僕なら大丈夫だよ」


少しヒョンの仕事が落ち着いたら会う約束をして、
その日は電話を切った。




そして、その3日後、、、



--- チャンミンさまですか? ソンでございます ---


ソンさんからの電話。


・・・・・「ソンさん、、、ヒョンから聞きました、お身体の調子は、、、」

--- チャンミンさまにまでご心配をおかけしてしまって、、、---

・・・・・「いえ、、、ヒョンがとてもソンさんのことを心配してて、それで、、、」

--- チャンミンさま、、、少しわたくしにお時間を頂けないでしょうか? ---





翌日、、、


--- 本当に申し訳ありません、ご足労お掛けしてしまって、、、---



ソウル市内の大きな病院の特別室。
その部屋の大きなベッドの上で、半身を起こしたソンさんが、僕に深く頭を下げた。


・・・・・「いえ、、、あ、、、これ、、、」


手にしていたのは、街の花屋で買って来た小さな花束。
この部屋に飾られている豪華な花たちに、なんだか見劣りして、
少し、ソンさんに手渡すのをためらったけれど、


--- これはこれは、、、これは私の好きなお花でございます。ありがとうございます。チャンミンさま、、、---


両手で丁寧に受け取ってくれたソンさんは、
スーッと香りを楽しむと、僕を見てニコッと微笑んでくれた。


--- 思い出します。チャンミンさまに初めてお会いした時、なんて聡明な方なんだと、、、---

・・・・・「・・・・・」

--- あのときはまだ、学生でいらっしゃいましたが、あの時と少しも変わられていない ---

・・・・・「い、いえ、、、僕は、、、」

--- チャンミンさま、どうかお願いです。お坊ちゃまを、、、---

・・・・・「・・・・・」

--- わたくしの代わりに、お坊ちゃまを支えてはいただけないでしょうか? ---


ベッド脇の椅子に座った僕の手を取り、ギュッと握る。
細く痩せたその手に、こんなに力があるものなんだろうか、、、


・・・・・「ソンさん、、、僕は、、、」

--- 坊ちゃまを託せるのは、貴方しかいないのです、どうか、、、---

・・・・・「・・・・・」

--- どうかこの年寄りの願いを、聞き入れてください、、、---



ヒョン、、、

僕に何が、、、

何が出来るというの?








54へつづく

読者の皆さま、こんにちは。

新潟も無事に終わり、チャンミンも新潟の美味しい物沢山堪能したようですね。
次は名古屋!

参戦される皆さん、楽しみですね♪
私は次の参戦まで暫くあるので、楽しみにのんびり待ちたいと思います(*^^*)



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ひぐらしの鳴く、あの夏。2





・・・・・「どういう事? ヒョン」


その夜、先輩の誘いを断り、
急いでアパートに戻った僕は、事情を聴くためにヒョンに電話をした。

けど、電話が繋がらない。


・・・・・「仕事、忙しいのかな?」


仕方なくコールを止め、
ヤキモキしながら、ヒョンからの電話を待った。


シャワーを浴びて、冷蔵庫の中の物で軽く食事を済ませる。
キッチンで後片付けをしていると、静かな部屋に来客を知らせるチャイムが鳴った。

こんな時間に誰だろう。


濡れた手を拭いて、玄関に向かう。


・・・・・「はい、、、」


ドアのこちら側から声を掛ける。
すると、、、


「チャンミン? 俺だよ」

・・・・・「ヒョン?」


思ってもみなかったヒョンの声に、
慌ててドアを開けると、、、


「ケーキ買って来た」


そう言いながら、小さな白い箱を僕に差し出す。


・・・・・「どうしたの、ヒョン、、、」

「どうしたって、、、電話くれてただろ?」


ニコッと笑うと、僕の隣りをすり抜けて部屋の中に入ってゆく。
その背中を追いかけた。




・・・・・「コーヒーでいい?」

「ん、、、ミルクたっぷりで」


キッチンでコーヒーを入れ、
両手にマグカップを持ち、ヒョンの隣りに座る。


・・・・・「はい」

「サンキュ」


色違いのマグカップ。
1つをヒョンに手渡すと、ふーふーと息を吹きかけ、コクリと一口喉に通した。


「チャンミン、ケーキ食べよう」

・・・・・「ヒョン、、、その前に、、、」


それだけで、僕の言いたいことが理解できたようだ。
手にしていたマグカップを、テーブルの上に置くと、
隣りに座る僕に向き合うように身体の向きを変えた。

僕も、ヒョンと同じように向き合うと、、、



「取引先を紹介した」

・・・・・「・・・・・」

「以前、取引していたところより、しっかりした大手の会社だ」

・・・・・「・・・・・」

「それと、当面工場を動かせるだけの資金を援助した。それだけ」

・・・・・「それだけって、、、」



ヒョンは、笑みを浮かべると僕の髪に手を伸ばし、クシャリと撫でる。



「お前の力になりたかった。俺は、そのために仕事を頑張ってる」

・・・・・「ヒョン、、、」

「なんでもする。お前のためになるなら、、、」

・・・・・「社長が凄く喜んでた」

「ん、、、」

・・・・・「お前は、どんな友達持ってるんだって、、、みんな、、、先輩たちもすごく驚いてた」

「そっか、、、」

・・・・・「ありがとう、ヒョン」


ヒョンの優しさに、涙が溢れる。

そんな僕の目じりに指で触れ、
そっと涙を拭ってくれる。


「泣かなくていいって、、、」

・・・・・「嬉しくて、、、」

「お前が喜んでくれて、俺も嬉しいよ」



社長や先輩達の笑顔が浮かぶ。

ここで変わらず働けることに、
皆がどれだけ喜んだか、、、

ヒョンに感謝してもしきれない。



「チャンミン、、、お前に大切な話しがある」


少し声色を変えたヒョンの言葉に、
僕は流れる涙を手の甲で拭う。

そして、顏を上げてヒョンと向き合った。


・・・・・「うん、、、」

「お前に俺の仕事の手伝いをしてほしいんだ」

・・・・・「えっ? 手伝い?」

「うん。工場を辞めてうちの会社に来て貰いたい」


突然のヒョンの申し出に、言葉を失う。


・・・・・「よく、、、分からないよ、ヒョン」

「俺の傍で、俺のサポートをしてほしい」


ヒョンの傍で、、、

そんなこと、、、

僕は、大学にも行ってない。
施設を出て、あの小さな工場で毎日部品を作って生きてきた。


そんな僕が?
ヒョンの手伝い?


出来るはずない。
僕には、何も出来ない、、、


・・・・・「ヒョン、、、そんなこと出来ないよ、、、」

「どうして?」

・・・・・「僕は、ヒョンみたいに大学も出てないし、
施設を出てしてきたことと言えば、小さな工場で部品を作ることだけ」

「・・・・・」

・・・・・「そんな僕が、ヒョンの手伝いなんて、、、」

「そんなこと分かってる」

・・・・・「なら、どうして、、、」

「仕事は、俺の傍で勉強すればいい。お前が優秀だって俺が誰よりも知ってる」

・・・・・「でも、、、」

「それに、、、」

・・・・・「・・・・・」

「俺のことを誰よりも理解してくれるお前を、傍に置きたい」

・・・・・「ヒョン、、、」

「俺は、今、ギリギリのところで自分を保ってる。毎日が必死なんだ」

・・・・・「・・・・・」

「お前に傍に居てほしい。それだけで俺は頑張れる。どんな辛いことも耐えられる」



ヒョンの表情には、余裕がなかった。

滅多に弱音を吐くことのないヒョンが、
苦し気に僕に手を伸ばす。

どんな大きなものを背中に背負って、
毎日を過ごしているのだろう。

気が付いてあげられなかった自分が情けなかった。



・・・・・「ヒョン、、、ヒョンの気持ちは分かったよ。少し、、、」

「・・・・・」

・・・・・「少し、僕に時間をくれる?」


ヒョンは、僕の手をギュッと握りしめ、小さく頷いた・・・・・








53へつづく

読者の皆さま、こんにちは。

新潟最終日ですね。
今日も事故無く怪我無く楽しいライブになりますように♪
参戦される読者さま、楽しんできてくださいね。


それでは、午後も素敵なひと時を♪
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ひぐらしの鳴く、あの夏。2




温く湿った空気が、部屋に籠る。
窓の向こうからは、気の早いひぐらしの鳴く声が響く。


ベッドから起き上がり、汗ばむ身体を不快に思いながら、
大きな溜息をついた。




--- もう夏かぁ、、、---


仕事の休憩時間。

冷たいお茶を飲みながら、
僕の隣りで先輩がぽつりと呟いた。


--- なぁ、シム ---

・・・・・「はい」

--- お前さ、、、知ってるか? ---

・・・・・「えっ?」


手にしたカップをテーブルに置いた先輩は、
自分の座っている椅子を手にし、僕に近付けると、再び腰を落とす。


そして、辺りをくるりと見渡すと、小さな声で話を始めた。


--- ヤバイらしいぜ、会社 ---

・・・・・「ヤバイ、、、って?」

--- だから、、、ここだよ、倒産するかも?---


倒産?


・・・・・「えっ、、、どういうことですか?」


先輩の話では、この工場の一番の取引先だった大手の会社から、
急に取引を停止されたとかで、、、、


--- ほら、最近残業も減ったしさ、給料だって、遅れる事が何度かあっただろ? ---


そう言われて、確かにそんなことが何度かあったと気がつく。
けれど、まさか会社が上手くいってないなんて、、、


--- お前、考えといたほうがいいよ ---

・・・・・「考える?」

--- 次の仕事先だよ。お前だって、突然無職になったら困るだろ? ---


ふと、事務所から出てきた社長の姿に視線が止まる。
険しい顔をして、急いで工場から出てゆく。

そう言えば、最近外出が多い。
奥さんも、事務所に顔を見せる事が減ってる。


気になりながらも、
休憩時間が終わる合図に促され、仕事場に戻った。







「倒産?」

・・・・・「うん、、、」


その夜、ヒョンからの電話で、僕は昼間先輩から聞いた話をヒョンに話した。


「でも、社長からは何も言われてないんだろ?」

・・・・・「うん。それはそうなんだけど、、、」

「お前が信頼している社長なんだから、突然従業員を放りだしたりすることはないだろうけど、、、」

・・・・・「先輩が、次に働くところを考えておけって、、、」

「そうか、、、心配だな」

・・・・・「小さな会社だからね。みんな家族みたいなんだ。だからとっても心配」

「うん、、、」



アパートの窓から見おろす工場の中には、
夜も遅いというのに、薄明かりが灯っている。

きっと、事務所に社長がいるんだろう。


「あんまり心配するな、チャンミン、、、」

・・・・・「うん。ありがとう、ヒョン」




けれど、それから数週間後、、、


ここ数日の青空が一転、
灰色の雲が空を覆い、しとしと雨が降る日のことだった。


社員全員が、集められる。

部品を作る機械の音は止まり、
静まりかえる工場、、、



「実は、、、」


社長は、僕達を前に俯いたままで、
今のこの会社の現状を話してくれた。


--- 出来るだけいい条件で、お前たちを雇ってくれるところを捜してる---

・・・・・「・・・・・」

--- 申し訳ない、、、---


そう言うと、社長は僕達に向かって深々と頭を下げた。



最近、忙しく出掛けていたのは、
僕達の就職先を探してた?

そんな、、、
そんな悲しいことって、、、



・・・・・「社長、、、」

--- 何か希望があれば、出来るだけのことはするつもりだ ---

・・・・・「ここは、、、ここはなくなってしまうんですか?」


社長は、力なく頷く。


ここは、僕の3つ目の故郷だ。
出来るなら、なくしたくない。


・・・・・「社長、もう少し頑張りましょう。きっとなんとか、、、」


そう言う僕に、社長は首を横に振る。


--- ありがとうな、チャンミン、、、---




また、僕の故郷がなくなってしまう。

社長と奥さんは、僕にとって、父と母のような人。

そんな大切な人が、目の前で悲しく項垂れる姿を見ても、
何も出来ない無力な自分が、とても情けなかった。






けれど、それから3日後、、、


再び、社長が僕達従業員を集めて、、、



--- この工場、続けられるようになった ---


静かな工場の中に、皆の歓声が響く。


--- ある企業が、大きな支援を申し出てくれた。チャンミン、、、 ---

・・・・・「はい、、、」

--- お前、どんな友達持ってるんだ、、、---

・・・・・「えっ?」


社長のシャツのポケットから、取り出された1枚の名刺。
差し出され、受け取る。


・・・・・「ヒョン?」


そこには、、、


〝専務取締役  チョン・ユンホ〟



ヒョンの名前が、書かれていた・・・・・









52へつづく

読者の皆さま、こんにちは。

こころ。地方、空気がとても冷えていますが、とてもいいお天気です。

一昨日、2人が新幹線で新潟入りしたとか?
随分昔、まだ人数が多い頃(笑)新幹線に乗ってどこか行く企画とかあったよね~懐かしい。

久し振りの新幹線に、ユノがとても楽しそうにしてる顔が浮かぶんですけど、
何なら2人で旅番組とかに出ればいいと思う。

地方の美味しい物とか、綺麗な景色とか、
絶対喜ぶよね。特にユノ(笑)ププ




それでは、午後も素敵な時間をお過ごしください♪
私はこれから娘たちとお出掛けてきます♪

いつもご訪問ありがとうございます。




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ひぐらしの鳴く、あの夏。2




「行こうか、、、」

・・・・・「うん、、、」


濃密な時間を過ごした僕達。

ベッドから出たのは、もう太陽が沈み、空が月を迎えた頃だった。
2人でシャワーを浴び、身なりを整える。

ソンさんを呼ばす、僕たちは2人だけでマンションを出た。


・・・・・「えっ? ヒョンが?」

「滅多に乗らないけど、一応免許は持ってる」


そう言いながら、マンションの地下駐車場にやってきた僕達。
黒色の大きなスポーツカーの助手席の扉が開く。


「どうぞ、チャンミン、、、」

・・・・・「う、うん、、、」


少し戸惑う僕を見て、


「心配しなくてもいいよ、運転くらい普通に出来るって、、、」

・・・・・「違うよ、そうじゃなくて、、、」


高級車の隣りに立つヒョンの姿、、、


ヒョンが、自分とは違う世界で生きているということは分かっていても、
なんの違和感もないその姿を目の当たりにして、僕の心はとても複雑に揺れ動いた。


「ほら、、、チャンミン、、、」

・・・・・「うん、、、」


促され、車の乗り込もうとしたその時だった。



--- オッパっ!! ---


地下駐車場に響いたその声。
動きを止め、視線を向ける。

ヒョンが振り返ると、、、



「ソヨン?」


ヒラヒラと、ソヨンがスカートを揺らしながら、
靴音を立て、こちらに向かって駆け寄ってくる。


ヒョンの目の前で脚を止めると、、、


--- ずいぶん元気になったのね? ---

「何の用だ、こんなところまで、、、」


冷たい声でヒョンがそう言うと、
ソヨンは手にしていた紙袋をヒョンに差し出す。


--- 具合が悪いってそう言うから、お見舞いに来てあげたのに ---

「誰も見舞えと頼んでなんてないだろ?」

--- そう言ういい方はないんじゃない? 婚約者に向かって、、、---



えっ?

今、、、なんて?



「その話は随分前に断ったはずだろ?」

--- あら? お父様と叔父様は、まだそのおつもりだと聞いたけど? ---

「とにかく、そんなつまらない話なら帰れ、俺は今、忙しい」


そう言うと、ヒョンはくるりと向き直り、


「ほら、乗って?」

・・・・・「でも、、、」

「いいから、、、」


ヒョンの声が尖っている。
僕は、何も言わず、ヒョンに従った。


ヒョンは、ソヨンに何か一言だけ言うと、
ぐるりと運転席に回り、車に乗り込む。


響くエンジン音、、、


ソヨンは、その場に立ったままじっと見つめている。


その視線の先、、、

ヒョンじゃなく、僕を、、、、、


駐車場を出て、大きな通りに入る。
赤信号で車が停止すると、ヒョンは大きなため息をついた。


「ごめんな、チャンミン、、、」

・・・・・「ううん、、、でも、、、いいの?」


ヒョンは、何も答えなかった。


「食事をして行こう、、、」


小さな声でそう言うと、静かに車が動き出した。




街のレストランに立ち寄り、食事をした。
ヒョンは、ついさっきの出来事がなかったかのように、
普通に僕に接している。

けれど、笑顔はお互いぎこちない。
ヒョンも僕も、箸を持つ手が動かなかった。





「着いたよ、チャンミン」

・・・・・「うん、、、」


静かな車内、、、
膝の上の僕の手に、ヒョンの手が重なる。

そして、、、



「俺、、、」

・・・・・「・・・・・」

「俺の心にはお前だけだよ。どんなことがあったとしても、俺の心はお前にしかやらない」

・・・・・「ヒョン、、、」

「俺を信じてほしい。頼むよ、、、」



僕には言えない、言いたくないいろいろな事情が、
ヒョンにはきっとある。

僕が想像もし得ないような、何か大きくて重いものを、
ヒョンは背負ってる。


大丈夫。
分かってるよ、ヒョン。

僕はどんなことがあったとしても、、、


・・・・・「ヒョンを信じてる」

「チャンミン、、、」

・・・・・「初めて会った時からずっと、、、もちろん、これからもずっと、、、」





その夜、、、

窓の向こうの夜空を、長い時間眺めていた。



〝婚約者、、、〟


ソヨンのあの言葉と、
別れ際の、僕を見つめる視線、、、



こんな偶然、、、

僕達は、同じ人を愛したのだろうか、、、



もしそうなら、僕はどうしたらいいのだろう、、、


いくら夜空に問いかけてみても、
答えは出るはずもなかった・・・・・







51へつづく

読者の皆さま、こんにちは。

ひぐらしも、もう50話になりました。
まだもう少し、いや、結構続きそうなこのお話(笑)
お付き合いいただけたら嬉しいです。

新潟のお天気はどうなんでしょう?
参戦される皆さま、楽しんでくださいね♪


それでは、午後も素敵な時間をお過ごしください♪
いつもご訪問ありがとうございます。




こころ。

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