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私の心の中のお話です。
ご了承ください。



・・・・・「おかえり、ヒョン」

「ただいま、チャンミン」


ヒョンと会うのは、ソジュンさんを送った時以来だ。

気がつけば、あんなに騒がしく鳴いていた蝉の声も消え、
木々の葉が、薄く黄色に色付き始めている。


「待ったか?」

・・・・・「ううん、さっき来たばっかりだよ」


少し髪が伸びたヒョンは、
眼を細めて僕を見つめ、涼し気に微笑んだ。



映画みたいな恋をした。8



「大学は? 順調か?」

・・・・・「うん。僕は順調だよ。ヒョンは?」

「あぁ、俺も、、、」


暫く会わない間に、ヒョンが纏う空気が、少し変わったように感じる。
髪が伸びただけ、、、じゃない。

以前とは違う雰囲気のヒョンを前に、
僕は少し緊張していた。


「チャンミン、俺さ、お前に謝らないと、、、」

・・・・・「謝る?」


ヒョンの話に心当たりがない。
僕が少し首をかしげると、、、


「今年の夏、一緒に海へ行こうって約束してただろ?」

・・・・・「海、、、」



〝夏の夕日が沈むのを、ヒョンと一緒に見たいよ〟



憶えていてくれたんだね、ヒョン。


・・・・・「仕方ないよ、ヒョンは仕事が大変な時だったし、、、」

「・・・・・」

・・・・・「それに、僕も、、、」


今年の夏は、その殆どの時間をソジュンさんの事務所で過ごした。
朝と共に本を手に取り、食事も忘れて、ソジュンさんの書いた小説を読みふけった。


「けど、あいつは、、、」

・・・・・「・・・・・」

「ソジュンは、お前との約束を守っただろ」

・・・・・「ヒョン、、、」



〝桜を一緒に、、、〟


その約束をソジュンさんは守ってくれた。
2人で見上げたあの美しい桜を、僕は一生忘れないだろう。


その話を、僕はヒョンだけに話したんだ。





〝お待たせしました〟


トレイの上には、シンプルなコーヒーカップが2つ。
1つずつゆっくりとテーブルに置かれる。



〝ごゆっくりどうぞ〟



ウエイトレスの背中を見送って、、、


・・・・・「ヒョン、、、砂糖、、、」

「いや、このままでいい」


あまりコーヒーが得意ではなかったヒョンが、
ブラックコーヒーに口を付けている。


「仕事でコーヒーばかり飲んでたら、可笑しなことに飲めるようになったんだ」

・・・・・「そう、、、」


胸がチクリと痛む。

離れている間に、ヒョンが少しずつ変わっていく。
僕の知らないヒョンが、チラチラと見え隠れする。

そのことがなんだかとても悲しかった。


カップに口を付け、温かいコーヒーをひと口飲んだ。


・・・・・「海はまたヒョンが戻ってきてから行けばいいよ」

「・・・・・」

・・・・・「これからは、そんな時間だって沢山、、、」


沢山あるでしょ?


そう言いかけた時だった。


「そのことで、チャンミンに話があるんだ」


ヒョンの表情が、やけに硬くて、、、


・・・・・「そのことって?」

「うん、、、」


その表情は、今から僕が聞く話が、僕たちにとって明るい話ではないことを物語っている。


「正式に採用が決まったよ」

・・・・・「えっ? ど、どういうこと?」

「今の事務所に正式に採用されることになったんだよ」


今の事務所はとても大きな事務所で、
もし正式採用されれば、未来への道が大きく開けるって、ヒョンがそう言っていたのを思い出した。

ただ、それだけに難関で、毎年正式採用されるのは、
多くても2人、、、採用者ゼロの時もあると、、、


・・・・・「凄い、、、すごいよ、ヒョンっ!」

「・・・・・」

・・・・・「よかったね、流石はヒョンだ」

「でも、、、」

・・・・・「・・・・・」


嬉しくて、燥ぐ僕。
けれど、ヒョンの表情は、何故かとても暗くて、、、


・・・・・「どうかしたの?」


僕から視線を外し、俯いていたヒョンが、
顔を上げ、僕と目を合わせる。

そして、、、


「釜山に残ることになった」

・・・・・「えっ?」

「最低でも3年、、、いや、正直何も分からない。この先、ずっとかも、、、」

・・・・・「・・・・・」



ヒョンと離れて、もうすぐ1年が経つ。

ヒョンと離れ、ソジュンさんを送った悲しく辛い1年だった。
やっと、、、やっとヒョンが戻ってくると、そう思っていたのに、、、


「ゴメン、、、」

・・・・・「・・・・・」

「ゴメン、チャンミン、、、」



〝ゴメン〟


その一言で、ヒョンの心は決まっているのだと悟る。


「チャンミン、俺と、、、」

・・・・・「・・・・・」

「俺と、別れて欲しい、、、」

・・・・・「ヒョ、、、ヒョン?」




ヒョン、、、

何を、、、何を言ってるの?










96へつづく

読者の皆さま、こんにちは。
突然のヒョンからの別れ話が飛び出たところで続くです。
しかも、明日は週末です。
明日、明後日は週末限定 「続 チーズバーガーとコーラとあなた。」を更新します。
よろしかったら、お部屋を覗きに来てくださいね。
お待ちしています。



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・・・・・「はぁぁぁっ、、、暑いな、、、」


寝室の窓を開けて、空気を入れ替える。

そこから見えるのは、綺麗に手入れされた広い庭。

その庭を飾る木や花が、
夏の太陽を浴びて気持ちよさそうにさわさわと揺れる。


〝庭の手入れは、僕の仕事なんです〟


担当さんは、少し寂しそうにそう言っていた。

ソジュンさんが愛したこの場所。
貴方が居なくなっても、貴方を愛した人が今でもこの場所を守っているよ。



ソジュンさんが旅立って、桜が散り、暑い夏がやってきた。

ここは、僕とソジュンさんの想いでの場所。
今でもソジュンさんの気配を感じる。

沢山の人たちに愛される作品が、いくつも生まれた尊い場所。



寝室を出て、ソジュンさんの部屋に向かう。

少し緊張しながら扉を開くと、
一瞬であの時の光景が思い出される。


・・・・・「ソジュンさん、ここで本にサインしてくれたこと、憶えてる?」



〝チャンミンは、僕の本、読んでくれたことある?〟



窓を開くと、遠くに海が見える。
微かに届く、潮の香と、波の音。


打ち寄せる白い波に、降り注ぐ夏の日が反射して、
ここから見ても、キラキラと光っているのが見えた。


デスクの椅子に腰を下ろして、ぎっしりと並んだ本に手をやる。

取り出したのは、あの時見た、映画の原作本。
ソウルのアパートには、ソジュンさんのサインが入ったこの本が、大切にしまってある。


・・・・・「ソジュンさん、ごめんね。僕、まだ読んでいないんだよ」


ソジュンさんは、きっと笑ってるね。


〝ちゃんと読んでよ、チャンミン〟



なんて言いながら、、、

ソジュンさん、貴方のこれまでの作品を僕はこの場所で読もうと思う。
ここにある貴方の作品を、この場所で、静かに、そして、貴方を感じながら、、、



・・・・・「その前に、、、」


手にした本を机の端に置いて、
鞄の中から1通の手紙を取り出した。



〝チャンミンさん、これ、、、〟



数週間前、担当さんに手渡されたそれ。




親愛なるシム・チャンミン様



それは、僕宛ての、ソジュンさんからの手紙だった。




映画みたいな恋をした。8




〝チャンミン、君がこの手紙を読む頃には、僕はもう君の傍にはいないんだね。

今は、それを想像しただけで悲しくて泣きたくなるけれど、
僕は、どうしても君にお願いがあって、この手紙を書くことに決めたよ。

チャンミン、、、

僕は、君との約束を守れそうにない。
一緒に桜を見たかったけれど、その願いは叶いそうもないよ。

だから君に託したい。

僕の人生最後の作品を、君に完成させてほしい。

こんなことを頼めるのはチャンミンしかいない。
そして、頼みたいと、、、託したいとそう思えるのも、君しかいないんだ。

どうか、、、
どうか、、、

僕の願いを叶えてほしい。



昨日、担当医に言われたんだ。


記憶をなくして生きるか、それとも記憶を、、、記憶を残したまま逝くか、、、


僕は迷わず答えたよ。


〝このまま逝きたい〟


後悔はしないよ。
だって、君を、、、チャンミンを愛したままの僕で、逝けるんだから、、、


チャンミン、、、

僕の決断を、許してほしい。
きっと君を泣かせることになるけれど、、、

それでも、僕は僕で、、、最後までパク・ソジュンでいられた。
だから僕は、幸せだったんだよ。


僕はいつも、チャンミンを見守っているよ。
どんなに遠く離れていても、心は傍に居る。

それを忘れないで。


チャンミン、、、


僕と出会ってくれてありがとう。
いつかまた、必ず会おう。

その時を楽しみに、、、



パク・ソジュン






この手紙を手にしてから、
一体何度、読み返しただろう。


決心がつかないまま、時間が過ぎ、迷ったまま、ここに来てしまった。



ソジュンさん、、、

僕に貴方の願いを叶える事なんてできるだろうか、、、

自信はないよ、けど、、、


〝チャンミンしかいない〟


僕しかいないんだよね?
僕しか、、、


なら、、、



その日から僕は、ソジュンさんの心を一番感じられるこの場所で、
ソジュンさんが残した作品を、読みふける日々を送った。


湿気を含んだ夏の空気
賑やかに鳴く蝉の声
微かに聞こえる波の音

そして、時折頭の中に聞こえる、ソジュンさんの声


そんなものに囲まれて、、、


夏は静かに、過ぎて行った・・・・・








95へつづく

読者の皆さま、こんにちは。

昨夜、FNSのエンディングが観れなかったことに落胆していた私ですが、
お友達がコピーして送ってくれることになって、
これで繰り返し何回も観れるので幸せ感じています。

録画できた部分だけ編集したら、4時間22分が6分になった(笑)
そして、早送りで観たけど、ジャニーズはもうお腹いっぱい(;・∀・)



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--- チャンミン、、、チャンミン、、起きて、、、---


身体を揺さぶられ、目を覚ますと、眩しい光が僕の瞳を刺激する。
何度か瞬きして、ようやく目が慣れて、、、


--- チャンミン、桜が見たい---


病院のベッドに寄りかかって眠ってしまった僕、、、
顔を上げると、ソジュンさんが窓の向こうを見つめている。


・・・・・「ソ、ソジュンさん?」


まるで、長い間眠っていたことなんてなかったかのように、
眩しい光を浴びて、天使のように微笑んでいた。



映画みたいな恋をした。8



・・・・・「ソジュンさん、、、」


その瞳を見るのは、一体どのくらいぶりだろう。
浮かぶ笑顔は、以前と何も変わらず穏やかで温かい。


・・・・・「ソ、ソジュンさん、、、だ、大丈夫ですか? 今、お医者様を、、、」


立ち上がろうとした僕の手を、伸びてきたソジュンさんの手が掴む。
そして、首を横に振った。


--- チャンミン、お願いがあるんだ、、、---









--- 綺麗だね---


ソジュンさんの乗った車いすを押して、
僕たちは中庭にやってきた。


・・・・・「寒くない?」

--- うん、大丈夫、、、---


2人して見上げるのは、満開に咲いた桜の木。
ハラハラと、桃色の花びらが舞い落ちる。


・・・・・「ソジュンさんがなかなか起きてくれないから、もう散り始めたんだよ」

--- ん、、、でも、こうやってチャンミンと一緒に見れたから、、、、---

・・・・・「うん、、、来年も再来年も一緒に見ようね」


僕のその言葉に、ソジュンさんはなにも言わない。



--- チャンミン、、、---

・・・・・「ん?」

--- もう、ユンホと喧嘩しちゃダメだよ ---


唐突にそんなことを言うソジュンさんが少し可笑しくて、


・・・・・「突然、どうしたの?」


クスッと笑いながらそう言うと、


--- 僕はもう、チャンミンを助けてあげられない---

・・・・・「えっ?」

--- 遠い所から、見守ることしか出来ない、、、---


ソジュンさんの言葉の意味が、何となく分かって、、、


・・・・・「何を言うの、ソジュンさん、、、大丈夫だよ、きっと治るから、、、」


桜の木を仰いでいたソジュンさんが、ゆっくりし視線を動かし、
ベンチに座る僕を見た。


膝の上で震える僕の手に、ソジュンさんの手が重なる。

温かくて、、、
その温もりに、涙が溢れた。


--- チャンミン、傍に居てくれてありがとう ---

・・・・・「止めてよ、ソジュンさん」

--- 短い時間だったけど、僕にとって君と一緒に居られた時間は大切な宝物だよ、チャンミン---

・・・・・「イヤ、、、嫌だよ、ソジュンさん。そんなこと言わないで」

--- ずっと、チャンミンとこうしていたいけど、僕はそろそろ行かなきゃならない---



本当は分かってた。
ソジュンさんがベッドで目を覚ました時から、心のどこかで感じていたこと。

もしかして、、、

もしかして今、僕の目の前にいるソジュンさんは、、、



--- 泣かないで、チャンミン、、、きっとまた、、、---

・・・・・「・・・・・」

--- きっとまたいつか、会えるから、、、---

・・・・・「どうしても? どうしても行かなきゃダメなの?」

--- ごめん、、、けど、約束するよ。僕はまた、チャンミンを見つける。会いに来るよ---

・・・・・「や、約束、、、約束だよ、ソジュンさん、、、」

--- さよなら、、、さよなら、チャンミン、、、---





とめどなく流れる涙、、、

ソジュンさんが、涙を拭うように、僕の頬に唇を寄せる。


僕は、目を閉じてその口づけを静かに受けた。

ソジュンさんの温もりを忘れないように、、、
心に刻みつけるように、、、


ソジュンさん、、、

ありがとう。




〝愛してるよ、チャンミン〟



僕も、、、愛してるよ、、、











耳に付く機械音。
その不快な音に、意識が引き戻されてゆく。



バサッ、、、と背後で音がして、その音で目が覚める。
顔を上げて振り向くと、、、


--- 先生、、、先生っ!! ---


担当さんが、病室の入り口で、手にしていた荷物を床に落とす。
そして、大きな声でソジュンさんを呼んだ。


--- 誰かっ! 誰かっ!! ---


廊下に飛び出した担当さんの大きな声が、
病院の静かな廊下に響き渡る。



ゆっくりと振り向くと、、、


・・・・・「ソジュンさん、、、」


僕の手を強く握りしめたまま、
ソジュンさんは、眠るように静かに逝ってしまった。


少し笑ったような表情をして、、、、



ソジュンさん、、、


やっぱり、夢だったんだね。
旅立つ前に、僕に会いに来てくれたんだね。


・・・・・「ソジュンさん」


繋がれた手と手。


まだ、温もりが残るその愛おしい手に、
僕はそっと口づけた。



さようなら、ソジュンさん、、、


さようなら、、、





ソジュンさんの髪に見つけた桜の花びらを、
そっと掌に乗せた。









94へつづく

読者の皆さま、こんにちは。

皆さんが、ソジュンさんの回復を願ってくださったんですけど、
ごめんなさい。

書きながら涙が、、、(涙)

いつも、架空人物にお熱を上げてしまう作者の私ですが、
このお話のソジュンさんは、本当に優しさの塊のような人でした。
大好きでした。

お話はもう暫く続きます。
考えていたよりも、かなり早く完結させます。

最後までおつきあいください。



※ 昨日頂いたコメントの御返事させていただいてます。



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私の心の中のお話です。
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--- 予断を許さない状況です ---


分厚いガラスの向こう側に、
沢山の機械に繋がれたソジュンさんが見える。

色のない顏
閉じたままの瞼

僕の声は、届かない、、、



映画みたいな恋をした。8




--- シムさん、お疲れでしょう。一度戻られてはいかがですか? ---


疲れた顔をした担当さんが、
無理に笑いながら、温かい缶コーヒーを僕に差し出す。


・・・・・「担当さんこそ、、、」


缶コーヒーのプルタブを開けて、コーヒーを飲むと、
何だか久し振りに息をしたみたいになって、大きく息を吐いた。


談話室に置かれた長椅子の隅。

2人ならんで、白み始めた空を眺める。
フロアの空気はとても冷たくて、ぴん、、、と硬く張りつめている。

静かすぎる空間で、担当さんが囁くように話し始めた。



--- 3日くらい前、僕が病室を尋ねたら、先生がベッドに半身を起こして、
何やら真剣な表情でペンを走らせてたんです ---

・・・・・「ソジュンさんが?」

--- ええ、、、どうやら、入院して間もない頃に、担当の看護師にノートとペンを頼んだらしくて、、、---

・・・・・「・・・・・」

---仕事の持ち込みを担当医に認めてもらえなかったというのは聞いていたので、
先生のPCは、病室には入れてなかったんです---

・・・・・「ソジュンさんは、何を書いていたんですか? まさか、小説を?」

--- 僕もまさかと思って、冗談めかして先生にこう言ったんです ---



〝先生、もしかして、新作ですか?〟



--- 病気が少しずつ進行し始めてから、正直先生は執筆どころじゃなかったですし、、、
僕の言葉の半分は冗談で、残りの半分は、そうだったらいいのに、、、という私の願望でした---


・・・・・「それで、ソジュンさんは?」

--- それが、、、---



〝きっとこの作品が、僕の生涯の代表作になると思う〟



--- そうおっしゃったんです---

・・・・・「代表作、、、」


少しだけ覗いたノートには、久しぶりに見た先生の文字が、ずらっと、、、


ソジュンさん、、、



〝もうあと少しだ。楽しみにしてて〟



--- 先生、とても楽しそうでした ---

・・・・・「・・・・・」

--- 小説が好きで、書くことがが好きで、ご自分の作品をとても愛しておられました。
僕は、もっともっと、先生の作品が読みたいんです、、、---


肩を震わせながら、俯いて唇を噛む担当さんは、
本当にソジュンさんと、そしてソジュンさんが生み出した沢山の作品を愛しているのだと思った。


・・・・・「担当さん、、、ソジュンさんの新作、楽しみに待ちましょう」


気の利いた言葉なんて、何も言えなかった。
ただ、今の僕にはソジュンさんを信じて待つことしか、、、それしか出来ることはなかった。




--- 少し落ち着いたようですので、シムさんは戻って少しお休みください ---



担当さんの言葉に甘えて、僕はアパートに戻った。

いつもなら、アパートを出て大学に向かう時間。


・・・・・「ただいま、、、」


誰もいない部屋で、ポツリとそう呟く。
そのままソファに身体をドカリと預けた。


昨日からコーヒーしか口にしていないのに、
可笑しなことに空腹は感じない。

けれど、ソファに身体を横たえた瞬間、
猛烈な睡魔が僕を襲った。



少し休もう、、、

少し休んで、次に目が覚めたらきっと、ソジュンさんも、、、



僕はそのまま、意識を手放した。












「で、ソジュンはどんな様子だ?」

・・・・・「うん、、、変わりはないよ、よく眠ってる」


あれから、何度陽が昇って、そして沈んでいっただろう。

季節が変わろうとしている。
ソジュンさんは、あの日からずっと、眠ったまま、、、


「大丈夫か? チャンミン」

・・・・・「大丈夫だよ。ヒョン、僕ね、ソジュンさんと約束したんだ」

「約束?」



〝春になって桜が咲いたら、チャンミンと一緒にお花見がしたいな〟



・・・・・「うん。春になって桜が咲いたら、お弁当を持って一緒にお花見しようって、、、」

「そうか、、、」

・・・・・「僕がお弁当を作るから、担当さんも一緒に、、、」



あの時、窓の向こうを見つめるソジュンさんの瞳が、
悲しげに揺れていた。

それを思い出して、息が詰まりそうになった。





ソジュンさん、もうすぐ春が来るよ。

約束、憶えているでしょ?


早く、、、
早く、目を覚まして、、、









93へつづく

読者の皆さま、こんにちは。

左肩をちょっと痛めました。
普通に動かせますけど、ちょっと何か荷物を持ったり、
手首を動かすとピリッと電気が走ります。
どうしてこうも、次から次へとあちこち痛むのだろう(;・∀・)

息子に更年期を馬鹿にされて、
〝命の母〟なんていらんっ!! って言ったけど、やっぱり買ってもらおうかな?(;・∀・)ヘヘ





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前回のお話はこちらから →  映画みたいな恋をした。90




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--- 今日は本当にありがとう ---


カフェを出ると、さっきまで止んでいたはずの雪が、
灰色の空からハラハラと舞い落ち始める。


・・・・・「僕もお会い出来てよかったです」


僕の言葉に、彼女はフワリと微笑む。
その微笑みは、広がる灰色の空とは正反対に、まるで春の陽射しのように柔らかく温かかった。


・・・・・「よかったらまた、、、」

--- ありがとう、でも、、、---

・・・・・「・・・・・」

--- 私、1週間後にLAに戻るの ---



映画みたいな恋をした。8



・・・・・「えっ?」


彼女の笑顔は、一点の曇りもなく晴れ渡った空のように明るかった。
何かをすべて吹っ切ったような、、、


--- 昔の職場に、復職出来ることになって、、、---

・・・・・「そうですか、、、」

--- チャンミンさんとは、いいお友達になれそうだったんですけど、、、---

・・・・・「・・・・・」

--- お元気で、、、---

・・・・・「ソユンさんも、、、」


差し出された白い手。
そっと握る。

彼女の手は、とても温かかった。


小さく頭を下げ、僕に背中を向けると、
真っすぐに前を見つめて歩いてゆく。


・・・・・「あの、、、あの、、、ソユンさんっ!」


呼び止めると、くるりと踵を返す。


・・・・・「ヒョンは、、、ユノヒョンは知ってるんですか?」


僕の問いに、ほんの一瞬目を伏せたソユンさん。
けど、すぐに視線を僕に戻すと、、、


--- チャンミンさん、最後に1つだけ、お願いを、、、---

・・・・・「・・・・・」

--- 彼に、、、ユノに伝えてくれない? ---





〝貴方に会えて、幸せだったと、、、〟




彼女の背中が小さくなってゆく。

その背中は、スッと真っすぐに背筋を伸ばした、とても美しい姿だった。







「そうか、、、」


その夜、、、
僕はヒョンに彼女に託された言葉を伝えた。


・・・・・「ヒョン、、、」

「ん?」

・・・・・「きっと、ソユンさんもヒョンのことを愛していたんだと思うよ」

「・・・・・」

・・・・・「ユジンさんの代わりとしてじゃなくて、ソユンさんとして、、、」



ヒョンは何も言わなかった。
けど、電話の向こうのヒョンの表情は、何となく想像出来て、、、


・・・・・「泣いてない?」

「泣いてないよ」

・・・・・「寂しいでしょ?」

「そうだな、、、ほんの少し、、、」


ヒョンもきっと、ソユンさんのことを愛していたんだね。
自分自身、それに気付いていなかっただけで、、、



「チャンミンに会いたいよ」

・・・・・「ヒョン、、、」

「お前を抱きたい」



僕もだよ、ヒョン、、、

ヒョンの温もりが恋しいよ、、、








・・・・・「ソジュンさん」 


その日、僕は大学の帰りに、いつものようにソジュンさんの病室を訪ねた。
扉を開くと、いつもベッドに横たわって静かに窓の向こうの景色を見つめているソジュンさんが居ない。


ベッドの上のシーツが乱れたままで、漂う空気がいつもと違う。
硬く冷たいその部屋の空気が、僕を一瞬で不安にさせた。


・・・・・「ソジュンさん、、、」


嫌な予感がした。


その時、、、


--- シムさん?---


振り向くと、真っ青な顔をした担当さんがいた。


・・・・・「どうしたんですか? ソジュンさんは、、、ソ、、、、」

--- 先生が、、、突然、酷い発作で、、、---


うそ、、、


・・・・・「ソジュンさん、、、」




数時間後、、、
窓の向こうは、すでに陽も落ち、夜の色が空に広がっている。

ソジュンさんが運ばれた処置室の前。
何も話さず、ただ、僕と担当さんはソジュンさんの無事を祈っていた。



ソジュンさん、、、

僕だよ、チャンミンだよ、、、


僕の声が聞こえる?

お願いだよ、声を聴かせて、、、


ソジュンさん、、、、、

ここで貴方が戻るのを待ってるから、、、








92へつづく

読者の皆さま、こんにちは。

昨日は、市内一斉清掃で朝早くから町内清掃に出てきました。
欠席してもしなくても特に罰はないのですが、
いつも欠席している人は同じ人達です。
出席は任意だからいいんだけど、私ならなんとなく気が咎めるけどなぁ。
そういうことを感じないんでしょうかね。

さて、また1週間が始まります。
今日は、息子に頼まれてトゥルースリーパープレミアムを買いに行ってきます(笑)トゥルースリーパーシッテル?
私には「命の母A」なのに、自分はトゥルースリーパープレミアム買うとか、、、
私、腰痛いんですけど(笑)フフフ


※ 昨日頂きましたコメントの御返事しています♪



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