※ 無断転載禁止 ! ※当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等の行為はご遠慮ください私の心の中のお話です。
ご了承ください。

・・・・・「ユノさん、どうしたの? 美味しくない?」
少し冷めてしまった俺の好物のオムレツ。
チャンミンが温め直してくれた。
「そんなことないよ、美味しいよ?」
・・・・・「でも、さっきから全然食べてないよ?」
そう言われて、我に返った。
「ゴ、ゴメン、、、ちょっと考え事してて・・・」
俺は、左手に持つフォークを、オムライスの隣りに添えられたプチトマトに突き刺した。
・・・・・「お仕事? なにか素敵な案が浮かんだの?」
「うん、、、どうかな? チャンミン、今日は家に居るだろ?」
・・・・・「うん、今日はここにいるよ」
「俺、ちょっと出かけるから」
・・・・・「お仕事?」
「ん、うん、打ち合わせ。すぐに戻るよ」
俺、上手く誤魔化せてるかな?
チャンミンは、柔らかい表情で俺をジッと見ていた。
・・・・・「上手くいくといいね」
チャンミンに仕事だと言った手前、それらしい荷物を手にしてアパートを出た。
地下鉄に乗り込み、2つ目の駅で降りる。
指定された場所は、下車した駅から数分の大きなビルのラウンジだった。
〝一階の奥に、ラウンジがあります。そこで話しましょう〟見上げると、どのくらいの高さだろうか?
とにかく、地上からは降り注ぐ太陽の光に邪魔されて、最上階は確認できなかった。
俺は、大きく深呼吸して、そのビルに足を踏み入れた。
約束した時間はとうに過ぎていた。
俺、もしかして揶揄われたのか?
あと5分、、、待っても来なかったら帰ろう。
きっとチャンミンが待ってる。
そう心に決めて、テーブルの上の冷めてしまった紅茶を口に運んだ時だった。
--- あの、チョン・ユンホさんですか? ---
慌ててカップを戻して、顔を上げると、
そこに立っていたのは・・・
「はい、そうです。 ユ・セヨンさん、、、ですか?」
--- 初めまして。遅れて申し訳ありません---
テーブルの向こうで、コーヒーを飲むその人は、
〝チャンミン? じゃ、、、ないな。お前は誰だ? 〟チャンミンの携帯電話から聞えてきた、あの声の持ち主。
自分勝手に想像していた人物と、まるで違っていて、
上質のスーツを着こなし、立ち振る舞いも上品で紳士的だ。
そして何よりも、若い・・・
俺とそんなに違わないんじゃないだろうか?
この人が、チャンミン、、、の?
コーヒーのカップを音も立てずにソーサーに戻すと、ユ・セヨンと名乗る人物は、
俺に視線をピタリと合わせた。
--- 本題に入りましょう。チャンミンと貴方、、、チョンさんはどういう関係ですか?---
そう言われて、言葉が見つからなかった。
俺たちは、どういう関係なんだろう。
友達でもなければ、恋人でもない。
ただ、一緒に住んでて、食事して、眠って・・・
言葉が出なくて、言い淀んでいたら、
ふっ、、、と鼻で笑うような音と共に、さっきとは違う、強い視線が俺に突き刺さった。
--- もしかして、あいつの客、、、ですか? ---
〝客〟
その言葉だけは、許せなかった。
「僕は貴方とは違う。僕は、チャンミンを愛してます」
俺のその言葉に、一瞬驚いたような顔をして、そして、、、
--- 愛、、、してる、、、ですか? はっ、あははははは、これは面白い---
「なにが、、、何がそんなに可笑しい?」
冷たく笑い続けるその男が、ピタリと笑いを止めて、
今度は口角を片方だけ吊り上げ、俺を見据えた。
--- 貴方は、あいつを知らない。あいつは誰とでも寝る淫女、ならぬ、、、淫男ですよ?---
「チャンミンは、そんな奴じゃありません」
--- ほら、やっぱり何も知らない---
「あいつが話したくないなら、俺はそれでも構わない。けど、なにか事情が・・・・」
--- あいつの・・・---
俺の言葉を最後まで聞かず、冷たい表情のその男が口にした言葉に、
俺は、自分の中に沸き起こる怒りの熱を抑えきれなかった。
--- あいつの綺麗な顔、、、大丈夫でしたか?---
「お、お前か・・・」
テーブルの上のティーカップが倒れて派手な音を立てる。
回りのテーブルの客たちが、俺たちの方に視線を向け、ざわつき始める。
気が付けば、俺は立ち上がり目の前の男の胸倉を掴んでいた。
すると、何処からか黒いスーツを身に纏った屈強そうな男が2人、駆け寄ってくる。
胸倉を俺に摑まれたまま、男は苦笑しながら、黒いスーツの男たちに向ってさっと手を挙げた。
それを合図のように、男たちの動きがピタリと止まる。
--- チョンさん、1つ助言しておきましょう。あいつはやめた方がいい---
「お前に関係ないだろ? あ?」
--- いえ、大いに関係あります。 私とチャンミンは・・・---
その時・・・・・
・・・・・「セヨンさん!!」
その声に驚いて振り返ると、ラウンジの入り口から走り寄る・・・
チャンミン?
どうして?
言葉が出なかった。
--- 私が呼び出したんですよ---
・・・・・「離して、、、手を離して、ユノさん!」
咄嗟に、両手を離す。
男の身体が、ソファに投げ出されたようにドサリと沈んだ。
・・・・・「セヨンさん、、、大丈夫ですか?」
膝をついて、男に手を差し出そうとするチャンミン。
その手を邪険そうに振り払う男。
「チャンミン、、、」
--- おい、チャンミン。お前、趣味が悪いな。こんな男、ただ寝るだけでも止めておいた方がいい---
「チャンミン、、、」
・・・・・「ユノさん、帰って・・・」
えっ?
・・・・・「帰ってください」
はぁ、、、、と、
男は、大きなため息とともに立ち上がってスーツの襟元を正す。
--- そうだ、すっかり忘れていました---
スーツの内ポケットからすっと取りだし、
差し出されたのは、1枚の名刺。
受取る気もしなくて・・・
「お前が何処の誰だろうと関係ない。そんなもの・・・」
そう、俺が言い放つと、男は、そっと名刺をテーブルに置いた。
--- では、失礼します。チャンミン、行くぞ---
「チャンミン、、、帰ろう。俺と一緒に帰ろう」
チャンミンは、俺の目をジッと見て震えていた。
そして、小さな声で・・・
・・・・・「ごめんね」
たったその一言だけを残して、チャンミンは男の後を追う。
「チャンミン!」
冷たい空気が、俺を包む。
俺の声は、チャンミンには届かない。
なぁチャンミン、戻ってくるだろ?
アパートで待ってるから・・・
ずっと、待ってるから・・・
37へつづく
読者の皆さま、おはようございます。
昨日から、ビギ先行が始まりましたね。
皆さんが、私のSPの当落を心配してくださったんですけど、
今回、私はエントリーしませんでした。
読者さまの中でお1人当選された方がいらっしゃいましたが、
やっぱりご用意できるお席も少ないですし、当選はなかなか難しいですね。
ビギ先行は11日までです。
思いのほか期間が短いので、忘れる事のないように早めにエントリーしましょうね♪
それでは、皆さま、今日は1日お天気が悪いようですが、
何かいい事ありますように♪
いつもご訪問ありがとうございます。
こころ。
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