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私の心の中のお話です。
ご了承ください。




スワロウテイル。1





~ c  side ~


小さな窓の外。
見下ろすと、どこまでも続く白い雲・・・


--- 御気分は如何ですか? ---


窓の外を眺める僕に、優しい笑みを浮かべたCAさんが声を掛けてくれる。


・・・・・「大丈夫です。ありがとうございます」


僕の胸は、ドクドクと高鳴りを増すばかり・・・

それは、少し痛みにも似ている。
けれど、僕は知っている。

この鼓動は、この雲の下にいる愛する人への想い。


ユンホさん・・・


突然訪ねたりしたら、きっと貴方は驚くね。
けれどどうしても、今年のイヴは貴方と一緒に過ごしたくて・・・


あの日・・・
叶えられなかった、貴方との聖なる夜。

随分と遅れてしまったけど、貴方は許してくれるよね?
貴方に会えなくなってから、この日を夢見て僕は頑張ってきたんだよ。


〝こんなお前を置いて行く俺を、許してくれるのか? 〟


思い出す・・・
貴方が僕にニューヨーク行きを告げた時の、あの貴方の苦悶の表情。


・・・・・「心配しないで。僕は大丈夫です」


僕を胸に抱きしめ、貴方は涙を流した。

貴方が僕に、羽根をくれたんだ。
なのに、貴方の羽根を、僕がもぎ取ることは出来ない。


今度会うときは、僕が貴方の元へ飛び立つとき・・・
僕は笑って、貴方を見送った。



掌を胸に当てる。
力強く打つ鼓動を、何度も何度も感じ取る。

貴方に会えたら、そっと手を取りこの鼓動を貴方にも感じてほしい。
そして、強く抱きしめてほしい。


膝の上に置いた、一冊の本。


『スワロウテイル。』


ようやく知ることが出来た、物語の結末。

この物語の主人公のように、僕は背中の羽根を広げて自由に空に飛び立つ。
そして、貴方の元に舞い下りる。


だから、、、

だからユンホさん。

その大きな胸で、僕を受け止めて・・・・・








~ y  side ~


いつもよりも随分と早く仕事を終える。

この時間、いつもなら広いフロアにはたくさんの社員がいるのに、
今日は信じられないくらいに静まり返っている。

聖なる夜・・・

きっと皆、愛する恋人や家族の元へ急ぐのだろう。


「ふーーーっ、、、」


デスクから立ち上がり、ガラス窓の向こうに視線を向けた。


「チャンミン」


その名を呼ぶと、ジワリと胸が熱くなる。
お前は、この聖なる夜を誰と過ごしているのだろう。

思わず時計を見て、時間を確認した。


「ソウルはもう朝か」


お前はきっと、暖かな布団に包まりながら小さな寝息を立てているはず。
どんな夢を見ているのだろう・・・

チャンミンの穏やかな寝顔を想像しただけで、笑みが漏れた。





ビルを出て、人の流れに沿うように歩き出す。
吐く息は白く、マフラーを巻いた首元をすくめながらアパートに向かう。

ふと、煌びやかなイルミネーションに導かれるように、
ウインドウを覗く。

そこには、蝶の羽根を象った美しいネックレスが、飾られていた。


「スワロウテイル、、、か」


気が付けば、店に足を踏み入れていた。


--- 恋人へのプレゼントですか? ---


そう声を掛けられ、俺は思わず頷いた。



金色に光るリボン。
小さな箱を手に、店を出る。

これをお前に手渡せるのは、いつになるだろう。
それでも、俺の心は温かい。

1人きりのクリスマス・イヴ。
不思議と寂しくはない。


ふわりと頬に感じる冷たさ・・・

見上げると、まるで道行く恋人たちへの贈り物のように、
真っ白な雪が、ふわりと舞い落ちてきた。





古いエレベーターに乗り込み、目的の階を目指す。
冷えた身体が、ブルリと震える。

どうしてだか、いつもよりも長く感じる時間。
ようやく辿り着くと、少し大きな音を立てて扉が開いた。

早く身体を温めたくて、急ぎ足で一番奥の扉を目指す。





ふっと、視界に入る人影。
思わず足を止める。


「・・・・・」


真っ白いマフラーに顏半分を埋めるように俯き、
コートのポケットに両手を入れたまま、俺の部屋の扉にもたれ掛っている。


その、すらりとした立ち姿・・・

自分の目を疑う。


まさか?


いや、そんなはずは、、、




・・・・・「ユンホさん?」


俺の名を呼ぶその声・・・


俺に気が付いたその人は、背中を起こし、俺をじっと見つめる。
遠目に見ても、その美しい瞳は見間違うはずもなかった。




「チャン、、、ミナ? お、お前、、、どうして、、、」


・・・・・「ユンホさん!」





冷たく凍えるニューヨークの聖なる夜



俺の胸に、美しい揚羽蝶がその羽根を大きく広げ、きらきらと輝きながら舞い下りた・・・・・








スワロウテイル。   fin

読者の皆さま、こんにちは。
スワロウテイル。序章を含め、全45話で完結です。

このお話の2人は、確かチュッとしただけで、プラトニックなまま終わりましたね(;・∀・)
私のお話は、どちらかというと心の繋がりを重視しているお話が多いので、
物足りない読者さまも多いと思います。
けど、このお話の2人にはそれがいいですよね。

2人で過ごすクリスマスの夜が、
愛に溢れた夜になりますように♥(←季節外れ 笑)



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スワロウテイル。1





「チャンミナ、、、」


窓ガラスの向こうから差し込む太陽の光が、
病室を温かく照らす。

ベッドに横たわり、夢と現実の間をゆらゆらと揺れていた僕の耳に、
愛おしい人の声が響いた。


・・・・・「ユンホさん、、、」


早く貴方に触れたくて、まだ思うように自由にならない腕をゆっくりと伸ばす。


「チャンミナ、じっとして、、、」


慌てて扉から駆け寄り、僕の手を掬い取ってくれる。

僕の身体には、まだいくつかの管が通され、
起き上がることもままならない。

日によっては、半身を起こし、窓の外の空を眺めたりするけれど、
今日のように身体が怠く、止まらない息苦しさが一日中僕を襲うこともある。

けれど、こうやってユンホさんの温かい手が、僕の手を包んでくれる。
それだけで、僕の胸の痛みは幾分か治まり、生きていることを実感できる。


医師の話では、暫くはこの状態が続くらしく、
以前の生活に戻れるには、まだ数か月かかるらしい。


「どうした、チャンミナ?」


今日は、言葉を発するのも怠く辛い。

〝大丈夫〟

そう伝えたくて、僕はユンホさんに小さく笑顔を向けた。
それだけで、不思議と彼には伝わる。

何も言わず、僕の髪を優しく撫で、そっと額にキスを落とす。
幸せだった。




もう、会えないと思ってた。
こんな僕が、ユンホさんの隣にいることは、彼にとってマイナスでしかないと・・・

それに・・・


「辛いか? ん?」


戻れるかなんて、なんの保証もなかったから・・・


・・・・・「大、、、丈夫、、、です」


けど、僕にははっきりと聞こえたんだ。

ユンホさんが、僕を呼ぶ声。
貴方が僕を呼んでくれたから、僕は戻れることが出来た。


貴方にもう一度、触れることが出来るなら
貴方をもう一度、愛することを許してもらえるなら


戻りたいと心からそう思った。

生きていたいと、、、
貴方の傍で・・・


「泣くな」


ユンホさんの長く美しい指が、僕の頬をなぞる。
そのことで、自分が泣いていることに初めて気が付いた。


・・・・・「ごめ、、、な、、、さ、、、」

「バカだな、何度言ったら分かる? 」

・・・・・「・・・・・」

「覚悟しろ。俺からは逃げられない」


貴方を愛してます。
貴方と共に生きられるのなら、他には何もいらない。

だから、お願い。
僕の手を離さないで・・・

こうやって、ずっと握っていて・・・
それだけで、僕は生きていける。


きっと・・・・・









--- あら、眠っちゃった? ---

「お邪魔してます」


意識が、奥深く沈んでゆく。
瞼が重くて、瞳を閉じた。


母の声・・・

--- 最近は、良かったり悪かったりでね、、、けど、ユンホさんが来てくださった日は、
とても気分がいいみたい。安心するんでしょうね---

「そうですか」

--- そうそう、ユンホさん、主人に聞きました。ニューヨークですって? ---

「ええ、、、」

--- いいお話らしくて、、、お若いのに、前代未聞だって、、、---

「・・・・・」

--- ユンホさん。チャンミンのことは気にしなくていいのよ?
この子は、貴方のお陰でここまで頑張れたんですもの---

「・・・・・」

--- この子にもきっと、貴方の気持ちは、十分すぎるほど伝わってる---

「・・・・・」

--- この子の為にも、貴方には頑張ってほしいと思ってるの。
私も、主人も。きっと、チャンミンも同じだと思うわ---




・・・・・「ユン、、ホ、さ、、、」


意識が沈む間際、貴方の名前を呼んだ。
どうしても、呼ばなきゃいけない気がしたから・・・



次に僕が目を覚ますまで、傍に居て、、、
ユンホさん・・・










~ Christmas Eve of that year ~


高層ビルが立ち並ぶ、この賑やかな街。
ここに来て数か月になるけど、ソウルとはまた違う冷たい空気に、俺は未だに慣れないでいた。

今日は、クリスマスイヴ。

街を歩く恋人たちの瞳・・・
見つめ合うその姿は、ソウルと何も変わらない。

チャンミン、、、元気にしてるか?

ニューヨークの街は、美しいイルミネーションで輝いてるよ。

お前の体調がとても心配だ。
無理をするなよ。

元気でいてくれてると信じてる。
早くお前に会いたい。


愛してるよ、チャンミン・・・



遠い遠い空の向こう。
この気持ちが届くように、冷たいグレーの空を見上げた・・・








44へつづく

読者の皆さま、こんにちは。

最近ようやく花粉の症状もなくなり、快適です(笑)
花粉の季節は、外にお洗濯を干せないので、
必然的に部屋干しになるのですが、今日からバーーーンとお日様の下に干しました。

やっぱりお日様に乾かしてもらうのが一番ですね。
明日は大物のお洗濯をしよう(*^^*)




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スワロウテイル。1






ここはどこだろう。
目を開けているのに、映るのは暗い闇。

身体を動かそうとも、力が入らない。
自分の意思で動くのは、重い瞼と瞳だけ。

全身が凍えるように冷たい。
キーンと高く大きな音が耳を刺激して、痛む頭を揺らせた。


〝たすけて〟

そう声にしたくても、出来ない・・・

もがけばもがくほど、痛みと苦しさが僕を襲う。

この痛みが
この苦しさが

この闇が

永遠に続くのだろうか・・・

僕はもう、戻れないのだろうか・・・




長い長い時間だった。
いや、時間の間隔なんてなくて・・・

ただ、痛む身体や息苦しさ。
僕は、そんな苦痛から逃れられないと、諦めかけた。



けれど、その時、自分の意識のずっとずっと奥から、
微かに届いた、僕の名を呼ぶ声。


〝チャンミナ〟


僕の耳を掠めてゆく。

この感覚を覚えてる。
あの時、僕はこの声に導かれるように光に包まれた。


〝ここに居るから〟

〝どこにも行かないから〟

〝お前の傍にいるから〟


ユンホさん、貴方でしょ?


ユンホさん、
どこにいるの?


ユンホさん、助けて、、、


ジワリと感じるのは、冷え切った僕の手を包む温かい温度。

そこにいるの?
ユンホさん。

僕はここに居るよ。
助けて、、、

助けて!

ユンホさん!!!




ありったけの声で、、、
いや、きっと実際は、ありったけの心の叫び・・・

僕は、ユンホさんの名を呼んだ。


その瞬間・・・


ドクン、、、、と、まるで魚が大きく跳ねるように、
僕の心臓が、大きく鼓動を刻んだ。


ドクンドクン


さっきまでの耳障りな音はいつしか消え、
聞えるのは、動きだした胸の音。

その鼓動は、次第に大きく力強くなってゆく。


そうだ
僕は生きなきゃ・・・


貴方が、、、ユンホさんが待ってる。
背中の羽根を広げて、貴方の元へ飛び立つため・・・


鼓動を刻む度に、少しずつ少しずつ熱が全身に巡ってゆく。

まるで、ユンホさんに抱かれているよな、じんわりとした温かい熱が、
身体に、心にしみ込んでゆく。


これは夢なんだろうか・・・


ついさっきまで、冷たく暗い闇の中に身を置いていた僕は、
いつの間にか、心地よく揺れるゆりかごの中で、優しく髪を撫でられ、穏やかに眠っている。


酷く懐かしく感じる、大きな掌は・・・


ユンホさん、貴方でしょう?





待ってて、、、
すぐに、戻るから・・・

貴方の傍に、飛んでいくから・・・


待ってて、、、


身体が眩しい光に包まれる。
そして、僕は意識を手放した。









「チャンミナ、チャンミナ?」


次に目を開けたとき、眩しい光の中に、白くぼんやりと映ったのは・・・


--- シムさん? 分かりますか? シムさん? ---

「チャンミナ? 俺だよ? ん? 分かるか? チャンミナ? 」


ほら、、、やっぱりユンホさんだ。


--- 先生を呼んできます! ---


貴方はいつも、僕の傍に居てくれた。
そして、僕の名を呼んでくれた。


身勝手に貴方の元を去った僕を、どうか、許して・・・


・・・・・「、、、ユ、ン、、、、、」



ユンホさん。
そんな悲しそうな顔をしないで、、、


大丈夫・・・


僕は、、、


戻ってきたよ、、、


貴方の元に・・・




早く貴方に、触れたい。


ユンホさん・・・


次に貴方の手を掴んだら、
もう僕は、離さないから・・・


絶対に、離さないから・・・








43へつづく

読者の皆さま、こんにちは。

このお話が更新される頃、私は映画観賞中です♪

昨日、学校から戻った娘に、
「今日は朝からジャパンの空気が美味いな」 というと、呆れた顔して、
「東方神起来たん?」 と冷たく言われました(笑)
母が空気が美味いと言っただけで、2人が来たんだなと分かる我が娘、凄いな(笑)ププ

2019.04.09

こころ。's ベストチョイス!

モノクロだからなのかもしれないけど、
久しぶりのユノのヤサグレ感(笑) スキ♡



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スワロウテイル。1






- y side -




--- ユンホさん、、、---


車を飛ばして駆け込んだ病院。
ようやく見つけた、見覚えのある顔、、、

小さく震えながら、廊下の長椅子から立ち上がり俺に頭を下げる。
以前会ったときの印象とは、まったく違って見えた。

一回りも二回りも、小さくか弱く見える。


「お母さん、遅くなりました。チャンミンは・・・」


チャンミンと同じ、大きな瞳。
どれほどの涙を流したのか、揺れる瞳は赤く染まっていた。


--- 緊急手術で、、、まだ、、、---


そう言いながら、奥の部屋に視線を向ける。

硬く閉ざされた冷たい扉。
赤く灯ったライトが、事態が容易でないことを表していた。

大きく呼吸をして、小さく頷く。


「待ちましょう。僕が一緒に居ます」


俺のその言葉に、チャンミンの母親は頷きながら、硬い笑みを零した。



並んで椅子に腰を下ろす。


「部長は、、、、」

--- 主人は、一昨日から日本へ、、、あの子の手術日に間に合うように戻る予定だったんですけど、、、---

「連絡は?」

--- 電話が繋がらなくて、メッセージを・・・---

「そうですか。連絡を待ちましょう」


気の利いたことは何も言えない。
隣で震えながら、俯く小さな身体。

膝に置かれた手に、俺はそっと掌を重ねた。


「お母さん、チャンミンは大丈夫です」

--- ユンホさん---

「俺、あいつと約束したんです。元気になったら海も山も、、、旅行にも一緒に行こうって・・・」

--- っ、、、、、---

「信じてます。俺はチャンミンを信じてます。だからお母さんも、、、」

--- そうね、ありがとう、、、ありがとう、ユンホさん---



震える手、、、
俯いて涙を必死で堪えようとするその姿。

俺は、重ねた掌にギュッと力を入れた。



病院の廊下、、、
冷たい空気が、俺たちを包む。

この場所に来た時から、心臓の鼓動の速さは変わらない。

あとどのくらい、この息詰まるような時間を通り過ぎれば、
お前に会えるのか。

それは、気の遠くなるような時間にも感じられた。


けれど、その時・・・

赤いライトが消え、音もなくオペ室の扉が開く。
執刀医だろうか、マスクを外しながら、硬い表情をして俺たちの前に立った。


--- 先生、息子は、、、チャンミンは、、、---


ふらりと身体をよろめかせながら、立ち上がるチャンミンの母親を支えるようにして、俺もそれに続く。


--- 緊急状態は脱しました。
ただ、安心出来るわけではありません。危篤状態には変わりません。今夜が、、、、---

「先生、、、」

--- 出来ることはすべて、、、あとは、本人の気力です---


医師は、小さく頭を下げて廊下の向こうに消えた。






「お母さん、どうぞ、、、」

-- ありがとう ---


病院の自動販売機で買ったお茶を手渡す。
廊下のずっと先に見える、一階のロビーから続く吹き抜けの空間・・・

ここに来た時には、外の明るい光が射し込んでいたのに、
もうすっかり陽は落ち、窓の外は闇に包まれているようだった。



看護師の説明では、チャンミンはICUに入るらしく、
暫くすれば、親族は面会できるらしい。

チャンミンの手術が終わってから、2時間経過していた。


--- ユンホさん---


俯いたまま肩を落とし、俺の名を呼ぶ。


「はい」

--- あの子を、許してやってね---

「・・・・・」

--- 貴方に何も言わずに、いなくなったりして、、、---

「いえ、、、あいつの気持ちは理解できます」

--- あの子ね、生きたいって、、、そう言ったの---

「チャンミンが?」

--- 大切な人がいるから、だから生きていたいと・・・---

「そうですか」

--- 意識を失うとき、貴方の名前を呼んだのよ? ---



チャンミナ・・・
俺はここにいる。

だから早く戻ってこい。






--- シムさん、どうぞ、、、---


静かな廊下に、看護師の声が響く。
ふらりと立ち上がったチャンミンの母親が、2,3歩歩き出したところで足を止めて振り向いた。


--- ユンホさん、貴方も、、、---

「いえ、、、僕は、、、」

--- あの子が待ってるのは、貴方なのよ?---


その様子を見ていた看護師が、


--- 親族の方の許可があれば、面会は可能ですよ? どうぞ、、、---

--- ユンホさん、あの子に声を掛けてやって? ---

「・・・・・はい」


俺は、心の中で小さく息を吐き、立ち上がった。






「チャンミナ」


耳に入ってくるのは、冷たく硬い機械音>
痩せた身体に、いくつもの管が通され、痛々しいその姿に思わず目を背けた>



--- チャンミン、ユンホさんよ。ユンホさんが来てくださったのよ? 分かる? チャンミン? ---


震えながら、差し出した手は、チャンミンの柔らかい髪を愛おし気に撫でる。


--- チャ、、ン、、、ミ、、、っ、、、---


途切れ途切れの声・・・
嗚咽が混じりあい、悲しさのあまり崩れそうなその身体をそっと支えた。

ベッド脇の椅子に、ゆっくりと座らせると、
俺は、チャンミンの冷たい掌にそっと手を重ねた。


「チャンミナ、俺だよ」


固く閉ざされた瞳は動かない。


「チャンミナ、聞えるだろ? ここに居るから、、、もう大丈夫だ。どこにも行かないから、、、お前の傍にいるから、、、」


チャンミナ。

もう、お前の傍を離れたりしない。
ずっと一緒だ。

暗く冷たい場所で彷徨っているはずのチャンミンに、

俺の声が、俺の心が届くように、

重ねた手を強く握りしめた。








病院の待合室で、眠れない一夜が過ぎてゆく。


翌日・・・
まだ、太陽の姿はない冬の早朝。

うとうとしていた俺の耳に、小さな足音が聞えた。


--- あの、、、---


我に返ると、看護師が微笑みながら立っていた。


「チャ、チャンミンに何か?」

--- シムさん、容体が安定されましたよ。良かったですね---


そう言うと、頭を小さく下げて戻っていく。





チャンミナ、、、

立ち上がり、窓の外を見ると、
昇りかけた太陽の光が、少しずつ広がってゆく。


その光が、積もった雪に反射して、きらきらと美しく輝いていた・・・








42へつづく

読者の皆さま、こんにちは。

最近、大きな自動車事故のニュースが後を絶ちませんね。
犠牲になられた方と、そのご家族の気持ちを考えると言葉も出てきませんが、
考えさせられるのは、自分も自動車を運転することに対し、
慣れが優先し、注意を怠っているのではないかという事です。

毎日通る道。
通い慣れた道。
だから、油断しているような気もします。
便利な反面、凶器にもなってしまう自動車。

これからは、今まで以上に注意を払いながら、
運転したいと思います。


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スワロウテイル。1






- y side -



その日は、昨日から降り続いた雪がようやく止んで、
珍しく空に太陽の光が広がる朝だった。

それでも冬の空気は凍てつくようで、吐く息は一層白く、
深呼吸すると、身体の奥深くまで冷えるような、そんな日だった。


--- ユノ、今日の予定は? ---


出社するなり、デスクの前にテミンが顔を見せる。

3泊の予定で春川の支社に出向いていた俺は、予定よりも時間がかかり、
1週間を春川のホテルで過ごした。

自分のデスクに座るのは、久しぶりだった。


「午後から会議が入ってるだろ? それまでに報告書だ」

--- ランチ一緒に出来る? ---


始業したばかりだというのに、もうランチの話か・・・

呆れ気味に、デスクの前に立つテミンを見上げると、
いつもの屈託のない笑顔がそこにあった。

小さくため息をつきながらも、なぜかこの笑顔に癒されている自分を感じていた。


--- どうしたの? 元気ない? ---

「少し疲れてる」

--- ユノに頼まれていた案件は、全部完璧だよ? はい、これ、、、---

「ん、、、」


差し出すいくつかのファイルを受け取った。

パラパラと捲りながら、書類に目を通す。
テミンは優秀だから、特に心配はない。


--- どう? ---

「ん、、、よく出来てる」

--- 頑張ったんだよ---


少し得意げに微笑むテミン。
その表情で、疲れた心がじんわりと温まる・・・


「助かるよ、ありがとな、テミン」


仕事を懸命にこなすことで、どうにもならない不安や想いを消したいと思った。
けれど、疲れた頭の中は、かえってチャンミンのことで一杯になった。

肘をつき、掌を額に当てる。
瞳を閉じると、チャンミンの顔が浮かんだ。


チャンミン・・・
お前、どうしてる?

チャンミン・・・
恋しいよ、、、

お前が、恋しい・・・






その時・・・

デスクの上に置いていた社内専用の携帯が鳴る。
手に取り、応答した。


「はい。営業部チョンです」

--- 1Fフロア受付の キムです。外線にお電話です。シム・チャンミンさんの・・・---


チャンミン?


「繋いで」


--- えっ?---

「いいから、早く繋いで」

--- は、はい、そのままお待ちください。お繋ぎします---


チャンミン?

どうした?
会社に電話なんて・・・

たった数秒・・・
けれど、それがどんなに長く感じたか・・・

ようやく耳に届いた、電話が切り替わる音。


「もしもし? もしもし、チャンミンか? 」


慌てた俺の声に返事をしたのは、、、


--- ユンホさん、チャンミンの、、、チャンミンの母です---


震えるか細い声の主は、チャンミンの母親だった。


「チョン、、、ユンホです。大変ご無沙汰しています。チャンミンに何か?」


--- ユンホさん、お願いします。あ、あの子を、、、助けて、、、どうか、どうか、、、---








「分かりました。 すぐに向かいます」


電話を切り、コートとカバンを掴む。


--- ユノ? どうしたの? ---

「テミン、悪いが後を頼む」

--- えっ? どこへ行くの? ねぇ、ユノっ!---


そのまま駆けるように、扉に向かった。


--- ユノ!!! ---


この大きく打つ鼓動は、チャンミンの胸の痛みなのか・・・

俺は急ぐ足を止め、ゆっくりと振り返り、テミンにこう告げた。



「チャンミンなんだ」

--- えっ?---


そう、、、チャンミンなんだ。



「俺のスワロウテイル。チャンミンなんだよ」


--- ユノ・・・---



待ってろ、、、
待ってろチャンミン。


すぐに行くから・・・

チャンミン・・・







41へつづく

読者の皆さま、こんにちは。
スワロウテイル。も、もう40話です。
そろそろ終わりが見えてきました。

今日はユノサイドをお届けしました。
たまにこうして反対側の気持ちを差し入れると、
お話の流れがよく分かるように思いますが、皆さま如何でしょうか?(笑)フフ
明日もユノサイドです。
お部屋でお待ちしています。




それでは、午後も素敵なひと時を♪
いつもご訪問ありがとうございます。




こころ。

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