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私の心の中のお話です。
ご了承ください。



心を映す鏡が欲しい。






人の心を映すことが出来る鏡があればいいのに・・・

先生の心が映る
そんな鏡・・・





「よろしく、チャンミンくん」


その人と初めて出会ったのは、僕が高校3年生になったばかりの頃だった。


--- 先生、よろしくお願いします。チャンミン、頑張るのよ---

・・・・・「う、うん」


長身でとても小さな顔。
少し茶色く染めた髪が、窓から吹き込む風に揺れている。

切れ長の目と、ふっくらとした唇・・・

目が合うと、動けなくなる。
心臓がドキドキした・・・







その人は、僕の新しい家庭教師だった。


「あ、それはね。ほら、ここがさ・・・」


毎週金曜、その人は僕の部屋にやってくる。


・・・・・「先生、僕、この部分がどうしても分らなくて」

「どれどれ、、、ん、ここはね」


先生が僕に身体を寄せて、机の上のテキストを覗きこむ。
息遣いまでもが聞こえそうな距離・・・

あ、まただ・・・
ドキドキする。

心臓の音が、隣りの先生に聞こえませんように・・・



「チャンミンくん? どう? 分かる?」

・・・・・「あ、す、すいません」

「ん? 考えごとしてた?」

・・・・・「ご、ごめんなさい」


僕の顔を覗きこむようにして笑いかけてくる。
恥ずかしくて・・・

顔をそむけた。


「何を考えてたの? 真っ赤だよ、チャンミンくん」


先生の大きな掌が、僕の髪をクシャっと撫でた。
突然先生が立ちあがって、窓から外の景色を眺める。


・・・・・「あの、先生?」


視線は窓の外、、、


「チャンミンくんってさ、彼女・・・いる?」

・・・・・「えっ? い、いえ・・・」

「そうなの? じゃあ、さ、好きな人いる?」



僕の好きな人・・・

机の上の小さな鏡を見つめた。
そこに映り込んだ先生の姿・・・

先生の顔をまともに見れない僕は、
いつもこうやって、鏡に映り込む先生の姿をこっそりと見ている。


・・・・・「はい、います」

「そっか、、、どんな人? きっと可愛い女の子なんだろうね」

・・・・・「・・・・・」


僕は先生が好きです。

なんて、まさかそんなこと、言えるはずもない。
気持ち悪いって思われてしまう。

そんなこと言ってもし嫌われたら、先生が来なくなってしまう。


・・・・・「同じクラスの女の子です」


嘘ついた。
ふっと、鏡を見ると先生が僕の方を向いて笑ってる。



「そっか、残念だな」

・・・・・「えっ?」


残念?

ゆっくりと、先生が近づいてくる。
僕は椅子に座ったまま・・・

先生が、僕の座る椅子の背もたれをゆっくりと回して、
気が付くと、僕の目の前には、僕と目線を合わせるためにしゃがみ込んだ先生の顔・・・


そして、それは突然・・・
驚く僕の目の前の光が遮られる。


あっ・・・・


温かくて柔らかい感触・・・
僕は目を見開いたまま、先生とキスしてた・・・・


先生とキスしてる。
信じられない・・・

ゆっくりと離れてゆく先生の唇。


僕は目を見開いたまま・・・


「チャンミンくんは、僕の事好きでいてくれるのかと思ってた」


えっ? うそ、、、どうして?


・・・・・「あ、あの・・・」


ふふっと、先生は微笑しながら・・・


「それ・・・」


先生が指差す方向へ視線をやると<
机の上の鏡・・・


「いつも見てたでしょ? 僕の事を、鏡越しに・・・」


見られてた
ど、どうしよう

瞳を泳がせて、俯くことしかできない。
この場から去ってしまいたいけど・・・

動くことすらもできない・・・
ようやく勇気を振り絞って出た言葉は・・・


・・・・・「ごめんなさい」


謝ることしかできなかった。


「チャンミンくん、、、その鏡越しに僕の心が見える?」


先生の言う意味がよくわからなくて、
きっと僕は困った顔をしていたんだろう。

先生が、フッと瞳を伏せて笑った。


「ゴメン、冗談だよ。その女の子と上手くいくといいね。さ、もう少し頑張ろう」





あの日からも僕たちは何も変わらず、毎週金曜日に先生はやってくる。
そしていつものように、優しく丁寧に教えてくれる。


あの時の先生の言葉・・・


--- チャンミンくん、、、その鏡越しに僕の心が見える?---



僕はあの日から、机の上の鏡を伏せた。
時折、優しく僕の髪をクシャリと撫でたり、数学の難問を正解したりすると、
僕の肩に腕を回して、、、


〝よくやった!〟


そう言いながら抱き寄せたり・・・
そのたびに僕はドキドキして、それが少し苦しかったりする。

だって、先生にとってはただのスキンシップ。
あの、、、あのキスだって、


---ゴメン、冗談だよ---


きっと僕をからかっているだけ。
そう、先生の悪い冗談・・・


けれど、僕は・・・


先生が好きなんだ。

だから・・・

触れられたり、抱き寄せられたりすると、
苦しくて涙が出そうになる。





--- スゴイよ、チャンミンくん。この問題、僕も頭を捻るのに---


そう言いながら、先生はいつものように僕の肩を抱いてグイッと引き寄せる。


やめて、先生・・・
僕、本当はとても苦しいんだ。



力なく先生のなすがままになっている僕に気が付いたのか、
ゆっくりと腕を解いて、僕の顔を覗きこむ。

先生に泣き顔なんて見せたくないのに・・・


「ど、どうした? チャンミンくん?」

・・・・・「・・・・・」

「困ったな、、、泣くなよ」

・・・・・「・・・ごめんなさい」


先生の大きな掌が、また僕の頭を優しく撫でる。
その温かさにまた涙が溢れてくる。


「チャンミンくん、こっち向いて?」


ゆっくりと先生の方を見ると、しゃがみ込んで苦笑している先生の顔が見える。


「チャンミンくんは、僕にごめんなさいって、、、そればっかりだね」


さっきまで、僕の頭を撫でていた先生の掌が、
今度は僕の頬をふわりと包んで、親指で涙を拭ってくれる。


・・・・・「ご、ごめんなさい・・・」


ポロポロと止まることなく流れる涙。


「ほら、また謝る。謝らなくていいんだよ。泣かないで」

・・・・・「はい・・・」

「鏡、伏せちゃったんだね。僕の心が見えなかった?」

・・・・・「先生に、、、嫌われ、、くなかっ、、、たから、、、ご、ごめ、なさ・・・」


ごめんなさい・・・
そう言おうとしたら、先生の人差し指が僕の唇に触れる。


「僕の顔を見て? ほら、心が見えるだろ? 鏡の中の僕じゃなくて、、、、ほら、まっすぐ見てごらん?」


恥ずかしくて少し伏せていた顔を上げて、先生の顔を見た。
優しく笑ってて・・・


「どう? 見える? 僕の心が、チャンミンくんを好きだって、、、そう思ってるのが見えるだろ?」

・・・・・「えっ?」

「本当は、君が大学に合格して、先生と生徒っていう関係じゃなくなったら、、、
伝えようってそう思ってたんだ。けど・・・」

・・・・・「せん、せ?」

「そんな顔して泣かれたら、、、たまんないよ、抑えられない・・・」


先生、、、何を・・・言ってるの?
分らない・・・


「君が好きなんだよ。ずっと前から・・・」


好き?
先生が僕を?


うそ・・・・


「知らないふりしてて、、、ごめんね。好きだよ、チャンミン。今度は目を閉じて?」


先生との2度目のキスは、しょっぱい涙の味がした。







心が写せる鏡があれば、こっそり先生の姿を映して、心の中を覗いてみたいと思っていた。


けど・・・




「チャンミン、ゴメン、待った?」

・・・・・「いえ、僕もさっき来たばかりです」

「じゃ、いこっか、、、今日は何する?」

・・・・・「僕、今日は行きたいところがあって・・・」

「よし、チャンミンの行きたい所へ行こう」





もう僕に鏡はいらない。

真っ直ぐに先生の瞳を見つめて・・・


・・・・・「ユンホさん」

「ん?」

・・・・・「ユンホさんが好きです・・・



街を歩く人たちに聞こえないように・・・
小さな声だけど、先生にちゃんと伝えられるから・・・


「僕も、、、好きだよ」


先生の目を見れば分かるから・・・



もう、僕には鏡はいらない。








fin

読者の皆さま、こんばんは。
今日はやはり、書く時間が持てなかったので、
旧館から懐かしいお話を持ってきました。

このお話は2014年に書いたものです。
確か、眠れなかった夜に突発的に書いたお話だったように思います。

初期の初期のお話です。
初々しいこころ。をお楽しみいただけたら嬉しいです(笑)(笑)



それでは、本日はこのへんで。
おやすみなさい。
素敵な夢を♪




こころ。

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