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私の心の中のお話です。
ご了承ください。



ひぐらしの鳴く、あの夏。4



「俺を捨てるな、、、」


ヒョンのその言葉が、重く僕の心に伸し掛かる。
息ができないくらいに苦しい。

ヒョンがどんな思いで、、、
そう考えたら、軽い言葉を返す事なんて出来なかった。


・・・・・「ヒョン、、、」

「・・・・・」

・・・・・「今の僕達にとって、一体何が最善なんだろう」


差し出されたヒョンの手を取り、
誰も僕たちのことを知らないところへ・・・

それが出来たら、、、
本当にそんなことができるなら、、、

けど、、、


・・・・・「僕は、、、僕は、、、」

「チャンミン」


重なるヒョンの手が、さらに強く僕の手を握りしめる。


「俺たちはもう、非力だった子供じゃない。
どんな道を歩くか、、、どの道を選ぶが、、、自分たちで決める事が出来るんだ」

・・・・・「ヒョン、、、」

「そうだろ? チャンミン、、、」

・・・・・「・・・・・」

「俺はもう、覚悟はできてる。俺は、俺のために生きたい。俺自身のために、、、」

・・・・・「・・・・・」

「それにはお前が必要なんだ。だからこの手を離さない。絶対に、、、」


何も言えなかった。
ヒョンの気持ちが痛いほど分かるから。



沈黙が支配する。
ただ、波の音が繰り返し繰り返し聞こえるだけ。


息遣いまでも聞こえるその静けさを破ったのは、
ヒョンの携帯電話だった。


・・・・・「ヒョン、、、」

「いいんだ」

・・・・・「でも、、、大切な電話だったら、、、」


促すと、ヒョンは小さくため息をつく。
そして、ポケットから取り出した電話のディスプレイを見て、一瞬視線を落とす。
けど、すぐに視線を戻すと、電話に触れ応答した。



「なんだ、、、」


相手は誰かは分からない。
ただ、ヒョンの声と表情から歓迎するような相手ではないことは分かる。


「えっ? それで、、、、」


話し始めてすぐ、ヒョンの顔色が変わる。
動揺しているその様子に、何故かとても嫌な予感がした。


「分かった、、、」


電話が切れても、ヒョンの顔色は戻らない。


・・・・・「ヒョン、、、何かあったの?」

「いや、、、」


否定しながらも、ヒョンの瞳はゆらゆらと揺れ、
僕を見ようとはしない。


・・・・・「ヒョン、、、」


ヒョンの手に自分の手を重ねる。
すると、ようやくヒョンが僕と目を合わせて、、、


・・・・・「話して? どうしたの?」


ゴクリと息をのんだヒョンが、、、、


「ソ、ソヨンが、、、」

・・・・・「・・・・・」

「ソヨンが事故に遭ったって、、、」

・・・・・「えっ?」


ソヨン、、、


・・・・・「ど、どうゆう、、、こと?」

「詳しくは、、、ただ、おじさんと、、、ソヨンの父親と一緒だったらしくて、、、」

・・・・・「ヒョン、、、は、早く行かなくちゃ、、、」


なのに、ヒョンは動こうとしない。


・・・・・「ヒョン、、、どうしたの?早く、、、」

「俺は行かない」

・・・・・「えっ?」

「俺は行かない。お前といる」

・・・・・「ヒョン、、、」


ヒョンの手は震えていた。

心とは裏腹なその言葉、、、
僕には分かるよ、ヒョン、、、

ヒョンのことなら、何だって、、、


・・・・・「何を言ってるの? 早く行かないと、、、」

「・・・・・」


重ねたヒョンの手が、ぎゅっと握られる。


・・・・・「ヒョン、お願いだよ、、、行ってあげて」

「チャンミン、、、お前、、、」

・・・・・「ソヨンがヒョンを待ってる」

「そんなこと、、、言うなよ、、、チャンミン、、、」

・・・・・「ソヨンは、、、ソヨンは僕の妹なんだ」

「・・・・・」

・・・・・「たった1人の、血を分けた妹なんだ、、、だから、、、」

「・・・・・」

・・・・・「お願い、、、します、、、」


ヒョンに向って頭を下げた。





波の音が、まるで悲恋を歌ったラブソングのように、
切なく悲しく流れ続けた・・・・・









70へつづく

読者の皆さま、こんばんは。
今日、日本年金機構から、「ねんきん定期便」のメールが来たんですけど、
それを見た途端、将来が不安になってきました(笑)
どちらかと言うと『生きてる今が楽しけりゃ、それでよし! 的主義』なので、
将来は年金と旦那の退職金頼りなんですよね~(笑)
困ったもんだ(;・∀・)アハハ



それでは、本日はこのへんで。
おやすみなさい。
素敵な夢を♪




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前回のお話はこちらから  →  ひぐらしの鳴く、あの夏。68 - 第2章 -



ひぐらしの鳴く、あの夏。4



ヒョンは、黙って車を走らせる。

微かに聞こえるのは、オーディオから聞こえるピアノの曲。
ヒョンは、こんな好きだったっけ、、、

そんなことを、窓の向こうの流れる景色を見ながら考えていた。


何時しか街の灯りは消え失せ、
伸びる高速道路に、均等に灯る灯りが、規則正しく流れてゆく。

何処へ向かっているのだろう。


窓に映るヒョンの横顔をそっと盗み見る。

表情を変えず、ただ、真っすぐに前を見据えたその顔を見たら、
今、何処に向かっているかなんて、そんな事どうでもよくなった。

出来るなら、このまま永遠に走り続ける事が出来たらいいのに。
止まることなく、僕とヒョンだけを乗せて、、、

例え行き先が地獄だとしても、
ヒョンと一緒なら怖くない。


むしろ怖いのは、、、


この車が止まって、ヒョンと向き合う事。
自分が何を言い出すのか、、、それが、今の僕には分からない。

自分が分からない・・・

自分でもはっきりとはしないその小さな感情が、
僕達が、、僕とヒョンが誓いあった未来を、壊してしまうかもしれないという事実。




流れてゆく景色が、何時しか見覚えのあるものに変わる。
懐かしくて、身体を浮かせて身を乗り出した。


ゆっくりとブレーキが踏まれ、音もなく静かに車が停車する。
辺りはもう暗く、雲が掛かった月の薄明かりだけがその場を照らす。


エンジン音が消えると、しん、、、と静まり返った空間に現れたのは、
懐かしい波の音、、、


視線の先には、打ち寄せる白い波、、、



幼かったヒョンと僕が育った思い出の場所、、、



「懐かしいな、、、」

・・・・・「うん、、、」

「あの頃は、こんな未来がやってくるなんて思ってもみなかった」

・・・・・「・・・・・」

「ただ、お前がいれば毎日楽しくて幸せだった」


そうだね、、、
2人で居るだけで、それだけでよかった・・・


「なぁ、チャンミン、、、俺たち、、、」


ヒョンの声のトーンが変わる。

怖かった。
ヒョンが何を僕に伝えるのか、、、

その先の言葉を聞くのが怖かった。
耳を両手で塞いでしまいたい衝動にかられたけれど、
けど、そんなことをしてもどうにもならない。

僕は、顏を伏せ、ぎゅっと目を閉じた。


すると、、、


運転席から伸びてきたヒョンの手が、
僕の手に重なって、、、



「俺たち、このまま2人で遠い所へ行こう」

・・・・・「ヒョ、ヒョン、、、」


ヒョンの言葉は、僕が想像していた言葉とは正反対だった。


「誰にどんな非難を浴びたってかまわない」

・・・・・「・・・・・」

「全ての罪と罰は、俺が全部背負う。だから、、、」

・・・・・「・・・・・」

「お願いだ、チャンミン、、、」



僕に大切な人がいるように、
ヒョンにもまた、同じように大切にしたい人がいる。


期待と、情と、恩。
そして、愛、、、


そのすべてを捨て、裏切ってでもヒョンは僕を選ぶというの?



「俺を、捨てるな、、、」



僕を見つめるヒョンの瞳に、涙が滲む。

ヒョンの言葉と、強く真っすぐに向けられる視線。
今の僕に、そのすべてを受け止める資格はあるのだろうか、、、



僕はそっと視線を逸らせた・・・






70へつづく

読者の皆さま、こんばんは。
今日はお話が少し短くてごめんなさい。
区切りのいいところで〝つづく〟にさせていただきました。

そして、午後届きました!

VOGUE JAPAN 4月号

ページ数はそう多くは無いんですけど、
いつまでも眺めていられる素敵さ♡
はぁ、ユノ。大好き♡(笑)フフ

今日で2月も終わりなんですね。
ほんの少し前、お正月を迎えたばかりの感覚なのに(笑)

3月はチビの受験に、入学準備にバタバタとしそうだし、
あんまり嬉しくない誕生日も迎えます(笑)
4月は、入学式にビギイベ。
そして、こころ日和。6周年。

花粉で辛いけど、いい事いっぱいの春になりますように♪



それでは、本日はこのへんで。
おやすみなさい。
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ひぐらしの鳴く、あの夏。4




数日後、僕はヒョンに事情を話し、無理を言って休みをもらった。


手には、先日、父と母に会いに行った時と同じ、小さな花束。
病室の前に立ち、大きく深呼吸をした。




--- チャンミンくん? ---

・・・・・「ご無沙汰してます。お加減は如何ですか?」



温かな陽が差し込む病室。
ベッドの上に横たわる、一回り小さくなった弱々しい身体。

胸がギュッと痛んだ。


僕を見て、半身を起こそうする身体をそっと支える。
僕の手を握りしめるその手に、以前のような力はなかった。


--- 来てくれたのね、チャンミンくん ---

・・・・・「遅くなってごめんなさい」


そう言うと、奥さんはゆっくりと首を横に振った。


--- 言わなくてもいいって、そう言ったのにあの人ったら、、、---

・・・・・「具合はどうですか? 何か不自由は、、、」

--- 貴方の顏が見れただけで充分。ありがとうね ---


変わらず穏やかな笑顔。

けれど、俯くその顔がとても悲しそうに見えるのは、
以前とは違い、随分と痩せてしまったからなのか。


・・・・・「奥さん、僕に何かできる事があったら何でも、、、」


ずっと気に掛かっていた。
けれど、日々の忙しさに毎日が駆けるように過ぎて、、、

2人の気持ちを思いやる余裕が僕にはなかった。




孤児の僕を温かく迎え入れてくれた社長と奥さん。
僕を息子にしたいと、そう言ってくれた。

そんな2人の願いに背を向け、工場を辞め、自分の我儘を貫いた僕。


それなのに、今でも僕をこんなにも温かく包んでくれる。


・・・・・「社長と奥さんは、僕の父さんと母さんだから、、、」

--- チャンミンくん、、、---


握りしめたままの僕の手。
その手を僕は、ぎゅっと握り返す。


奥さんの目から流れ落ちる涙が、
重なった2つの手にポタポタと落ちる。


もし、目の前で苦しむこの人が僕の本当の母だとしたら、
僕は一体、どうするだろう。

何が出来るだろう。
何をしてあげられるだろう。


--- 父さんが心配でね。食事はきちんと摂ってるのか、お掃除も、、、---

・・・・・「奥さん、、、」

--- 工場の子たちも時々顔を見せてくれるんだけどね。父さん、たまに工場で寝起きしてるみたいで、、、---

・・・・・「僕が時々様子を見に行きます」

--- 本当? あ、、、でも、、、チャンミンくん、忙しくしてるんでしょ? ---

・・・・・「ヒョ、、、いや、チョン専務にも事情を話してます」

--- でも、、、---

・・・・・「僕のことは心配しないでください。それより、早く元気になってください」



ありがとう、、、

と、そう小さく呟いた奥さんの表情は、とても悲しく寂しくて、
見ている僕までも辛くなる。


思わず痩せたその身体に腕を回し、
そっと抱き寄せた。


・・・・・「きっと大丈夫です」

--- ありがとう、、、ありがとう、、、---



病院からの帰り道。



僕はタクシーには乗らず、
そのままマンションの方向に向って歩き始めた。


〝父さんをよろしくね〟


病室を去り際に、ぼそりと呟いた奥さんのあの言葉。
僕に申し訳なさそうに、小さく頭を下げていた。



僕に何かできることはないか?


さっきからずっと、頭の中はそのことばかりを考えている。
僕を本当の息子のように優しく、時には厳しく、大切に可愛がってくれた人。

恩返しがしたい。




そして、その〝答え〟は、漠然と僕の心の片隅に浮かび始める。

けれど、、、


その時、、、
僕のその心をまるで見ていたかのように、、、



「チャンミンっ!」


脚を止めて辺りを見わたす。

大通りの脇に停まった見覚えのある車。
開いたウインドウの向こうから、僕に向って手を振るヒョンがいた。


・・・・・「ヒョン、、、」


駆け寄ると、、、


「乗って?」

・・・・・「えっ?」

「見舞い、終わったんだろ? 付き合って? 食事にいこう」

・・・・・「う、うん、、、」


促され、急いで助手席に乗り込む。
静かに発進した車。

前だけを見据えてハンドルを握るヒョン。
何故かその横顔は、硬く強張っていた。


・・・・・「ヒョン、あの、、、」

「食事の時間には早いから、少し遠出しよう。いいだろ?」

・・・・・「う、うん、、、」


そのままヒョンは、何も話さなかった。
まるで、この後に訪れる僕達2人の運命を予感していたかのように・・・・・







69へつづく

読者の皆さま、こんばんは。
今日は大学の2次試験でしたね。
読者さまの娘さんや息子さんが受験されたようで、
うちの息子はもうすぐ大学を卒業するので、そう考えると4年なんてあっという間だったなぁなんて、
感慨深く思いながら1日を過ごしました。

そんな息子(22歳)
先週金曜から日曜までの4日間、京セラで行われた乃木坂46のライブへ、
足蹴く通っておりましたよ(笑)
よくもまぁ、毎日毎日、、、と感心してましたけど、
よくよく考えたら、私も1月は3日間通ったのを思い出して苦笑い(;・∀・)
この親にこの子(笑)



それでは、本日はこのへんで。
おやすみなさい。
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前回のお話はこちらから  →  ひぐらしの鳴く、あの夏。66 - 第2章 - 





私の心の中のお話です。
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ひぐらしの鳴く、あの夏。4



・・・・・「父さん、母さん、、、」


どのくらいぶりだろうか、、、

僕は今、父と母が眠る墓の前に立っている。
幼い記憶の中に微かに残っている、母の好きだったカスミソウの花を手に、、、


父さん、母さん、、、
今日は報告があるんだ。

ソヨンと会ったんだよ。
偶然だけど、とても元気だった。



僕は、その場に跪き、そっと花を手向ける。


目元がとても母さんに似ていたよ。
綺麗な大人の女性になってた。


一緒に会いに来ることが出来たらよかったんだけど、、、
ごめんね、父さん、母さん。



微笑む2人の顏が脳裏に浮かぶ。

なのに、僕の心はチクチクと痛むばかりで、、、


父さん、母さん、、、
僕はどうしたらいいんだろう、、、教えてよ、、、、ねぇ、教えて、、、



空が眩しい。
振り注ぐ光が、今の僕には眩しすぎる。



〝ソヨンを独りにしないで〟



震える声で、ソヨンはそう言った。


分かってる。
ソヨンの〝孤独〟は、僕のせいだ。

ソヨンの大切な愛する人を、僕が奪おうとしている。
僕がソヨンを孤独に陥れようとしている。


僕の心に隙間ができ始めている。
ヒョンを絶対に離さないと、何があったとしても絶対に離れないと心に誓ったのに、、、



その時、ポケットの中の携帯電話が、着信を知らせて震え始める。
立ち上がり、応答した。



「チャンミン? 今どこだ?」

・・・・・「うん、父さんと母さんに挨拶を済ませたところだよ、ヒョン」

「そっか、ごめんな、、、俺も一緒に行って挨拶出来たらよかったんだけど、、、」

・・・・・「ううん、これから戻るよ」

「今日はもういいから、そのままマンションに戻れ」

・・・・・「うん、分かった。そうするよ」


電話を切り、小さなため息を落とす。
父さんと母さんにもう一度挨拶をして、僕はその場を後にした。





乗り込んだタクシーの運転手にマンションの場所を伝え、
窓から流れる景色を見つめる。

気がつかないうちに、季節は流れている。

最近は、ゆっくりと風や空気感じる時間が無くて、
こんな風にぼんやりと景色を眺めることもままなら無かった。


ふと、思い出したのは、
小さな古いアパートからいつも見上げていた空。

アパートと工場のわずかな隙間から見えた星空が、
僕はとても好きだった。



・・・・・「あの、、、行き先を変更してください」


無性に懐かしくなった僕は、
久し振りにある場所に向かった。


タクシーが止まり、降り立ったその場所、、、


そこは、僕のもう一つのふるさと。
もう一つの、父と母がいる場所。

なにも変わっていない。


小さな工場からは、変わらず機械の動く大きな音が聞えている。
古いアパートも、何も変わっていない。


逸る気持ちが、脚を進めた。



--- チャンミン?---

・・・・・「ご無沙汰しています」


僕の姿を見て、先輩たちが手を止め駆け寄ってくる。


--- お前、、、凄いな、ホントにチャンミンか?---


スーツ姿の僕を見て、先輩たちが目を丸くする。

大きな掌で、子供のように髪をクシャっと撫でられると、
ここに居た頃のことが、走馬灯のように蘇ってきた。


--- 社長なら事務所にいるぞ。きっと喜ぶ。お前に会いたがってたから、、、---

・・・・・「行ってみます」


皆に挨拶を済ませ、事務所に向かう。
小さくノックすると、懐かしい声の返事が聞えた。


・・・・・「社長、チャンミンです。シム・チャンミンです」


そう言うと、突然、バタバタと大きな足音がする。
すぐにガラッと大きな音を立てて、目の前の扉が開いた。


--- チャンミン、、、---

・・・・・「ご無沙汰しています、社、、、あ、、、」


懐かしい温もり。

高校を卒業してこの工場にやってきた僕を、


〝何も心配することはない。ここがお前の新しい家だと思って甘えていいから〟


そう言いながら、抱きしめてくれたことを想い出す。
あの時と同じように、社長は、大きく成長し大人になった僕を、変わらず優しく抱きしめてくれた。


--- 元気そうだな、、、よかった、、、---

・・・・・「社長、、、」


この場所は温かい。
空気も温度も人も、何もかもが温かく心地いい。




--- そうか、、、仕事は順調なんだな? ---

・・・・・「はい、何とか、、、」

--- お前ならきっと上手くやれると思ってたよ---

・・・・・「工場も順調だと聞きました」

--- あぁ、チョン専務のお陰でな ---

・・・・・「よかった、、、」



社長が淹れてくれた温かいコーヒーは、
僕がここに居た時に使っていた懐かしいマグカップに入っている。


なにも変わっていない。
そう思ったけれど、ふと、事務所の奥の社長のデスクに目が留まる。

いつもなら、きちんと整理整頓されていて、
デスクには、奥さんがお気に入りの一輪挿しに挿した花が飾ってあるのに、
目に留まったその場所は、書類が散乱していて、花のない寂しい一輪挿しが、隅の方に寄せられていた。


社長、、、

そう言えば少し痩せてる。
白髪も増えて、、、


・・・・・「社長」

--- ん? ---

・・・・・「あの、奥さんは、、、お元気ですか?」


ただ、少し気になっただけ。
元気なら、それでいいと、、、

けれど、社長から返ってきた言葉は、、、



--- ん、、、実はなチャンミン、、、---


思いもよらない返事で、、、


・・・・・「う、そ、、、」

--- 手術しても、助かるかどうか、、、---


  

社長のその言葉に、僕は言葉を失った・・・








68へつづく

読者の皆さま、こんばんは。
WOWOWの放送、皆さま御覧になってますか?

私は、誰にも邪魔されず一人でゆっくり見たい派なので、
リアタイはぐっと我慢して、独りの時間を使ってゆっくり見る予定です。
(明日の午前中には見られる予定)

72時間も放送決定したとか?
お知らせ下さった読者さま、ありがとうございました。

先日ね、WOWOWの加入の件で、
ちょっと物申したいことがあって、カスタマーセンターに怒りの電話を入れたんですけど、
まぁ、72時間も放送してくれるのなら、許してやってもいいか(笑)フフフ




それでは、本日はこのへんで。
おやすみなさい。
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〝誰にも言わないで〟


泣きながら懇願する僕を、
ヒョンは何も言わず、優しく抱きしめてくれた。



ひぐらしの鳴く、あの夏。3



--- では、その件はお前に任せたよ、ユンホ---

・・・・・「はい、分りました。社長」


あの日以来、ヒョンがソヨンの話をすることは無かった。
そして、社長も、、、


表面上は、何も変わらず時間は過ぎてゆく。
仕事も順調で、ヒョンと僕の暮らしも、、、


ただ、、、



「チャン、、、ミーン、、、ただいまぁ」

・・・・・「ヒョン、大丈夫?」


ヒョンは、苦手なお酒を飲むようになった。

それは、仕事上の付き合いもあり、
そして、学生時代の友人の誘いでもあったり、、、

もちろん、そんな席は以前にもあったけれど、
ヒョンがこんなに酔って戻ることは1度もなかったのに、、、


「なぁ、チャンミン、、、いいだろ?」


そして、酔ってマンションに戻ったその夜は、ヒョンは必ず僕を激しく抱いた。



ある日、、、

その夜も、日付が変わる時間にマンションに戻ってきたヒョンは、甘いワインの香りを漂わせていた。

玄関先で衣服をはぎ取られ、僕に有無を言わさず愛撫を繰り返す。
ベッドの上で何度も何度も揺さぶられ、身体の奥で、ヒョンの熱を受け止めた。

何度も僕の名を呼びながら、僕の中で果てたヒョンは、
そのまま深い眠りに落ちる。


長い睫毛
汗ばんだ額
湿った唇


僕の隣りで眠るヒョンに、手を伸ばし指で触れる。



・・・・・「ヒョン、、、」


なんとなく感じていた。

抱かれていても、名前を呼ばれても、
身体が繋がっていたとしても、、、

ヒョンの心が、時折見えなくなる、、、そんな感覚。


心が冷めたわけじゃない。
ヒョンに愛されていることは、十分に分かってる。

けれど、、、



僕は、ヒョンの額に唇を落とし、
そっとベッドから抜け出た。






寝室を出て、リビングに入ると、
窓の向こうから差し込む月明かりが、ぼんやりと部屋を照らしている。


カーテンを開けて空を見上げる。


都会の夜は眠ることを知らない。

消える事のない世俗的な眩しい街の灯りを浄化するように、
深い藍色の夜の空に、美しい月が浮かんでいる。


こんな月を見ると、あの頃を思い出す。



施設の小さな部屋の窓から、
ヒョンと2人で見た、海に浮かぶあの月。

波の音を聞きながら、2人肩を寄せ合って、
長い間、空を見上げていた。


なにもなかったけれど、幸せだったあの頃。
ヒョンがいれば、ただそれだけで心が満たされた。





父と母がいなくなり、
妹も、僕の傍からいなくなった。

孤独で、、、
ただ、ひたすらに孤独で、、、

張り裂けそうな僕の心を、ヒョンが満たしてくれた。



〝僕を独りにしないで〟



離れて生きることを、運命だと受け入れる事しか出来なかったあの頃。

ヒョンが僕の傍から去り、
再び僕は孤独になった。

けれど、今、僕の傍にはヒョンがいる。
独りじゃない。

なのに、どうして、、、
どうして僕は今、こんなにも心が締め付けられるのだろう。


あの月明かりが、僕の心を揺さぶっているのか、、、


気がつけば、僕は無意識に手を伸ばし、
触れることなどできない月に、触れようとしている。

頬には冷たい涙、、、


揺れる感情が、そうさせる。
止めようとしても、涙は止まらない。



その時、、、


静まりかえった部屋に、曇った機械音が低く響く。
振り返って耳を澄まし、その音に手を伸ばす。

ソファに投げるように置かれていたヒョンのスーツのジャケット。
ポケットから取り出したのは、ヒョンの携帯電話。


薄暗い部屋に、浮かんでいるのは、、、



・・・・・「ソヨン、、、」



ソヨンの名が浮かびあがる電話を手に、
僕は、ごくりと息をのむ。

そして、何を思ったのか、
指を伸ばし、応答した。



・・・・・「・・・・・」

--- オッパ? ---


ソヨンの声、、、


--- オッパ? 今日はごめんなさい---

・・・・・「・・・・・」

--- もう我儘は言わない。オッパの言う事、きちんと守る。だから、、、---

・・・・・「・・・・・」

--- だから、ソヨンを独りにしないで、、、オッパ、、、 ---





〝独りにしないで〟




ソヨンの声が、震えていた・・・・・










67へつづく

読者の皆さま、こんばんは。

ひぐらしの2人に、何やら不穏な空気が漂っています。
この66話、2人の気持ちを考えながら書きました。
自分の気持ちとは別のところで決められた婚約者。
でも、その人が愛する人の妹だと知り、ユノはどんな気持ちになるだろうと。
そして、そんなユノをチャンミンはどう思うだろうと。
ますます複雑になって、個々の感情を言葉や文章にするのが難しくなってきました。
まぁ、自分で自分の首を絞めているように感じるんですけれど(笑)

実は、この66話。
思うように仕上がって、〝よしっ! 出来た!!〟と思ったら、
突然PCがフリーズして、全部消えてしまったという(;・∀・)

なので、これは2度目の文章。
同じものは書けないので、ちょっと自分的に納得してない部分もあるのですが、
また、何度も読み返して訂正出来たらさせてください。
こっそりしますので(笑)フフフ




それでは、本日はこのへんで。
おやすみなさい。
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