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私の心の中のお話です。
ご了承ください。



シムさん、ハンコお願いします1





あの日・・・



--- 僕はこう見えても、学生の時に〝便利屋〟をやっていたんです。---

・・・・・「便利屋?」


片手に持った焼酎の入ったグラスをゆらゆらと揺らしながら、
何故か得意げな顔をして、キムさんは話を続けた。


--- 何でも屋ですよ、、、どんな依頼も引き受けますっていう---

・・・・・「それが、この話とどんな関係が?」


ほんのりと頬が赤く染まってる。
キムさんは酔っているのか、とてもご機嫌だ。


--- あのですね。依頼を受けるときは、必ず〝依頼書〟とか〝契約書〟のようなものを
お客さんに書いてもらうんです。---

・・・・・「はい、、、」

--- 仕事の依頼だと言って彼を呼び出すんですよ。 で、その契約書に・・・---

・・・・・「そ、そんな、、、」


キムさんの言う〝アイデア〟は、とても大胆で直球で・・・


--- いいですか? シムさん。男ってーのはですね、押しに弱いんですよ、押し!! 分かりますか? ---


キムさんは完全に酔ってる。

それとも、、、
僕が男だということを忘れてるんじゃないだろうか?

けれど、身振り手振りの大きなジェスチャー付きで、一生懸命に僕に話してくれる。
そんなキムさんを見ていたら、なぜだか僕も真剣になってしまって・・・


・・・・・「そんな子供のような作戦、通用しますか?」


真剣に答えてしまう僕。
きっと、僕も酔ってるんだ・・・


--- あのですね、犯罪以外なら、なんだって引き受けるのが便利屋の鉄則なんですよ、シムさん!! ---

・・・・・「あの、、、キムさん、彼は便利屋さんではなくて、探偵さんなんですが」


基本的な部分から間違ってる。


--- いいんです!! 便利屋だろうが、探偵だろうが、宅配の兄ちゃんだろうが、コンビニの店員だろうがですねぇ、、、---

・・・・・「・・・・・」

--- みんな一緒ですよ、、、押して押して押しまくれーー!! ---

・・・・・「・・・・・」


キムさんは、店内に響き渡るくらいの大きな声でそう言うと、
満足したのか、ふっと笑って今度は小さな声で僕にこう言った。




「絶対に、断れないですよ、彼は・・・」

・・・・・「そう、かな、、、」

「きっと上手くいきます。シムさんは、とても素敵な方です。大丈夫・・・」









そんなこんなで、すっかりキムさんの最後の言葉に乗せられてしまった僕は今、、、、、


「シムさん、ハンコお願いします」


ユンホさんに言われるがまま、書類にハンコを押した。


「では、、、これで書類は完璧ですので、ご依頼はお受けいたします。」


これって、、、
キムさんのアイデアが、上手くいったってこと、、、なのかな?


・・・・・「・・・・・ユンホさん」

「はい、、、なんですか? チャンミンさん」


名前、、、
僕の名前を呼んでくれた。


・・・・・「あの、、、僕・・・」


今更ながら、恥ずかしさが込み上げてきて・・・
視線を逸らせて、俯きかけたその時、、、


「チャンミンさん、報酬は、いついただけますか?」

・・・・・「あっ、あの、、、でも、何を差し上げればいいか、、、」

「チャンミンさんに満足していただけるように頑張ります。だから、、、」

・・・・・「は、、、い、、、、あっ、、」


突然、、、ユンホさんの大きな左手が、ふわりと僕の頬を包む。
そして、グッと引き寄せられて・・・

ユンホさんの綺麗な顔が近づく。
鼻先が、触れそうな距離で・・・


「僕、今、かなり勇気を振り絞ってます。だから、前払いということで、、、」


小さくそう呟いた後、、、


ユンホさんの厚い唇が、そっと僕のそれに重なった。



「僕も貴方が好きです。大好きです」











暖かい日差しが部屋の中に差し込む。

ある日の昼下がり・・・



--- すいませーん、シムさん、お届け物です! ---


扉の向こうから、いつもの元気な声が聞こえる。


・・・・・「はい、、、ご苦労様」


扉を開けると、帽子を取り、深々と頭を下げる。


--- シムさん、こんにちは。お母さまからのお届け物です。---

・・・・・「あーっ、また野菜ですね。ナムさん、少しもらっていただけませんか?」

--- えっ? でも、、、---


ナムさんが持つ荷物の上の配達表に、僕は受け取りのサインをした。


・・・・・「うちにはまだ、先日配達してもらった野菜が残ってるんですよ。ちょっと待っててくださいね。」


そう言って、僕はナムさんの手から荷物を受け取ると、キッチンへ急いだ。
箱を開けると、いつもと同じ、母からの新鮮な野菜が並んでいる。

いくつか、色鮮やかで形のいいものを選んで袋に詰めて、
急いで玄関に戻ると・・・


--- あ、あの、、、シ、シムさん、、、ぼ、僕はし、仕事に戻ります、、、---


ナムさんは、なぜか瞳を泳がせていて、
そして、玄関先にはもう一人・・・


・・・・・「ユンホさん、どうしたんですか? 」


さっきまでリビングのソファでうたた寝してたのに、
いつの間に・・・


--- し、失礼します---

・・・・・「あっ、、、ナムさん! 待って、、、これ、、、、」


僕の呼び止めにも振り向かず、ナムさんは猛烈なスピードで駆けて行ってしまった。


・・・・・「どうしたんだろう、、、」


ふっとユンホさんを見ると、、、なんだか訝しげな顔をして・・・


「ふんっ、、、」


と、鼻を鳴らしてる。


・・・・・「どうかしたんですか?」


そそくさと部屋に戻ろうとするユンホさんの後に続いて、
リビングまで戻ると、パッと振り向いたユンホさんが、、、


「勤めを果たしたまでです。チャンミンさんに、悪い虫が付かないように守るのが僕の仕事なんですから、、、」


いつの間に、ユンホさんは僕のボディガードに転身したんだろう。

真剣な表情で、そんなことを言うユンホさんが、なんだかとても愛おしくて・・・
そっと身体を寄せて、彼にギュッとしがみついた。


・・・・・「・・・・・ユンホさん」

「はい」

・・・・・「ずっと、僕の傍に居てくださいね。」

「もちろんです。僕が、、、」

・・・・・「・・・・・」








「僕が貴方を一生守ります。」










シムさん、ハンコお願いします! ・・・  fin

読者の皆さま、おはようございます。
『シムさん、ハンコお願いします! 』 全20話で完結です。
最後までお付合い頂きました読者さまに、感謝申し上げます。
ありがとうございました。

このお話は、こころ日和。 が2周年を迎えた記念に書きました。
ちょっとドジなチャンミンと、静かにチャンミンを見守り続ける寡黙なユンホさん。
不器用な2人のぎこちない恋物語でしたが、楽しんでいただけたら嬉しいです。

最終話ということで、コメント欄開けたいと思います。
感想など、頂ければ嬉しいです。
お待ちしてます。


※ 明日からは、朝6時に 『ひぐらしの鳴く、あの夏。』
22時に『振り向いて、抱きしめて。~止まない微熱~』 を更新させていただきます。




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シムさん、ハンコお願いします1






あの日から数日後・・・


・・・・・「すいません、お呼び立てしてしまって・・・」

「い、いえ、、、仕事ですから・・・」


僕は、ユンホさんをマンションに呼び出した。


・・・・・「どうぞ、そちらに・・・」


硬い表情・・・


「はい、失礼します。」


丁寧に頭を下げて、
けれど、僕の目を見ようとはしない。

ぎこちない動きで、ユンホさんはソファの端に腰を下ろした。


キッチンに向い、カップを二つ並べる。

一つにはコーヒー・・・
そしてもう一つには、コーヒーに温めたミルクをたっぷり注ぐ。

白の渦がぐるぐる巻いて、カップの中はカフェオレ色に染まった。


・・・・・「どうぞ、、、」

「すいません。お構いなく」


言葉の一つ一つが他人行儀で、僕の胸がチクリと痛んだ。
僕は、ユンホさんから距離を置いて、ソファに座る。


テーブルに置かれた二つのカップから、白い湯気がふわふわと立ち上がる。
耳に聞こえてくるのは、時計の針が進む小さな小さな音だけ・・


--- シムさん、、、僕にいいアイデアがあります、、、---


すがる思いで、キムさんの話に乗ってしまったけど、
今、既に僕は、大きく後悔していた。

けど、今更あとには引けない。

僕の気持ちは、決まってる。
あとは、この前のユンホさんの言葉を確かめたい。



「貴方の傍に居ることを、許してもらえませんか?」



あの言葉の意味を・・・




「あの、、、チャ、、、いや、シムさん・・・」


シムさん、か・・・
もう、名前で呼んでくれないんだね。


「それで、ご依頼というのは・・・」


仕事で仕方なく・・・
貴方はここに足を向けたの?


・・・・・「ユ、ユンホさんに、お願いしたいことがあります。」


ゆっくりと、少し離れて隣りに座るユンホさんの方に視線を映すと、
一瞬目が合って、そしてまた、ユンホさんは俯いて僕から目を逸らす。

やっぱり、嫌われちゃったかな?

〝ユンホさん〟

そう呼ばれたくないのかな?

あの時、あんなふうに、貴方を突き放してしまったから・・・


「分かりました。では・・・」


足元に置いたカバンの中から、ユンホさんは赤いファイルを取り出すと、
その中から1枚の紙を取り出し、僕の目の前にスーッとスライドさせた。


「こちらにご記入していただけますか?」

・・・・・「はい、、、」


見ると、


〝調査依頼書〟


そう書かれていたその用紙には、
名前や年齢、職業・・・
そして、依頼内容など、細かく欄が分かれていた。


「あっ、すいません、これでどうぞ、、、」


僕の視界にユンホさんの指と共に映ったもの・・・

それは、、、

「ああ、サインでいいけど・・・」


それは、ユンホさんと初めて会った時、
配達人を装ったユンホさんが、僕のところに初めて荷物を届けてくれた時に差し出された、
あのイチゴのついたボールペン・・・

そっと手に取った。


あの時から、、、
ううん、あの時よりもずっと前から、ユンホさんは僕を見守ってくれてた。

長い間、気が付かなかった僕。

ユンホさんが好きだと、自分の気持ちにやっと気が付いたのに、
それでも何も出来ずにうじうじしてるだけの僕。

そんな僕にも、ユンホさんは誠実に接してくれた。

それに・・・


「貴方の傍に居ることを・・・・・」


僕を受け止めて、抱きしめてくれた。
なのに僕は、また、、、

胸にいろんな思いが込み上げてきて、
いつの間にか僕は、イチゴのボールペンを握りしめて泣いていた。


「ど、どうしましたか?  シ、シムさん、、、?」


驚いたユンホさんは、少し震えたような声でそう言ったけれど、
僕は、彼の言葉に答えず、涙を袖で拭った。

そして、イチゴのペンを持ち直して、テーブルの上の〝調査依頼書〟 に向う。

上から順に、ゆっくりと丁寧に書きこんでゆく。
ペンが紙の上を滑る音が、やけに大きく部屋の中に響いた。

最後の欄を時間をかけて書き終え、僕はペンを置いて、小さく息を吐いた。
見ると、ところどころに涙が落ちて、インクが滲んでる。

止まらない涙を、もう一度手の甲で拭い、
僕は、書き終えた書類を、そっとユンホさんの前に置いた。


・・・・・「お、お願いします、、、


ユンホさんの顔は見れない。


「拝見します、、、」


ユンホさんの声は、確かに動揺していた。
けれど、冷静にそう言葉を口にすると、書類を手に取り、目を通し始めた。

どのくらいの時間が過ぎただろう。
僕の心臓は、もう爆発寸前だった。


ユンホさんが息をのむ様子が、見なくても伝わってくる。
そして、読み終えたのか、テーブルの上に静かに書類が戻された。


「シムさん、こちらの依頼について、いくつか質問させていただいてもいいですか?」


予想していなかったユンホさんの言葉に、
僕は思わず伏せていた顔を上げて、ユンホさんの方へ顔を向けた。

けど、ユンホさんは冷静な顔をしてて・・・


・・・・・「は、はい、、、」


そう答えると、


「では、こちらの依頼ですが、いつ頃、このように気が付かれましたか?」

・・・・・「えっ? あっ、あの、、、」


答えに戸惑っていると、、、


「すいません。けれど、どうしても聞いておきたいんです。」


その声はとても真剣で、、、


・・・・・「分かりません。けれど、初めて見た時に胸が、、、」

「・・・・・」

・・・・・「胸が、ドキンとしたことは覚えてます。


大丈夫、、、きっと伝わる。


「そう、、、ですか、、、」

・・・・・「・・・・・」

「では、もし、、、ご依頼の内容について、ご満足いただける結果になったとしたら、、、」

・・・・・「・・・・・はい、、、

「その、、、あの、、、ですね、、、」

・・・・・「・・・・・」

「報酬の内容は、こちらで決めさせていただいてもよろしいですか?」

・・・・・「はい、、、もちろんです。」

「では、最後に、、、」

・・・・・「この〝依頼内容〟の部分、、、消えてしまっているので、もう一度、、、」


書類を覗くと、ユンホさんが指をさした部分が、涙で滲んでしまっている。

一番大切な、貴方に伝えたい言葉、、、
僕は、もう一度、同じ文を書き直した。


ユンホさんは、その様子をじっと見つめている。

書き終わってユンホさんに手渡すと、それを見たユンホさんは、
僕が書き直した文字を指でなぞりながら、小さく笑って頷いた。


「では、少し手直しさせていただきます。」


そう言うと、もう一度、イチゴのペンを手に取り、
〝調査依頼書〟の部分の 〝調査〟という文字を二重線で消した。

そして、「担当」と書かれた欄に、チョン・ユンホとサインをして・・・
そして、その隣りに〝専用〟と付け加えた。


〝チョン・ユンホ専用〟


「シムさん、、、、、」

・・・・・「はい、、、」


ようやく、ユンホさんが僕の顔を見てくれた。
その表情は、さっきまでの固い表情とは違う。

溶けそうなほど、甘くて柔らかくて優しくて・・・・・


「この依頼は、僕専用でお引き受けします。」

・・・・・「ユンホさん、、、」







「申し訳ありませんが・・・」

・・・・・「・・・・・」

「こちらに・・・・・」


ユンホさんが、僕に書類を差し出して、
指をさす。


そして、少し恥かしそうに・・・



「シムさん、ハンコお願いします」






【ご依頼内容】

貴方が好きです。
僕の恋人になってください







20(完結話) へつづく

読者の皆さま、おはようございます
『シムさん、ハンコお願いします!』
次回完結です。

最後までお付合い、よろしくお願いいたします。




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「貴方の傍に居ることを、許してもらえませんか?」


小さく囁かれたユンホさんの言葉が、何度も何度も頭の中に響き渡る。


僕の傍にいる?
それって・・・


どんなに考えても、自分に都合のいいようにしか解釈できない。

まさか・・・

勝手な自分の想像で、
ユンホさんに抱き締められたままの僕は、胸の鼓動がさらに高鳴っていく。

自分の顔に熱が集まるのを感じた。

その時・・・
僕の視界に、入った光景・・・

道行く人たちの視線が、ちらちらと、通りで抱き合う僕とユンホさんに向けられてる。


・・・・・「あっ、、、ちょ、、」


急に恥ずかしさが込み上げ、僕は、両の手でユンホさんの身体を押し返し、距離を取った。


「・・・・・」

・・・・・「あ、あの、、、そ、そうじゃなくて、、、」


上手く言葉が出てこなくて、言い淀んでいたら・・・


「すいません。少し、、、調子に乗りました。無礼を許してください。」


僕の言動を誤解したのか、ユンホさんは目じりを下げて僕にそう言った。

なんて悲しい表情をするの、、、


・・・・・「いえ、違うんです。僕は、その、、、」


〝僕の傍に居てください〟
〝貴方が好きです〟


たったそれだけで、僕は、通じ合うことが不可能だと、そう思っていた恋を手にできるのだろうか?

けれど、もし、そうじゃなかったら・・・

自分に都合のいいように、
ユンホさんの言葉を、変換してしまっているんじゃないだろうか?


「本当に、、、、おかしなことを言いました。許してください。」

・・・・・「ユンホさん<そうじゃないんで、、、す、、、」








--- アレ? シムさんじゃないですか? ---


ふっと、ユンホさんから視線を外すし、その声の主に目を向けると、
そこには・・・


・・・・・「キムさん」


出版社の僕の担当のキムさんだった。


--- どうしたんですか? こんなところで、、、---


僕とユンホさんの間に、一瞬、冷たい風か吹いた気がした。


・・・・・「あ、いいえ、、、すこしその、、、」


嫌な予感・・・


「あの、シムさんのお知り合いですか?」


突然、、ユンホさんが、キムさんに向けて声を出す。


--- あ、はい。シムさんのお仕事の担当をさせていただいてます、キムと申します---

「そうですか、、、あの、、、申し訳ないんですが、彼をお願いできますか?」



・・・・・「えっ?」

--- は? ---

「実は彼、足首を痛めてて、歩けないと思うんです。
お願いできませんか?」


えっ?

ど、どうして?


--- えっ? シムさん、怪我したんですか? ---


そう言いながら、キムさんが小走りに走り寄ってきて、、、
僕の前にしゃがみこむ。


・・・・・「いえ、少し前に捻ったところをまた・・・」

--- 見せてください。病院へ行った方がいいんじゃないですか? ---


キムさんが、僕の足に触れようとするから、
思わず足を後ろに引いて、、、


・・・・・「大丈夫ですよ、そんなに痛くなくて、、、」

ふっと・・・・


ふっと気が付いたら、
ユンホさんの姿は、消えてた。







--- はぁ、、、なるほど、、、---

・・・・・「・・・・・」

--- では、彼が以前話してた〝彼〟なんですね、、、---


どのくらい前だったか、キムさんとの呑みの会で、
酔った勢いでぺらぺらと話してしまったらしい。


〝心を寄せてる人が、男なんだ〟と、、、


大した驚きもなく、キムさんは〝へぇ〟と、一言口にした記憶がある。


〝そんなの、普通にいますよ、、、みんな言わないだけで、、、〟


それには少々驚いたけれど、とにかく、僕は今、
ユンホさんに置いて行かれて、キムさんとお酒を飲んでる。


・・・・・「今日は、いいことなかったです。親友にも、彼にも置いてかれるし、ホラー映画だし・・・」


大きなため息をついて、グラスの中の焼酎を、
ごくりと喉に流し込んだ。


--- シムさん、、、僕にいいアイデアがあります、、、---





・・・・・「アイデア?」









19へつづく

読者の皆さま、おはようございます。
朱鷺メッセ2日目です。
参戦される皆さま、沢山楽しんできてくださいね♪

新潟の次は名古屋ですね。
暫く間が空くから、帰っちゃうのかな。

福井と新潟の合間は、いろいろとお仕事していたようなので、
それも楽しみですね。
少しお休みも挟みつつ、日本全国で美味しい物沢山食べて頑張ってほしいです♡

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シムさん、ハンコお願いします1





休日だということもあり、映画館もたくさんの人で賑わっていた。


「シムさん、しばらくここで待っててください。」


痛めた足をかばうように歩く僕の腰に、
そっと手を当てて支えてくれる。

待合のソファに僕を座らせて、ユンホさんは、、、


「コーヒーですよね?」


僕の返事は聞かず、急いで飲み物を買いに走った。

きっとユンホさんは、コーヒーとカフェオレを買ってくる。
そんな風に思いながら、彼の背中を眺めていた。

暫くすると、両手に飲み物を持って、ゆっくりと歩きながら僕の元に戻ってくる。


「はい、コーヒーです。」

・・・・・「ありがとうございます。」

「もう少し、時間がありますね。」


そう言いながら、僕の隣りに腰を下ろした。

僕の隣りに、ユンホさんが・・・
心臓がドキドキ波打つ・・・


・・・・・「探偵さんは、カフェオレですか?」


そう言いながら、隣のユンホさんを見ると・・・


「・・・・・」


何やら眉間にしわを寄せて、、、、
僕、何かまずいことでも話したかな?


・・・・・「探偵さん?」


不思議に思って、そう言うと、


「僕の名前、覚えててくれたんじゃないんですか?」

・・・・・「あっ、けど、、、」

「探偵さん、、、って、なんだか、、、」


2人の間に、しばらくの沈黙。
ユンホさんは、俯いて何かを考えている。


・・・・・「あの・・・」

「探偵さんって、なんだか仕事の延長みたいで、、、」


まるで、子供のように唇を尖らせて・・・


・・・・・「そ、そうですよね、じゃあ、チョンさん、、、って言うのは、、、」

「・・・・・」


反応なしか・・・
なら・・・

・・・・・「ユ、ユンホさん、、、とか、、、


いつも心の中では、そう呼んでる。
どさくさに紛れて、そう言ってみると、

伏せていた顔をバッとあげて・・・


「はい! ぜひ!」


ふふ、、、子供みたいに明るい笑顔を僕に向けた。
そして・・・


「あの、もしお許しいただけるのであれば、、、」

・・・・・「はい、、、」

「その、、、チャンミンさんと、お呼びしても、、、


ユンホさんは、仕事をしているときとは全く違う顔をしてる。
幼い子供のように無邪気な顔をして、恥ずかしいのか、頬を染めてる。


なんて可愛い人・・・


・・・・・「はい、もちろんです。ユンホさん。」


僕のその言葉で、より一層ユンホさんの頬は赤く染まった。

お互い、なんだかくすぐったくて・・・
2人ならんで、飲み物を口にしながら映画の時間を待った。





「チャンミンさん、どうかしましたか?」


周りの迷惑にならないように、ユンホさんが小さな声で僕の耳元で囁く。

どうも、この手の映画は苦手だ。

キュヒョンめ・・・
僕が苦手なのを知ってるくせに、誘ったな・・・


・・・・・「い、いえ、、、」


〝大丈夫です〟


そう言おうと思ったその時・・・

膝の上で、ギュッと握りしめていた手に、ユンホさんの大きな掌が重なった。
驚いて、ユンホさんに視線を向けると、、、


「大丈夫です。僕がいますよ。」


ユンホさんの 「大丈夫」は、魔法の言葉だ。
映画が終わるまで、僕とユンホさんの手は重ねられたまま、離れることはなかった。






「チャンミンさん、ああいうのはもしかして苦手でしたか?」

・・・・・「はい、、、少し、、、」


映画館を出ると、既に太陽は沈みかけて、空が夕日の色に染まっていた。
ユンホさんと肩を並べて通りを歩く。


「チャンミンさん、、、この後、よかったらお食事でも、、、」

・・・・・「はい、喜んで、、、」


そう言うと、ユンホさんは恥かしそうにはにかんで笑う。

きっかけは偶然・・・
けど、ユンホさんと映画を見て、食事ができるなんて・・・

僕は嬉しくて、舞い上がっていた。

ユンホさんの綺麗な横顔・・・
見とれてしまって、、、


「じゃあ、僕の知ってる美味しいお店でも、いい、、、、」


それは、一瞬で・・・

僕の瞳に映っていたユンホさんの横顔・・・
それが、ふらりと揺れたかと思うと、回りの景色が歪みだす・・・


・・・・・「あっ、、、、」

「チャンミンさん!」


気が付いたら、僕は道路の脇のブロックに足を引っ掛けていた。
転んでしまいそうになった僕の身体を、ユンホさんが・・・


「大丈夫ですか? 」


力強い腕で
抱き留めてくれて・・・





陽も落ちて、辺りは太陽の光と交代するかのように、
街のネオンが灯りだしている。

大勢の人たちが行き交う通りの隅で、
僕はユンホさんの大きな胸の中・・・




「貴方って人は・・・」

・・・・・「す、すいません、、、」

「本当に、、、」


ユンホさんの前で、ドジばっかり。

恥かしくて、、、
顔から火が出そう・・・

身体を離そうとすると・・・


「危なくて、少しも目が離せないです。」


そう言いながら、もう一度、抱き寄せられる。


・・・・・「ユンホさん、、、あ、あの、、、」

「僕が守りますから・・・」

・・・・・「・・・・・」



「貴方の傍に居ることを、許してもらえませんか?」




賑やかな街の喧騒
僕はユンホさんの腕の中

ユンホさんは、小さな小さな声で、僕にそう囁いた・・・






18へつづく

読者の皆さま、おはようございます。
今日から新潟朱鷺メッセですね。
参戦される皆さま、楽しんできてくださいね(*^^*)

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「シム、、、さん?」


髪が少し伸びた?
その時、ふわりと風が吹いて、ユンホさんの前髪が、小さく揺れた。


「シムさん、、、あ、、、ど、どうしてここに・・・」

・・・・・「え、えっと、、、その、、、」


お互いが、しどろもどろで・・・
どうしていいか分からなくて、思わず顔を伏せてしまう。


「あ、、、足、、、」


痛くて、靴を中途半端に履いていた僕の足を見て、
ユンホさんは、ベンチに座る僕の前にしゃがみこんだ。


「痛めたんですか?」

・・・・・「あ、、、でも、、、随分前なんです。さっき、捻ってしまって、それで、、、」


僕の足首に、そっと手を当てて・・・


「痛みますか?」

・・・・・「い、いえ、さっき警官さんが助けてくださって、、、」

「警官さん?」


しゃがみこんだユンホさんが、顔を上げて僕を見上げる。
僕は、どうしても恥ずかしくて、視線を合わせることができない。


「もしかして、、、ドンヘですか? イ・ドンヘ・・・」

・・・・・「な、名前は、、その、、分からなくて、ス、ストーカーの時の、、、」

「あぁ、そう言うことか、、、怪我人って言うのは、シムさんのことだったんですね。で、あいつは・・・」


どうしよう・・・

帰っちゃったなんて、
それに、きっと警官さんは、ユンホさんと映画の約束をしてたに違いない。

なのに・・・


・・・・・「警官さんは、帰りました。」

「帰った?」


僕は、手にしていた映画のチケットを、ユンホさんに差し出した。


・・・・・「これ、、、」

「これって、、、」

・・・・・「すいません。警官さんが・・・」


ユンホさんは、僕の手にあるチケットをじっと見つめて・・・

約束・・・
警官さんと約束してたのに、きっと、がっかりしてる・・・


・・・・・「すいません、僕が受け取ってしまっ、、、」


受け取ってしまったから・・・
そう言おうとしたその時・・・



「シムさん、、、これからお時間ありますか?」

・・・・・「えっ?」

「もし、お時間があって、足が、、、痛まないようなら、、、その映画、、、一緒に、、、その、、、
僕と一緒に、、、行きませんか?


・・・・・「ユン、、、あっ、、、探偵さん、、、」


思わず言い直すと、ユンホさんは最初、目を丸くして、
そして、僕をじっと見つめながら、目じりを下げてとても嬉しそうに笑った。


「僕の名前、憶えててくれてたんですか?」

・・・・・「あ、、、いえ、その、、、以前、名刺を頂いたから、、、」


そして、ユンホさんはもう一度、僕の足元に視線を戻す。

スニーカーの紐を、緩く締めなおして、
優しくゆっくりと、僕の足に履かせててくれた。


「痛みませんか?」

・・・・・「・・・はい」


俯いたそのまま・・・


「映画、ダメですか?」

・・・・・「えっ、あの、、、けど、僕となんか、、、」


僕なんかと一緒で、ユンホさんは楽しいのかな?


「貴方と観たいです。」

・・・・・「えっ?」

「僕、、、今、結構勇気を振り絞ってます。」


そう言いながら顔を上げたユンホさんの頬は、
真っ赤に染まってた。


「ダメ、、、ですか?」


僕を見上げるユンホさんの視線が、
僕の瞳を捕える。

綺麗・・・
目が離せない、、、


その時・・・


--- あーっ、こんなところに、、、お前、、、電話ぐらい、出ろ、、、よ、、、---


数歩向こうの先に、
こちらをじっと見つめてるキュヒョンの姿。


・・・・・「あ、、、キュ、キュヒョン、、、ご、ごめ、、」

--- あーあっ、、、そう言えば、、、確か、、、あいつは、、、えーっと・・・こっちじゃなくて、、、あっち、、、かな?---


訳の分らない言葉を羅列して、
わざと僕たちから視線を外し、くるりと足先の方向を変える。

そして、僕たちに背中を向けると、
一度も振り返ることなく、街の人波の中に消えて行った。


・・・・・「あ、あれ? キュヒョ、、、えっ?」

「あ、あの、、、もしかして、お知り合い、、、」

・・・・・「あーっ、、いえ、、、ひ、人違い、、、かな? ち、違います、、、違うと、、、思います、、、違い、、、ます、、、


僕は心の中で、キュヒョンに何度も謝った。
けど、あいつ、、、何を察知したのか、、、

相変わらず鋭い親友に、僕は心から感謝した。



・・・・・「あ、あの、、、映画、、、もし僕でよかったら、、、」

「ほ、ほんとですか? いいんですか? お忙しくないですか? 」

・・・・・「あーっ、、ハイ、、ひ、暇なんです、、ハイ、、、」

「あーっ、よかった。」


ユンホさんと映画・・・
これって、デート、、、みたい・・・

その場で立ち上がったユンホさんは、僕にそっと手を差し出す。
咄嗟に僕は、差し出されたユンホさんの手に、映画のチケットを渡した。

すると、ユンホさんは大きな口を開けて笑い出す。
こんなに笑ったユンホさんは初めてで・・・

子供みたいに無邪気に笑うから、
僕はまた、心臓がドキドキした。


「これもそうだけど、、、」


その瞬間、差し出されたユンホさんの手が、
僕の手を取り、、、、


「傷みませんか? 僕が守ります」



どうしよう、、、


こんなにも〝好き〟が溢れてる・・・・・









17へつづく

読者の皆さま、おはようございます。

今日から11月です。
今月も、こころ日和。をよろしくお願いします(*^^*)

さて、ハンコの2人も少しは進展するでしょうか?

〝僕が守ります〟

ユノに言われてみたい(笑)



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いつもご訪問ありがとうございます。




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