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私の心の中のお話です。
ご了承ください。


こっちを向いてよ、Honey! 1





・・・・・「いらっしゃいませ」


いつものように、カランとドアベルの音が響く。
振り向くと、柔らかい笑みを浮かべたユンホさんが、左手を軽く上げて僕に合図をする。


〝待ってるから・・・〟


その合図に、僕は小さく頷いた。


毎週月曜日。
僕のバイトが終わる1時間前に、ユンホさんはいつものテーブルに腰を下ろす。

注文は取りに行かない。
だって、行かなくてもユンホさんの好きなものは僕が知っているから・・・




・・・・・「ミノ、カフェオレ1つ」


カウンターの向こうから、ミノが店内を覗き見る。


--- 皇子ですか? 了解 ---


温められるミルクの香りを感じながら、僕は自分の左腕に目をやる。


〝チャンミンに贈るために僕が選んだんだよ〟


ユンホさんとペアの腕時計が、僕の腕で静かに時を刻んでいる。






あの日・・・

風邪が治りきらないまま外出した僕は、
ユンホさんのマンションで熱が上がり、そのまま寝込んでしまった。

どうにかしてアパートに戻ろうとしたけれど、ユンホさんがそれを許さなかった。


見たこともないような大きなベッド・・・

ふわふわの温かい布団に包まれて、思っていたよりも高くなった熱に息を乱している僕を、
優しく看病してくれた。

今でも覚えてる。

大きな掌が、僕の額にそっと触れた感触・・・
心配そうに瞳を揺らしながら、僕の顔を覗き込む。

髪を優しく撫でて、


「大丈夫だよ」


そう言いながら、僕の手をギュッと握ってくれた。

ぼーっとした意識の中で、それでも僕はとても幸せで・・・
眠気が襲ってきても、瞼を閉じるのが怖かった。

もし目覚めて、この幸せが夢だったら・・・

ずっと自分の瞳にユンホさんの姿を映していたかったけど、
髪に触れるユンホさんの掌の心地よさに、いつの間にか僕は夢の中に沈んでいた。

どのくらい眠っていたんだろうか・・・

次に僕が意識を戻すと、遮光カーテンの隙間からぼんやりとした弱い光が、
薄暗い部屋に差し込んでいた。


見知らぬ天井
初めての空気


一瞬、自分がどこで何をしているのか、
ぼんやりとした頭で考えた。

ふっと、隣を見ると、僕の手をきつく握ったまま、
イスに腰かけながら、頭を布団に投げ出し、小さな寝息を立てているユンホさんが目に映った。


夢じゃなかった・・・


安堵の気持ちが、大きな吐息となって吐き出る。
その音に、ユンホさんがびくっと反応した。


「チャンミン?」

・・・・・「ユンホさん、、、ごめんなさい、、、」

「どう? 少しは楽になった? 薬が効いてきたかな?」


そう言いながら、僕の額や頬に何度も触れて確認しようとする。


・・・・・「よく眠れたので、少し気分がいいです。」

「そう、、、よかった」


心配そうに下がっていた目じりが、ようやく笑みに変わる。


・・・・・「ごめんなさい、ベッド・・・」

「いいんだよ。何か欲しいものない?」

・・・・・「少し、、、お水が・・・」

「分かった。待ってて」


慌てて立ち上がり、ユンホさんは寝室を出ていく。

静まり返った部屋。

ユンホさんのマンションの、ユンホさんの寝室。
いつもユンホさんが眠ってる大きなベッドに、自分が寝ているということが信じられない。

熱で火照った顔に、さらに熱が集まる。

恥ずかしくて・・・
ユンホさんに見られたくなくて、布団を口元までグイッと上げた。

暫くすると、水が入ったグラスを手に、ユンホさんが戻ってきた。


「チャンミン、、、身体起こしても大丈夫?」

・・・・・「はい、、、」


サイドテーブルにグラスを置いて、
ゆっくりと起き上がる僕の身体を優しく支えてくれる。

熱のせいか、喉がカラカラだった僕は、
一気にグラスの中の水を飲み干した。


・・・・・「はあーーっ、、、」


グラスを口から離して、小さく息を吐いた。

ふっと、ユンホさんを見ると、真剣な表情で僕をじっと見つめている。


・・・・・「ユンホ、、、さん?」


じっと見つめたまま、ユンホさんは僕にゆっくりと手を伸ばす。
その指が、濡れた僕の唇を優しくなぞった。


「チャンミン・・・」

・・・・・「・・・・・は、はい」

「好きだよ、、、」


ベッドサイドの小さなランプの光が、ユンホさんの瞳に映る。

その深い瞳に吸い込まれそうで、、、
合わせた視線を、離せなかった。

気が付けば、僕は瞳を閉じて、
ユンホさんと唇を重ねていた。

自分の手から、ポロリとグラスが落ちる。
どうしていいか分からなくて、僕は、ユンホさんの胸に手を当てて、痛いくらいにギュッと握りしめた。







--- 先輩、、、、---

・・・・・「・・・・・」

--- 先輩ってば!!! ---


はっと我に返る。


・・・・・「あっ、ご、ごめん、、、」

--- カフェオレ、冷めますよ。---


慌ててトレイにカップを乗せる。


--- ぼーっと腕時計を見てると思ったら、ニヤニヤしちゃって、、、なにを思い出してんだか、、、---

・・・・・「べ、別に・・・」


僕は、恥ずかしくなってミノから逃げるようにユンホさんの席に足を向けた。


・・・・・「ユンホさん、お待たせしました。」


テーブルの上には、いくつかの書類。

真剣な表情で見入っていたユンホさんの視線が、
柔らかく緩んで僕を捕らえた。


「ありが、、、、あれ? チャンミン、、、どうしたの? 顏が真っ赤だよ?」

・・・・・「えっ? い、いえ、、、別に、、、」


さっきまで、ユンホさんとのキスを思い出してたなんて、、、
口が裂けても絶対に言えない。


「熱がまたぶり返した?」


そう言いながら、伸びてきたユンホさんの掌が、
僕の頬に触れる。


・・・・・「ユ、ユンホさ、、、」


他のお客さんだっているのに、、、
ユンホさんは、あまり周りの人を気にしたりしないから・・・


・・・・・「だ、大丈夫です。」

「無理しちゃダメだよ。もうすぐだろ? 待ってるから一緒に帰ろう。」

・・・・・「はい、、、」


カップの中のカフェオレが、ゆらゆらと揺れていた。







・・・・・「ユンホさん!」


カフェの扉を開けると、通りに止まっている車の扉の前で、
腕を組んで僕を待つユンホさんの姿・・・


「お疲れさま」


僕の大好きな皇子さまが、僕だけににっこりと微笑んだ。







毎週月曜日は、憧れの皇子と会えることが楽しみだった。
週に一度、その姿を見るだけで僕は幸せだった。

そんな人が、今、僕の隣に座り、
微笑みながら、僕の手に優しく触れる。

並ぶ僕たちの腕には、同じ時を刻む時計。
二人だけの愛の時間・・・


こんな素敵な奇跡
僕に舞い降りてきた奇跡


目を閉じて俯いたまま、僕は神様に感謝した。


「チャンミン、、、ねぇ、チャンミン、、、こっち向いてよ」

・・・・・「はい、、、」


顔を上げると、窓の外・・・


「ほら、初雪だ・・・」


綿のような白い雪が、ふわふわと舞い降りてきた・・・・・







こっちを向いてよ、Honey! ・・・ fin

リアルタイムで読んで下さっている読者さま、真夜中にこんばんは。
朝、目覚めてから読んで下さっている読者さま、おはようございます。

『こっちを向いてよ、Honey!』 本日11話で完結です。
最後までお付合いくださった読者さま、ありがとうございました。

奥手なチャンミンに皆さまが声援くださって、
無事にユンホさんとの恋が実りました♥フフ

明日からの真夜中更新は、、、
実はまだ考え中((+_+))

お楽しみして頂こうかな?フフフ




次の更新は、6時に「淋しい熱帯魚。」です。
お部屋でお待ちしていますね♪


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こっちを向いてよ、Honey! 1






「君が好きだ・・・・・」


目の前にいるのは、僕の憧れの皇子。
毎週月曜日だけ会える、僕の想い人・・・


その人が、僕を好きだと言った。

ちゃんと気持ちを言わないと・・・
今度こそ、自分の気持ちを伝えないと・・・


・・・・・「ぼ、僕も、ユンホさんに伝えたいことが、沢山で・・・」

「いいよ。言って? 聞きたい」


じっと見つめられたままで、あまりの距離の近さに、
恥ずかしくなった僕は、瞳を逸らせた。


・・・・・「あの、、、」

「・・・・・」

・・・・・「ユンホさんにずっと、憧れていました。素敵な人だな、、、って・・・」

「・・・・・」

・・・・・「毎週月曜日が待ち遠しくて、カフェでユンホさんの姿を見るだけで満足でした。
僕は、なんのとりえもないただの学生だから、僕なんてきっと相手にしてもらえないって、そう思ってました。」

「チャンミン」

・・・・・「注文を取るだけだけど、ユンホさんと話せた日はとても嬉しかった。
〝美味しかったよ〟って、初めて言ってもらえた日は、嬉しくて眠れませんでした」

「・・・・・」

・・・・・「でも、僕は自分の気持ちを上手く言えなくて、、、書店で偶然会った時も、どうしていいのか分からなくて・・・」

「それで、あんなふうに行っちゃったの?」

・・・・・「本当は、ユンホさんと話したかった。
1つだけでもいいから貴方のことを知りたかった。けど、勇気がなくて・・・」

「そうだったんだね、、、」

・・・・・「あの、あの時計も知らなくて・・・」

「ん?」

・・・・・「メッセージ、、、知らなくて、、、」

「もしかして、見て、、、ないの?」

・・・・・「・・・・・」


俯いたまま、僕は小さく頷いた。


すると、ユンホさんは何も言わずその場から立ち上がり、奥の部屋に消える。
暫くすると、見覚えのある箱を手に、もう一度僕の隣に腰を下ろした。


「これ、、、」


蓋をゆっくりと開け、僕に差し出す。


「自分の気持ちを拒否されたと思ってた」

・・・・・「そんな、、、違います、、、」

「うん、、、だからそれを今聞いて、すごく嬉しくて・・・」

・・・・・「嬉しかったけど、僕よりももっと似合う人がいるんじゃないかって、そう思って・・・」

「どうして? これは、チャンミンに贈るために僕が選んだんだよ?」


僕の俯いた顔を覗き込むように、ユンホさんは僕と視線を合わせようとする。


「チャンミン? 」


名前を呼ばれて、視線を上げる。
ユンホさんの瞳は、揺れていた。


「手に取って、僕の気持ちを確かめてほしい。君だけに贈る僕の気持ち・・・」


そう言われて、差し出された箱に視線を移す。
時計の針が、流れるように時を刻む。


〝誰よりも大切な人へ贈る、2人だけの愛の時間〟


ミノの言葉を思い出す。

僕とユンホさん、、、二人だけの時間・・・



手を伸ばして、その時計を箱から取り出す。


・・・・・「とっても綺麗」


思わずそう呟く。


「チャンミンをイメージしたんだよ」

・・・・・「僕を?」

「男の子にこんなこと言うのは可笑しいけど、でもチャンミンはとても綺麗だよ。僕はそう思う」


ふわりと僕を見て笑うユンホさんの笑顔。
僕なんかよりも、ずっと綺麗・・・

僕は、手にした時計をゆっくりと裏返した。



〝こっちを向いてよ、チャンミン〟



文字盤の裏に書かれているメッセージ。
胸が、ぎゅっと熱くなった。


・・・・・「ユンホさん、これ、、、」

「言っただろ? ずっと前から君を見てた。信じてくれる?」



信じたいけど、信じられない。

こんな素敵な人が?

カッコよくて、優しくて、カッコいい車に、センスのいい部屋。
それに、会社の社長さん・・・


「チャンミン、、、僕が嫌い?」


突然そう問われて、驚いて顔を上げた。
そして、何度も首を横に振る。


「僕の気持ちは、このメッセージだよ。僕を見てほしい」

・・・・・「でも、僕は何も出来ない」

「そんなことないよ。コーヒーを注文したのに、カフェオレを持ってきただろ?
僕の苦手なもの、ちゃんと知ってくれてる。嬉しかったよ」


思い出しただけで、顔に熱が集まってくる。


「あんなふうに嫉妬されると、心穏やかではいられなかったよ。
彼女がいなかったら、あの場で抱き締めてた」


嫉妬・・・
恥ずかしくて、僕はぎゅっと目を閉じた。


・・・・・「ごめんなさい、、、」

「彼女は取引先の人で、大のコーヒー好きでね。この辺りで、コーヒーの美味しい店はありませんか?
って聞かれて、チャンミンのいるカフェしか思い当たらなくて」


取引先の人・・・


「〝美味しいですよ〟なんて言ったくせに、苦手なのがバレちゃったけどね」


そう言いながら、ユンホさんは苦笑いした。


・・・・・「ご、ごめんなさい、、、本当に、、、」

「いいんだよ、嬉しかったって言っただろ?」

・・・・・「お仕事、ダメになったんじゃ、、、」

「ううん、〝チョン社長は、あんな可愛い男の子にもモテるんですね〟って、、、そう言われたよ」

・・・・・「よ、よかった」


それを聞いて安堵した僕は、心の中で小さく息を吐いた。


「チャンミン、、、僕を見てくれる?」

・・・・・「・・・・・」

「返事が欲しい。このメッセージの返事を、聞かせてくれる?」


ゆっくりと、ユンホさんの大きな掌が伸びてくる。
その大きくて暖かい掌が、僕の頬をふわりと包んだ。

微熱が残る僕の頬が、より一層熱を帯びる。


・・・・・「あの、、、ぼ、僕も、、、」

「うん・・・」

・・・・・「僕もずっと、ユンホさんを見てたいです」


その瞬間、僕はユンホの手に引き寄せられて・・・


微熱と緊張の両方で、熱く火照る僕の額に、
ユンホさんの柔らかい唇が落ちてきた・・・・・








11へつづく

リアルタイムで読んで下さっている読者さま、真夜中にこんばんは。
朝、目覚めてから読んで下さっている読者さま、おはようございます。

このお話も、次回で完結です。
最後までお付合いよろしくお願いいたします。


次の更新は、6時に「淋しい熱帯魚。」です。
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こっちを向いてよ、Honey! 1






・・・・・「さむっ、、、」


気が付くと、僕の身体は冷え切っていて、
空を見上げると、分厚いグレーの雲が空一面を覆っていた。

左腕の時計をちらりと見ると、
僕が店を飛び出してから、もうすでに1時間以上も経っている。

小さく溜息をつくと、目の前に白い息がふわりと広がった。


ユンホさん、帰ったかな・・・


のそりと立ち上がり、僕はとぼとぼと店の方へ足を向けた。




恐る恐る店の扉を開ける。
控えめにドアベルが鳴ると、店内に響くクラシック音楽が耳に入る。

覗き込んで見回すけれど、そこにユンホさんの姿はなかった。
安堵のため息が出た。


--- 先輩、どこ行ってたんですか? ---


カウンターの奥から、慌ててミノが飛び出してくる。


・・・・・「ごめん、、、忙しかった?」

--- いえ、この時間はいつも空いてますから、、、それより、、、先輩、大丈夫ですか?---

・・・・・「うん、、、ちょっと、冷えちゃったかな」


自分でも感じている。
身体の震えが止まらない。

店内に入った瞬間から、暖房の温かさが冷えた身体にジワリと染みてくる。
なのに、芯まで冷え切っている僕の身体は、未だ震えが止まらなかった。


--- 先輩、皇子はついさっき帰りましたよ。
あと30分ほどで上がりですから、奥で温まっててください。---

・・・・・「大丈夫だよ、片づけてくる」


そう言って、僕はトレイを手に持ち、ユンホさんが座っていたテーブルに向かった。


・・・・・「ユンホさん」


テーブルの上のカップ。
中には、冷めてしまったカフェオレが半分残っていた。


そして・・・
カップの下に、そっと置かれていたそれを手に取った。

それは、初めて見た、ユンホさんの名刺。


・・・・・「社長さんなんだ」


これで2つめだ。
僕が知ってるユンホさんの事。

何気なくその名刺を裏返す。


〝チャンミン、、、連絡待ってる。〟


少し癖のある文字で書かれていた、メッセージと携帯電話のナンバー。
その文字を、僕はそっと指でなぞった。

あんな失礼な態度をとった僕を、怒ってないのかな?
連絡してもいいのかな?

ユンホさんからのそのメッセージは、本当ならとても嬉しいはずなのに、
自分の失態を考えると、とても心から喜ぶことが出来なかった。




そして、その夜・・・


昼間、薄着のまま寒空の下で過ごした事が災いとなって、
僕は風邪をひいて熱を出した。

悪いことってこんなにも重なるものなのかな・・・

ベッドにいる間、僕はずっとユンホさんの名刺を手にして眺めていた。
ぼんやりとした視界に、ユンホさんのナンバーが映る。


・・・・・「ユンホさん・・・会いたいな、、、」


何度もそう口にしながら、夢と現実の間を行ったり来たりしていた。

熱はなかなか引かず、ようやくベッドから起き上がることが出来たのは、
金曜日の朝だった。


朝食は喉を通らなかった。

身体はだるくて、未だ頭も少し痛む。
けれど、提出期限の課題を今日の朝までに提出しないといけなくて・・・

仕方なく、頭痛薬を飲み込み、僕は部屋を出た。




表に出ると、冷たい風がさわさわと吹き、
微熱の残る身体を、ブルリと震わせる。

厚いコートに、マフラーと手袋。
首をすくめてとぼとぼと通りを歩く。


同じ方向に歩いてゆく人たちも皆、白い息を吐きながら、寒そうに手をコートのポケットにしまいこんだり、
掌をこすり合わせていた。

気が付くと、あの横断歩道。
信号が、赤から青に変わる。

ぼんやりしたまま、歩道を渡り始めた人たちの波に乗るように、
僕もそのまま歩き出した。


なんだか身体が熱い・・・
頭も時々、ふらりと揺れる感覚を覚える。

僕は早くも、無理をして家を出たことを後悔し始めていた。


ちょうど、歩道の真ん中辺りまで来たとき、
きっと、急いでいたのだろう、、、

後ろから駆けてきたサラリーマンが、追い越し際に僕の肩にぶつかった。
普通ならどうともないことだけど、今日の僕はその少し衝撃に身体がふらついてしまった。


・・・・・「あっ、、、」


気が付いたら、膝が折れ、歩道にふらりと倒れ込んでしまった。


--- あっ、すいません、、、大丈夫ですか? ---


そんな僕に気が付いたサラリーマンが、
驚いて振り返り、僕の手を取ろうとしたその時・・・




僕の身体か、ふわりと浮き上がる。


・・・・・「えっ?」

「大丈夫です。お気になさらず・・・」

--- 申し訳ありません、、、、---


サラリーマンは、僕に深く頭を下げ、急ぎ足で歩道を渡っていく。


「行こう、、、」

僕の身体は、逞しいその人の身体にいつのまにが支えられていて・・・


・・・・・「ユンホさ・・・どう、、、して、、、?」

「急いで、、、もうすぐ信号が変わる」



そう言いながら歩いた先・・・
信号待ちをしている車の最前列。

ユンホさんの車の助手席に、僕はゆっくりと誘導され、腰を下ろす。
回り込んだユンホさんが、運転席に腰を下ろし、ドアが閉まった瞬間、
信号が、青に変わった。


「うちは? どこ?」


走り出す車・・・

・・・・・「あ、あの、、、、学校へ行かないと、、、」


あっという間の出来事で、僕は気が動転していた。

それに・・・
ちらりと覗き見るユンホさんの表情は硬く、言葉は少し冷たい。

どうしていいのか分からなくて、僕はまた、黙って俯いてしまう。


「そんな身体で、出歩くなんてダメだろ」


何も言えなくて、、、
僕はそのまま、手袋をした両手をぎゅっと握りしめていた・・・・・




「着いたよ、、、」


静かに車が止まり、エンジンの音が途切れると、
ユンホさんは、ようやく僕の方に視線を向ける。

僕は俯いたまま。

そんな僕を見て、大きなため息をつくと、


「行こう・・・」


そう言って、車から降りた。
顔を上げると、知らない場所・・・

どこかの、駐車場・・・

辺りをキョロキョロ見回していると、
ドアが開き、冷たい風が入り込んだ。

それだけで、僕の身体はゾクリと大きく震えた。


「降りて、、、」


ここはどこだろう・・・


・・・・・「あの、、、」

「僕のマンション・・・早く、、、」


腕を掴まれて、少し強引に車から降ろされる。
僕のカバンは、ユンホさんの手に・・・

車のロックが自動でかかると、ユンホさんは僕の手をぎゅっと握りしめ、
歩き出した。





「寒くない?」

・・・・・「はい、、、」


通された部屋は、広くて綺麗で、センスのいい家具が置かれている。
部屋全体がとても暖かく、暫くするとようやく身体の震えが治まってきた。

座り心地のいいソファ。
ユンホさんが、キッチンからマグカップを手に、僕の隣のソファに腰を下ろした。


「はい、柚子茶。温まるから・・・」

・・・・・「ありがとうございます」


手渡されたお茶を、そっと口に含む。
喉にゆっくりと通すと、身体の奥から温まるのを感じた。


「辛そうな顔してる。風邪ひいたの?」

・・・・・「はい、、、」


俯いたままで、そう答える。

ユンホさんの顏は見れない。

色んなことが、頭の中を駆け巡って、申し訳ないのと恥ずかしいのと、、、
どうしていいか分からず、
何も言えない、何もできない・・・


「あんな薄着で、飛び出すからだよ、、、」

・・・・・「ご、ごめんなさ、、、」


ごめんなさい・・・
そう言いたかったのに、言い終わる前に、僕の言葉は空に消えた。


・・・・・「ユ、ユンホさ・・・ん?」


痛いくらいの力で、僕はユンホさんに抱きしめられていた。


「君に、言いたいことが沢山あって・・・」

・・・・・「・・・・・」

「ここ数日、ずっと待ってたんだ。チャンミンからの電話」

・・・・・「・・・・・」

「何度も何度も、着信を確認して・・・でも、電話がなくて、、、
だから、、、だからやっぱり、僕は嫌われてしまったんだとそう思ってた。あの時計も、返されてしまったしね、、、」

・・・・・「ち、ちが・・・」

「君は、いつも僕と目を合わせてくれなくて、、、
僕はずいぶん前から君を見ていたけど、君はいつも僕を避けてて・・・」

・・・・・「そんな、、、ち、ちが、、、」

「僕に気がついて欲しかった。僕を見て欲しかった。〝こっちを向いて? 僕を見て?〟って・・・
いつも君に心の中でそう話しかけてたんだ。いい大人が、バカみたいに・・・」


・・・・・「ユンホさん」



信じられない
ユンホさんが、僕を?


「でも、もう止めるよ。こんな、回りくどいのはもう止める。」

・・・・・「・・・・・」

「ねぇ、チャンミン、、、こっち向いて? 僕を見て?」


強く抱きしめられていた身体が、解放される。
揺れる瞳を、思い切って上げる。


綺麗な瞳・・・
ユンホさんが、僕を見つめていた・・・



「君が好きだ・・・・・」








10へつづく

リアルタイムで読んで下さっている読者さま、真夜中にこんばんは。
朝、目覚めてから読んで下さっている読者さま、おはようございます。

君が好きだ、、、
ユノに言われたら、みんな、、、どう? (///▽///)フフフ♡

次の更新は、6時に「淋しい熱帯魚。」を更新します。
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こっちを向いてよ、Honey! 1







・・・・・「はぁぁ、、、」


大きなため息をついて、僕は今日も大きく肩を落とす。


・・・・・「そろそろ行かないと、講義に遅れちゃうな」


大学のある方向に足を向け、ゆっくりと歩き出す。
2、3歩歩いて、また足を止めた。

振り向いて、もう一度横断歩道を見渡すけれど、
朝のこの時間は、学校や会社で急ぐ人たちが沢山で、
スピードを速めて通り過ぎる車の中から、彼の車を見つけることは出来なかった。


もう何日、こんなことを繰り返しているだろう


---皇子は先輩が好きなんですって! ---


ミノに言われて、ドキリと胸が高鳴った。

けれど、それが真実なのかは、正直分からない。
ユンホさんにしか、分からない・・・


---皇子は先輩にフラれたと、、、そう思い込んでるんですって、、、---


けれど、もし、ユンホさんが誤解をしてるなら、
自分の口からちゃんと、話さないと・・・



でも、僕はユンホさんのことを何も知らなかった。

住所も、会社も、電話番号も・・・

だから僕は、毎日この場所に足を運んだ。
ユンホさんと、車のフロントガラス越しに視線を重ねた横断歩道。

ユンホさんが、この場所に居たのはただの偶然で、
たまたま、この道を通っていただけなのかも・・・


でも、そうじゃなくて・・・


もしかしたら、毎朝この道を通って会社に向かっているかもしれない。
そうだとしたら、きっといつかまた逢えるはず・・・

そんな風に自分の心を慰めながら、
今日もまた、僕はその場所を後にした・・・・・





--- で、今日も皇子には出会えなかったんですか? ---


月曜日・・・


いつもなら、ユンホさんがそろそろ扉を開ける時間・・・
けれど、やっぱり今日も現れない。


・・・・・「うん、、、まぁ、絶対っていう確証は最初からないから、、、」

--- そうですか、、、---


もう1ヶ月だ。
1ヶ月以上、ユンホさんの顔を見ていない。


・・・・・「気長に、、、」


その時・・・

僕の言葉を遮るかのように、店の扉が開き、
客が来たことを知らせるドアベルが店内に響く。


・・・・・「いらっしゃいませ」


振り返らず、そう口にした。
グラスに水を注いでいると、


--- せ、先輩、、、---

・・・・・「ん?」

グラスの中の氷が、カランと音を立てた。

--- お、皇子、皇子が来ました! ---

・・・・・「えっ?」


思わず振り向くと、扉の傍にユンホさんが立っている。
そして、店内をゆっくりと見渡していた。

僕は、なぜか反射的にすっと身を隠してしまう。

ユンホさん・・・
ユンホさんが、来てくれたんだ。


やっと、、、

どうしよう・・・
そうだ、ちゃんと伝えなくちゃ・・・

誤解を解かないと・・・


隠れてないで、ちゃんとユンホさんと話さなくちゃ、、、


意を決して、僕はユンホさんに声をかけようと、
隠れていた場所から身を乗り出して、ユンホさんを視界に入れた。







--- チョン社長? ---


突然耳に届いた声。
ユンホさんの後ろから、小さな顔が覗く。


「さぁ、どうぞ、、、」


ユンホさんは僕がいることを知っているのか知らないのか・・・
カウンターへは視線を向けることなく、自分の後ろに立つその人に、優しい微笑みを向けた。

ふわりと緩やかな風のように現れたその人・・・

美しい黒髪が、妖艶に揺れる。
大きな瞳、赤い唇、長い睫毛・・・

短いスカートから覗く、長くて細い足・・・
細いヒールが、高い音を立てる。

綺麗な人
すごく、綺麗な、、、

ユンホさんは、その女性をエスコートするように優しくいつもの席に案内する。
2人は、小さなテーブルを挟んで向かい合って座った。


--- せ、先輩、、、女、、、女連れですよ、、、、マジかよ? ---


その様子を見て、僕はまるで、頭を強く殴られたような衝撃を受けた。
胸に手を当て、早まる呼吸を無理やり押さえつける。


--- 先輩、僕が行きますから・・・---


僕を気遣ってか、ミノがカウンターの向こうから慌てて出てくる。

けど・・・


・・・・・「ううん。大丈夫、僕が行く」

--- で、でも、、、---


どうしてだか、それは分からなかった。
でも、心の奥底から湧き上がるこの気持ち・・・

嫌だ
取られたくないよ

ユンホさんは僕のだ。
絶対に、誰にも渡さない・・・

まるで、大切な大切な宝物を取られたような、そんな気持ち・・・


・・・・・「大丈夫、、、僕は負けない」

--- は? 先輩? ---


僕は、手にしたトレイにもう一つ、水を注いだグラスを置いた。
大きく深呼吸すると、ユンホさんの席に向って歩き出す。





・・・・・「いらっしゃいませ」


ちらりとユンホさんを盗み見るけれど、
ユンホさんは僕を見ようとはしない。


・・・・・「ご注文は・・・」


2つのグラスの中の水が、テーブルの上でユラユラと揺れている。


「僕はコーヒーを。何になさいますか?」


コーヒーなんて、いつも飲まないのに・・・


--- 私もコーヒーを・・・ ---

・・・・・「分かりました。少々お待ちください」


脚が震えてる。

でも、どうしてだか僕は、今まで感じたことのない可笑しな感情が、
ゆっくりゆっくり心の中に湧き上がって来るのを感じていた。



--- チョン社長、先日のお話なんですけど、、、---

「ああ、あれはですね、、、」



楽しそうに会話する二人の笑い声を背中で聞きながら、カウンターに戻る。


何だよ
何なんだよ


・・・・・「ミノ、コーヒー、、、」

--- 先輩? どうしたんですか? そんな怖い顔して・・・---


分かってる、、、
この初めて感じる可笑しな気持ち。

ふつふつと湧き出るこの感情、、、
ユンホさんへの怒り? 嫉妬?

とにかく、僕は今、猛烈に怒ってるんだっ!!


・・・・・「ミノ、コーヒーとカフェオレ、、、急いで・・・」

--- は、はい・・・お待ちを・・・---


何なんだよ、、、
1ヶ月も姿を現さず、やっと来たと思ったら女の人なんか連れちゃって・・・

僕に、、、
僕に当てつけてるの?

僕が時計を返したから、それで怒ってわざわざ店に女の人を連れてきたの?


ギュッと握りしめた掌が、プルプルと震えた。






・・・・・「お待たせしました、コーヒーと・・・」


楽しそうに会話をしている2人の間に割って入る。
そして、震える手に力を入れて、コーヒーを女性の前に置いた。


・・・・・「カフェオレです」


ユンホさんの前に、カフェオレの入ったカップを置く。
それを見たユンホさんが、今日、初めて僕と視線を合わせた。


「コーヒーを、頼んだつもりだけど、、、」

・・・・・「知ってます。」

「・・・・・」

・・・・・「けど、、、ユンホさんはコーヒー苦手ですよね?」

「チャンミン・・・?」

・・・・・「僕は知ってます。 この人より・・・」


目の前の女性は、大きな目をさらに見開き、
驚いた様子で僕たちの会話を聞いていた。


・・・・・「この人より、僕の方がユンホさんを知ってる!!」





--- 先輩っ!! ---


そのまま僕は、店を飛び出した。

何も知らないのに、、、
僕は、ユンホさんのことを何も知らないのに・・・

本当は、コーヒーが苦手ってこと

それだけ・・・
それだけしか知らないのに・・・・・


息を切らせてたどり着いたのは、
街の大きな噴水のある広場・・・

噴水の池は、寒さのせいで薄い氷が張っている。

暖かい季節は、恋人たちが集うこの場所も、
この寒空では、皆、首をすくめて通り過ぎる。

僕は、噴水の傍に置かれたベンチに腰を下ろした。


〝この人より、僕の方がユンホさんを知ってる!!〟


つい、あんなことを言ってしまった。
頭を抱えて、何度もため息をつく。

ユンホさん、きっと怒ってる、、、

自分のしたことの愚かさに、ようやく気付く。



悔しかったんだ。

何も知らない、何も言えない、何もできない、、、
そんな馬鹿で弱い自分が、ただ悔しかった。


冷たい風が、まるで僕をあざ笑うかのように、
エプロン姿の僕の隣を吹き抜けていった・・・・・







9へつづく

リアルタイムで読んで下さっている読者さま、真夜中にこんばんは。
朝、目覚めてから読んで下さっている読者さま、おはようございます。

今朝は5時に起床予定(;・∀・)
お洗濯して、お掃除して、家族のお昼ご飯準備して広島に向かいます。
がんばろーっヾ(・∀・)ノ

次の更新は、6時に「淋しい熱帯魚。」です。
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私の心の中のお話です。
ご了承ください。


こっちを向いてよ、Honey! 1





・・・・・「さむっ、、、、」


ついこの間まで、美しい紅葉で輝いていた通りは、
いつの間にか、辺り一面落ち葉で覆われ、冷たい北風が吹き始めている。

今日、家の扉を開けてゾクリと身震いした僕は、
昨日よりも一層厚いコートを羽織り、肩を竦めながら歩いていた。

通りを歩く人は皆、冷たく冷えた掌をこすり合わせながら、白い息を吐いている。
僕は、冷たい風に小さく震えながら、横断歩道で信号が変わるのを待っていた。


・・・・・「長いな、、、」


いつもはそんなに気にならないのに、
こう冷えてくると、少しの間立ち止まる事すら億劫に感じてくる。

小さく足踏みをしながら、両の掌を口元に当て、はーっと大きく息を吐いた。




ふっと、前を見ると、信号が点滅している。
車道を勢いよく走っていた車が、停止線でスーッと止まった。


・・・・・「あっ、、、」


遠目にでもそうだと分かる。
あまり見ない高級車は、普通に誰の目にも留まる。


・・・・・「ユンホさん・・・」



「僕のことは、気にしなくていい。」



あんなことがあって、次に会うときどんな顔をすればいいんだろうって、
そればかり考えていた。

けれど、それはいらない心配だった。
もう、3週間、ユンホさんはお店に来ていない。


きっと、もう、来ない・・・


あんなふうに、彼の好意を押し返したから、
気を悪くしたんだ。

今度こそ、本当に嫌われちゃったかな・・・・・



気が付くと、周りの人たちは、急ぎ足で横断歩道を歩いてゆく。
少し遅れて、僕は俯くようにして歩道に足を踏み入れた。

人の波に紛れながら、ユンホさんから隠れるようにして歩く。

車の前を少し通り過ぎて、僕はスピードを少し落とした。
そして、少しだけ振り向くようにしてユンホさんの方を見た。


・・・・・「あっ、、、、、」


その視線に、思わず足が止まる。

ユンホさんは、僕に気が付いていた。
少し影があるその表情が、なんだかとても物悲しくて・・・

横断歩道の真ん中で、僕は目が逸らせなくなった。
お互いの視線がぶつかり合う。

そして、その視線を先に逸らせたのは、、、
ユンホさんだった。


--- 危ないよ、、、---


僕の隣を走り去る誰かが、そう声をかけてくれる。
信号は点滅し始めていて、僕は慌てて歩道の向こう側へ駆け出した。


渡りきったところで、止まっていた車が一斉に走り出す。
その沢山の車の中に、ユンホさんの車も紛れていた。

速いスピードで走り去り、あっという間に見えなくなった。

僕は暫く、その場に立ち尽くしていた。
心臓が、ドキドキと鼓動を速めていた。








---あっ! 先輩!! ここに居たんですか? 探してたんです!---


授業を終え、僕は構内のカフェでぼんやりとコーヒーを飲んでいた。
一番奥まった、陽の光が射す暖かい場所。


・・・・・「ミノ、、、」


窓の外に向けていた視線を戻すと、いつの間にかテーブルの向こう側にミノが座っていた。


--- 先輩、落ち込んでますね? ---

・・・・・「別に、、、そうでもないよ、、、」


精一杯の強がりで、口角をぎゅっと上げる。


そんな僕を見て、苦笑いのミノ・・・


・・・・・「はぁ、、、」


上手く笑うこともできない。
溜息が出た自分が、より一層みじめになった。


--- 先輩って、浮いたり沈んだり忙しい人ですね---

・・・・・「うるさい」


痛いところを突かれて、ますます落ち込む。


--- そんなどん底まで落ち込んでいる先輩にっ! じゃじゃーーーーん!! ---

・・・・・「ん? なに?」


僕の目の前に差し出されたのは、いつもミノが持ってるタブレット。
分からないというようにミノをじっと見ると、


--- 気になって、調べてみたんです。これ、、、ほら、見てください---


窓から差し込む光が、タブレットの画面に反射してよく見えない。
僕は、良く見えるように少し角度をずらせて、画面を覗き見た。


・・・・・「これって、、、」

--- ほら、これ、、、デザインが違うけど、先輩が皇子に貰った時計と同じシリーズですよね? ---

・・・・・「う、うん、、、」


そこに映っていたのは、この前・・・



・・・・・「こんな高価なもの、、、受け取る理由がなくて、、、」



ユンホさんに返した時計>



--- これ、やっぱりデザインはオリジナルのようです。驚くのは、、、ほら、ここ見てください---


ミノが指さすところ・・・



〝誰よりも大切な人へ贈る、2人だけの愛の時間〟



・・・・・「・・・・・」


愛の?
2人だけ?

うそ、、、、


--- ね? 僕の言った通りでしょ? 皇子は先輩が好きなんですって! ---

・・・・・「まさか」

--- でね、この時計、ペア限定で、、、さらに裏にメッセージが入れられてるらしいですよ---

・・・・・「メッセージ?」

--- 文字盤の裏に、入れられてるみたいです。見ました? 先輩? ---


メッセージ、、、
ユンホさんからの・・・


僕が小さく首を振ると、ミノはニヤリと笑った。


--- なるほどねぇ、、、---

・・・・・「・・・・・な、なに?」

--- 皇子は、先輩にフラれたと思ってるんですよ---

・・・・・「えっ? なに、それ、、、」

--- だってそうでしょう? これ、ペアなんですよ? 同じデザインは世界でたった1組だけ・・・---


人差し指をピンと伸ばし、タブレットの中の時計を指さした。


・・・・・「だから?」

--- 先輩、そのでっかい目で、よーーーく見てくださいよ。〝二人だけの愛の時間〟ですよ? ---

・・・・・「そんなの、、、だからって、フラれたとか、、、」


そう言いながら、僕の頭の中はパニックになっていた。
瞳がどうしても泳いでしまう。

はぁぁぁ、、、と、大きなため息が聞こえる。
見ると、ミノが目を細めながら、僕をじっと睨んでいた。


--- いいですか? 皇子は、あの時計に愛の告白のメッセージを刻んだんです。それを先輩に渡した。---

・・・・・「・・・・・」

--- けれど、先輩はそのメッセージにも気が付かず、皇子に突き返した---

・・・・・「突き返したわけじゃないよ、、、」

--- 故に、皇子は先輩にフラれたと、、、そう思い込んでるんですって、、、---


どうだ!
と言いたいのか、自慢げな顔をしてふふっと笑うミノが、

なんだか、、、、

なんだか天使に見えてきた。


本当かな、、、
本当に、ユンホさんが、、、、僕を?

僕なんかを?



--- 先輩、誤解を解くために皇子に会わないと・・・・・連絡先、知ってますよね?---


ユンホさんの連絡先・・・


・・・・・「知らない、、、」

--- 番号交換してないんですか? ---


僕は、長い間ユンホさんを見つめてきた。
けれど、ユンホさんの瞳に僕が映ったのは最近の事・・・

そうなんだ、、、

僕達は、連絡先も知らない。
ただの〝知り合い〟に過ぎない。

時計のことは、きっと何かの間違いなんだ。


--- 先輩、皇子のことで、何か些細なことでも知ってる事、ないんですか? ---

・・・・・「知ってる事」

--- このままで終わらせるなんて、絶対に後悔しますよ? 全力で行きましょう、ね? ---

・・・・・「1つだけ、、、」



好きな人のことを、何も知らない僕が出来る、たった1つの事・・・・・








8へつづく

リアルタイムで読んで下さっている読者さま、真夜中にこんばんは。
朝、目覚めてから読んで下さっている読者さま、おはようございます。

さて、広島へ行くのに秋物の洋服を引っ張り出してきましたが、
驚いたことに、、、、パンツのウエスト部分がデカイっ!!
痩せてるーーーー(/・ω・)/

ダイエットして7キロ痩せましたけれど、見た目も変わってないし、
ホントに痩せたのかな?って思ってたんです。
初めて実感しました。
とりあえず、目標体重になりましたので、
今後はこれを維持すべく頑張ります。


それでは、次は6時に「淋しい熱帯魚。」でお待ちしています。
いつもご訪問ありがとうごさいます。




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