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私の心の中のお話です。
ご了承ください。



きっと、それも、あなた。3




--- お前さ、真面目過ぎるんじゃね? ---

・・・・・「真面目なのは僕じゃなくて、チョンさんだよ、、、」

--- 何もそんなに頑なにならなくても、、、あんな上物、勿体ねぇ、、、---

・・・・・「そういう言い方はやめてよ、全く、、、」



そう、僕には勿体ないんだ。

あんな、心が綺麗な人・・・
見かけで人を判断してしまうような僕は、あの人には釣り合わない。


構内の広いロビーの椅子に腰を掛けて、
外の景色を眺めながら、チョンさんのことを考える。


彼の思わぬ告白。
あんなふうな言い方しか出来なかったことを、少し申し訳なく思ったけれど、
けれど、後悔はしていない。

もし、彼のあの純粋な気持ちを受けていたとしても、
何時か僕の心の〝ボロ〟が出る。

きっと彼を、ガッカリさせてしまう。

彼にはもっと、心も容姿も美しい女性、、、いや、男性?  

ふっと、、、苦笑いした。
どっちにしろ、僕じゃない。


これでよかったんだ。


僕は、自分にそう言い聞かせるように何度も心の中で呟いた。







--- チャンミン、、、行くか? ---

・・・・・「ん? 何処へ?」

--- 例のバー、、、いい男が沢山いる方の・・・---

・・・・・「まさか、、もう、、、」

--- いや、実はさ、、、チャンミンには言いにくいんだけど、、、---

・・・・・「まさか、あのバーの彼にフラれたとか?」


冗談でそう言ったのに、
友人の顏がみるみる萎んでゆく。


・・・・・「うそ、、、マジ?」

--- ん、、、好きな男が出来たんだってさ、、、---


ジワリと目に涙が滲んでいく友人が、

可哀想で、不憫で、、、
でも可笑しくて・・・

肩にぐるりと腕を回して、ぎゅっと抱きしめた。


--- チャンミン、、、---

・・・・・「ん?」

--- もう、この際だから、俺達 付き合わね? ---

・・・・・「バカ、、、僕は面食いだって、知ってるだろ?」


2人して笑い合う。
窓の外の空は、冬なのにとてもとても青かった・・・







・・・・・「ねぇ、もう帰ろうよ」




1か月後・・・

僕と友人は、例のバーのカウンターに並んで座っていた。

失恋から見事復活した友人にどうしても、、、と頼まれて、
またここに足を踏み入れる羽目になった。


視線が痛い・・・
けれど、僕は友人にピタリと張りついて、自分をガードしていた。


--- チャンミン、そんなにくっついてたら、俺が動けない ---

・・・・・「だって、、、」


確かに、友人はここに自分の〝相手〟を探しに来ているわけで、、、

僕がこんなに張り付いていたら、新しい出会いなんて皆無なんだろうって、
そう分かってはいても、前回のこともあってか、僕はなかなか友人から離れられないでいた。



--- チャンミン、俺、ちょっとっ!---

・・・・・「えっ? まっ、待ってよ、、、ねぇ、、、」

--- 待ってろ、すぐに戻るからっ---


ギュッと友人のシャツを握りしめていた僕の手を振り払うようにして、
フロアの奥に消えた友人。

好みの相手を見つけたのか・・・
1人になった途端、回りの視線がさらに強くなったような気がした。


もう帰ろう・・・

頭の中で警告音が鳴り響く。

これは帰った方がいい。
本能がそう察知した。


ポケットから財布を取り出そうとしたその時・・・


--- 1人? 一緒に飲まない? ---


ほら、、、こうなるから嫌なんだよ・・・


・・・・・「い、いえ、、、もう、帰るので、、、」


そう言いながら、振り向くと・・・


げ?
嘘だろ・・・


--- あーっ、、、君、、、一度会ったよね、この店で、、、---


あの時の、あの男、、、

そこに立っていたのは、以前ここに来たとき、トイレの前で待ち伏せていたあの男だった。


・・・・・「い、いえ、、、僕は、、、知りませ、、、」

--- 再会じゃん、、、ね? 運命だと思わない? ---


そんな運命、呪ってやる。


・・・・・「すいません、急ぐので、、、」


バーテンダーに代金を渡して、店を出ようと扉に脚を向けると、、、


--- 逃げんなよ、、、いいだろ? ---


行く手を阻まれる。


・・・・・「離してくださいっ!」


腕を掴まれ、逃げられない。
振り払おうとするのに、とても強い力でどうにもならない。


・・・・・「止めて、、、離して、、、」









「その汚い手を離せ・・・・・」


えっ?


「その人に触れるな」

--- 何言ってんの? あんた、誰なん、、、痛っ、、や、止めろっ!---


突然、風のように現れて、男の腕を掴んで捻った。
男の手が、ようやく僕から離れる。


・・・・・「チョン、、、さん?」


そこにいたのは、スーツ姿のチョンさんだった。


--- や、止めろって、、、---


痛がる男の腕を突き放すように解くと、男は逃げるように店を出た。
回りの客は、事の成り行きをじっと見ているのか、、、


それとも、、、



「チャンミンさん、お怪我は、、、?」

・・・・・「・・・・・」


このイケメン過ぎる〝男〟に見とれているのか・・・



「チャンミンさん? 大丈夫ですか?」

・・・・・「ど、どうして、、、貴方がここに・・・」

「ごめんなさい、、、通りで貴方を見かけて、、、それでつい・・・」


僕についてきたってこと?


話し始めた僕達に、客たちの視線は、それぞれ自分の場所に戻ってゆく。


・・・・・「と、とにかく、、、ありがとうございました。助かりま、、、」

「チャンミンさん!!」


店内に流れる音楽の音さえも、掻き消すほどの声で、
チョンさんが僕の名前を呼んだ。

驚いて動きが止まったのは、僕だけじゃなかった。


店の客たちの視線が、再び僕とチョンさんに集中する。
音楽以外の音が、消えてしまったかのように静まり返るこの空間・・・


・・・・・「あ、あの、、、チョ、、、」

「お相手はいますかっ!」

・・・・・「えっ?」

「よ、よかったら、、、僕と、、、僕とお付き合いしてくださいっ!!」


!!!!!


そう言いながら、チョンさんはなぜかスーツの内ポケットから、あの黒縁メガネを取り出して慌てて掛けた。

スーツ姿がビシッと決まってる>
なのに、流行りの過ぎた黒縁メガネ・・・


似合って、、、なさすぎる・・・


「あの、、、何なら、着替えてきます。」

・・・・・「き、着替え?」

「この恰好では、チャンミンさんのお好みではないかと、、、」



もしかして、この人って、
とんでもない勘違いをしてるかも、、、




視線が痛い。
皆が見てる。

けど、僕はその時、そんなことはどうでもよくなっていた。


正直になろう。
もう、この人をこれ以上、欺くことは出来ない。



・・・・・「チョンさん、、、、」

「はい」

・・・・・「僕は、貴方を外見だけで判断して、自分勝手に貴方を傷つけました。」

「・・・・・」

・・・・・「僕は、その人の中身に目を向けようともせず、見た目で人を判断するようなバカな人間です。」

「・・・・・」

・・・・・「だから、前にも言いました。貴方の気持ちを受ける資格など無いと、、、」

「チャンミンさん」

・・・・・「ごめんなさ、、、、」

「でもっ!! でも、今は本当の僕を知ってくれてますよね?」

・・・・・「・・・・・」

「こんな僕は、、、やっぱり駄目ですか?」

・・・・・「・・・・・そうじゃなくて、、、」

「僕はっ!! 僕は貴方の全てを受け入れます。どんな貴方も・・・」

・・・・・「・・・・・」

「きっと、それも・・・」

・・・・・「・・・・・」

「きっと、それも、貴方だから・・・・・」


それも、、、僕・・・


・・・・・「チョンさん、、、」

「どうしても、諦められません。」

・・・・・「・・・・・」

「好きです。大好きです。僕と、付き合ってくださいっ!」



目の前には、身体を直角に曲げて僕に向かって手を差し出す彼、、、


・・・・・「で、でも、、、」



息をのむ・・・
ここに居る全ての人が、まるで僕の返事を待っているかのようだ>




どうしよう、、、
どうしよう、、、



ふっと視線を上げると、カウンターに座ってこちらを見ている友人の顔が僕の視界に入る。
僕に向かって、満面の笑みを浮かべて、そして、親指を立ててる。


頑張れって、そう友人の声が聞こえた気がした。


友人の笑顔が、揺れる僕の背中を強く推してくれた。
僕は大きく頷いた。


・・・・・「顔、上げて下さい、チョンさん」


僕のその言葉に、チョンさんは差し出していた手をゆっくり下ろしながら、顔を上げる。
僕を見つめる黒縁メガネの奥の瞳が、不安げにユラユラ揺れている。


そっと、チョンさんに両手を伸ばす。
そして、黒縁メガネに手を添えて、ゆっくりと外した。


「チャンミンさん?」

・・・・・「この方が、素敵です。」

「えっ?」

・・・・・「着替えなくても、眼鏡もなくても、、、そのままが素敵です。」

「チャンミンさん、、、」

・・・・・「こんな僕でよかったら、、、よ、よろしくお願いします」


そっと、チョンさんに向かって伸ばした手。
その手は、すぐにチョンさんの温かい掌に包まれた。


店中に広がる歓声、、、


その夜、、、
バーは、まるでお祭りのような賑やかな空間になった。








・・・・・「出張ですか、、、ユンホさん、どのくらいで帰ってきますか?」


あの日。

バーで僕たちは心を繋げた。

僕達二人の恋の成り行きを、息をのんで見守っていてくれた、あの時店に居たすべての人達、、、
皆に祝福され、僕達二人は手を繋いで歩き始めた。


あれから数か月・・・

季節も変わり、初夏を感じさせる温かい風も吹き始める。
ユンホさんが運転する車の助手席から、窓の外を眺め、季節を感じていた。



「2週間くらいです。 出来るだけ早く戻ってきますね。」

・・・・・「電話、、、してくださいね? 」

「もちろん。」



僕達の距離は、日々少しずつ近くなってゆく。



・・・・・「けど、心配です。お仕事だし、お付き合いとかでああいう場所に行ったりしませんか? 行っちゃイヤです。」

「ですから、何度も言いました。僕は男の人が好きなわけじゃないんです。」

・・・・・「分ってます。でも、、、」

「僕は、他の誰にも興味はありません。勿論、男性も女性も、、、チャンミンさんだけです。」

・・・・・「は、はい、/////」


驚いたことに、ユンホさんは〝ゲイ〟ではなかった。

あの時、、、
近々オープンする店舗が近かったこともあり、周辺の店をリサーチしていただけだと、後で聞かされた。

そして、あの〝ダサ男〟は、場所が場所だけに、
変装する必要があると、秘書の指示に従っただけだと、、、

秘書さんによると、ユンホさんは、自分の容姿に全く興味がないらしい。
自分がどれだけ素敵なのか、自分ではよくわかっていないとか・・・


〝社長がいつもの姿であのような店に行かれると、大騒ぎになると思いましたので・・・〟


その話を聞いて、ある意味秘書さんの判断は正しかったのだと、そう思った。


ただ、ユンホさんは、あの時の自分の姿に僕が惹かれたんだと勘違いしていて、
毎週の公園デートの時も、敢えてあの恰好で来ていたのだと、、、


ありえないけど
絶対にありえないけど



「僕よりも、チャンミンさんの方が心配です。」

・・・・・「僕は、、、」

「はい、、、」

・・・・・「僕は、よそ見したりしないです。」

「カッコいい男性と出会っても?」



こんな風に、ユンホさんは時々僕に意地悪を言う。


・・・・・「ユンホさんより素敵だったら、、、考えます。」

「そ、それは、、、困ったな、、、どうしよう、、、」

・・・・・「ふふ、、、嘘です。ユンホさんより素敵な人なんて、、、」

「・・・・・」

・・・・・「ユンホさんが1番素敵です。」



運転席のユンホさんは、前を見据えたまま耳を真っ赤に染めていた。
僕は、誰よりも近い距離で、世界一カッコいい横顔を眺めてる。


ふっと、目に入った、運転席のサンバイザー。
カッコいいサングラスの隣に、あの黒縁の眼鏡が並んでいる。


あの時・・・
あの眼鏡をかけたユンホさんは、とても〝ダサ男〟に見えたけれど・・・

もしかしたら、今なら〝カッコいい〟なんて思うかも?


だって今は、貴方の全てが愛おしく思える。
きっとそれは、貴方の心まで好きになれたから・・・


どんな貴方でも、




きっと、それも、あなた だから・・・・・




・・・・・「ユンホさん、、、」

「はい?」

・・・・・「大好きです。」

「はい。僕も、チャンミンさんが大好きです。」








きっと、それも、あなた。 ・・・  fim

リアルタイムで読んで下さっている読者さま、真夜中にこんばんは。
朝、目覚めてから読んで下さっている読者さま、おはようございます。

「きっと、それも、あなた。」 本日の10話で完結です。
10話という短い間でしたが、このお話、進むにつれて読んで下さる読者さまが増えたように思います。

随分前に書いたお話なのに、
沢山応援していただいて、本当に嬉しかったです。
ありがとうございました。

明日からも、真夜中更新、ごひいきに(笑)




それでは、次は6時に淋しい熱帯魚。でお会いしましょう♪
いつもご訪問ありがとうございます。




こころ。

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私の心の中のお話です。
ご了承ください。



きっと、それも、あなた。2






僕の熱がようやく下がったのは、あれから2日後の朝だった。

とにかく、早くここを出て行かないと・・・
それしか考えられなくて、、、

これ以上、彼に迷惑を掛けられない。



まだ少し、身体の火照りと頭痛が残っていたけれど・・・



〝ご迷惑おかけして、本当に申し訳ありませんでした。お世話になりました〟



沢山言いたことも伝えたいことがあったけれど、それすら僕には許されないような気がして・・・
僕は、小さなメモにそれだけ書いた。


その小さなメモをテーブルの上に置いて、部屋を見渡す。

チョンさんは忙しい仕事の合間を縫っては、ここに戻ってきて僕の傍にいてくれた。

特に何を話すわけでもない。
ただ、穏やかな表情で僕を見つめ、時には僕の髪を優しく撫で、時には僕の手をギュッと握ってくれた。

熱のせいで、ガラにもなく心細くなっていた僕の心が、
どれだけ癒されただろうか・・・



・・・・・「チョンさん・・・」



ふっと、視界に入ったのは、大きなソファ

ここ数日は、僕が彼のベッドを占領していたから、
きっと彼は、リビングのこのソファで寝ていたんだと思う。


無造作にソファに放り出された毛布を手に取ると、フワッと彼の匂いがした。

それがなんだか、とても僕の胸をギュッと締め付けて・・・
思わず、その毛布を胸に抱いた。


・・・・・「チョンさん、、、本当にごめんなさい。」


少しちらかった部屋の掃除をして、
僕は、チョンさんが仕事で留守にしている間に、彼のマンションを出た。






外に出ると、身体がぶるっと大きく震える。
冷たい風が、僕の身体を掠めてゆく。

ここが、何処なのか・・・
余り人通りもない、静かな住宅街の中をトボトボと歩く。

どの位歩いたか、ようやく遠目に見覚えのある場所が目に映った。


ホッと、胸を撫で下ろしたその時、、、


「チャンミンさんっ!」


バタン! と重く響く音と共に聞こえたその声。
振り向くと、スーツに身を包んだチョンさんが、慌てて車のドアを閉めて僕に駆け寄ってきた。


あっ、、、カッコいい、、、


こんな時なのに、チョンさんの姿を見て、そんなことばっかり思ってしまう。
ほんとにダメだな、僕は、、、




「良かった・・・」

・・・・・「チョンさん」

「マンションに戻ったら、これが、、、」



彼の手には、僕が残した小さなメモ・・・



「まだ、部屋が少し温かかったから、もしかしたらまだ近くにいるかもって、、、」

・・・・・「・・・・・」

「お帰りに、なるんですね。」

・・・・・「はい。本当に、ご迷惑かけてしまって、、、ありがとうございました。」


僕は、チョンさんに向って深々と頭を下げた。



「お家までお送りします。」

・・・・・「いえ、、、これ以上ご迷惑をおかけできません。僕は、大丈夫です。電車で、、、」

「迷惑じゃないです!」



大きな声に驚いて、思わず顔を上げて目を見開く。



「迷惑なんかじゃ、、、お願いです。送らせてください。」

・・・・・「でも・・・」

「今日はとても寒いし、、、せっかく良くなりかけているのに、風邪がぶり返したら・・・」

・・・・・「・・・・・」

「これが最後です。もう、これ以上貴方に付きまとったりしません。」

・・・・・「そんな、、、」

「ダメですか? なら、せめて駅まで、、、」

・・・・・「チョンさん、、、」



彼の汚れない純粋な心
僕に向けられる彼の真摯な気持ち

真っすぐに伝わってくればくるほど、自分が責められているようで苦しかった。


僕には、彼の優しい気持ちを受ける資格はない。


あんな態度で彼を邪険に扱った僕に、どうしてこんなに優しくできるんだろう。
僕を恨んでいないの?


もしそうだとしても、これ以上、彼に合わせる顔がない。




・・・・・「ごめんなさい。このまま、帰ります・・・」



もう一度、頭を下げる。
出逢ってから今までの、全ての事を詫びるつもりで、深く、深く、、、

そして、そのまま僕は、彼の顔を見ないようにして背中を向け、歩き出す。


「チャンミンさん・・・」


僕を呼ぶ声は、聞こえないふりをした。
もう、これ以上は・・・


すると突然、後ろから腕を取られる。


・・・・・「あっ、、、」


彼に強く握られた腕は、コートの上からでも少し痛むほどの力だ。


そのまま、引きずられるようにして、僕は彼の車の助手席に押し込められた。
ぐるりと回り込み、運転席に座った彼の顏は、少し怖いほどに強張っていて・・・

何も言わず、ハンドルをギュッと握りしめ、前を見据える彼の横顔をじっと見つめていると、
ゆっくりと、彼が僕の方を向いて・・・

揺れる瞳が、僕を見つめる。
その汚れない透明な瞳に、自分が映ることさえ、ダメな気がして・・・

けれど、先に逸らせたのは彼だった。
俯いて少し何かを考えて、、


「失礼、、、します」


小さな声でそう言うと、
少し遠慮がちに僕の前に腕を伸ばし、シートベルトを引く。
そして、僕の身体にカチャリと装着した。


「送ります、、、」


たった一言そう言うと、車はゆっくりと走り出した・・・







・・・・・「ここです、、、」


彼のマンションとは、余りにも違い過ぎる古いアパート。
恥ずかしさもあって、僕は急いでシートベルトを外す。


・・・・・「本当に、ありがとうございました。」

「・・・・・」

・・・・・「失礼、、、します。」


頭を下げて、ドアに手を掛けた。



「チャンミンさん・・・」


呼び止められて、ビクリと身体が跳ねる。
ドアに手を掛けたまま、僕の動きは停止した。



「あ、あの・・・」

・・・・・「・・・・・」

「分ってます。けど、、、」

・・・・・「・・・・・」

「けど、、、僕は諦めが悪い男で、、、
だからもう一度だけ、いえ、、、初めてになるかな? と、とにかく言わせてください。」

・・・・・「・・・・・」

「あ、貴方が、、、す、好きです、、、」



えっ?



その言葉に、驚きを隠せなかった。
思わず振り向いて、彼を見た。

僕を見つめるその瞳は、少し揺れながら、
でも、恥ずかしいくらい真っすぐで・・・

熱が、またぶり返した?
空耳?


・・・・・「チョン、、さん、、、?」

「す、好きなんです。一目見た時から、ずっと貴方の事ばかり考えてて、、、」

・・・・・「・・・・・」

「分ってるんです。僕は、一度貴方にフラれてます。十分、分ってます。」


話の語尾が、だんだんと小さくなり、とうとう彼は俯いてしまう。


僕の頭の中は、パニックになってて・・・

ダサ男、チョン・ユンホじゃなくて、、、
あの、、、あのチョン・ユンホさんが、僕を?

いや、、、2人は同一人物で、、、
だから、あの人もあの人もチョン・ユンホさんなわけで、、、


ってことは・・・・・



ほんとに?


嬉しくて、、、
でも、、、


今更、どういえばいいんだろう。

ダサい貴方は嫌いだけれど、スーツを着こなす素敵な貴方は好きだって、、、
そんなこと、言える?


出逢った時の、あの冴えない貴方は嫌いだからフったけれど、
カッコよく高級車に乗る貴方はとても素敵だから付き合ってもいいだって?


そんなこと、言えない・・・
それに、こんな、、、僕みたいなバカな奴に、貴方のような人は、勿体ない。

どう考えても、僕達は釣り合わない・・・





・・・・・「チョンさん、、、」

「はい、、、」

・・・・・「僕は、、、僕は貴方の気持ちを、、、」

「・・・・・」

・・・・・「受け取る資格はないんです。僕には勿体ない。貴方みたいな素敵な人、、、」

「えっ?」

・・・・・「僕は、最低なんです。貴方は、僕を知らない。」

「チャンミンさん、、、」

・・・・・「サヨナラ、、、」



急いで車から降りて、、、
僕は脚を縺れさせながらも、外階段を全力で駆けあがった。

2階の自分の部屋の前で、急いで鞄から鍵を取り出し、扉を開けると、
部屋に入り、鍵を閉める。



扉を背に、僕はその場にしゃがみ込んだ。



しん、、、と静まり返る部屋・・・

耳に届いた微かな音は、遠ざかってゆく車のエンジン音だった・・・・・








10へつづく

リアルタイムで読んで下さっている読者さま、真夜中にこんばんは。
朝、目覚めてから読んで下さっている読者さま、おはようございます。

さて、こちらのお話もあと1話で完結です。
私、このお話の最後の1話とても好きなんです。
〝ダサ男〟のユンホさん、チャンミンを無事にゲットできるか?
最後もぜひ、おつきあいくださいね。



それでは、次は6時に淋しい熱帯魚。でお会いしましょう♪
いつもご訪問ありがとうございます。




こころ。

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私の心の中のお話です。
ご了承ください。



きっと、それも、あなた。2






温かい、、、

それに、とってもふわふわでいい香りがする。


瞼の向こう側に、うっすらと感じる灯り・・・

意識がふわりと浮いたように、その光に向かって上昇してゆく。
ゆっくりと目を開ける。

見慣れない景色が、僕の目に映る。

夢か現実か・・・

ここが何処なのか、確かめたくて身体を動かそうとするけれど、
鉛のように重くて動かす事が出来ない。


微かに耳に届く声・・・



「ありがとうございました。先生・・・」

--- 風邪ですから、心配いりません。とにかくこれ以上こじらせないように、暫く安静にすることです。---

「はい、分りました・・・」




聞き覚えのある声。


暫くすると、カチャリ、、、と扉の開く音が聞えてきた。
重い瞼を必死に開いて、音の聞こえたほうに動かせるだけ首を振る。



「チャンミンさん? 」


慌てた様子で僕が横たわるベッドに駆け寄ってきたのは、、、


・・・・・「チョン、、、さん?」


チョン・ユンホさんだった。


・・・・・「ここは・・・・」


ベッドの脇に腰を下ろして、
少しズレた温かい布団を、そっと僕の首元まで掛けてくれる。



「心配ないです、、、ここは僕の家ですから・・・」

・・・・・「チョンさんの?」

「はい。」

・・・・・「僕、、、」

「公園のベンチで、真っ赤な顏をして、、、それで・・・」



そうか・・・
思い出した。

あの時、僕が見たのは幻じゃなかったんだ。


・・・・・「ご迷惑おかけしてしまって、、、」


事情が分かれば、早くここから出て行かないと・・・
そう、心が言う。


身体に残るありったけの力を振り絞って、起き上がろうとすると、、、


「ああ、、、ダメダメ、、、ダメです。安静にって、、、先生に言われましたから・・・」


そう言いながら、起き上がろうとした僕の身体を、もう一度そっとベッドに横たわらせる。
抵抗する力なんて、僕には残っていなかった。

僕の顏なんて、見たくもないだろうに、
どこまで優しくて、どこまでお人好しなんだろう・・・


・・・・・「ごめんなさい、、、」

「いいんですよ。貴方は不本意でしょうが、暫く、、、せめて熱が下がるまではここに居たほうがいいです。」

・・・・・「・・・・・」

「僕は、少し留守にしますが、、、」

・・・・・「あの、、、」

「はい。」

・・・・・「ど、どうして、、、チョンさんは、公園に・・・」


朝早い、冬の公園。
どうして彼が、あの場所に居たのか・・・

彼は、僕をじっと見つめる。

今日は、あの黒縁メガネはない。
その深い漆黒の瞳に、吸い込まれそうだ。

けれど、ふっと逸らされて、、、


「僕は、諦めの悪い男なんです。」

・・・・・「えっ?」

「・・・・・」

・・・・・「チョン、、さん?」

「すいません。、、、何でもないです。とにかく、、、」


ベッドから、立ち上がって、、、


「少し、、、出かけてきます。そのまま横になっていてくださいね。」

・・・・・「はい、、、」


そう答えると、彼はニコッと笑って部屋を出て行った。



〝僕は、諦めの悪い男なんです〟



彼の言葉の意味を、ぼんやりとした頭で考えるけれど、
激しい倦怠感が、僕の意識を深い眠りへと引きずり込んでいった。






次に目が覚めたのは、カーテンの向こう側がもう闇に包まれた頃だった。
部屋の灯りは、ベットのサイドにあるスタンドの灯りだけ・・・

喉の渇きを感じて、辺りを見回す。

少し熱が下がったのか、随分と身体が楽だ。
あんなに酷かった頭痛も、随分と治まっている。


ゆっくりと、身体を起こす。
薄明りの中に見えたのは、広い部屋。

そして、見たこともない大きなベッド・・・
その上に、僕は横たわっていた。

どうやらここは、寝室のようだ。


水、、、飲みたい、、、


その想いに駆られて、僕はベッドを抜ける。
その時、自分が知らない服を着ていることに気が付いた。

見ると、僕が来ていた洋服は、綺麗に畳まれた状態で、
テーブルの上に置かれている。

僕には少し大きなトレーナーとパンツ。
彼が、着替えさせてくれたのだろうか、、、

考えただけで、恥ずかしかった。

そっと、扉のノブを回して、部屋の外を覗く。
そこは、廊下になっていて少し先に部屋の扉が見える。

大きなガラス扉から漏れる明るい光が、廊下まで煌々と照らす。


その部屋に向かってゆっくりと歩く。
良くなっているとはいえ、動きだすとやはり頭の奥が少し痛んだ。


ガラス扉を少し開くと、広いフロアが広がる。
シンプルな色で統一された、品のある落ち着いた家具・・・

奥には広いキッチンが見える。


どうやら、ここはリビングのようだ。
灯りは付いてるけど、人の気配はない。

脚を踏み入れ、大きなソファの後ろを歩き、キッチンへ向かおうとしたその時・・・



カチャリ、、、と、どこからか音が聞えた。

寝室から続く扉とは反対側にある扉から、バスタオルだけを腰に巻いて、
濡れた髪をタオルでごしごしと拭いながら、チョン・ユンホさんがリビングに入って来た。


・・・・・「あっ、、、」


思わず声が出る。


「あっ、、、チャンミンさん? 」

・・・・・「ご、ごめんなさ、、、」


思わず目を逸らす。


「起きても大丈夫ですか?」


自分がどんな恰好をしているのか、、、
分っていないのだろうか、、、

手にしていたタオルを放り投げながら、
バスタオル一枚姿の彼が、僕に駆け寄ってきた。


・・・・・「あっ、、、あの、、、」

「どれどれ、、、熱は?」


大きな掌が、僕の額に当てられる。

シャワーを浴びたばかりの彼の身体は、少し赤く火照っていて、
そして、とてもいい香りがした。

けど、、、何処に視線をやればいいのか・・・
僕は必死で逸らすのに、彼はお構いなしに僕の額に触れ、顔を覗き込んで来る。


「チャンミンさん、、、熱がずいぶん下がってます。けど、まだ顔色が悪い。早くベッドに戻りましょう、、、」


そう言いながら、ふらつく僕の身体を支える。


・・・・・「あの、、、すいません、、、お水を頂けないでしょうか、、、」


「ああ、、、ごめんなさい。気が付かなくて、、、ほら、、、ここに座ってください。」


ゆっくりと、僕をソファまで誘導して座らせてくれる。
そして、すぐにキッチンまで走り、冷蔵庫を開いて、また僕の元に急ぐ。

戻って来た彼の両手には、ミネラルウォーターのペットボトルが1本ずつ・・・


1本をテーブルに置くと、もう1本のキャップをグッと開けて、、、


「はい、どうぞ、、、ああ、、、コップ、、、」

・・・・・「いえ、、、このままで、、、」


いつもなら、ペットボトルにそのまま口を付けることはなかったけれど、
僕の喉は乾ききっていた。
1秒でも早く、潤いが欲しかった。

受け取って、喉に流す。
冷たい水が喉を通り、身体に染み渡ってゆく。


・・・・・「はぁっ、、、」

「大丈夫ですか?」


気が付くと、僕はいつの間にかペットボトルの水を、全て飲み干していた。


・・・・・「美味しかったです、、、ありがとうございます。」


顔を上げると、バスタオル姿の彼が、
心配そうに目じりを下げて僕を見ている。


「お腹、空きませんか?お粥か何か、、、」

・・・・・「いえ、、、」

「・・・・・」

・・・・・「あ、あの、、、」


厚い胸板・・・
鍛えられたその身体は、男の僕でも見惚れてしまう、、、

この人が、本当にあの、、、ダサ男?


「?」

・・・・・「その、、、何か服を着て、、、頂けたら・・・」

「ああっ!!」


やっぱり気が付いてなかったんだ、、、
というか、忘れてたみたい・・・


「ごめんなさい。こんな格好で、、、すぐに着替えてきます!!」


バスタオルの端をギュッと握りしめ、彼は逃げるように部屋から出てゆく。
その姿が、なんだかとても可愛くて・・・


思わずクスッと笑ってしまった。




その後、僕は少し強引に彼にベッドに引き戻された。
ゆっくりと、僕の身体をベッドに横たえながら、、、


「昼間に先生に打っていただいた注射が効いているんだと思います。けど、もう少し安静にしていないと、、、」


すっかり部屋着に着替えたチョン・ユンホさんは、
横たわる僕に、優しく布団を掛けてくれた。



・・・・・「チョンさん、、、」

「はい?」

・・・・・「僕、、、貴方に謝らないと、、、」

「謝る?」



今なら、、、今なら正直に話せるかも・・・

きっと、熱と頭痛と、この大きな倦怠感のせい・・・



・・・・・「僕、、、」

「・・・・・」

・・・・・「貴方の事、、、」

「いいんです、チャンミンさん、、、それ以上言わなくても、、、」

・・・・・「・・・・・」

「もう少しだけ、我慢してください。もう少しよくなるまででいいので、ここに居ていただけませんか?」

・・・・・「チョンさん、、、」

「貴方が僕を嫌っていることは分かってます。
もう少し貴方の身体が良くなったら、必ず送り届けます。だから、、、」

・・・・・「・・・・・」

「だから、少しだけ、、、あと少しだけ、、、ここに居てください。」




何も、言えなかった。

僕のような最低な奴・・・
彼に自分の本当の気持ちを、伝える資格すらない。



・・・・・「ご迷惑お掛けして、、、ごめんなさい」



そう言うのが、精一杯で・・・

僕は、怠い身体をゆっくりと動かし、彼に背中を向けた・・・・・







9へつづく

リアルタイムで読んで下さっている読者さま、真夜中にこんばんは。
朝、目覚めてから読んで下さっている読者さま、おはようございます。

このお話もあと2話で完結です。
最後までお付き合いよろしくお願いします。

それでは、次は6時に淋しい熱帯魚。で♪
いつもご訪問ありがとうございます。




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私の心の中のお話です。
ご了承ください。



きっと、それも、あなた。2




--- なるほど、、、ってか、ツイてないっていうか、、、お前、、、---


どう考えても、チョン・ユンホさん=ダサ男 という図式が、
僕の頭の中で繋がってはくれない。

訳が分からなくて、落ち込む僕の話を、
友人は口を挟むことなく最後まで静かに聞いてくれた。



・・・・・「僕の頭の中では、今もどうしても同一人物だと思えないんだけどね。」

--- けど、、、---

・・・・・「ん、、、同じなんだ、、、」



名前と電話番号、それに年齢まで一致してる。
認めたくはないけれど、チョン・ユンホさんは、あの〝ダサ男〟なんだと、、、そう認めざるを得ない。



--- しかしさ、どうしてあの人、自分を隠すような真似してあんな店に居たんだ? ---

・・・・・「さぁ、、、」

--- だって、それこそ〝相手〟を見つけるためなら、何も変装みたいなことしなくても、
そのままの方が絶対にモテるだろ? ---

・・・・・「確かに」

---んー、、、謎だな、、、---

・・・・・「ん、、、」

--- まぁ、それがどんな理由であれ、、、---

・・・・・「・・・・・」

--- 最悪なのは、お前がその〝ダサ男〟を冷たくあしらってフッたってことだよ、、、---

・・・・・「言わないでよ、、、」



分ってる。
僕は、彼を外見だけで判断していた。

実際、バーで見かけた〝チョン・ユンホ〟に惹かれたのも、
あの文句のつけようのない美々しいルックスに惹かれたから・・・



--- 気のある振りしてその気にさせたくせに、利用するだけ利用して、サヨナラ、、、ってか、、、---

・・・・・「だから、それは、、、」

--- それは? ---

・・・・・「そんなつもりはなかったんだよ、、、ホントだよ、、、」



公園での出来事を、思い出す。

困っているおばあさんに声を掛け、荷物を手におばあさんを背負って階段を上る。
転んでしまった男の子を優しく抱き上げ、泣きじゃくる男の子と視線を合わせるようにしゃがみ込んで涙を拭う。
大きな犬に少し怯みながらも、尻尾を振って飛びついてくる犬を優しく撫でる。


そして、、、

降り出した雨に僕が濡れないように、
自分の上着を、そっと僕の頭に被せてくれた。

僕の告白に何度も謝りながら、、、
悪いのは、僕なのに・・・

どんな時にもどんな人にも向けられる、見返りのない優しさ。
本物の優しさ・・・


僕は、人の外見ばかり見てた。
本当に大切なのは、その人の心・・・

どれだけ、あの人を傷つけただろう。

こんな馬鹿な僕を好きになってくれたのに、、、
大切にしてくれたのに・・・



もう、逢えない。
逢う資格も、僕にはない。



・・・・・「もう、あのバーに行くのは止めるよ」

--- ・・・・・ ---

・・・・・「きっと、僕の顏なんて、見たくもないだろうから・・・」



友人は、それ以上何も言わず、腕を伸ばして僕の肩に回す。
ギュッと力がこもり、僕の身体は、温かい胸に引き寄せられた。



・・・・・「こういうことしてると、あの可愛い恋人に誤解されちゃうよ?」

--- いいの、いいの、、、チャンミンは特別。俺の大切な親友だからな、、、---



講義室の窓の外。
短い秋が、終わろうとしている。

秋の色に染まった木々の葉が、
冬の訪れを感じさせる冷たい風に吹かれ、ヒラヒラと舞い落ちていた。







その日は、冷たい風が吹く寒い朝だった。

ベッドからのそりと身体を起こすと、キリッと頭が痛む。
思わず指でこめかみを軽く抑える。

数日前から引きずっている風邪、、、
昨夜から痛み出した頭が、眠っても治ってはいなかった。

仕方なく頭痛薬を飲んで、いつもの時間にアパートを出た僕は、
分厚いコートに身を包み通りを歩いていた。

冷たい季節の到来・・・
風の冷たさで、身体の芯まで冷えてゆく。

一向に収まらない頭痛、、、
そのうちブルブルと身体が震えだし、僕は通りの真ん中で立っていられなくなった。

身体は寒くて震えるのに、どうしてだか顏が熱くて・・・


・・・・・「あぁ、、、ヤバイな、、、」


ふらつく身体を引きずるように、通りの街路樹の下にあるベンチに座り込んだ。


・・・・・「風邪、、、こじらせたかな、、、」


どの位の時間、そうしていただろう・・・

とにかく、こんなところで休んでいても仕方ない。
今日は、学校は休むことにしてアパートに帰るべくベンチからゆっくりと立ち上がった。


・・・・・「痛っ、、、」


身体が揺れると、頭が痛む。

通りを急ぎ足で歩いてゆく人の波に逆らうように、
僕はトボトボと道の端を歩いた。

頭を上げるのも億劫で、下を向いたままふらふらの脚を何とか進め、歩いてゆく。


ふっと気が付くと、、、
数か月前まで、毎週通っていたあの公園へ続く道が見える。

僕は、何かに導かれるよう、脚の方向を変え、公園に向かって歩き出した。






・・・・・「はぁっ、、、」


ようやくたどり着いたその場所。

季節が進んだからだろうか、、、
随分と目に映る景色が変わったように感じる。

寒い季節の朝ということもあって、通っていた頃のように親子連れや、芝生の上で休んでいる人の姿もない。


寒々しい風景だけがそこにあった。


たった数ヶ月なのに、酷く懐かしく感じる。
ベンチに座って、空を見上げた。

熱を持つ顏に、冬の冷たい空気が気持ちいい。


このまま、目を閉じたらそのまま眠りに落ちそうだ。








「チャ、、、チャンミンさん?」



久し振りにここにきて、心が彼を思い出したのか、
〝ダサ男〟ううん、、、チョン・ユンホさんの声が聞こえてくる。

熱が上がって来たかな?
早く帰って、ベッドに入らないと・・・

ダラリと空を見上げていた首を起こし、重い瞼を開く。

すると・・・・



「どうしたんですか? 」

・・・・・「・・・・・」

「顏が真っ赤だ、、、チャンミンさん、、、大丈夫ですか?」



チョン・ユンホさんの幻が、見えた・・・


・・・・・「チョン、、、さん?」


自分の声が彼の名を呼ぶ。
そこで、僕の意識は途切れた・・・








8へつづく

リアルタイムで読んで下さっている読者さま、真夜中にこんばんは。
朝、目覚めてから読んで下さっている読者さま、おはようございます。

今日(9月23日)は、超アクティブ更新日です。
いつものお話4つに加え、コラボ企画も更新いたします。

お時間のあるときにお部屋を覗いていただけたらと思います。
お待ちしています。



それでは、次は6時に熱帯魚で♪
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私の心の中のお話です。
ご了承ください。



きっと、それも、あなた。1





--- あの若さで、ソウルにレストランやバーを何軒も持ってるらしいぜ。すげぇよな、、、---


数日後・・・

僕の想い人、〝チョン・ユンホさん〟についてリサーチしてきた友人に、
例のバーに誘われた。


いつものカウンターに並んで座り、グラス片手に友人の話に耳を傾ける。


--- 天下のT大の経営学部を首席で卒業した後、有名企業の誘いをすべて断って起業したらしいぜ。---

・・・・・「T大主席」

--- 事業はあっという間に軌道に乗って、たった4年で業界の一線で活躍してるって、、、---

・・・・・「・・・・・」



もはや、彼、チョン・ユンホさんに少しでも近づきたいという僕の密かな願望は、無残に散った。
住む世界が違い過ぎる。


・・・・・「はぁっ、、、」

--- どした? ---


思わず大きなため息をついた。


・・・・・「もう、いい、、、」

--- えっ? ---

・・・・・「もう諦めるから、、、」

--- ん、、、まぁ、、、言いたかないけど、それが賢明だな、、、---


久し振りのこのトキメキ・・・
一言の会話も出来ず、僕のこの気持ちはグラスの中のビールの泡のように消えていく。


--- チャンミン。お前さ、、、いい男なんだし、
それに女の子にだってモテるだろ? どうして男なんだよ、、、しかも、寄りにもよってあんな高嶺の花・・・---

・・・・・「君に言われたくない」

--- まぁ、そうなんだけど、、、けどさ、、、---

・・・・・「気のない女の子に好かれても嬉しくないよ。
僕は、男でも女でも、自分が好きになった人と恋したい。」


よくよく考えると、いつもそうだった。
今まで付き合った相手は、いつも相手からの告白から始まっている。

僕は、自分から恋したことがない。
きっと、これが初めて・・・


--- なるほ、、、、、お、、、おい、チャンミン、、、あれ、、、---

・・・・・「えっ?」


思いっきり肩を叩かれて、、、


・・・・・「痛っ、、、な、何?」


隣の友人の視線の先を辿って行くと・・・


・・・・・「あっ、、、」


店の入り口近く、、、

グレーのスーツが、とてもとても似合ってる。


・・・・・「カッコ、、、いい、、、」


彼に会う、、、いや、厳密に言うと、彼を見るのはこれで2度目。
けれど、僕の彼への想いが強いせいなのか、彼は毎日僕の夢の中に現れていた。

だからなのか、、、

話したこともないのに
触れたこともないのに

なんだかとても、彼を近く感じる。

僕はとうとう、おかしくなったんだろうか?

その時、
店のスタッフと話していた彼が、フッと視線をこちらに向ける。


目が、、、合った、、、


まただ、、、
心臓が跳ねる、、、


重なる視線
逸らしたいのに、出来ない、、、

このままずっと見つめていたい、、、見つめられていたい、、、


数秒・・・いや、数十秒・・・
重なった視線、、、

彼は、一瞬ふっと瞳を伏せ、そしてまた僕を見る。
瞬間、頬を緩ませて微笑み、僕に小さく会釈した。


そのまま店のスタッフに何か耳打ちした後、扉の向こうに消えていった。




--- チャ、チャンミン、、、やっぱお前、どっかで会った事あるとか、、、---

・・・・・「えっ? そんなことないよ。会ってたら、きっと覚えてるよ、あんな素敵な人・・・」

--- でもさ、前来た時も、お前の事じっと見てたし・・・---



きっと、気のせいだ。

初めて会った時、僕をじっと見ていたことも、そして、さっきの優しい微笑みも・・・
僕に向けられたものじゃない。

きっと、気のせい・・・


そんな風に考え出すと、この胸の気持ちが激しく痛みだす。

違う世界に住むキラキラと輝く人
手の届かない人

あんな人を好きになっちゃいけない。

自分の心が傷付くだけ、、、


・・・・・「ごめん、、、僕、先に帰るよ、、、」

--- えっ? もう? ---

・・・・・「うん、、、なんだか飲む気分じゃなくなってきた」

--- そう落ち込むなって、、、な? そうだ! 腹減ってないか?
ここ出て、美味いラーメン食べに行こうぜ---



友人の必死の慰めも、今の僕の心には届かない。
土砂降りの雨に降られたように、僕の心はずぶ濡れなんだ・・・


・・・・・「ありがと。けど、悪いけど今日は帰るよ」

--- そっか、、、元気出せよ、な? チャンミン、、、---

・・・・・「うん。またね」


引き攣りながらも、僕は友人に向かって微笑んだ。



・・・・・「あの、お会計を、、、」


鞄から財布を取り出しながら、カウンターの向こうのバーテンダーにそう告げる。


すると・・・・・



--- シム・チャンミン様ですね? お会計は結構ですので、、、---

・・・・・「えっ?」

--- そのように、オーナーから聞いておりますので、、、---

・・・・・「オー、、、ナー?」

--- はい、、、この店のオーナー、チョン・ユンホです---







僕は今、アパートの窓から夜の空を眺めている。
手には、数時間前バーテンダーから受け取った、〝オーナー、チョン・ユンホ〟の名刺。



・・・・・「まさか、、、嘘だろ、、、」



そこに記されていた携帯電話の番号、、、
こっそりと、自分の携帯に登録しようとして知った、驚愕の事実・・・



・・・・・「チョン・ユンホさんが、あの、、、あの〝ダサ男〟?」



何度登録し直そうとしても、ディスプレイには〝ダサ男〟と表示される。


何かの間違いだ・・・

藍い夜空に浮かぶ星を見上げながら、
僕は、どうか夢であってほしいと、そう、神様に祈った・・・・・









7へつづく

リアルタイムで読んで下さっている読者さま、真夜中にこんばんは。
朝、目覚めてから読んで下さっている読者さま、おはようございます。

ここ数日、バタバタしていていただいたコメントの御返事が出来ずにいます。
申し訳ありません。

頂いたコメントはすべて大切に読ませていただいてます。
こころ日和。のお話を大切に読んで下さる読者さまに、
感謝します。
いつもありがとうございます。




それでは、次は熱帯魚で♪





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