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*2014年01月28日 旧館での作品です*




私の心の中のお話です。
ご了承ください。


虹色の出会い。1




---来週も来てくれるだろ?---

---俺も・・・ずっと見てたよ---

---この絵に、色を付けたいんだ。虹色に色付けたい---



僕は、その日、朝からとても緊張していた。

本当に行っても迷惑じゃないかな?


リビングのコーナーボードに飾られた1枚のモノクロの肖像画。
彼が、、、ユンホさんが描いてくれた。

彼の瞳に映った僕・・・

この一週間、何度も手に取っては眺めて、
そのたびに、彼の笑顔を思い出す。

僕の髪を撫でてくれた大きな掌・・・

一週間経った今でも、あの時の感触を覚えてる。
ドキドキして、胸が張り裂けるかと思った。


--- 俺は、チョン・ユンホ・・・---


・・・・・「ユンホさん・・・」



僕は、その絵を大切にファイルに挟んで、リュックを背負って家を出た。


この角を曲がれば、あの人が見える。
いつもいつも、月曜にはこの場所から彼をそっと見ていた。

僕はいつもの通り、顔だけを出して彼の姿を探した。


・・・・・「あれ?」


いつもの場所に彼が居ない。

その場からゆっくりと歩いて、いつも彼がいる場所まで行ってみた。
辺りを見回すけれど、何処にも姿は見えない。


・・・・・「今日は月曜・・・だよね?」


携帯電話のカレンダーを何度も見直す。
間違いないのに・・・

彼をこの場所で初めて見かけてからずっと、月曜の午後にはここに居たのに・・・


暫くその場所に座り込んで、彼を待ってみたけれど、
気が付けば、辺りがオレンジに染まりだす。


・・・・・「今日はお休みなのかな」


大きなため息を1つ・・・
僕は、立ちあがって、もう一度通りを見回した。


・・・・・「いないよね」


僕は、淋しそうに俯いた自分の影を連れながらその場を後にした。









・・・・・「雨か・・・」


楽しみにしていた次の月曜日。
朝から激しい雨が降っていた。

窓を叩く雨粒のせいで、お気に入りのCDの音もよく聞こえない。

こんな酷い雨、きっと今日もユンホさんはお休みだ・・・・・


もしかしたら、もう、彼には会えないんじゃないだろうか、、、

窓から外を見ようとしても、雨に邪魔されて、
振り返って、彼の絵を眺める。

この絵は、未完成のまま・・・モノクロの僕のまま・・・
色のないまま・・・

終っちゃうのかな?

時計を見ると、お昼を過ぎた頃。

今日はどうしようか・・・
暫く時計とにらめっこして・・・

1時間
2時間

結局、、、僕は、いつものようにリュックを背負って、ファイルに大切な絵を挟んで家を飛び出した。




傘を差しながら、大切な絵を抱えるようにしていつもの場所にやって来た。


けれど・・・


・・・・・「こんな雨だもん、居るわけない」


分ってたけれど、もしかしたらって・・・

もう、2週間も彼の姿を見ていない。


・・・・・「・・・・・」


足が動かなくて、暫くその場で立ち尽くしていた。



傘を打つ雨の音が少しずつ小さくなってゆく。
見上げたら、遠くの空が青く澄んでいて、雲と雲の隙間から眩しい光が差し込んでいた。


それでも僕の心は晴れない。

傘を畳んで、僕は歩き出した。
まだ、小さな雨粒が僕の髪を濡らしてゆく。

なんだか心が疲れてしまって、傘を差すのも億劫になっていた。

とぼとぼと、もと来た道を歩く。

ふと、抱え込んだ大切な絵を見ると、
いつの間にか雨がファイルの隙間から入り込んでいて・・・


・・・・・「えっ、、、ど、どうして・・・」


僕の大切な絵が、雨粒で滲んでいた。


それを見たら、なんだかとても悲しくなって、、、

定休日だった小さなカフェの店先で、足を止めて俯いた。

このまま雨に濡れて帰ろうかな、、、
そうしたら、僕が泣いていることを誰にも知られないで帰れるんじゃないかな・・・

そう思いながら、その絵をじっと見つめていた。





「ダメだよ、濡れちゃったら風邪引いちゃうよ?」


突然、、僕の隣りに駆け込んできた人。
驚いて、顔を上げると・・・


・・・・・「あ・・・」

「こんにちは、チャンミン」


彼、、、ユンホさんだった。


・・・・・「あっ、こ、こんにちは」


突然のことで、頭がパニックになってしまう。


「先週、来てくれた? ゴメン、実は風邪でダウンしてたんだ」

・・・・・「風邪? もう、大丈夫ですか?」


彼は、まるできっき見た雲の隙間から差し込む光のように、キラキラした笑顔で・・・


「大丈夫。けど、君に会えなかったから、、、だから今日、雨が降ってて残念で仕方なくて・・・」

・・・・・「・・・・・」

「でも、もしかしたら君がここに居るんじゃないかって、、、来てよかった」



彼は、わざわざ僕に会いに来てくれたの?

嬉しくて・・・

さっきまで、雨に濡れて冷たかった僕の頬がだんだんと熱を持っていくのを感じて、、、
とても恥ずかしかった。


けど・・・


・・・・・「でも、、、ごめんなさい、絵が・・・」


濡れて滲んだ絵を彼に差し出した。

それを見た彼が・・・



「いいんだ。今日、もし会えたらさ・・・」

・・・・・「・・・・・」

「君にお願いしようと思ってた。」

・・・・・「お願い?」

「うん。君を、もっと大きなキャンバスに描きたい。」

・・・・・「キャン、バス・・・?」

「そう、もっともっと、君を知りたい。君を描きたい。」


僕を、、、知りたい・・・?


「もし、もしよかったら、これからの月曜日は、僕と一緒に過ごしてくれないかな?」

・・・・・「一緒・・・に?」

「その絵・・・」


視線は、濡れてしまったモノクロの僕・・・


「もっと上手に描けると思うんだ。だから・・・」


また、ユンホさんが僕を描いてくれるの?


「これから月曜日は・・・僕のアトリエで、モデルになってほしい」








雨はすっかり止み上がって、青い空が、雲と雲の隙間から見え隠れしている。

僕の手には、携帯電話。

ディスプレイには・・・

彼の、、、ユンホさんの番号。




携帯かして?


上着のポケットに入れていた携帯を差し出すと、
僕の携帯から、自分の携帯に送信する。


〝チャンミンの番号ゲット!〟
「月曜までに連絡するからね・・・」


きっと、僕は月曜日までに何度も携帯を眺めるんだろうな。

取り出した携帯をポケットに入れようとしたとき・・・



着信の音・・・
心臓が震えた・・・


「もしもし、チャンミン?」

・・・・・「はい・・・」

「今日、会えてうれしかったよ。来てくれてありがとう。月曜、楽しみにしてる」

・・・・・「はい・・・僕も楽しみにしています。」




空を仰ぎ見る。

大きな虹が、幾重にも重なって・・・




・・・・・「ユンホさん・・・虹・・・すごく綺麗・・・」




濡れてしまったモノクロの絵は、大切にしまっておこう。
いつかこの絵にも、空にかかるこの虹のように美しい色を入れてあげたい・・・・・






虹色の出逢い。・・・・・ fin

リアルタイムで読んで下さっている読者さま、真夜中にこんばんは。
朝、目覚めてから読んで下さっている読者さま、おはようございます。

読者さまからの旧館リクエストにお応えして、お送りいたしました「虹色の出逢い。」
如何でしたか?

私は、どちらかというと、長編のお話の方が書きよく、SSはあまり書くことはありません。
SS、または短編のつもりで書き始めても、気が付けば長編に、、、なんてことはしばしばです。

このお話は、書き始めてまだ1年にも満たない頃のお話なので、
書いた本人は、ただただ恥ずかしいだけなのですが、
楽しんでいただけたらな幸いです♪



それでは、いつもご訪問ありがとうございます。




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*2014年01月19日 旧館での作品です*





私の心の中のお話です。
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虹色の出会い。1






・・・・・「あ、あの・・・」

「ん? あ、ぁぁ、、、もしかしてお客さん?」




大学からの帰り道。
いつも通る大通りから一本裏道へ入る。

たったそれだけのことなのに、人通りもまばらで車の通りもほとんどない。

僕が、彼を初めて見かけたのは、今から2か月前。
たまたま、この先の友人のバイト先に向かう途中だった。


彼は、路上で絵を書いて、それを売っているようだった。

道路脇に並ぶ、様々な彼の作品。
思わず足を止める。

鮮やかな街路樹の緑
駅前の大きな噴水

花屋に並ぶ色鮮やかな花達
そして、表情豊かな人物画

それらの作品には小さく「y」と書かれてる。

その絵に心を奪われて、立ち止まって食い入るように見ていた。
けれど、その作者である彼は・・・

まるで自分の作品たちに守られるように、地面に寝転んで眠っていた。


〝こんな素敵な絵を書く人ってどんな人だろう・・・〟


好奇心で、そっと彼の顔を覗き見た。



少し伸びた茶色の髪
シャープなラインの顔立ち
プックリと厚い唇


閉じた瞳が見てみたいと思った。



その日から、僕は「y」の姿を見たくて、用もないのに裏道を歩く。
けれど、彼がその場所に姿を見せるのは、月曜の午後の数時間だけだった。



・・・・・「あ、あの・・・」



ある日、僕は勇気を出して彼に話しかけてみた。



いつものように、眠ってる彼。
僕の声に反応して、ムクリと起き上がる。



「ん? あ、あぁ、、、もしかしてお客さん?」

・・・・・「あ、はい、あの・・・」


眠そうに目を擦ってから、ゆっくりとその瞳を見開く。

すごく綺麗・・・

ずっと見たいと思っていた彼の瞳。
目の前の僕を見つめるその瞳に、一瞬で心を奪われた。


・・・・・「あ、えっと、あの、、、」

「あぁ・・・」


なぜか、彼がフッと頬を緩める。


「描こうか?」

・・・・・「えっ?」

「そこ、座って?」


彼が、自分の後方にあるイスを指さす。
僕は、言われるがままその椅子に腰を下ろした。


「今日は、いい天気だね。」

・・・・・「はい、あの・・・」

「いいから、じっとしてて・・・」


そう言いながら、僕の前の椅子に座ってペンを走らせる。

どうやら、僕の顔を書いてるようで、
時折じーっと見つめられては、ノートに視線を落とす。

僕は、恥ずかしくて、何処に視線を置けばいいのかわからなくて・・・


「なぁ、こっち向いてて? 俺の顔見てて」

・・・・・「あ、はい・・・」


そう、答えたものの、彼の顔をじっと見てる事なんてできなくて・・・

チラッと見ては、俯く。
それの繰り返し・・・

心臓のドキドキがより一層強まる。

ペンが滑らかに走る音が聞こえてきそうなくらいに、彼と僕の周りだけが音を失くしたように静まり返ってる。
僕のこの鼓動の音が、どうか彼に聞こえませんように・・・


そんな時間が、どのくらい経ったんだろう。


「あと、もう少しだから・・・俺の方見て?」

・・・・・「・・・・・」

「いつもみたいに、見てればいいから・・・」

・・・・・「えっ?」


僕の顔を見て、ニヤッと笑う。


〝いつもみたいに・・・〟って・・・?


「ほら、出来た・・・」


そう言いながら、僕に向かって作品を見せる。


・・・・・「わぁ、、、すごい・・・」


僕にそっくりに描かれた人物の周りに、沢山の花々が咲き乱れていて・・・


「気に入った?」

・・・・・「はい。とても・・・」


僕がそういうと、そのページをピリッと破り、


「はい、どうぞ」


そう言いながら僕に差し出す。


・・・・・「あ、ありがとうございます」


受取ったその絵はモノクロだけど、僕の顔が生き生きと描かれていて、
自分じゃないみたい・・・

暫くその絵に見入っていた。


「あの・・・・」


声を掛けられて、はっとした。


・・・・・「す、すいません。おいくらですか?」

「それ、まだ完成してないんだ」

・・・・・「えっ? でも・・・」


こんなに綺麗に描けてるのに、まだ完成してないの?


「どうせ、また来週くるだろ?」


〝いつもみたいに、見てればいいから・・・〟


もしかして、僕がずっと来てる事、、、知ってる?

どうしよう
顔が一気に熱くなる

身体中の熱が、集まってきたよう、、、
何を言っていいか、どう返事すればいいか・・・

戸惑いと羞恥が僕の全身を包む。


どう、、しよう・・・


いたたまれなくなった僕は、椅子の隣りに置いてあったリュックを掴んで立ち上がり、
頭を下げた。


・・・・・「ご、ごめんなさい・・・」


手にしていた絵を椅子の上に置いて、僕はその場から駆け出した。


「ま、待って!!」


大きな声で呼び止められて、驚いて足が止まる。


僕を追いかけてきた彼の手には、きっきの絵。


「ほら、忘れてるよ・・・」

・・・・・「・・・・・」

「いつも、来てくれてただろ? 俺の絵を見に? それとも・・・俺に会いに?」

・・・・・「・・・・・」


やっぱり、知ってた。
どうしよう、恥ずかしい・・・

俯いで黙ることしかできない。


「この絵に、色を付けたいんだ。虹色に色付けたい。」

・・・・「虹・・・色?」

「君・・・名前は?」

・・・・・「チャンミン・・・シム・チャンミンです。」

「チャンミンから、そう感じるんだ。」

・・・・・「僕から?」

「そう、虹色に輝いてる。」


そんなセリフを彼に目の前で言われて、どうしていいか分からない。


「な? 来週も来てくれるだろ?」


差し出されるモノクロの僕。


「な? 待ってるから・・・」


彼が僕を待っててくれる。
僕は、その絵を受け取った。


「俺は、チョン・ユンホ。俺もさ・・・ずっと見てたよ」


えっ?

そう言うと、彼は僕の髪をクシャリと撫でて、来た道を戻っていった。







帰り道、僕の心は温かかった

この絵を持って、来週も彼に・・・ユンホさんに会いに行こう。
いつか、この絵が虹色に輝くその日までに・・・


〝貴方の瞳が見たくて会いに行ってました〟


そう言えたらいいな・・・


街路樹の木々の隙間から、眩しい太陽の光がキラキラと降り注いでいた。

そんな温かい午後だった・・・・・








虹色の出逢い。~雨上がり~ につづく

リアルタイムで読んで下さっている読者さま、真夜中にこんばんは。
朝、目覚めてから読んで下さっている読者さま、おはようございます。

本日は、少し体調がよろしくなかったため、
「横恋慕。」をお休みして、頂いたSSの更新をさせていただきました。
このお話は、夜、眠れなくて突発的に書いたお話です。
これで終わるつもりでしたが、続話としてあと1話ありますので、
続けて明日の真夜中更新で上げさせていだきます。
よろしかったら、もう1話お付き合いくださいね。

seraraさま、リクエストありがとうございました。



それでは、ご訪問ありがとうございます。




こころ。

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