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私の心の中のお話です。
ご了承ください。



甘い運命。1




・・・・・「来てくださいね、待ってます、、、」

「あぁ、なるべく早く仕事を片付けてから行くよ」


いつもの朝、変わらず忙しい日々を送るユンホさんを見送ってから、
急いで部屋を片付けて、外出の準備をする。


今日は、僕のピアノ教室の発表会。

一生懸命に練習してきた子供たちのピアノ演奏を、
僕はとても楽しみにしている。


近くの小さな会場を借りて、前日までに準備を済ませた。

招待したお客さんは、子供たちの保護者とユンホさん。



--- 私のようなものがお邪魔してもよろしいのでしょうか、、、---

・・・・・「勿論です。よろしかったら、是非、、、」



差し出した招待状を、恐縮しながら受け取ってくれたカンさん。


そして、、、



--- もちろん、行くよ! 楽しみにしてる ---



そう、電話をくれたテミンさん。



準備を済ませた僕は、
心躍らせながら、マンションを後にした。




会場に着いたのは、発表会が始まる3時間前。


・・・・・「少し早く着いちゃったかな、、、」


もう一度、会場とピアノの状態をチェックし、
ホッと一息ついて、ステージの上に置かれたピアノの前に座った。

さほど広くはないこの会場。
誰も居ない静かな空間で、僕はピアノの鍵盤に指で触れる。

ポロン、、、

と、小さく鳴った音が、空気に反射するように小さく響く。


心地よいその音に、無性にピアノを弾きたくなった僕は、
誰も居ないのをいいことに、鍵盤に指を並べ、目を閉じる。


心で深呼吸、、、

いつものように、指に力を入れるのは、最初の一音だけ。
あとは、心が僕の指を通して音を奏でてゆく。






僕は、会場に響くピアノの音を聞きながら、今までの事を想い出していた。


色んな事があった。

貧しいけれど、平凡だと思って疑わなかった僕の人生は、
信じていた人の裏切り、そして、最愛の母の病気、、、

夢も希望も無くしかけていた。

そんな僕に、手を伸ばしてくれたのがユンホさんだった。
救われたと、そう思って取った手は、さらに辛く悲しい運命の始まり、、、

もう、自分の人生は終わったとそう思った。
日の当たらない人生を、歩んでいくんだと、覚悟を決めたこともあった。


けれど、、、


僕の知らない所で、ずっとずっと前から、、、
僕がこの世に生を受ける前から、もう一つの運命が動き始めていた。


暗闇への手招きだと、そう思っていたユンホさんの手は、
気が付かないうちに、僕のもう一つの運命へと導いてくれた。





曲の最後の一音が、耳の中で響き終わるのを待つ。
そして、鍵盤から指を離し終えると、、、


・・・・・「えっ?」


突然聞こえてきた、拍手の音。


驚いて目を開くと、、、


・・・・・「ユンホさん、、、」

「遅れたら困ると思って、仕事を放ってきたけれど、早すぎたようだな、、、」


会場入り口の扉に背を預けて立つユンホさんの姿が目に飛び込んで来た。


「だが、お陰でいい演奏が聞けた」

・・・・・「・・・・・」

「チャンミンのピアノを独り占めしたな。贅沢だ」


そう言うと、ゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。



こんな時、僕は未だに心臓が壊れそうなほど大きな鼓動を感じる。
少しづつ近づいてくるユンホさんの姿を目で追いながら、痛みすら感じる胸に手を当てた。


ユンホさんは、ピアノの前に座る僕の隣りで脚を止める。


「チャンミン、、、」

・・・・・「はい、、、」


立ち上がって向かいあう。
すると、ユンホさんの手がゆっくりと伸びてきて、僕の左手を取った。


・・・・・「ユンホさん?」

「正直、こういうことをするのは初めてて、、、」

・・・・・「・・・・・」

「もし方法が間違っていたなら、そう言ってくれ」

・・・・・「は、はい、、、」


そう言うと、ポケットから何かを取り出し、そして、、、


・・・・・「これ、、、」

「母の形見をリメイクしてもらった」


僕の左手の薬指に、差し込まれたそれ、、、

薄緑の美しい石が付いた、シンプルなデザインの指輪、、、


「知らなかったんだが、その石には〝運命の絆〟という意味があるそうだ」

・・・・・「運命の、、、絆、、、」


右手で、その指輪に触れる。



運命、、、



人の運命は、生まれ落ちた瞬間に定められると、そう聞いた事がある。
だとしたら、僕の運命は、目の前のこの人に出逢う事があらかじめ定められていたのだろうか、、、



「貰ってくれるか?」


何故かユンホさんの顏はとても不安気で、、、


「もし、、、もしいやなら、、、」

・・・・・「僕が貰ってもいいんですか?」


ユンホさんの言葉を遮り、そう口にした。


「お前に貰ってほしい。他の誰かじゃない。シム・チャンミンに・・・」

・・・・・「ユンホさん、、、」

「これからも傍に居てくれ。お前のピアノを聞きながら、お前の傍で生きていきたいんだ」



でも、今ならそうだったんじゃないかと思える。
僕の運命は、ユンホさんの運命と繋がっていたんじゃないかと、、、

2つの悲しく辛い運命が、導かれ、寄り添い、重なり合い、

憎しみを
悲しみを
孤独を
絶望を


愛に変えた。


テミンさんの言葉を思い出す。


〝甘い運命〟





・・・・・「勿論です。ずっと傍に居ます」




僕の言葉に、ユンホさんは少し頬を赤らめながら、やさしく微笑んだ。


僕たちの甘い運命は、今、始まったばかり、、、、、







甘い運命。・・・・・・ fin

読者の皆さま、こんにちは。
今日もご訪問下さり、ありがとうございます。

本日の49話で、「甘い運命。」完結です。
最後までお付き合いくださった読者さまに、感謝申し上げます。

明日からの更新、実はまだ決めかねています。
もしかしたら、暫く続いた〝アクティブ更新〟終了するかもしれないんですが、
明日のこの時間のお楽しみということにしてください(笑)

それでは、本日も素敵な午後をお過ごしくださいね♪
22時に「俺の男、僕の男。」でお待ちしています。






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甘い運命。1





「母さん、また来るから、、、」


暫くの間、ユンホさんと2人、お母様の前で時間を過ごして、


「行こうか、チャンミン、、、」


歩き始めたユンホさんの後を追う。
2,3歩脚を進めた時、フッと、誰かに名前を呼ばれた気がして、、、


「どうした、チャンミン、、、」


脚を止めて、振り返った。


その声は、初めて聴く声。
けれど分かる。

それは、ユンホさんのお母様の声。
僕に語り掛けてくる。

僕は、引き返して再びお母さまの前に立った。


・・・・・「お母さま、僕がユンホさんの傍に居ます。」

「チャンミン、、、」

・・・・・「ご心配はいりません。」


そう言うと、深く頭を下げた。




帰りの車の中、、、


「チャンミン、、、」

・・・・・「はい、、、」

「さっきのは、、、なんだ?」


ユンホさんの聞きたいことはすぐに分かった。


・・・・・「ユンホさんのお母様が、僕に話してくれました」

「えっ?」



〝ユノをよろしくお願いします〟



僕の心に語り掛けてきた、穏やかで優しく澄んだ声、、、
会ったことは無いけれど、なんだかとても心地よくて耳に残る。



「そうか、、、」

・・・・・「僕、、、」

「・・・・・」

・・・・・「僕、許してもらえたのかな?」


つい、気持ちが吐露してしまう。
僕が小さく呟いたその言葉に、ユンホさんはふっと微笑んで、、、


「きっと許してもらえたさ、、、俺たち2人、、、」


運転席から伸びてきた大きな掌が、
膝の上でギュッと握った僕の手を包んだ。






それから、ソウルへ向かうのとは逆の方向に車が走り出す。


・・・・・「ユンホさん、今から何処へ?」

「もう一人、会いに行こうと思う」


もう一人?
誰だろう、、、

気になったけれど、なんだかそれも楽しみな気がして、
僕はそれ以上ユンホさんには聞かなかった。




たどり着いたのは、ソウルから随分離れた田舎町。

駐車場に車を止めて、降り立つ。
静かなその町は、まるで時間がゆっくりと過ぎているような、そんな不思議な空気が流れている。


両腕を広げて、深呼吸する。
美味しい空気が、僕の胸を一杯に満たした。


その時、、、



--- ユノ? ---


聞えてきたのは、聞き覚えのある声。
振り返ると、、、



「久しぶりだな、、テミン、、、」

--- ユノっ!!! ---


ユンホさんの姿を見つけたテミンさんが、
大きな声で彼の名を呼びながら、駆け寄ってきて、、、


--- ユノ、、、来てくれたんだね、、、---


ユンホさんの胸に飛び込んだ。




--- チャンミンさんも、来てくれてありがとう ---

・・・・・「お元気そうで、、、また会えてとても嬉しいです」


ここは、テミンさんの故郷の街。
お父様から譲り受けた小さなレストラン。


〝ユノがお店を立派にしてくれて、、、〟


テミンさんの言葉を思い出す。
小さいけれど、とても雰囲気のいい素敵な店だ。


--- 今日は定休日なんだよ---


そう言いながら、テミンさんはとても美味しいパスタを御馳走してくれた。
ユンホさんと美味しく頂いた。


「悪い、、、」


食べ終わったすぐ、ユンホさんのスマホが音を立てる。
仕事の電話だろう、、、

立ち上がって、店を出た。


--- チャンミンさん、、、---

・・・・・「はい、、、」

--- よかったね、、、---

・・・・・「えっ?」


さっきまで、ユンホさんが座っていた場所に腰を下ろす。
僕と向かいあったテミンさんは、以前と変わらない美しい笑顔で、、、


--- 前とは表情が違う ---

・・・・・「テミンさん、、、」

--- 安心したよ、ユノもとても幸せそうだ---


テミンさんに、何があったのかは僕は知らない。
けれど、カンさんが言ってた。

テミンさんもまた、辛く苦しい人生を歩んで来た人だと、、、


・・・・・「テミンさん、、、」

--- ん? ---

・・・・・「僕は、いつも〝どうして僕だけが、、、〟って、そう思っていました」

--- ・・・・・ ---

・・・・・「こんな辛くて苦しい運命を憎みました」

--- ・・・・・ ---


先が見えず、ただ、真っ暗で出口のないトンネルを歩いていた。
希望もない、未来もない、悲しい運命だと、、、

けれど、、、


・・・・・「ユンホさんと出会って、最初は彼を恨んだけど、何時しか彼を愛して、、、」

--- うん、、、---

・・・・・「こんな運命もあるんだって、、、こんな嘘みたいな運命、、、」

--- 運命ってさ、自分ではどうしようもない巡り合わせだって、そう言うけど、、、---

・・・・・「はい、、、」

--- 僕はそうは思わないな、、、だって、、、 ---

・・・・・「・・・・・」

--- ユノとチャンミンさんを見ていると、自分の心次第で、運命は変えられるんだって、、、
僕にも2人のような甘い運命が待っているかもって、、、---

・・・・・「・・・・・」

--- そう思うもん ---


〝甘い運命〟


テミンさんは、そう言いながら恥ずかしそうに笑っていた。






49へつづく

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甘い運命。1




ユンホさんの運転する車は、賑やかなソウルの街を駆け抜ける。
1時間もしないうちに、高く聳えるビルの姿は消え、緑が広がる田園の中を走る。

ふと、今日の行き先を聞いていないことに気が付いた僕は、、、


・・・・・「ユンホさん、、、今日は何処へ行くんですか?」


そう尋ねる。

すると、ユンホさんはハンドルを握ったまま、視線を動かすことなく前を見据えて、、、


「お前に会ってもらいたい人がいる」


それだけ言うと、オーディオのボリュームを上げた。


なんだかそれ以上聞いてはいけないような、そんな気がして、
僕は、視線をもう一度窓の向こうの景色に移し、車内に流れるピアノの音に耳を傾けた。



それから30分ほど走り、たどり着いたその場所。


「行こう、、、」

・・・・・「はい、、、」


車を降りて、深呼吸する。
空気がとても澄んでいる。

見上げた空はとても高く、フワリと吹いた秋の涼しい風が、
僕の髪を掠めた。


歩き始めたユンホさんの後を追い、脚を踏み入れた場所。


一歩足を進めた瞬間、空気がガラリと変わるのを感じる。
ピン、、、と張りつめた空気が漂う。

カツカツ、、、と、ユンホさんの革靴の音が静かなその場所に低く響いた。



ユンホさんの脚が止まったのは、
陽の光が降り注ぐ、一際明るい場所。


少しこわばっていたユンホさんの表情が、
一瞬にして和らぎ、笑みを浮かべる。


「母さん、、、」


そこは、ユンホさんのお母様が眠る納骨堂。
飾られている写真の中には、美しい女性が幸せそうにほほ笑んでいる。

いつか見た、あの写真の女性。
ユンホさんのお母様だ。


「母さん、、、今日は母さんに会ってほしい人がいて、、、」

・・・・・「・・・・・」

「連れてきたよ、、、」


優しく語り掛けるようにそう話すと、
ユンホさんの視線が、ゆっくりと僕に移る。


「チャンミン、、、挨拶してくれるか?」

・・・・・「は、はい、、、」


少し離れた場所に居た僕は、ユンホさんに促され、
彼の隣りに立つ。


・・・・・「は、初めまして、、、シム・チャンミンと申します」


そう口にして、深く頭を下げた。


「この人と生きていこうと思う」


そのユンホさんの言葉に、顔を上げ、隣の彼を見た。


「許してくれるだろ? 母さん、、、」

・・・・・「ユンホさん、、、」



僕は、許してもらえるのだろうか?
彼のお母さまを苦しめたのは、僕の母、、、

その息子の僕を、彼のお母さまは許して下さるだろうか、、、


「母さんなら、きっと分かってくれるだろ?」

・・・・・「・・・・・」

「チャンミンを、愛してるんだ、、、」


嬉しかった。
ユンホさんの一番大切な人の前で、僕を愛していると、そう言ってくれたこと、、、


胸が締め付けられるほど、嬉しくて、、、


「ほら、、、泣くんじゃない、、、」

・・・・・「・・・・・」

「お前は本当に泣き虫だな、、、」


苦笑いしながら、長い指が僕の目じりをなぞる。


・・・・・「嬉しくて、、、」


ユンホさんは、少し恥ずかしそうに瞳を揺らして、
僕の腕を引き、その腕の中に抱いてくれる。


「母さんの前で誓う、、、」

・・・・・「・・・・・」

「もう、離さないから、、、」







48へつづく

読者の皆さま、こんにちは。

よしっ! 書きあがった!!

と思って、軽快にキーボードを操作していたら、、、
全部消えた(ノД`)・゜・。ウソヤロ

ということで、今日はお話が少し短くてごめんなさい。

心折れながら書き直した47話でした(,涙)
50話までには完結します。



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甘い運命。1



〝傍に居ろ〟


あの日から、3ヶ月が過ぎようとしている。


今年の夏は、とても暑かった。

降り注ぐ太陽の光が瞳を刺激して、眩暈がしそうなくらいだった。
そんな夏も、気が付けば足早に過ぎ去ろうとしている。

初秋の今、、、



--- せんせーっ! こんにちはっ ---

・・・・・「こんにちは、セヨン」


楽団への誘いを丁寧に断り、
僕は、今も変わらずユンホさんと暮らしている。


〝母親と暮らせばいい〟


ユンホさんはそう言ったけれど、
僕は我儘を貫いた。

そして、、、


〝チャンミンせんせー、あのね、、、今日ね、、、〟

・・・・・「ん? 」


母のマンションからさほど離れていない場所に、
小さなピアノの教室を開いた。

それは、ユンホさんの提案だった。



「子供相手ならいいだろ?」


ユンホさんの為だけにしか、ピアノを弾かないといった僕に、
彼は笑ってそう言った。

今、僕は子供たちを相手に、ピアノを教えている。


純粋で、汚れない子供たちと接していると、
自分の心も洗われていくようだ。

ホテルのバーでは、もうピアノを弾くことは無くなった。


ユンホさん曰く、、、


「また、誰かの誘いを断るのが面倒だ、、、」


僕にはそんな風に言うけれど、


--- お坊ちゃまは、チャンミンさんをあまり表だった場所に出したくはないんですよ ---


カンさんにそう言われたけれど、その言葉の意味が分からなくて、、、


・・・・・「それは、どういう、、、」


カンさんは、そんな僕を見て小さく笑いながらこう言った。


--- 貴方を、誰にも盗られたくないと、そういうことです ---


余りの恥ずかしさに、
僕は視線を逸らせて俯いた。






--- チャンミン、あのね、今日は、、、---


体調も随分と良くなった母は、無理のない範囲で仕事を始めた。
出来るだけ、母の顔を見にマンションに行くけれど、
会えなかった日は、声を聴くために電話をする。

母は、仕事が出来ることに喜びを感じているようだった。


--- ユンホ坊ちゃまに、ご迷惑ばかりかけられないしね、、、---


それが、最近の母の口癖だ。
ユンホさんは、気にしなくてもいいというけれど、、、


・・・・・「でも、何から何までユンホさんにお世話になってるから、、、少しでも、、、」

「・・・・・」

・・・・・「母も僕も、そう思ってます」


そんな風に言っても、


「好きにしろ」


そんな風に軽くかわされる。
一見冷たいような彼の言葉。


でも、、、


「とにかく、俺に借りがあることを忘れるな。」

・・・・・「・・・・・」

「借りを返すまで、お前の翼は俺が預かっておく」


〝淋しがり屋で甘えん坊〟


いつだったか、テミンさんがそう言ってた。

その時は、彼の言葉が信じられなかったけど、
今ならよく分かる。


自分の気持ちを、上手く言葉に出来ない、不器用で可愛い人、、、


・・・・・「はい。分かってます」


僕がそう答えると、
ユンホさんの伏せた顏が、フワリと優しく笑みを浮かべた。




その日は、朝から秋の柔らかい日差しが降り注ぐ、
気持ちのいい日だった。


休日の朝、、、


少し遅めに目覚めたユンホさんの為に、
朝食を作る。

テーブルに向かいあって座って、
僕は、ユンホさんが食事をする様子を、コーヒーを飲みながら眺めていた。



「そんなに見られると食えないだろ」

・・・・・「あ、、ごめんなさい、、、」


思わずコーヒーカップを手にしたまま、立ち上がろうとすると、、、


「チャンミン、、、」

・・・・・「は、はい、、、」


ユンホさんはお箸を手に俯いたままで、、、


「今日、時間あるか?」

・・・・・「えっ? 今日、、、ですか?」

「いや、忙しいなら構わないが、、、」

・・・・・「いえ、、、今日は教室もお休みだし、特に予定は、、、」

「そうか、なら、少し出掛けよう、、、」

・・・・・「はい、、、分かりました」



早々に食事を済ませたユンホさんは、
リビングに置いたままのスマホから流れる呼び出し音に導かれるように、
椅子から立ち上がり、応答する。


「あぁ、俺だ、、、」


仕事の電話は、ひっきりなしにかかってくる。
応答しながら、自室に消えてゆくユンホさんの背中を見送って、
僕は、後片付けを済ませ、出掛ける準備に取り掛かった。


それから1時間後、、、


「行こうか、、、」

・・・・・「はい、、、」


助手席に乗り込み、シートベルトを締めると、
車は静かに動き始めた・・・・・








46へつづく

読者の皆さま、こんにちは。

まだ、お陽さまが照り付けてとても暑い こころ。地方です。(11時現在)
しかし、どうやら台風の進路になっているようで、これからお天気が急変するようです。
家の周りを念のため片づけましたけど、今夜が怖いです(-_-;)
夜っていうのが怖いですね。
どこも被害なく通り過ぎますように。



それでは、22時に「俺の男、僕の男。」でお待ちしています。
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・・・・・「ユンホさん、僕は、、、」

「・・・・・」

・・・・・「僕は、やっぱり、、、」

「・・・・・」

・・・・・「やっぱり、、、」


〝ユンホさんの傍に居たい〟


そう、意を決して言葉にしようとした時、、


「チャンミン、、、」


まるで、僕の言葉を制するように、
ユンホさんが口を開いた。


・・・・・「は、はい、、、」

「聴かせてくれるか?」


僕は、貴方のためにだけピアノを弾く。
いつでも、どんな時でも、貴方の為だけに、、、


・・・・・「もちろんです、、、」





数分後、僕はホテルのバーのピアノの前に座っていた。

昼間のこの場所は、人の姿もなく静かで、
夜とはまた違った空気が流れている。


静かに鍵盤に触れ、目を閉じる。
そして、僕の心を指先を通じてピアノの音に乗せる。

いつもと同じ。

指先に力を入れるのは、最初の一音だけ。
その後は、心が僕の指を動かしてくれる。

ユンホさんに届きますように。

僕の心が
僕の想いが
僕の愛が


ユンホさんに届きますように、、、



ユンホさんは、いつものカウンターの席に座り、
静かに演奏を聴いていた。



ユンホさんが、いつだったか教えてくれた。
彼のお母さまが愛し、いつも弾いて聞かせてくれた曲

 〝愛の夢〟

5分ほどのその曲に、僕は自分の想いの全てを託す。
最後の一音まで、彼の為だけに、、、



演奏が終わると、最後のピアノの音が空気に乗り、静かな響きを生む。
指の動きが止まり、また、静けさが戻る。


メロディの余韻が心地いい。


ふぅ、、、っと小さく息を漏らし、
僕は顔を上げ、ユンホさんを見た。


すると、ユンホさんはカウンターの椅子から音も立てず立ち上がり、
その場で大きく息を吐く。

そして、厚い絨毯の上をゆっくりと歩き、
ピアノの前に座ったままの、僕の目の前で脚を止めた。


「チャンミン、、、」


僕は、返事の代わりに立ちあがる。
ユンホさんと視線を合わせた。


・・・・・「僕はユンホさんの為だけにピアノを弾きたいです」

「・・・・・」

・・・・・「ダメですか?」


僕の心が、届いていますように、、、
そう祈りながら、彼の返事を待つ。


ユンホさんの黒い瞳が、ゆらゆらと揺れて、、、



「その白い翼なら、何処にだって飛んで行ける」

・・・・・「・・・・・」

「俺のようなつまらない男に縛られることなく、自由に、、、」

・・・・・「・・・・・」

「でも、、、」



ユンホさんの大きな手が、ゆっくりと伸びてきて、
そして、遠慮がちに僕の頬に触れる。


「その翼は、、、」

・・・・・「・・・・・」

「俺が、捥ぎ取ってやる」

・・・・・「ユンホさん、、、」

「お前がそう願ったんだ、、、それを忘れるな、、、」


温かい掌が、僕の頬を包む。
少し震えるその手に、僕は自分の手を重ね合わせた。


心が満たされてゆく。
ようやく、僕の心が彼に届いた瞬間だった。


・・・・・「はい、、、忘れません、絶対に、、、」


嬉しくて、、、


「バカなやつだ、、、」

・・・・・「ごめんなさい、、、」


腕を伸ばして、ユンホさんの胸のしがみつく。


・・・・・「ごめんな、、、さ、、、」


込み上げるものが、僕の言葉を詰まらせる。


「泣くな、、、泣かなくていい、、、」

・・・・・「うっ、、、」


しがみつく僕を、ユンホさんは優しくその腕で包んでくれた。




「傍に居ろ、、、これからずっと、、、永遠に、、、」







46へつづく

読者の皆さま、こんにちは。

昨日は、高校野球の決勝戦がありましたね。
大阪桐蔭が2度目の春夏連覇達成。
本当に凄い!!
それに、インドネシアで開催されているアジア大会の水泳も、
18歳の池江選手がすごいですよね。
若い力って本当に凄いと思う。
若人に限らずですが、同じ日本人が頑張っている姿を見ると、誇りに思うし、
何故か最近、すぐに泣けてくるんです。
これって歳ですか?(;・∀・)

そして、今朝は、、、

2018.08.22 日刊スポーツ

JKの事を、こんなにも羨ましいと思ったことは無い(笑)



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