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私の心の中のお話です。
ご了承ください。



真夜中の観覧車。-scene6-





・・・・・「ほら、、、ヒョン、、、しっかりしてって、、、」

「ちょっと飲みすぎたぁ、、、」

・・・・・「チョットじゃないって、、、もう、、、弱いくせに、、、」


酔いすぎて、フラフラで身体に力が入らないユノヒョンは、
僕と先輩に両脇を抱えられて、寮の部屋に戻って来た。


--- ほら、ユノっ! 大丈夫かよ、ったく、、、---


久し振りのユノヒョンの部屋。
相変わらず散らかってる。

あと1週間で発つのに、なんの準備もしてないのだろうか、、、?



--- あっ、、、---


日付が変わろうとしている。
廊下も静まり返っていて、そんな時、先輩のポケットのスマホが鳴った。


・・・・・「先輩、あとは僕、やっておくので、、、」

--- いいのか? ---

・・・・・「僕も、すぐに部屋に戻ります。」

--- 悪いな、チャンミン。頼むぞ。---

・・・・・「はい、お疲れ様でした。」

--- おう、お疲れ、、、---


慌てて電話に出た先輩は、
遠慮がちな囁く声で応答しながら、僕に小さく手をあげて部屋を出ていった。


ベッドの上のユノヒョンは、気持ちよさそうに眠ってる。


・・・・・「全く、いい気なもんだよ、ヒョン、、、」


羽織っていた上着を脱がせて、ケットをかぶせる。

部屋の中は、夏の湿気を帯びた空気で蒸し暑くて、
僕は、エアコンをいれ、タイマーをセットした。

そして、床に散らばってる雑誌や洋服を、
少しだけ片づけて、、、


・・・・・「ヒョン、、、僕、帰るね。」


僕の声が、ぐっすり眠っているユノヒョンに届くはずもない。

灯りを消そうとしたその時、はっと思い出す。
僕は、背負っていたリュックを背中から降ろし、
持ってきた包みを取り出した。

ガサゴソと音を立てて、包みを開ける。
その音で、ユノヒョンが目を覚ますかと思ったけれど、
ベッドを見ると、ユノヒョンは変わらずこちらに背中を向けて眠っていた。


僕の手にあるのは、写真立て。
その中には、子供の頃の懐かしい写真が入っている。

公園の滑り台の上。
出逢った頃の、僕とユノヒョンだ。

この前、家に戻った時、
ユノヒョンと一緒に見たアルバムの中に入っていた写真、、、





「懐かしいな、、、チャンミン。」

・・・・・「こんな時、覚えてる?」

「滑り台が怖いって、お前いつも泣いてただろ?」

・・・・・「そうだった?」

「お前の後ろに俺が座って、一緒に滑ってやっただろ?」

・・・・・「あぁ、、、そうだったね、、、」






2人で古いアルバムを覗き込んで、
懐かしい話をたくさんした。

滑り台の上に、泣きそうな顔をして座ってる僕の顔を指でそっと撫でて、、、







「俺、初めてお前見た時、女の子だって思ったんだぜ?」

・・・・・「へぇ、、そんなの、初耳だな、、、」

「可愛かったからさ、、、お前、、、」







まだ、出逢ったばかりの僕たちが、
その写真の中に居る。

本当の意味で、兄弟だった頃の僕達・・・


遠い場所に行ってしまうユノヒョンに、
この写真をプレゼントしようって、、、、


僕は、写真の中のユノヒョンにそっと触れる。


・・・・・「ヒョン、、、僕を忘れないでよ。」


たった半年。
忘れるはずないじゃないか、、、

心の中で、自分にそう言いながら苦笑する。


その写真立てを、
ユノヒョンの机の隅に立て掛けた。


そして、灯りを消して扉のノブに触れたその時、、、



「チャンミン、、、」



小さな小さな声、、、
思わず振り向いた。


カーテンの向こうの月明りだけが、
この部屋を照らしている。

目を凝らしてベッドを見ると、
ユノヒョンは、さっきと同じで背を向けたまま、、、


まさか、寝ぼけて僕を呼んだの?


可笑しくて、ふふっと笑った。



すると、、、


「チャンミン、、、、」


えっ?
起きてる?


次第に、薄暗さに目が慣れる。
でも、ユノヒョンは少しも動かない。


・・・・・「ヒョン?」

寝てるはず、、、そう思いながらも、
それでも僕は、ユノヒョンを呼んだ。


「サンキュ、チャンミン、、、」

・・・・・「・・・・・」

「おやすみ、、、」



酔っぱらって、ここまで連れてくるの大変だったんだぞ、、、、とか、、、
起きてるなら、こっち向けよ、、、とか、、、

部屋が汚いから仕方なく片づけてやったんだよ、、、とか、、、
留学の準備はしてるのか、、、とか、、、



言いたいことはたくさんあった。


けど、、、


・・・・・「おやすみなさい、ヒョン、、、」



僕は、それだけを言うと、
静かにユノヒョンの部屋を出た。






1週間後・・・・



「じゃ、行って来るな!」

--- おう、連絡しろよ ---

・・・・・「ヒョン! 頑張ってね。」

まるで、すぐにでも会えるような軽い挨拶をして、
ユノヒョンは、メルボルンに旅立った。




見送りはいらないって、ユノヒョンはそう言ったけれど、
僕と先輩は、嫌がるユノヒョンに強引について行った。


「チャンミンの事、よろしく頼むぜ」

--- あぁ、任しとけって、、、可愛がってやるさ~---

先輩が、ふざけて僕の髪をくしゃくしゃにする。

・・・・・「も、もぅ、、、先輩っ!!」

「あははは、、、、、チャンミン、、、」

・・・・・「ん? 」

「仲直りしろよ?」

・・・・・「えっ?」


ユノヒョンの言った意味が分からなくて、
僕は、キョトンとした顔をしていたと思う。

そんな僕を見て、ユノヒョンは笑って僕の髪を撫でた。


「ユンスさんに、よろしく伝えといて」

・・・・・「・・・・えっ?」

「じゃあな、、、」


〝ユンスさん、、、〟

その言葉で、ようやく、ユノヒョンのさっきの言葉の意味を理解した僕。


大きく手を振りながら、
ユノヒョンが遠ざかってゆく。

僕は、ユノヒョンに精一杯手を振った。


--- さ、チャンミン、、、、帰ろうか? ---

・・・・・「はい、、、」

--- 泣くなって、、、チャンミン、、俺がいるだろ? ---

・・・・・「もう、泣いてませんって、、、先輩まで僕を揶揄わないでくださいよ」

--- よし、泣いてるチャンミンに、俺が飯を奢ってやろう。---

・・・・・「ホントですか? やった! 僕、焼き肉食べたいですっ!」

--- 言うねぇ、、、さすがユノの弟。よーし、行くぞチャンミン! ---

・・・・・「はいっ」




ユノヒョンは旅立った。
きっと、あの大きな荷物の中には、
僕がユノヒョンの部屋にそっと置いた写真立てが入ってる。


次、僕がユノヒョンに会えるその日まで、
僕の中で、何か少しでもはっきりとした答えが出ているだろうか、、、

僕は、本当の自分の気持ちを知ることができるだろうか、、、



ユノヒョンが戻ってくるのは、
半年後・・・・・








108につづく

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真夜中の観覧車。-scene6-





あと1週間で夏休みも終わる。


〝暫くの間、、、僕達、距離を置こう〟


思ってもみなかった、あのヒョンの言葉・・・
僕は、ヒョンの気持ちを受け入れた。


〝立ち止まって考えよう、、、お互いの為に、、、〟


ヒョンは、そう言ったけれど、、、、

分かってる。

ヒョンは、僕に時間をくれたんだ。
自分の心を見つめる時間。

揺れている僕の心を、僕自身よりも分かってくれていたヒョン。
僕を、何一つ責めることもなく・・・



--- えっ? 俺も行っていいのか? ---

・・・・・「うん。ヒョンがいいって。」

--- あーっ、なんか緊張するな、、、---



今夜のユノヒョンの送別会に、イソンを誘った。
ユノヒョンの友達とは顔見知りだし、親しくさせてもらってるけど、
なんとなく、あの輪の中に居ずらい気がして・・・


・・・・・「場所は、ここから近い居酒屋って言ってたから、、、」

--- 了解。---

・・・・・「じゃあ、あとで、、、」

--- おう! ---


部屋の前でイソンと別れて、
1人、部屋に戻る。

エアコンを入れて、デスクの椅子に腰を下ろす。


一番上の引き出しから、小さな包みを取り出した。
その包みを手に、ぼんやりと考える。

たった半年だ。
来年の春が来る頃、ユノヒョンは戻ってくる。

帰ってこないわけじゃないし、
一生、会えなくなるわけでもない。

なのに・・・

心にポッカリと穴が開いたような、この気持ち・・・

僕が今までどれだけ、ユノヒョンに頼っていたのか、
今更ながらこんなにも感じる。

だめだ、、、
気持ちを切り替えよう。

手にした包みをリュックの中に放り込み、
エアコンを切って、部屋を出た。




--- 沢山来てんの?---

・・・・・「あぁ、なんか今日は近い友達だけって言ってたよ」

--- そうか、、、チョン先輩ともなると、送別会は1回じゃ済まないってことだな、さすが、、、---



寮を出て、ユノヒョンたちが待つお店に向かう。
歩いて15分ほどで、その店に到着した。


--- おおっ! チャンミンっ! こっちこっち!! ---

・・・・・「先輩、こんばんは。」

--- お邪魔します、、、---


そこには、ユノヒョン以外の先輩が5人・・・
僕の隣りで、イソンが先輩たちに向かって頭を下げる。


--- ん? チャンミンの連れ?---

・・・・・「はい、僕の隣りの部屋の友達です。」

--- ファン・イソンです。どうも、、、---

・・・・・「あの、、、ヒョンは、、、」

--- アイツ? あぁ、、、、すぐ来るよ。座れ ---

・・・・・「はい。失礼します。」


大きなテーブルの一番奥。
イソンと隣り合わせて腰を下ろす。


--- お前ら、ビールでいい? ---

・・・・・「あーっ、僕はお酒は、、、」

--- チャンミン、、、お前の大切なヒョンの送別会なんだからさ、乾杯くらい付き合えよ ---

・・・・・「あ、、は、はい、、、」

--- イソンだっけ? お前は? ---

--- はいっ、僕はビールいただきます! ---


暫くすると、テーブルの上にはグラスとビール、
そして、沢山の料理が並べられて、、、

ユノヒョンが居ないのに、先輩たちはもう待ちきれなくなったのか、
グラスを手に、飲み始めていた。


--- チャンミン、ユノが気になるのか? ---


店の扉の方ばかりを気にしてしていたからか、
僕の目の前の皿に、おかずを取り分けながら、先輩がそう言う。


・・・・・「いや、遅いからどうしたのかなって、、、」

--- 教えてやろうか? ---


ニヤッと笑いながら、
僕のグラスにビールを注ぐ。


--- 止めとけって、、、---


別の先輩に止められても、話は続いた。


--- アイツさ、告られたんだよ。---

・・・・・「えっ?」

--- 留学が決まってから、これで何人目だ?---

・・・・・「告られたって、、、」

--- 俺の知ってるだけでも、今日の女で5人目じゃね? まぁ、今までもちょこちょこあったけどな。---


それまで隣りで黙って料理をせっせと口に入れていたイソンが、初めて口を開く。


--- やっぱ、さすがチョン先輩ですよね? あんないい男、女がほっとくわけないですよ---

・・・・・「・・・・・」

--- まぁさ、、、---

・・・・・「・・・・・」

--- 早く心の許せる人、出来たらいいなって、俺達は思ってんだけどさ、、、そう思うだろ?チャンミン、、、---


先輩のいう意味は、すぐに理解できた。
ミファさんが居なくなって、先輩たちもユノヒョンの事をとても心配してる。

だから、またユノヒョンにいい人が出来て、
元気になってほしいって、そう思ってるんだ。


・・・・・「そうですね、、、僕もそう思い、、、」





「何だって? 俺の悪口か?」

--- おっ! ようやく主役が来たぞ、、、---


ハッとして、先輩たちの視線の先に目をやると、
遅れてきたくせに、悪びれた様子もなく近づいてくるユノヒョンが居た。


「ちょっと、そこ開けて、、、」


僕の隣りに座っていた先輩が、1人分席をずらす。
そこにドカリとユノヒョンが腰を下ろした。


「待ったか?チャンミン」

・・・・・「遅いよ、ヒョン。」

「悪いな、ちょっと、用事でさ、、、」



ユノヒョンにグラスを手渡して、ビールを注ぐ。


--- じゃあ、主役が来たところで、乾杯しよう--

--- チョン・ユンホの輝かしい未来に! ---

「大げさだな、、、」

--- カンパーイ !---


カン、、と、それぞれがグラスを重ねる。
僕の隣りで、ユノヒョンは少し照れくさそうにグラスのビールを飲み干した。


--- で、どうだった? ---

「ん?」

--- しらばっくれんなって、、、ミスK大 カン・ミンジュ 、、、---

「あぁ、、、ん、、、まあまあかな、、、」

--- おぉーーーっ、、、さすがチョン・ユンホ。---

--- あの美人で才女を、まぁまぁ何て言うのは、お前だけだぜ---

「そうか?」


おかずを口に放り込みながら、
気のない返事をする。

お皿の周りに、ユノヒョンのお箸の先からこぼれたおかずが落ちて、、、


・・・・・「あぁ、、ほら、ヒョン、、、落とさないでよ、、、」

テーブルの端にあったペーパーでふき取って、
自分のお箸で、おかずをユノヒョンのお皿に取り分ける。


「おお、サンキュ、、、」


その様子を見ていた先輩が、
クスクス笑いだす。


--- ユノ、お前、チャンミンと付き合えば? ---

「・・・・・」

・・・・・「せ、先輩、、、何言ってるんですか?」

--- いつも思うけど、チャンミンならいい嫁さんになるぜ? ---


先輩たちが、一斉に笑い出す。
つられたのか、隣りのイソンまでが、ケラケラと笑っていた。


・・・・・「もう、、、止めてください。」

--- こいつの面倒見るのは、ミスK大よりもチャンミンのがいいって、、、な?---

--- あはははは、、、確かにそうだ。---


皆が、冗談で言ってることは分かってる。
場を盛り上げたくて、面白おかしく話しているのは知っている。

けど、、、

僕は恥ずかしくて、思わず俯いてしまった。



その時、、、




僕の肩に、ヒョンの腕がぐるりと回って、、、



「じゃあ、、、結婚すっか? チャンミン、、、」


お酒の弱いユノヒョンは、顔を真っ赤にして、、、

けど、、、

そんな冗談を言いながら、僕を見つめる瞳が真っすぐすぎるから、、、



・・・・・「バカ言うなよ、ヒョン。もう酔っぱらってんの?」



怖くなって、僕は目を逸らせるしか出来なかった・・・・・








107につづく

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真夜中の観覧車。-scene6-





部屋のドアを閉めて、ベッドに身体を横たえる。
手にしたスマホのロックを外して、着信を確認した。


・・・・・「ヒョン、、、」


ヒョンから3回、、、



〝折り返し、電話しろ。〟



ユノヒョンの言葉が頭の中に響く。
僕は、リダイヤルしようと指を伸ばして、、、

でも、伸ばした指はピタリと止まった。


今、ヒョンと話して何を言えばいいんだろう。
自分が一体何を考えているのか。

そんな事すら、分からないというのに・・・・・



暫くもディスプレイに浮かぶヒョンのナンバーを眺めていると、
ゆっくりと、ディスプレイが暗くなり、また、ロックが掛った。


・・・・・「はぁっ、、、」


小さくため息をついて、身体を横向きにして脚を丸める。
手の中のスマホを、枕元に投げた。


目を閉じると、瞼の向こう側には、ヒョンの姿が浮かぶ。


〝ごめん、、、また連絡するから、、、〟


あの時、ヒョンは僕を見てはくれなかったから、
浮かぶのは、ヒョンの背中。

僕に背を向け、部屋を出てゆくヒョンの寂しそうな背中・・・


どうしよう、、、

電話、、、


掛けようか、どうしようか、、、
悩んでいるうちに、気が付けば僕はいつの間にか、眠りに落ちいてた。


どの位時間が経ったか、、、
ブルッと背中が震えて、目が覚める。


・・・・・「あれ?」


部屋の灯りは付いたまま、
身体が震えたのは、エアコンの温度を低いままにしていたからだった。


・・・・・「寝ちゃってた、、、」


なんだか怠い身体を起こして、
リモコンを手に取り、エアコンの感度を下げる。

大きなあくびが1つ出て、ふっと時計を見ると、、、


・・・・・「もう11時か、、、」


シャワーを浴びたかったけど、
使用時間は過ぎてる。

明日の朝一番にしよう、、、

仕方なく、着替えをして部屋の灯りを消した。


その刹那、、、


・・・・・「あっ!」


静かな部屋に、スマホの着信音が鳴り響く。
びっくりして、アタフタしたした僕は、
部屋を見回してスマホを探した。


スマホのライトが、眩しいほどに光っていて、
枕元に置かれたままのそれは、すぐに見つかった。

慌てて手に取れば、、、


・・・・・「ヒョン、、、」


そうだ、、、
折り返し、電話しなきゃダメだったのに、
つい眠ってしまっていたんだ。

それなのに、僕はまだ、
電話に出るかどうか迷っている。


けど、迷ったって仕方ない。
とにかく、何でもいい。
話さないと、、、


僕は、フーッと短い深呼吸をして、
電話に応答した。


・・・・・「・・・・・」

--- チャンミン? ---

・・・・・「うん。」

--- ごめん。こんな遅くに、、、寝てた?---

・・・・・「う、ううん。起きてたよ。」

--- そっか、、、---

・・・・・「うん。」



久し振りに聞く、ヒョンの声・・・


--- 何度か電話したんだけど、出なかったから心配で、、、---

・・・・・「ゴメン。スマホ、、、手元になかったから、、、」

--- そう、、、元気ならいいんだ。---

・・・・・「・・・・」


ぎこちなくなるのは、分かってた。

あんなふうに、ヒョンと別れたっきり、
僕は気まずくて電話も出来なかったし、もちろんそれはきっと、ヒョンも同じで、、、

なのに、こうやってヒョンから連絡をくれたんだ。
何か話さないと、、、
このままじゃ、、、



--- チャンミン、、、---



僕の名を呼ぶヒョンの声は、
さっきまでとは違う、何か強い意思のようなものを感じた。


・・・・・「・・・・・」


その先のヒョンの言葉が何なのか、、、
分からないのに、
なのにどうしてだか、怖くて、、、


言葉が、出ない。

すると、、、


--- 暫くの間、、、僕達、距離を置こう。---


・・・・・「えっ?」


距離を置く、、、?
それは、どういう、、、


--- 少しだけ、立ち止まって考えよう。それがいい。---

・・・・・「・・・・・」

--- 本当は、会って、チャンミンの顔を見て言わないといけないのに、、、ゴメン。今はその勇気がない。---

・・・・・「勇気?」

--- 顔を見たら、すぐに気が変わってしまいそうだから、、、---

・・・・・「ヒョン、、、」

--- 勝手に決めてごめん。でも、今は、お互いのためにそうしたほうがいい。---


スマホを持つ手が、震えだす。


・・・・・「嫌いになった?」

--- ・・・・・ ----

・・・・・「僕の事、嫌いになった?」

--- 違う、そうじゃないよ、チャンミン、、、---

・・・・・「・・・・・」


自分が悪いのに、ヒョンを責めるなんて、、、
間違っていることは、分かってた。

ホントなら、責められるのは僕だ。

けど、、、

もう、どうしていいのか分からない、、、
悔しくて、、、

そんな感情を、僕はヒョンにぶつけてる。
間違ってるのは、僕なのに、、、、



--- 分かるだろ? チャンミン、、、---

・・・・・「・・・・・」

--- 好きだよ、、、---

・・・・・「・・・・・」

--- 好きだよ、チャンミン、、、---

・・・・・「ヒョ、、、ン、、、ヒョン、、、」

--- 大丈夫。きっと上手くいくよ。ね? チャンミン、、、---





夏が過ぎてゆく・・・





僕の傍から、ヒョンが居なくなって、、、

そして、、、、


「チャンミン、、、俺の送別会、やってくれるらしくて、、、お前も来るだろ?」

・・・・・「うん。行くよ、ヒョン、、、」



そして、ユノヒョンも遠くへ旅立つ・・・・・






106につづく

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真夜中の観覧車。-scene6-






久し振りに寮に戻って、自室の扉を開く。
暫く留守にしていたから、部屋の中は蒸し暑いし、少し埃っぽかった。

脚を踏み入れてすぐに、窓を開ける。
外はすでに夜の闇に包まれていて、夏の虫たちが賑やかに合唱していた。


--- よっ、久しぶりっ! ---


突然、背後から聞こえた声に驚いて振り向くと、
少し開いた扉に手を掛けて、イソンが部屋を覗いていた。


・・・・・「イソン、、、久しぶり」

--- 飯食った? ---

・・・・・「うん。」

--- 入っていい? ---

・・・・・「うん。どうぞ。ちょっと埃っぽいけど、、、」


僕は、開けたばかりの窓を止めて、エアコンのスイッチを入れた。


--- はい、、、---

・・・・・「ありがとう。」


ベッドに腰かけたイソンが、差し出したのは、
冷たく冷えた缶コーラ。

受け取って、デスクの椅子に座る。
プルタブを開けると、シュワっと音がして泡が溢れた。


・・・・・「ずっと寮に居たの?」

--- 2日ほど家に戻ったけど、特にすることもないしさ、退屈で戻って来た。---

・・・・・「僕も。」

--- でも、チャンミンはチョン先輩と一緒だったんだろ? ---


ゴクリと一口、コーラを喉に通す。
炭酸の刺激が心地よかった。


・・・・・「ずっとって言っても、まぁ、食事に行って、夏祭りに行ったくらい?」

--- 夏祭り? ---

・・・・・「うん。地元の小さなお祭りだけどね。子供の時からいつもヒョンと一緒に行ってたから、、、」


そう言うと、イソンはニヤリと意味深に笑って、
小さく肩を揺らしている。


・・・・・「何? 可笑しい?」

--- いや、、、可笑しくはないけどさ、、、---

・・・・・「じゃあ、どうして笑うんだよ」

--- 普通、大学生にもなって男2人で夏祭りとか、行く? ---

・・・・・「えっ? 行か、、、ないの?」

--- 仲良すぎ。チャンミン、お前さ、彼女出来たら嫉妬されるぜ? ---

・・・・・「嫉妬?」

--- 〝私と先輩、どっちが好きなの?? 〟なーんてさ、、、---


そう言うと、イソンはケラケラと笑い出した。


・・・・・「バカ言うなよ、、、」


僕は、必死で笑顔を作った。
上手く笑えていたかは、余り自信がない。

けど、、、

イソンの言葉で、思い出したのは、、、



〝きっとまた、チョン先輩にもいい人が出来るって、、、彼女だよ、、、恋人〟



あの、キュヒョンの言葉・・・

この先、ユノヒョンがミファさんの事を乗り越えて、誰かに恋して、、、
恋人が出来たとしたら、
その時僕は、心から笑って祝福することができるだろうか、、、




--- じゃあ、また明日な。一緒に飯食おうぜ---

・・・・・「うん。」

--- おやすみ、、、---

・・・・・「おやすみ。」


イソンが部屋を出て、僕はカーテンを開けた。
藍の空に、月が浮かんでる。



月を見ながら思う。

僕は、一体どうしたいのだろう。

ユノヒョンの気持ち。
ヒョンの気持ち。

そして、ミファさんが残して逝った気持ち、、、


ううん。違う、、、

そうじゃない。
そうじゃなくて、、、

知りたいのは、僕の気持ち。

僕自身の、本当の気持ち、、、



その時、、、


小さく扉をノックする音が聞えて、、、
ふっと、我に返って机の時計を見た。

時間は、もう21時を回っている。


イソンだろうか?
忘れ物でもしたのかと、辺りを見回したけど何もなくて、、、


・・・・・「はい、、、」

「チャンミン? 俺だけど、、、」

・・・・・「ヒョン?」


慌てて扉を開ける。
そこには、すっかり部屋着に着替えて、
シャワーでも浴びたのだろうか、、、
髪をしっとりと濡らしたままのヒョンが立っていた。


・・・・・「どうしたの?」

「ん、、、これ、、、お前、車の中に忘れてたろ?」


差し出されたのは、僕のスマホ。
全然、気が付かなかった。


・・・・・「うそ、、、ごめん、、、」

「イヤ、実は俺もさ、車ん中に忘れ物して、、、」

・・・・・「そうなの?」

「取りに行ったら、お前のスマホがあってさ。」

・・・・・「ごめん。落としたのかな?」

「すぐに持ってくればよかったんだけど、汗で、、、気持ち悪くてそれで、シャワー浴びてきた。」

・・・・・「ううん。わざわざゴメンね。」

ふっと、ユノヒョンを見る。
髪の先から、拭いきれていない雫が、ポタポタと落ちていた。


・・・・・「ヒョン、、、ちょっと入って。」

「あ、い、いや、、、もう戻るから、、、」

・・・・・「じゃあ、ちょっと待って。」


僕は、慌ててクローゼットからタオルを取り出す。


・・・・・「ほら、まだ濡れてるよ。」


タオルを広げて、ユノヒョンの髪をゆっくりと拭う。
こういうところは、昔から全く変わってない。
大雑把で、、、、

全く、、、風邪引くだろ?


・・・・・「はい、これで良し。」

「・・・・・」

・・・・・「ヒョン?」


黙って僕に髪を拭われていたヒョンは、
表情を変えず、その場に立ったまま、、、


・・・・・「ヒョン?」


すると、ヒョンは僕に視線を合わせ、、、



「折り返し、電話しろ。」

・・・・・「えっ?」

「さっき、何度も鳴ってた。お前の電話、、、」

・・・・・「・・・・・」

「ユンスさんから、、、」


小さな声でそう言うと、ヒョンは僕に背中を向け、
静かに廊下を歩いていく。

ヒョンの姿が消え、階段を下りてゆく足音が遠ざかる。



僕は、その音を聞きながら、スマホをギュッと握りしめていた・・・・・








105につづく

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真夜中の観覧車。-scene6-







--- たまには連絡してきなさいよ。---

・・・・・「うん、分かってる。」


大学へ戻る日。
自分勝手に予定を早めたから、
自分一人で戻るつもりだったのに、、、、


--- ユンホくん、よろしくお願いね。---

「はい。分かりました。」


家に戻ってきたときと同じように、
ユノヒョンの車で大学へ戻ることになった。


「行こう、チャンミン、、、」

・・・・・「うん。じゃあね、母さん。」

--- 気を付けてね、、、---


家で昼食を済ませ、部屋を片付けた。
戻る準備をして車に乗り込んだのは、午後4時過ぎ、、、


「チャンミン、、、途中で夜飯食ってから戻ろう」

・・・・・「うん。」


車の窓の外、、、
4時を過ぎる時間なのに、空は真っ青で、
照り付ける太陽の光がギラギラと道路を射す。

アスファルトの上は、ゆらゆらと陽炎が揺れている。




「お前さ、どうして早く帰るの?」


予定よりも早く戻ると言い出した僕に、

〝ふーん、、、分かった〟

とだけ言い、特に理由も聞くことのなかったユノヒョンが、
やはり気になったのか、、、

エアコンの音だけが聞える車内で、
突然そう口にした。


・・・・・「別に、、、家に居ても暇だし、、、」

「夏の予定とか、、、ないのかよ?」

・・・・・「予定? なんの?」


聞き返した僕を、運転しながらちらりと見て、、、


「だから、夏の予定だよ。」

・・・・・「特にないけど?」

「忙しいのか?」

・・・・・「ううん。暇だよ。」

「お前じゃなくてさ、、、」

・・・・・「・・・・・何?」


珍しく、ユノヒョンが口をモゴモゴさせながら、
言葉を選んでいる。


「だから、あの人、、、」

・・・・・「あの人?」

「ユンスさんだよ、、、」

・・・・・「えっ?」


ユノヒョンの口から、ヒョンの名前が出た事に驚いた。


「仕事、忙しいのか?」

・・・・・「うーん、、、どうだろう、、、」

「どうだろうって、、、」

・・・・・「忙しいのかな? 最近、会ってないから、、、」

「・・・・・」


窓の外の景色が流れてゆく様を見つめながら、
僕は、ボソッと、そう呟いた。


暫くすると、車のスピードが落ちて、

前を向くと、信号は赤。
車は、ゆっくりと交差点で停止した。


「暑くないか?」

ユノヒョンは、前を向いたまま小さな声でそう言った。

・・・・・「うん。涼しいよ。」

僕も、前を向いたまま、そう答えた。


信号が青に変わる。
車がゆっくりと走り出す。

ユノヒョンは、黙ったまま。
そして、僕も何も言わない。

静かな車内。
気まずい沈黙。

ふっと、西の空を見ると、
オレンジ色の太陽が、西の空を明るく照らしている。


・・・・・「ヒョン、、、空がオレンジ色だ、、、」


とても綺麗なその情景に、
思わずそう口にした。


ユノヒョンからの返事はない。
僕は、その景色に夢中になっていた。


それからどの位走っただろう。
広い幹線道路沿いにある、小さなレストランの駐車場に、車が止まった。


「ちょっと早いけど、飯食おう。」

・・・・・「うん、、、」


エンジンを止め、車を降りる。


・・・・・「わぁっ、、、凄い、、、」


振り向くと、車から見ていたオレンジの景色が、
僕の目の前に、大きく広がっていた。


「ここなら邪魔な建物もないし、見渡せるだろ?」

・・・・・「うん。すごい、、、ヒョン、知ってたの?」

「あぁ、、、ミファが好きだったんだ。ここから見る夕焼け、、、」

・・・・・「ミファさんが、、、」

「うん、、、」


ユノヒョンは、オレンジ色の空を仰ぎながら、
目を細めて微笑んでいた。

僕には見えないけれど、
きっとユノヒョンの目には、ミファさんの笑顔が、夕焼けと一緒に映っている。

そう思った。



「さ、行こう、チャンミン、、、」

・・・・・「うん。」


ユノヒョンが、空に背を向け、店に向って歩いてゆく。
僕は、その背中についてゆく。


・・・・・「あーっ、お腹減った。」

「お前、昼飯食ったんだろ?」

・・・・・「うん。ラーメンとチャーハン大盛りっ!」

「相変わらずよく食うな、、、」

・・・・・「ふふ、、、、」


何も考えず、このままで居られたら、、、
こんな風に、笑っていられたら、、、


幸せなのに、、、


勝手だな、僕って、、、


オレンジ色に照らされたユノヒョンの背中を見ながら、
自分勝手な自分自身に、苦笑いした。



「カルボナーラと、アイスコーヒー。お前は?」

・・・・・「えーっと、、、」

こういう場所に入ると、
決まって最後まで悩んでいるのは僕で、、、


「あー、すいません。決まったら言います。」

--- かしこまりました。---


ウエイトレスが、小さく頭を下げて戻ってゆく。


「ゆっくり決めろよ」

・・・・・「うん、、、」

「しかし、、、お前、小学ん時からちっとも変わんないな、、、ぷぷぷ」


嫌味を言われながらも、
僕の視線はメニューにくぎ付けだ。


・・・・・「じゃあ、オムライスにする。この、キノコのホワイトソースの。」

「それと?」

・・・・・「あと、イタリアンサラダとコーラ。」

「よし。」


ユノヒョンの合図でやって来たウェイトレスに注文をして、
僕はようやくメニューを閉じる。


グラスの冷たい水を喉に通すと、
すーっと、身体が内側から冷えていった。


・・・・・「ヒョン、、、」

「ん?」

・・・・・「いつ行くの? メルボルン」

「あぁ、、、夏休みが終わる前、、、」

・・・・・「終わる前って、、、いつ?」

「今月の末。」

・・・・・「今月、、、あと、2週間、、、」

「ん、、、」


確か、半年って言ってな、、、


・・・・・「帰ってくるの、来年になるの?」

「そうだな、、、3年になる前には戻るつもり。」

・・・・・「つもりって、、、」

「ん、、、いろいろ考えてんだよ、、、、」


--- お待たせしました、、、---


テーブルに、カルボナーラとアイスコーヒーが並べられて、、、


・・・・・「先に食うぞ。」

「うん、、、」


〝いろいろ〟って、それがとても気になったけど、
なんとなく、話をユノヒョンに切られた気がして、
それ以上は聞けなかった。


僕の目の前で、美味しそうに食べてるユノヒョンをじっと見つめていたら、、、

「ほら、、、」

スプーンの上でくるくる巻かれたカルボナーラが、
僕の目の前に差し出された。


「ほら、食え。」

・・・・・「・・・・・」

「なんだよ、、、」

・・・・・「子供扱いするなっ!」

「お前が欲しそうにじっと見てるからだろ? ま、いいけど、、、」

・・・・・「あぁっ!!待てよっ!!」


戻そうとしたフォークを、ユノヒョンの腕ごと掴んだ僕は、
大きな口を開けて、くるくる巻かれたカルボナーラに食いついた。


・・・・・「んーっ、、、おいひい、、、」


口を一杯にしてもぐもぐしている僕を見て、
ユノヒョンは呆れたように笑って、そして、、、


「お前は、そうやっていつも笑ってろ。」

・・・・・「ん? 何?」

「もう泣くなよ。お前は笑ってる方が可愛い、、、」


--- お待たせしました、、、---


「ほら、いっぱい食え。」

・・・・・「う、うん、、、」


〝可愛い〟


ユノヒョンのその言葉は、〝弟〟の僕に向けたもの。
なんの意味もないんだと、僕は自分自身にそう言い聞かせた。

特別な意味は、何もないんだと、、、









104につづく

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