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私の心の中のお話です。
ご了承下さい。


真夜中の観覧車。-scene5-







チャンミンくん、、、、


ユノは、貴方が好きなの、、、、
ユノは、貴方を愛してる、、、、







波の音が消えて、
海風がピタリと止む、、、


思わず顔を上げて、ユノヒョンを見た。

ユノヒョンは、真っすぐに僕を見つめていた。
今まで見たことのないその表情は、何を物語っているのか、、、

僕は、見つめ返すことができなくて、視線を逸らす。
動揺しながらも、もう一度、視線を手紙に戻した。








彼の心を、温めてあげてほしい。
もし、彼が涙を流したら、貴方のその指で拭ってあげてほしい。
悲しんでいたら、抱きしめてあげてほしい。

他の人は嫌よ。
貴方じゃなきゃ、、、、

貴方だから、こんな勝手な願いを託してる。
そんな私の気持ちを、理解してほしい。

理解してもらえるのは、貴方しかいない。

だって、そうでしょ?
貴方も私と同じ・・・・・


ユノを・・・
チョン・ユンホを愛しているから・・・・・




長くなりました。
少し疲れたので、ペンを置きますね。

最後に、チャンミンくん。

ユノが貴方を好きでよかった。
心から、そう思っています。





キム・ミファより




ミファさん、、、
こんな手紙を残すなんて、貴方は何て酷い人なんだろう、、、

今更、、、



震える指で、手紙を封筒に戻す。

少しずつ、波の音が耳に戻る。



気が付けば、白波が足元まで届いていた。



「チャンミン、、、」



濡れた足元、、、
ヒョンのスニーカーも、僕と同じように濡れている。


・・・・・「靴、、、濡れちゃったね。」

「そうだな? 冷たいか?」

・・・・・「ううん、、、冷たくて気持ちいい、、、」


僕は、濡れた足で脚踏みすると、
そのまま、数歩白波に向って歩く。


・・・・・「ヒョン、、、」

「・・・・・ん?」

・・・・・「帰ろうか?」

「ん、、、そうだな。」

・・・・・「その前に、お腹空いた。何か奢ってよ?」



波に脚を付けたまま振り向くと、ヒョンは笑ってた。



ミファさん、、、
貴方の願いは、今の僕には叶えられそうにないよ。

でも、、、

それでも、これだけは貴方に誓う。

僕はこれから先もずっと、

ユノヒョンが好き。
チョン・ユンホを愛し続ける。

それは、貴方の望む形ではないかもしれない。
だけど、それでも、、、

ユノヒョンは、僕の大切な人だから・・・・・


だからどうか、、、



・・・・・「行こう、ヒョン」

「あぁ、、、」




安心して、安らかに、、、、、







84 -scene5- へつづく

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私の心の中のお話です。
ご了承下さい。


真夜中の観覧車。-scene5-





〝私の愛する人、ユノへ〟


ユノ。

泣いてない?
今、とても貴方が心配です。

私ね、ユノ。
本当は、もっと生きたかった。
生きて、貴方に愛されたかった。

けれど、多くを望んでしまったから、
罰が当たったかな?

でもね、今、こんな風に病院のベッドの中で思い出すのは、
幸せだった貴方との想い出ばかりで、、、

貴方の言葉1つ1つが、、、
貴方の掌の温度が、、、
貴方の笑顔が、、、

私の心の中に、こんなにも溢れてるんだなって、、、
今更何言ってんだって、、、貴方の声が聞こえてきそう。

そんな事を考えて、笑ってばかりいるの。
可笑しいでしょ?

不思議と、こんな運命の自分を悔やんだり悲しんだりはしていないの。

私はただ、人よりも長く生きられなかっただけで、
一生懸命に生きた短い時間の中に、ギュッと詰め込まれた沢山の幸せがあったから、、、

自分を不幸だとは思わない。
本当だよ?

だから、貴方も悲しまないでほしい。
私は、不幸なんかじゃない。

貴方は、私に抱えきれないほどの沢山の愛をくれた。
私は、とっても幸せなの。

傍にいてくれてありがとう。
手を握ってくれてありがとう。
優しいキスをありがとう。

私を愛してくれてありがとう。


最後に1つ、私の我儘な願いを叶えてほしい。


ユノ、、、
私の愛するユノ、、、

貴方に幸せになってほしい。

隠さないで?
目を背けないで?

分かるでしょ? ユノ。
目の前の大切な人を、目を逸らさずに見つめなきゃ、、、


ずっと、黙っててごめんね。
最後まで、貴方の手を離せなかった私を、どうか許してね。

貴方に愛されたまま逝くことが出来て、
私は本当に幸せ者です。

ありがとう、ユノ。

貴方の幸せを、永遠に祈り続けます。




ミファ







手紙の中に綴られた、ミファさんのユノヒョンへの想い。
その全てが、大きく温かい愛で包まれている。

涙が滲む、、、

彼女の愛の深さを思い知った。



僕は、その手紙を大切に封筒に戻し、
ヒョンに差し出した。


・・・・・「ミファさん、、、ヒョンの事、、、とても愛してたんだね、、、」

「・・・・・」


そんな、言葉にしなくても分かり切ったセリフしか思い浮かばなかった。
ただ、気になったのは、、、



隠さないで?
目を背けないで?

分かるでしょ? ユノ。
目の前の大切な人を、目を逸らさずに見つめなきゃ、、、





あの言葉、、、


あの言葉の意味が、
この手紙の中に、あるのだろうか、、、


そっと、手の中のもう一通の手紙を見つめた。
ヒョンは、止めようとしない。


僕は、意を決し、手紙の封を切った。
ヒョン宛の手紙と同じ、白い便せんに浮かぶ美しい文字、、、



〝シム・チャンミンくんへ〟


確かに僕宛だ。


「チャンミン、、、」


手紙の文字に引き込まれるように文字を目で追い始めたその時、、、
ヒョンの低い声が、僕を呼ぶ。

僕は、顔を上げてヒョンを見た。



「約束してほしい。」

・・・・・「・・・・・」

「忘れてくれ、、、」

・・・・・「えっ?」

「その手紙に書かれていること、、、」

・・・・・「・・・・・」

「読んだあと、必ず忘れてほしい。」

・・・・・「忘れるって、、、どう言う事?」

「頼む、、、」



悲痛な表情を浮かべて、懇願するユノヒョンに、
僕は、意味も分からずに小さく頷くしかなかった。








〝シム・チャンミンくんへ〟


旅立つ前に、貴方に会いたかったのだけれど、
その願いは叶いそうもないので、こうして手紙を書きます。

この手紙が、チャンミンくんの手に届きますように。



いつだったか、、、
ユノから、貴方が私を見舞いたいと、そう言っていると聞きました。

あの時、無下にお断りした私をどうか許してください。
あの頃の私は、病気を受け止められなくて心に余裕がなかったの。

それに、、、
貴方を見ると、心が痛んだ。

罪悪感で押しつぶされそうになったの。


気が付いたのは、きっとユノよりも私が先だと思う。
私は、いつもユノを見てた。
愛していたから、いつも彼を見つめていた。

だからかな、、、
知りたくなかったことまで、知ってしまった。

彼は、私を全力でサポートし、そして、惜しみない愛情を注いでくれた。
私はとても、幸せだった。

その幸せを手放したくなくて、知らないふりをした。
気が付いていない振り、、、

病気を理由に、彼を束縛した。



けど、私はもう長くない。
彼の傍にいて、流れる涙を拭ってあげることも出来なくなる。

そう思った時、貴方の顏が、浮かんだの。


チャンミンくん、、、、


ユノは、貴方が好きなの、、、、
ユノは、貴方を愛してる、、、、








・・・・・「えっ?」




波の音が、消えた・・・・・









83へつづく

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真夜中の観覧車。-scene5-







ヒョンの姿が視界から消える。
ふっと、背中に感じる視線に気づき、ゆっくりと振り向いた。


・・・・・「ヒョン、、、」

「・・・・・」


ユノヒョンの瞳が、ゆらゆらと揺れている。
重なった視線は、すぐに逸らされた。


・・・・・「こんなところで、何してるの?」

「・・・・・」

・・・・・「ヒョン、、、」

「ミファと、、、」

・・・・・「・・・・・」

「ミファと話して、、、」

・・・・・「嘘だ、、、」


僕は、ヒョンの言葉を遮り、
強い口調でそう言った。


「チャンミン、、、」

・・・・・「ミファさんと話すなら、ここじゃないだろ?」

「・・・・・」


俯いたまま、黙り込んだヒョンに、
僕は容赦なく言葉を続けた。


・・・・・「突然、居なくなるとか、、、」

「・・・・・」

・・・・・「心配するだろ?」

「悪かったよ、、、」

・・・・・「ヒョンが僕に言った言葉、忘れた?」



〝俺を置いて、勝手に居なくなったりするなよな?〟



・・・・・「勝手に居なくなるなって、そう言ったのはヒョンだろ?」

「・・・・・」

・・・・・「何があったの?」



ミファさんの事だけじゃないはず。



「何も、、、ないよ。」

・・・・・「嘘、、、」

「嘘じゃないよ。本当に何も、、、」

・・・・・「じゃあ、どうして僕の手紙をヒョンが持ってるの?」



ハッとヒョンは身体を小さく揺らす。
手紙を持つその手に、ギュッと力が込められた。


・・・・・「勝手に持ってっちゃうとか、おかしいだろ?」

「チャンミン、、、」

・・・・・「・・・・・」


ヒョンは、伏せていた顔を上げて僕を見た。
今度は、真っすぐに逸らすことなく、、、


「お前にお願いがある。」

・・・・・「・・・・・」

「この手紙、、、俺にくれないか?」

・・・・・「ヒョン、、、」


海風が、僕たちの髪を揺らす。
ヒョンは真剣だった。


・・・・・「見ただろ? 僕はまだ、封を切ってない。」

「頼む。このまま、、、」

・・・・・「ヒョンの言ってる意味が分からない。」

「・・・・・」

・・・・・「その手紙は、ミファさんから僕宛の物だよ。」

「分かってるよ。それを承知で、、、頼んでるんだ。」


ヒョンは、あの手紙を僕に読まれるのが嫌なのだろうか?
手紙の内容を、ヒョンは知っているってこと?


・・・・・「分かったよ。」

「チャンミン、、、」

・・・・・「けど、ちゃんと説明してよ?」

「・・・・・」

・・・・・「どうしてヒョンは、ここに居るのか、、、どうして僕宛の手紙をヒョンが持ってるのか、、、どうして、、、、」

「・・・・・」

・・・・・「どうして、その手紙を僕が読んじゃいけないのか、、、」

「それは、、、」

・・・・・「僕に、分かるように説明してよ、ヒョン、、、」



視線がぶつかりあう。
僕は、ユノヒョンから目を逸らさない。
ヒョンもまた、僕から目を逸らさなかった。


ただ、2人の間を冷たい風と波の音だけが通り過ぎてゆく。
まるで、時間が止まったかのように僕たちはピクリとも動かない。

どのくらいの時間、そうしていたのか、、、


先に視線を逸らせて、口を開いたのは、、、


「ごめん、、、それはどうしても、、、」


ユノヒョンだった。


・・・・・「・・・・・」

「どうしても言えない。ゴメン、、、」



・・・・・「じゃあ、、、いいよ、、、」


僕は、半分ヤケになっていた。
ヒョンの行動が理解できなかったし、僕に何を隠そうとしているのか、、、
ここまで来たら、どうしても知りたいと思った。


一歩、二歩、三歩、、、
脚を前に出し、ヒョンの目の前に立つ。

そして、ヒョンの手にある手紙に指を掛け、強く引いた。


・・・・・「これは僕のだ。」

「・・・・・」


ヒョンは、僕の手に渡った手紙を取り返そうとはしなかった。
眉根を寄せて目を瞑り、俯いてしまう。


手元の手紙に目を向ける。
封は、切られていない。


・・・・・「あれっ?」


そして、驚いたことに手紙は2通、、、
僕宛の物と、そして、、、


〝愛するユノへ〟


もう一通の手紙には、僕の手紙に書かれてある文字と同じ、
美しく整った文字で、そう書かれてあった。


ミファさんからヒョン宛の手紙だった。



・・・・・「ヒョン、これ、、、」


封が切られた、ヒョン宛の手紙を差し出すと、
ヒョンは切なげに僕を見た。

そして、、、



「読みたいなら、読めばいい。けど、、、」


まるで、観念したかのように諦めの表情を浮かべる。


・・・・・「・・・・・」

「けど、俺は、、、」

・・・・・「・・・・・」


「このままでいたい。お前の、、、お前のヒョンでいたいんだ、、、」


そのヒョンの言葉は、悲痛にも聞こえた。
僕を見つめる瞳は、諦めから懇願に代わる。




けど、、、

ヒョンの言葉の意味は、その時の僕には理解できなかった。
ただ、知りたい、、、ユノヒョンの心に刺さっている〝棘〟の正体を知りたい。

そうすれば、僕がその棘を抜いてあげられるかもしれない。
ヒョンの気持ちを少しでも楽にしてあげたい。

ミファさんの代わりに、僕が、、、

その想いで必死だった。




僕は、意を決し、封筒の中の手紙を取り出した。




〝私の愛する人、ユノへ〟



その一行に、ミファさんのユノヒョンへの想いが溢れている。
それを目にしただけで、僕の胸がギュッと痛み、張り裂けそうになった・・・・・







82へつづく

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真夜中の観覧車。-scene5-






今、僕は〝あの海〟に向っている。



--- 想い出の場所、、、彼とチャンミンの想い出の場所、、、ある?---



ユノヒョンとの思い出は、沢山沢山あるけれど、
ヒョンにそう言われて、咄嗟に思い浮かんだのは、
2年前・・・あの夏の日、2人で向かった夏の海・・・

あの時、僕もユノヒョンもまだ高校生だった。
ユノヒョンにとっては、高校生活最後の夏休み。
受験で忙しくなる前にって、2人して一緒に海水浴に出掛けた。

僕にとっては、とても大切な想い出、、、
ユノヒョンにとっては、どうなんだろう、、、それは分からないけれど、
〝2人の想い出は?〟と、ヒョンに聞かれて、一番にあの夏の海が浮かんだんだ。


・・・・・「ヒョン、、、」

--- ん? ---

・・・・・「どうして?」


静かに道を急ぐ車の中で、
僕は、ぼそりと呟いた。


--- 何が? ---

・・・・・「どうして、ミファさんじゃなくて僕なの?」

--- ・・・・・ ---

・・・・・「僕との思い出の場所なの? 」


ユノヒョンは、ミファさんに会いたいんだ。
2人の想い出の場所というなら、理解できる。
けど、どうして僕なのか、、、僕とユノヒョンなのか、、、

そう問う僕に、ヒョンは何も言わなかった。
ただ、ふっと寂し気に笑みを浮かべただけで、車はそのまま走り続ける。

次第に、窓の向こうの景色が変わる。
30分もしないうちに、見覚えのある懐かしい砂浜が遠くに見えてきた。







もう、あれからも2年近く経った。

整備された小さな駐車場に車を止めて、
ヒョンはエンジンを切る。


--- ここで間違いない? ---

・・・・・「うん、、、」

--- よし、じゃあ、、、行ってみよう---

・・・・・「うん。」



車を降りて、脚を踏み出す。

夏に2人で来た時は、沢山の人で埋め尽くされて賑やかだった砂浜も、
春のこの季節は、海風も少し冷たくて、人の気配はなくてとても静かだった。

波の音と、潮の香。

立ち止まって腕を広げる。
瞼を閉じて深呼吸すると、あの時の記憶が鮮明に浮かぶ気がした。



砂浜に脚を踏み入れて、ゆっくりと歩く。
ザクザクと、踏みしめる砂の音が、波の音にかき消される。


--- チャンミン、、、、あれ、、、---


白波に気を取られていた僕に、ヒョンが声を出す。
ヒョンは、ずっと先の方を見つめながら、ゆっくりと指を差した。


・・・・・「ユノ、、、ヒョン?」


ずっと先に見えるのは、砂浜に立つその人の姿。

まさかほんとに?
本当に、ユノヒョン?




・・・・・「ヒョーーーーーンっ!」



気が付けば、僕は大声でユノヒョンを呼んでいた。
僕の声は、波の音にも海風の音にも消されることなく、ユノヒョンの元に届く。

遠くの海を眺めていたその視線が、
ようやく、僕に向けられた。


脚を取られながら、砂浜を走る。
スニーカーの中に砂が入り込んで、滑りそうになりながらも、
僕はユノヒョンの元に懸命に走った。



苦し気に荒く呼吸する僕を、ユノヒョンは驚いた顏で見つめている。


・・・・・「はぁっ、、、、」

「チャ、、、チャンミン、、、お前、、、」


両の膝に掌を当て、息を整える。


・・・・・「ユノ、、、ヒョン、、、、」

「・・・・・」

・・・・・「何、、、何やってんだよ、、、」

「・・・・・」

・・・・・「こんな、、、こんなとこで、、、」


ようやく呼吸が整い、改めてユノヒョンを見つめる。
海風が少し冷たいのに、半袖のシャツで、
リュックと上着は、無造作に砂の上に放り出されてる。

そして、何よりも僕の目を止めたのは、
ユノヒョンの左の手にある、あの、手紙・・・

やっぱり、ヒョンが持ち出してたんだ。


・・・・・「ヒョ、、、」


ふと、ヒョンの顏を見ると、目の前にいる僕を通り越して、
その視線は、僕の後方に向けられていた。

その視線を追うように振り向くと、、、



--- 久し振りだね、チョンくん、、、---


ヒョンが立っていた。


「・・・・・お久しぶりです、、、」


絞り出すように、ユノヒョンが声を出す。


・・・・・「あ、あの、、、ヒョ、、、」

--- チョンくん、、、---

「・・・・・」

--- 君にお願いがある。---

・・・・・「ヒョン?」


ヒョンは、僕の方を見ない。
その視線は、ユノヒョンを真っすぐ捉えている。


--- チャンミンを、送り届けてほしい。---

「・・・・・」

--- 無事に、大学の寮まで、、、---

・・・・・「ヒョン、、、」

--- それ位は出来るだろ? ---


少し強張った表情、、、
低く響く声、、、


少しだけ、ヒョンを怖いと、そう思った。


「分かりました。」

--- ん、、、頼んだよ。---


2人の会話が終わると、ヒョンはようやく僕を見た。


--- チャンミン、、、戻ったら連絡して? 待ってるから、、、---


そう言うと、ニコッと笑って背中を向ける。
砂を踏みしめながら、ヒョンが離れていく。


・・・・・「ヒョン!」


呼ぶと、ヒョンは脚を止めて振り向いた。


--- 約束、、、忘れるなよ? チャンミン、、、---



引いては寄せる波の音を聞きながら、
僕は、ヒョンの背中が見えなくなるまで、ずっと見つめ続けた。







81へつづく

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真夜中の観覧車。-scene5-






--- 大丈夫?チャンミン、、、---

・・・・・「うん、、、」


走り出した車は、5分ほどで近くのコンビニの駐車場に止まる。


僕を車内に残して、ヒョンは店に入ると、
両手に缶コーヒーを手に戻って来た。


--- はい、チャンミン、、、---

・・・・・「ありがとう、ヒョン、、、」


受け取ったまま、俯いて缶コーヒーを見つめる僕の髪を、
ヒョンの大きな掌が、ふわりと撫でる。


--- 飲んで? 少し落ち着いたらいい。---

・・・・・「・・・・・」


言われるがまま、プルタブを開けて一口だけ口にした。
ヒョンの言った通り、少しだけ息を付けた気がした。


--- で、、、チャンミンの心当たりは? ---

・・・・・「ユノヒョンの家に電話してみたけど、戻ってないっておばさんが、、、」

--- そっか、、、---

・・・・・「あと、思いつくのは、ミファさん、、、ユノヒョンの恋人が眠ってる場所、、、」

--- ん、、、---

・・・・・「それ以外は、全く見当もつかなくて、、、」

--- ・・・・・ ---



沈黙が僕たちを包む。
ちらりと隣のヒョンを覗き見ると、フロントガラスの向こうをじっと見つめている。

きっと呆れてるんだろうな。

こんなこと、本当はヒョンに頼ることじゃない。
僕は、酷いことしてる。

けど、どうしたらいいか、、、
頼れるのは、、、
話せるのはヒョンしかいなくて、、、


・・・・・「ごめんね、、、」

--- ・・・・・どうして謝るんだ? ---

・・・・・「・・・・・」

--- さっきも言ったけど、大切な恋人がそんな悲しい顔しているのを放っておけるわけないだろ?---


〝大切な恋人〟


ヒョンが口にしたその言葉は、その時の僕にはあまりにも重くて、、、

だって、ヒョンは知ってる。
僕が、ユノヒョンを長い間想い続けていたことを・・・・・

口にしたわけじゃない。
言葉にしたわけじゃない。

けど、きっとヒョンは分かってる。
それを知ったうえで、僕と一緒に居てくれてる。

そんなヒョンに、僕は酷いことをしてる、、、


頼っちゃいけない。
けど、ヒョンしか頼れる人がいない。


矛盾する2つの気持ちで、僕は胸が今にも張り裂けそうになっていた。



--- チャンミン、、、、覚えてる? ---

・・・・・「・・・・・」

--- 前にさ、、、旅行行こうって話したの、、、---



あれは、何時だったか、、、



〝2人で旅行に行こう〟
〝その時、チャンミンが欲しい、、、、チャンミンの全部が欲しい・・・〟




そんな風に、話したことを覚えている。


・・・・・「うん、覚えてる。」

--- 彼、、、ユンホくんのことが少し落ち着いたらさ、、、旅行行こう。---

・・・・・「・・・・・ヒョン、、、」


正直、今の僕にはそんなことは考えられなくて、、、
ヒョンの言葉に、素直に喜んで返事が出来なかった。

けど、そんな僕をヒョンは責めることもなく、


--- こんな時に何言ってんだって、、、そう思ってるだろ?---

・・・・・「そ、そんな事、、、な、、、」

--- チャンミン、、、---


ヒョンは、僕の言葉を遮り、
ずっと僕から逸らしていた視線を、ようやくこちらに向けた。


--- 僕は、チャンミンが思ってるほど大人じゃないし、出来た人間でもない。---

・・・・・「・・・・・」

--- 愛する人が、自分じゃない、他の誰かを想いながら心を痛めてるのを見るのは、正直いい気分じゃない。---

・・・・・「ヒョン、、、」

--- でも、それ以上に、そんな愛する人を見るのも苦しいし、どうにかしてあげたいと思う。---

・・・・・「・・・・・」

--- 笑ってほしい。チャンミンが好きなんだ。だから、、、---



罪悪感で埋め尽くされた僕の心は、
ヒョンの言葉で、一瞬で弾けて散った。


・・・・・「ご、ごめ、、、な、、、」

--- 泣くなって、、、泣かせたかった訳じゃないんだよ。---


本格的に泣きだしてしまった僕を、
ヒョンは目じりを下げて、少し困った顔をして見つめながら、
そっと手を伸ばし、頬の涙を拭ってくれた。






--- よし、、、その場所ならここから30分程で行けると思う。---

・・・・・「けど、あんなところに、、、」

--- でも、他に思いつくところがないなら、仕方ないよ。とにかく行ってみよう。---

・・・・・「うん、、、」



冷めてしまった缶コーヒーを飲み干したヒョンは、


--- きっと大丈夫。あんまり心配するな。---


笑って僕にそう言うと、静かに車を発進させた・・・・・







80へつづく

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