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私の心の中のお話です。
ご了承ください。



真夜中の観覧車。-scene8-



こんな風に、ヒョンに抱きしめられるのは初めてじゃない。

僕たちはお互いを〝兄〟そして、〝弟〟として今までの時間を共に過ごしてきた。
僕は、ユノヒョンを兄のように慕い、頼ってきたし、
ユノヒョンもまた、僕を可愛い弟として愛してくれた。

けど、、、
これは違う、、、

僕の身体を、まるで冷たい海風から守るように、
全てを包み、温めてくれる。

感じるのは、真っすぐでひたむきな〝愛〟
そこに、〝兄弟〟という感情は存在していない。


ミファさん、、、
貴方の手紙に書かれてあったことが、今ならよくわかる。
僕は、ユノヒョンに、、、チョン・ユンホに愛されてる。


・・・・・「ヒョン、、、」


僕は、宙に浮いたままの自分の両手をユノヒョンの背中に回す。

ユノヒョン、、、
僕の心が伝わる?

僕は、、、
僕は、、、


・・・・・「ヒョン、、、僕、、ヒョンが好き、、、好きだよ、、、」


ユノヒョンは、まるで、〝分かってるよ、、、〟そう言っているかのように、
僕を抱きしめる腕に力を入れる。

言葉はなかったけれど、僕には伝わってくる。



長い長いトンネルから、僕は抜け出たのだろうか、、、
少し、晴れ晴れとした気持ちが、胸の奥からジワリと湧き出てくる。


今の自分の気持ちは、とてもシンプルだ。
ユノヒョンが好き、、、
ただ、それだけ。
けれど、その答えに行きつくまでに、とても遠まわりをした。

イェリンを傷つけ、そして今、ヒョンを、、、ユンスさんを傷つけようとしてる。


「チャンミン、、、」

・・・・・「・・・・・」

「俺達がこんな風に気持ちを繋げることで、傷つけてしまう人がいるのはよく分かってる」

・・・・・「ヒョン、、、それって、、、」


それって、、、ヒョンの事だよね?
ユンスさんのこと、だよね?


「でも、もう無理なんだ、、、」

・・・・・「・・・・・」

「もう、チャンミンを手放すことは出来ない。どんな罰でも受ける。だから、、、」

・・・・・「・・・・・」

「俺の傍に居て? 何処にも行くな、、、」


ユノヒョン? 馬鹿だな、、、
何を言ってるの?

違うよ、、、
それは違う、、、


・・・・・「ヒョン? 違うよ、、、罰を受けるのは、ヒョンじゃない、僕だよ」

「チャンミン、、、」


僕の身体を包んでいたヒョンの腕が解かれる。
向かいあうヒョンの瞳は、怖いくらい真っすぐに僕に向いている。


・・・・・「僕は、、、ずっとヒョンが好きだった。知ってる? 初めて出逢った時からだよ?」


ヒョンの瞳が、大きく見開く。
知らなかったでしょ?

僕は、ヒョンの反応にふっと小さく笑った。


・・・・・「でも、そんな事言えなかった。嫌われたくなかったし、
兄弟として近くにいる事が出来ればそれでいいって思ってた」

「チャンミン、、、」

・・・・・「でも、ヒョンに恋人が出来た時、苦しかった。
ミファさんはとても綺麗で心の優しい素敵な人で、、、」

「・・・・・」

・・・・・「僕なんかより、ずっとずっと、ヒョンにふさわしい人、、、
だから、弟として喜んであげようと心に決めた」



いつの間にか、波の音が戻っている。
ヒョンは、僕の話を黙って静かに聞いてくれた。

僕は、まるで今まで心の奥底に隠していた自分の気持ちをぶちまけるように、
ヒョンに想いをぶつける。


・・・・・「ユンスさんの事、、、好きだと思った気持ちは嘘じゃない」

「・・・・・」

・・・・・「ユンスさんは僕を愛してくれた。その想いに僕は応えたいとずっとそう思ってた。
一緒にいると心が落ち着いて安心できたのは、それは僕がユンスさんを愛していたからだと、今でもそう思うから、、、」

「・・・・・あぁ、、、」

・・・・・「でも、結局僕は、ヒョンを、、、ユンスさんを傷つけることに、、、だから、、、」

「・・・・・」

・・・・・「だから、罰を受けるのは僕だよ。ヒョンじゃない」



僕の曖昧で幼稚な心が、ユンスさんを傷付けたんだ、、、


それを認めてしまうと、情けなさと悔しさと申し訳なさが涙に変わって溢れてくる。
それでも僕は、ユノヒョンへの気持ちをこのまま真っすぐに心に持っていたいと思う。

もう、心の目を閉じることも鍵を掛けることもしない。
目の前で僕を見つめるその瞳に、精一杯応えたいとそう思うから、、、



「チャンミン、、、、それなら、一緒に罰を受けよう」

・・・・・「・・・・・ヒョン」

「一緒なら、怖くない、、、だろ?」

・・・・・「うん、、、そうだね、、、」



ヒョンが一歩足を進め、僕に近付く。
ザクっ、、、と砂を踏みしめる音と同時に、ヒョンの掌が、僕の頬を掬い取る。

二つの冷たい唇が、震えながら重なった・・・・・









134へつづく

読者の皆さま、こんばんは。
カレンダー届きました♪

2018.4~2019.3 カレンダー

私は毎年、壁掛け用の方をキッチンに掛けているので、
今回のデザインはちょっとサイズが小さすぎて物足りないのですが、
中の2人のショットが、とても素敵なものが多かったので、小さいけど壁に掛けて使うことにしました。
食事を作りながら、後片付けをしながら2人を眺めるのが楽しみなんです(笑)フフ


そして、観覧車の2人。
大きく前進ですね。
今日の133話で-scene8-は終わります。
次回から-scene9-へ入ります。
お久しぶりにコメント欄を開けますので、感想などいただけたら嬉しいです。
もちろん、他のお話への感想でもOKです(^^♪




それでは、本日はこのへんで。
おやすみなさい。素敵な夢を♪





こころ。

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私の心の中のお話です。
ご了承ください。



真夜中の観覧車。-scene8-



何処へ行くんだろう。

寮への道とは正反対の方向で、、、
このまま、家に戻るのかな?

ユノヒョンは、車に乗ってから口も開かず、
ただ、ハンドルを握って前だけを見据えている。

〝何処に行くの?〟

その一言も言えないような、少し緊張にも似た空気が漂っている。


まぁ、いい、、、

今から何処に行くのか知らなくたって、
僕はただ、ユノヒョンについていくだけ。


〝ここから何処か違うところに連れてってよ、、、〟


そう、願ったのは僕。

あの場所から離れたかった。
ヒョンの気配がするあの場所から、逃げたかった。


窓の外の景色が、次第に変化してゆく。
街の灯りは消え、真っすぐに伸びた道路の街灯が、規則正しい間隔で流れていく。

どの位走ったのだろう。
なんだかとても長い時間のように感じたけれど、、、


僕は、きっとぼんやりとしていたのだろう。
ただ、オーディオから流れてくる音楽に集中していたからか、窓の向こうの変化に気が付かなかった。



「チャンミン、、、」


名前を呼ばれて、我に返る。


・・・・・「ん?」


振り向いて運転席のヒョンを見ると、


「窓、、、開けてみて?」


そう言われ、何も考えずに僕はウインドウのボタンを押す。
スーッと、音もなく降りてゆく窓ガラス。

途端、僕の耳と鼻を刺激する、、、


・・・・・「海だ、、、」


入り込む風から、潮の香りがする。
遠くに聞こえるのは、波がさざめく音、、、


「潮の香りがするな」

・・・・・「うん、、、」


ここへ来るのは3度目。

1度目は、夏休みにヒョンと一緒に海水浴に来た。

そして2度目は、ミファさんが天に旅立って、寮からユノヒョンが居なくなった時、、、
どうしていいのか途方に暮れていた僕を、ヒョンがここに連れてきてくれた。

あの時ここで、ミファさんからの手紙を読んだ。
そして、ユノヒョンの心を知った。

思い出すだけで、胸がキュンと痛くなる。



「寒くないか?」

・・・・・「うん、大丈夫」



春と言えども、海風はとても冷たい。

けれど、今の僕にはその冷たさがとても心地よくて、、、



・・・・・「ねぇ、ヒョン、、、行ってみようよ」

「あぁ、、、そうだな」



交差点で、ヒョンが海の方向に向かってウインカーを出す。
暗い道路に、チカチカとウインカーの灯りが、光っては消えた。




・・・・・「はぁーーーーっ、、、気持いいーーーっ」


寄せては返す白い波、、、
足もとを濡らすギリギリのところで立ち止まり、大きく腕を伸ばす。

深呼吸して、思い切り海の香りを吸い込んだ。


僕の少し後ろ、、、
ユノヒョンはとても穏やかな表情をして、海を見つめている。

ねぇ、ユノヒョン、、、
今、その瞳には何が映ってるの?

打ち寄せる白い波、、、
夜の空に浮かぶ黄金色の月、、、

それとも、、、

ユノヒョンの心の中で生き続ける、ミファさん、、、


知りたい、、、
今、ユノヒョンが何を見ているのか、、、
何を思っているのか、、、


・・・・・「ヒョン、、、」

「・・・・・」

・・・・・「ヒョンは今、何を見てるの?」

「・・・・・」

・・・・・「何を思ってる? 教えてよ、、、」


僕の言葉に、ユノヒョンは動じることなく僕を見つめ返す。
何を言うんだと、もしかしたら呆れているのかも?


上着のポケットに突っ込んでいた手をゆっくりと出して、
ザクザク、、、と音を立てながら僕に近付く。

手を伸ばせば、触れる距離。
そこで、ユノヒョンの脚が止まった。



「お前、なに言ってんの?」


ユノヒョンのその言葉に、僕は恥ずかしくなって思わず俯いた。
その刹那、、、


強い力で腕を引かれ、僕の身体は一瞬、宙に浮いて、、、


・・・・・「ヒョ、、、ン?」


ユノヒョンの腕の中、、、
きつく抱きしめられた。


「そんなの、決まってるだろ、、、」

・・・・・「・・・・・」

「俺の目にはお前しか映ってない、、、チャンミン、、、、」



波の音が、止まった、、、










133へつづく

読者の皆さま、おはようございます。

お話を書いていて、以前読者さんに言われたことを思い出しましたが、
「ユノヒョン」と「ヒョン」の境界線が曖昧で分かりずらいと思います。

チャンミンは、ユノのこともユンスさんのこともセリフで呼ぶときは〝ヒョン〟と言いますが、
それ以外の時にはユノは〝ユノヒョン〟そして、ユンスさんのことは〝ヒョン〟と書き表しています。

分かりずらいと思いますが、
ん? と思った時は、少し思い出していただけたらと思います。
よろしくお願いします(^^♪


それでは、今日もすてきな1日を♪





こころ。

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私の心の中のお話です。
ご了承ください。



真夜中の観覧車。-scene8-




ヒョンのマンションを出て、大きな通りに向かって歩く。

けど、、、

脚が進まない。
僕の後ろ髪を引くのは、別れ際のあのヒョンの顏・・・

パタン、、、と玄関ドアが閉まるのと同時に、
僕は思わずドアノブに手を伸ばした。

けれど、僕は戻らなかった。

もう一度、インターホンを鳴らしてあの扉を開くこともできたけど、
僕はそうしなかった。


どうしてなんだろう、、、
どうして僕は、泣いているヒョンを残していま、ここにいるんだろう、、、


とぼとぼと、進む脚がいつしか止まって、、、


・・・・・「やっぱり、、、」


今、歩いてきた道を振り返る。
そして、そのまま歩き出そうとしたその時、、、

ポケットの中のスマホが震える。


・・・・・「ユノヒョン、、、」


〝ユノヒョン〟 と、ディスプレイに浮かぶ名前に、
実は内心、ホッとした。


・・・・・「ヒョン?」

「チャンミン? ゴメン、心配で、、、どうだった?」

・・・・・「うん、、、ヒョン、、、あのね、、、」

「・・・・・」

・・・・・「・・・・・」


僕は、なんて薄情で冷酷な人間なんだろう、、、

でも、その時僕は、無性にユノヒョンに逢いたくて、、、

いや、違う。
ずっと、、、ずっと心の中でそう思ってた。

ヒョンのマンションで、傷だらけのヒョンを抱きしめている時も、
キッチンに立って、ヒョンの為にお粥を作っている時も、、、

ずっと、心の片隅でそう思ってた。


〝ユノヒョンに会いたい〟って、、、


・・・・・「すぐに、、、帰るから、、、待ってて、ヒョン、、、」


気が付けば、僕は電話の向こうのユノヒョンに、そう告げていた。


「俺が、、、俺が迎えに行くよ、、、待ってろ、、、」


電話を切って、僕はもう一度振り向く。
遠くに、ヒョンのマンションが見える。

もし、さっきのユノヒョンの電話がなかったら、
僕はあのまま引き返していただろう、、、

いや、引き返そうと思えば、今でもそうできる。
けど、僕はしなかった。




ごめんね、、、

ごめんね、、、ヒョン、、、




「チャンミン、、、」


低く響くその声が、僕を現実に引き戻す。
振り向いたそこには、〝会いたい〟と願った人、、、


・・・・・「ヒョン、、、早かったね」

「そっか?」

・・・・・「ヒョン、、、」

「ん?」

・・・・・「お願いだよ、僕の腕を引いて欲しい」

「・・・・・」

・・・・・「今すぐ僕の腕を引いて、ここから何処か違うところに連れてってよ、、、ヒョン、、、」


もう、迷いたくない。

だから、、、

お願い、ユノヒョン、、、


その刹那、、、


「行くぞ、、、」


ユノヒョンの手が、僕の腕を掴む。
そのまま僕の腕を引き、大股で歩き始めた。


「乗れ、、、」


通りに止めてあるヒョンの車、、、
助手席の扉が開いた。


・・・・・「ヒョン、、、」

「チャンミン、、、俺は、お前が好きだ。
だから、俺が俺の意志で、お前をここから連れ去る。嫌なら逃げろ、、、」


ユノヒョンは真剣だ。

自分の気持ちを僕に真っすぐにぶつけてくれる。

その上で、僕に選択する猶予を与えてくれる。
僕を責めることはしない。

その優しさが、時に辛いけど、、、
それがユノヒョンという人。

強引なようで、その言葉も行動も、
いつも僕には甘くて優しい。


・・・・・「ヒョン、、、」

「チャンミン、、、」


ヒョンが、僕を見つめて優しく微笑む。
その表情が、僕に勇気をくれた。



・・・・・「行こう、ヒョン、、、」



ヒョンのマンションを背に、
車が静かに走り出した、、、、、













132へつづく

読者の皆さま、こんばんは。
チャンミンの気持ちが、グルグルする感じ、
上手く皆さんに伝わったか心配です。
けど、チャンミンの今回のこの行動は、
彼にとってはすごく重大な決心だったんじゃないかな?と。
心を揺らしながらも、少しずつ自分の真の気持ちに近付きつつあるチャンミンを、
応援してあげてください。
しかし、ユノヒョンはいい男だな(//▽//)フフ♡





それでは、本日はこのへんで。
おやすみなさい♪


こころ。

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私の心の中のお話です。
ご了承ください。



真夜中の観覧車。-scene8-




--- ごめん、、、チャンミン、、、---


ヒョンと出会ってからの僕は、今までずっとヒョンに頼って来た。
悲しい時、苦しい時、辛い時、、、

ヒョンはいつも、僕を大きな腕の中に包んでくれた。

何も言わず、いつも笑って僕を迎えてくれた。


なのに、、、

今、僕の腕の中で震えながら泣いているヒョンは、

僕の知ってるヒョンじゃない。
僕の知ってるソン・ユンスじゃない。

こんなに、細く小さくなって、、、

どんな思いで、、、
どんな気持ちで、、、

毎日を過ごしていたのか。
それを思うと、胸が痛い、、、



・・・・・「ヒョン、、、」

--- ごめん、、、チャンミン、、、---


ただ、〝ゴメン〟と、それだけを繰り返す。
何度も、何度も、、、


・・・・・「ヒョン?」

--- ・・・・・ ---

・・・・・「一緒にご飯食べよう」



そう言うと、ヒョンはゆっくりと顔を上げ、
僕を見て、ふっと笑った、、、



・・・・・「美味しい? 簡単な物しか作れないけど、、、」

--- とっても美味しいよ。なんだか久しぶりだ、こんなに美味しいものを食べるの、、、---

・・・・・「良かった。いっぱい食べて早く元気にならないと、、、ね?」


ん、、、と、微かな声で頷いたヒョンは、
スプーンですくったお粥を口に運ぶ。


テーブルの上には、コンビニで買ったカップ麺。
お粥を作るのに足を踏み入れたキッチンにも、簡単なインスタントばかりだった。

そんなのじゃ、怪我も治るはずない、
元気が出るわけもない。


・・・・・「ヒョン、、、どのくらいで治るの?」

--- ん、、、完全に元に戻るには、3ヶ月は掛かるだろうって、、、---

・・・・・「3ヶ月、、、」

--- 仕事は、無理のないようにやってる。
同僚が気遣ってくれて、内勤が中心だから、そんなに不便じゃないよ---

・・・・・「そう、、、」


不便はないと、そうヒョンは言ったけれど、利き手が使えないなんて、
不便に決まってる。


毎日の食事はどうしてるんだろう?
洗濯や掃除は? お風呂は?
色んなことが、頭の中をぐるぐると回る。

聞きたかったけれど、聞けなかった。




食事を終えて、少しだけ部屋を片付ける。


--- ごめんね、チャンミン、、、---

・・・・・「ヒョン、、、会ってから〝ゴメン〟ばっかり、、、」


そう言って笑うと、少しだけヒョンも笑う。


・・・・・「ほらほら、いいから座ってて?」


温かいコーヒーの入ったマグカップを手渡し、ソファに座るように促す。
少し申し訳なさそうに目じりを下げて、また〝ゴメン〟と言ってソファに座る。


部屋を片付ける僕を、ヒョンはずっと見つめてる。
いつもなら、〝恥ずかしいから〟何て、可愛くないことを言うけど、、、

今日は、僕は黙ってヒョンの視線を受け止めた。



--- ありがとう、チャンミン、、、---

・・・・・「どういたしまして、、、」



気が付けば、窓ガラスの向こうの空は、夜の色に染まっている。
星が綺麗だ・・・


・・・・・「ヒョン、、、僕、そろそろ戻るよ、、、」

--- うん、、、---

・・・・・「少しだけど、冷蔵庫におかずを入れてるから、、、」

--- うん、、、---

・・・・・「インスタントばかりじゃダメだよ、食事はちゃんと摂って、早く元気になってね」

--- うん、、、ゴメン、チャンミン、、、送ってあげられなくて、、、---

・・・・・「いいんだよ、、、気にしないで、、、」


表通りまで送るというヒョンを玄関先で止めて、、、


--- チャンミン、、、僕はもう大丈夫だから、、、心配しなくていいよ---


なんだかヒョンのその言葉は、
まるで、自分に言い聞かせているような、、、そんな風に感じた。


・・・・・「うん、、、また、連絡するよ」

--- 今日は、ありがとう、、、---

・・・・・「じゃあ、、、」


僕たちの間に、次の約束の言葉はない。



扉を開け、脚を踏み出す。
ゆっくりと、閉じてゆく扉、、、


振り向いたその時、、、


・・・・・「ヒョン、、、?」


扉が閉まる僅かな瞬間、
その隙間から、ヒョンが泣いている顔が僕の瞳に映り込んだ・・・・・







131へつづく

読者の皆さま、おはようございます。
お天気があまりよくないようですが、
今日も1日、素敵な日になりますように。


いつもありがとうございます。





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真夜中の観覧車。-scene8-




ユノヒョンは、笑って僕を送り出してくれた。
ユノヒョンの車を見送って、僕はくるりと振り返り、マンションを見上げる。


ここにいるのだろうか?
けど、思いつくのはここしかなかった。

ポケットからスマホを取り出し、ヒョンのナンバーを表示させる。

〝ユンスヒョン〟

コールするか暫く悩んで、、、


・・・・・「いや、とにかく行ってみよう」


スマホをポケットに納め、マンションのヒョンの部屋に向かって歩き出す。


次第に高鳴る鼓動。
一歩、二歩と脚を進めたその時、、、



--- チャンミン? ---



脚が留まる。
振り向くのが怖くて、脚が小さく震える。


--- チャンミンだろ? ---


もしかしたら、会えないかも、、、そう思っていた。
ここに居ないかも?

そんな風に考えていたのに、不意に訪れた、、、再会、、、


飛び出してしまいそうな心臓を右手で抑え、
ゆっくりと振り返る。


・・・・・「ヒョン、、、」


僕の顏を見て目を見開いたヒョンは、すぐに表情を崩し、泣き出しそうな顔をした。
暫く会わない間に、髪が伸びて随分と痩せている。

ヒョンの利き手の右手には、グルグルと包帯が巻かれ、肩から吊られていた。


--- 来て、、、くれたの? ---

・・・・・「ヒョンが、、、心配で、、、」


僕の言葉に、一瞬、ヒョンは嬉しそうに笑ったけれど、
でもすぐに表情を曇らせて、、、


--- ごめん、、、僕がおかしな電話をしたせいで、、、---

・・・・・「そんなことないよ、、、」


ヒョンの左手には、コンビニの袋がぶら下がっている。

僕は、ヒョンに近付き、その袋をヒョンの手から取りあげた。


--- チャンミン? ---

・・・・・「ヒョン、喉が渇いた」


そう言って、僕はマンションのエントランスに向かって歩き出す。

後に居るヒョンの顏は分からなかったけど、
僕の足音に重なるように、ヒョンの足音がすぐに聞こえてきた。






--- どうぞ、、、散らかってるけど、、、---

・・・・・「お邪魔します、、、」


〝散らかってる〟

そう、ヒョンが言った通り、以前来た時に比べて、
部屋は雑然としていた。


--- コーヒーでいい? ---

・・・・・「うん」


ヒョンは、ポケットに入っていた財布をテーブルの上に置くと、
そのままキッチンへ向う。

僕は、立ったままで部屋を見渡していた。


なんだか以前と空気が違う。

何だろう、、、
そんな事をぼんやりと考えていた時、、、


--- あっ、、、---


ヒョンの声が聞こえて、僕は慌ててキッチンへ向った。

使い慣れない左手だけで、カップにコーヒーを注ごうとしていたヒョン。
うっかりしていた。


・・・・・「ゴメン、、、ヒョン、僕がするよ、、、」

--- ごめん、、、頼むよ---


並んだ2つのマグカップ。
いい香りのするコーヒーを注いで、リビングに向かう。

テーブルの上に静かに置いて、ヒョンと並んでソファに座った。


--- 久しぶりだね、チャンミン、、、---

・・・・・「うん、、、」

--- なんだか少し、大人っぽくなってる---

・・・・・「そうかな? 」


隣に座るヒョンの視線を感じる。

その圧倒的な熱を持つ視線に、僕は振り向く勇気がなかった。
手を伸ばし、マグカップを取ると、コクリ、、、と一口飲む。

喉元を過ぎるコーヒーの温度と味が、ほんの少しだけ、僕の心を落ち着かせてくれた。


マグカップを置き、ヒョンの方を向いて視線を合わせる。


・・・・・「ヒョン、事故って? 怪我は?」


そう口にしてから、ハッと気づく。


伸びた前髪の陰に、痛々しい傷、、、
頬にも、そして、顎にも、、、


・・・・・「ヒョン、、、き、傷、、、」


狼狽える僕を見て、ヒョンは優しく笑った。


--- 大丈夫だよ、心配かけて、ごめんね ---


そう言いながら、ヒョンは泣いていた。





分かってる。

ヒョンは、怪我が傷むから泣いてるんじゃない。
骨折した腕が傷むから、泣いてるんじゃない。


泣いてるのは、ヒョンの心・・・・・


僕を見つめるヒョンの瞳が、余りにも悲しすぎて、、、


僕はヒョンに腕を伸ばし、震えるその身体を抱きしめた、、、







130へつづく

今日から、更新時間の変更をしています。
よろしかったら、前記事のお知らせをご覧ください♪
よろしくお願いします。


それでは、本日はこのへんで。
おやすみなさい(^^♪




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