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私の心の中のお話です。
ご了承ください。




チーズバーガーとコーラとあなた。





「えっ?」

目の前の〝男〟が、言った言葉が理解できない。


「な、なんだって?」


耳に指を突っ込んで、ぐりぐり回しながら、
もう一度聞く。


・・・・・「す、好き、、、です、、、」


小さな声で、顔も耳も真っ赤にしながら・・・
俺を、、、好き?


「あのさ、俺、男なんだけど・・・」

・・・・・「はい、知ってます」

「だよな」

・・・・・「・・・・・」



うーーーん、、、

確かにこいつ、男にしては色も白いし、目も大きいし、睫毛も女みたいに長い。
肌とか、超すべすべじゃね?


・・・・・「あ、あの、、、」


ふっと気が付くと、いつの間にか俺の人差し指はそいつの頬に触れている。
な、なにしてんだ、俺、、、


「わ、悪りぃ、、、」


ポッと頬を赤くして、俺が触れた頬に掌を当ててる。

と、とにかく・・・


「な、お前、ゲイなの?」

・・・・・「えっ?」


だって、男が男を好きなんだろ?
そう言うことなんじゃないのか?


・・・・・「ち、違います。僕は、貴方が好きなだけで、、、」


目を泳がせながら、黙り込んでしまう。


「とにかくさ、俺は、、、」

・・・・・「ごめんなさい。本当に、、、」


突然、椅子から立ち上がり深々と頭を下げる。
手にカバンを持ち、そのまま背中を向けて歩き出した。


「お、おい、、、待てよ」


足を止めることなく、出口の扉を開いて店を出た。

なんだか後味が悪い。
これじゃあ、俺が悪者じゃねぇかよ。


暫く考えた後、、、
立ち上がって奴を追いかけた。



とぼとぼと歩いている背中を見つけて、後ろから腕をとる。
驚いて振り向いた奴の顏は、涙でぐしゃぐしゃになっていた。






「いいか、ここで10分だけ待ってろ? 分かったな」

・・・・・「はい、分かりました」


店の裏口の扉に立たせてそう言うと、俺は着替えるために店内に戻る。

突然いなくなったことを、パートのおばちゃんに叱られたけど、
ウインクしたら許してもらえた。

急いで着替えて、荷物を持って、、、
タイムカードを押して外に出ると、少し離れた場所で、俯いたままじっと立っているあいつ。

横顔が、なんだか色っぽい・・・


おいおい、俺、大丈夫か?
長い間、女が居ないからつって、血迷うんじゃねぇぞ・・・


「なぁ、お前、これから学校か?」

・・・・・「いえ、もう帰ります」


通りを並んで歩く。
さわさわと、少し冷たい風が通り抜けていく。

ぶるっと身が震えた。

その風が、隣を歩く奴の前髪をふわりと靡かせると、
少し伏せた大きな瞳が、キラキラと光ってた。

なんだ?
なんで俺、ドキドキしてんだ?


「俺さ、地下鉄なんだけど、、、」

・・・・・「僕もです」


聞くと、同じ路線の地下鉄。
この近くの駅から、こいつは3つ先、、、俺は8つ先の終点・・・


改札を抜けて、同じ電車に乗り込む。

昼の地下鉄は、それほど込み合っていなくて、
空いてる席に並んで座った。


「お前さ、大学生なら、学校にいい女沢山いるだろ?」

・・・・・「えっ?」


扉が閉まって、発車のベルが鳴る。


「お前、そこそこいい男なんだからさ、、、」


動き始めた電車。
その〝揺れ〟が、何とも心地よくて・・・


「女が、い、、、、」


俺の記憶は、電車が動き出してものの5分で途絶えてしまった。









・・・・・「あ、あの、、、、着きましたよ」


肩を揺すられて、ふわりとした感覚から意識を戻す。
気が付くと・・・


「ああ、、、」


顔を上げると、真っ赤に染めた顔で恥ずかしそうにした男が、
にっこりと笑っていた。

どうやら俺は、こいつの肩にだらしなくもたれ掛って眠っていたらしい。


・・・・・「終点です。下りないと、、、」


しかも、俺の身体にかけられていたのは、
こいつが着てた、白いニットのカーディガン。


「あぁ、悪い、、、」


手に掴んで、急いで立ち上がると、2人で一緒にホームに降りた。


・・・・・「大丈夫ですか?」

「ああ、悪かったな、これ、、、」


手にしていたカーディガンを差し出す。
黙って受け取って、肩に羽織った。


「お前さ、こんなとこまで・・・」


たしか、乗り込んだ駅から3つ先の駅だったはず、、、


・・・・・「いいんです。とても気持ちよく眠ってらしたから・・・」

「起こせばよかったのに、悪かったな」

・・・・・「いえ、大丈夫です。じゃあ僕は、引き返しますので、、、」

「気をつけてな」


改札の前で、あいつは小さく頭を下げた。

そして、降り立ったホームとは逆のホームに向って歩いてゆく。
小さくなってゆく背中・・・


あいつ、、、
もう店に来ないかな?


あんな言い方して、泣かせてしまったから、もう、、、


・・・・・・・


来ないだろうな。
そう思ったら、いつの間にか身体が動いてた。







あいつがいるであろう、さっきとは反対側のホーム。
ベンチにちょこんと腰を下ろして、何かをじっと見つめている。

よほど見入っているのか、そっと近づいても気が付かない。
静かに隣に腰を下ろして覗き込んだ。


・・・・・「あっ、、、」


驚いて、手にしていた〝それ〟を、さっと隠した。


「お前・・・」

・・・・・「いえ、、、その、、、」


こいつが手にしていたのは、
求人広告に載せるために撮影した、スタッフが並んだ写真。

新聞の折り込み広告。
その中の小さな小さな写真に写った俺の顏・・・


こいつ・・・
おかしな奴だな、、、


「お前、スマホ持ってるか?」


バツが悪そうな顔をしながらも、鞄のポケットからスマホを取り出した。
強引に奪い取って、カメラを起動させる。


「ほら、、、」

・・・・・「えっ?」

「もっとこっち来いよ」


肩に腕を回して、ぐっと引き寄せた。
片腕を伸ばして、、、


「ほら、もっといい顔しろよ」


頬が触れそうな距離。
真っ赤に染まった顔から、熱が伝わってくる。


シャッターの音が、ホームに小さく響いた。








「ほら、これもやるよ」


スマホと一緒に差し出す、
カバンの中をまさぐって見つけた・・・


・・・・・「これ、、、」

「これとこれでチーズバーガーとコーラが半額で食えるだろ?」


それは、俺の働くハンバーガーショップの割引券。

カバンの奥に突っ込んでたから、ちょっと皺になってたけれど、
脚の上でぐっと伸ばして、差し出した。


・・・・・「あの、、、」


受け取ろうとしないで、小さな声を漏らす。


「ん? なんだよ?」

・・・・・「お店に、、、また、お店に行ってもいいんですか?」


俺は一体、
何やってるんだか、、、、


けど、久しぶりだ。
こんなふわふわした気持ち、、、


こいつ、ちょっと面白いかも?



「101回目に使えばいいだろ?」


その俺の言葉に、ふわりと浮かんだ笑みが、まるで花のようだった。



「じゃあな、、、」

・・・・・「はい、あの、、、ありがとうございます。写真も、、、宝物にします」

「おおっ」



手を挙げると、そいつは首をかしげて、
胸のところまで上げた掌を、小さく何度も振っていた。

なんだか眠気も引いて、清々しい気持ちだ。



あっ、
そうだ。


ふっと思い出して、
俺は、足を止めてもう一度振り向いた。





「なぁ、お前さ、名前なんてーの?」








チーズバーガーとコーラとあなた。   fin


読者の皆さま、こんばんは。

昨日と今日との2話で、『チーズバーガーとコーラとあなた。』を更新させていただきました。
最後まで、〝彼〟の名前が出てこなかったんですけど、どうでしたか?

もし皆さんに気に入っていただけたら、
いつかこのお話の続編  『続 チーズバーガーとコーラとあなた。』 をお披露目できるといいなと思います。
本編が2話なのに、続編は39話あるという・・・(笑)フフフ



※ 昨日のお話に頂いたコメントに御返事させていただいてます♪



それでは、午後も素敵なひと時を♪
いつもご訪問ありがとうございます。





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私の心の中のお話です。
ご了承ください。




チーズバーガーとコーラとあなた。






「いらっしゃいませーーっ」



眠い、、、、

重力に逆らえず、上下の瞼が仲良く重なりあうのを必死で止める。
あと30分・・・

ようやくバイトが終わる。



〝ユノ、悪いけど、今日彼女の誕生日なんだ。頼む、バイト変わってくれ、な? 〟



24時間営業のハンバーガーショップ。
俺と交代に勤務するはずだった先輩に頼まれて、俺は昨晩から寝ずに働いている。

もうすぐ昼の12時だ。
やっと帰れる・・・


眠い・・・






最悪のコンディションの俺。
そんな時、俺は可笑しな奴と出会った。





「次の方~っ、ご注文どうぞ~~」



よし、この客で最後だ。
メニューを差し出して、注文を待つ。

けど、声が聞えない。
不思議に思って顔を上げると、色の白いやたらと目の大きな男が、俺をじっと見つめていた。


視線が合うと、大きな目をさらに大きくして、ぎこちない動作で目を逸らす。

なんだ、こいつ・・・


「お客さん、注文、、、」


ったく、早くしろよ。
寝てないし、疲れてんだよっ、俺は機嫌が悪いんだ。


・・・・・「あ、あの、、、」

「はい、どーぞー」

・・・・・「チ、チーズバーガーと、コーラ、、、そ、それと、、、」

「・・・・・」


チーズバーガー、、、コーラ、、、
言われた順に、レジに打ち込んでいく。


・・・・・「それと、あ、貴方を・・・」


それと、、、貴方、、、、




・・・・・・・・・・・・・・・ん?




貴方って、そんなメニューあんのか?


「すいません、もう一度お願いします」

・・・・・「は、はい、チ、チーズ、、、」

「チーズバーガーとコーラ、、、で?


イライラした気持ちが、言葉に出てしまう。

こういう時、俺ってホント、客商売向いてないよなって思う。
店長が居なくてよかった。


・・・・・「あ、貴方、、、を、、、」


こいつ、、、
ふざけてんのか?

俺に喧嘩売ってんのか?

女みたいな可愛い顔しやがって、、、、


「お客さん、ふざけないでくださいよ」


レジに向けていた視線・・・
凄むように目を細めて、その客を睨みつけた。



うっ、、、、、、お、おい、、、




・・・・・「ご、、、ご、ごめ、、、な、、、さ、、、」


大きな目に、今にも零れそうな涙を溜めて、
わなわなと唇を震わせている。


「お、おい、、、、な、なんだよ、泣くなよ、、、」


その様子に気が付いた周りの客がざわつきだし、
そして、その視線は俺に向けられる。


--- ねぇ、あの店員、お客さん泣かしてるよ、最悪~---

--- 見てよ、すっごく怖い顔してる。可哀想だね、あの子、泣いてるよ---


店内にいるすべての客が、強い視線で俺を見ている。



う、嘘だろ?
俺が何をしたっていうんだよ?


「な、泣くな、、、な? ったく、、、なんなんだよ、、ちょっと待てよ?」


慌てふためいた俺は、急いでトレイにチーズバーガーとコーラを乗せると、
カウンターを飛び出し、泣き続けている男の腕を引いた。


「ほら、こっちこい」






店内の奥の席までそいつを引きずって、椅子を引いて座らせる。


・・・・・「ご、ごめんなさ、、、」


さっきから、ごめんなさいとしか言わないそいつを見て、ため息をついた。
小さなテーブルの上にトレイを置いて、真向かいの椅子に腰を下ろした。

シュワシュワと、コーラの泡がはじける音が、
ますます俺をイライラさせた。


「俺さ、昨日の夜からずっと働いてて、眠いんだよね、、、」

・・・・・「は、はい、、、」


テーブルの上のコーラに手を伸ばし、ちゅーっとストローを吸って、
コーラの刺激を喉に感じた。


「で? お前なんなの?」


俯いたまま、小さく肩を揺らしながら泣いている。
泣きたいのはこっちだって、、、


「さっきの、どういうこと?」


椅子の背もたれに背中を預けて、腕を組みながら返事を待った。


・・・・・「き、今日、、、100回目なんです、、、」

「は?」


そいつは、喉をごくりと鳴らすと、小さな声で話を続けた。


・・・・・「僕、この近くの大学に通ってます。半年くらい前に、初めてこのお店に来ました」

「・・・・・」

・・・・・「そ、その時に、僕の注文を聞いてくださったのが貴方で、、、」

「はぁ、、、」

・・・・・「そ、その時に、、、その、、、」


俯いたまま、ちらりと上目遣いで俺を見る。

こいつ、女みたいだな、、、
男だよな?


・・・・・「き、決めたんです。100回目に、、、100回目に貴方に伝えようって、、、」

「なんの100回目なんだよ?」

・・・・・「貴方に、注文するのが・・・」

「え?」


俺?

100回って、、、
相当な回数だよな?

しかも、半年の間に・・・


全く気が付かなかった。
ってか、俺、あんまり客の顏見てねぇしな、、、


「悪い、覚えてねぇ、、、」

・・・・・「いえ、いいんです」


また、泣き出しそうなそいつを止めるために、
言葉を続ける。


「で、俺に伝えるって? 何を?」


そいつはまた、視線を俺から逸らせた。


・・・・・「そ、その、、、」

「まさか、チーズバーガーとコーラが好きだって、それを言いに来た訳じゃないだろ?」

・・・・・「はい、それは、、、」

「ったく、ウジウジしてんじゃねぇよ、、、はっきり言えよ! 男だろ?」


俺のイライラが頂点に達する。
早く帰って寝たいんだよ!


ついつい、声が大きくなってしまった。

そんな俺を、顔を上げたそいつは、驚いた顏で見つめた。
じわじわと、また涙が溢れてきて、、、


「ちっ、泣くなよ、、、、」


瞬きをすると、キラキラと光る幾粒もの涙が、白い頬を伝って落ちた。




・・・・・「あ、貴方が、、好きなんです、、、、、」








2へつづく

読者の皆さま、こんにちは。
現在、実家の家族とバス旅行中のこころ。です(笑)

今日は、時間がなくていつものお話を準備できなかったので、
「チーズバーガーとコーラとあなた。」を更新させていただきました。

このお話は、旧館で2話完結で更新したお話ですが、
のちに39話の続編があり、全41話となっています。

今回は、今日と明日で、本編2話を更新させていただきます。

24時間営業のハンバーガーショップで働くユノと、
ユノに一目惚れした〝彼〟の短編です。


よろしかったら明日の午後もおつきあいくださいね。




それでは、午後も素敵なひと時を♪
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